棋士はカワイイ!

将棋と棋士の魅力を伝えたい!そんなブログです。 なんか難しそう、古くてださそう、そんな印象を吹っ飛ばす!
指すのではなく観戦ならば簡単で面白い!

Puellaα

電王戦の反響と新しい問いかけ

第3回将棋電王戦記者発表会[対戦カード・対局日程・対局会場]PV


第1回と第2回の電王戦でヒール役ポジションにいたPuella αの開発者、
伊藤英紀さんが、自身のブログで電王戦の舞台裏について執筆中です。
この中で居酒屋での故米長邦雄会長の話として、
電王戦を興行として成功させたいと話していたと書かれています。
そこで第2回からはドワンゴと組むことになったのですが、
第2回は一般のニュースにも取り上げられるような反響を呼び、
興行的には大成功だったと思います。
私のブログでも、例えば電王戦前の2月で一番PVがあった日で126PVだったのですが、
3月の佐藤慎一四段がponanzaに負けた翌日の31日には2640PVと20倍以上になり、
4月の塚田泰明九段が引き分けになった日には5000PVを超えました。
電王戦によって新たに将棋に興味を持たれた方が、将棋と電王戦のキーワードから、
どんどんネットサーフィンしていたことの証左だと思います。
第3回は対局場にまで趣向が凝らされ、特別スポンサーとして3社が名乗りを上げるなど、
ますます大きなイベントとなりました。

伊藤さんとは別に、第3回電王戦に出場するやねうら王の磯崎元洋さんも、
自身のブログにてコンピューター将棋のことを書いています。
コンピューター将棋で同系のソフト同士の対戦は、
持ち時間がわずかに多い側が大きく勝ち越す、
という事象から、プロ棋士を同系ソフトとみなせば、
実力的な差はわずかなのに勝率に開きが出るということを説明できると掘り下げています。
ここからさらにコンピュータ将棋開発者からの意見で掘り下げて書かれていますので、
興味のある方はそちらを読んでいただくとして、
観る将棋ファンの私はプロ棋士が同系ソフトとは言えないかなーと思います。

コンピュータ将棋の場合、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→自分の評価関数で考える
ということが言えると思います。
そのため同系ソフトの場合は読みが一致してしまい、
ちょっとでも強いソフトにじわーっと押し負ける、勝率に開きがでてしまう、
ということだと思います。
それではプロ棋士はどうでしょうか。
昔からトップのプロ棋士はその特徴から、中原誠十六世名人の「自然流」、
谷川浩司十七世名人の「光速流」、森内俊之十八世名人の「鉄板流」、
といったように呼ばれます。
これはプロ棋士の評価関数の特徴と言え、
「光速流」と「鉄板流」が同じ系統のソフトとは思えないというのが私の意見です。
ただし勝率に差がでる現象というのは確かにあります。
それが「○○流」と呼ばれることのないトッププロの棋士、羽生善治三冠です。
例えば羽生三冠と深浦康市九段は、羽生28-27深浦とほぼ互角の成績だったのですが、
そこから急に深浦九段の10連敗になりました。
三浦弘行九段は6-6の後は1-21と大きく負け越していますし、
藤井猛九段は13-14の後に2-23とこれまた大きく負け越しています。
羽生さんはこだわりを持たないということにこだわっている棋士でもありますが、
そんな羽生さんが思考方法を述べているのを本から抜粋します。

梅田望夫著どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語より

木村さんはそういう展開にするよりも、攻めるぞと見せて、
受けにまわるというのが好きなタイプなので、本譜のように▲6八角でしたが、
<中略>
▲6八角の展開になると思っていました。
控え室では、木村の▲6八角にみな驚いていたわけだが、
羽生は木村の個性を見切ったうえで、▲6八角を予測していたというのだ。

-----------------

棋譜を見れば木村さんが指したものとすぐわかります。

-----------------

かつて、ある若手棋士が、
「羽生さんって、人の特徴をとらえるのが本当に上手だからなあ」と感嘆していた。
羽生の強さの秘訣に、戦う相手の棋士としての本質を、
極めて抽象度の高いところで掌握していることがあるのではないだろうか。


先ほど私はコンピュータ将棋の場合、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→自分の評価関数で考える
と書きましたが、少なくとも▲6八角を予想した時の羽生さんは、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→相手の評価関数で考える
というアプローチを取っていると考えられます。
そのため同系ソフトの場合と同様に相手の指し手が読みと一致し、
読みが少しでも上回ると勝率に開きが出るのではないかと思います。

渡辺明著勝負心より

私は公式戦を600局以上戦い、7割近い勝率を残してきた。
そのうち約200局もの敗局があるが、そのほとんどは、
自分のミスによるものと認識している。
しかし、こちらが一手のミスもなく指しているというのに、気づいたら負けていた、
ということが、ごく希にある。
敗因がわからず、「どう指しても無理だったな」と感じる、その唯一の相手こそ、羽生さんだ。
これだけ完璧に指されたらお手上げだ、と思わされたのが対局のひとつが、
先に述べた2008年の竜王戦フランス対局だったのである。


やねうら王の磯崎さんは、同系の強いソフトにはじわーっと押し負けると述べました。
上記の渡辺二冠の話も、ミスをしていないのに気づいたら負けていたということは、
じわーっと押し負けたということなのではないでしょうか。
渡辺二冠は羽生さんが最も読み筋が合う、
予想外の手もあるが、後で考えるとおおむね理解できる手であるとも述べています。
逆に佐藤康光九段はなぜか根幹から読みが違う、
説明されても納得できないことが多いと述べていますから、
少なくとも渡辺二冠と佐藤九段が同系ソフトというのは間違っていそうです。

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どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?
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第2回電王戦を終えて

【第2回電王戦】三浦弘行xGPS将棋の局後の記者会見の様子【将棋】


【第2回電王戦】全体を通しての記者会見の様子【将棋】


三浦八段がどこが悪かったのかわからないと言ったのは驚きですね。
将棋には400年以上に及ぶ歴史があり、
様々な発見があり、格言として後世に残ってきました。
例えば攻めは飛角銀桂、4枚の攻めは切れないといった格言がありますが、
電王戦ではコンピュータが薄い攻めを決行することが多かったです。
本局では、コンピュータが40手目に歩をぶつけて開戦しました。
このとき飛車や角は長い距離を動けるので後方にいても大丈夫ですが、
銀が三段目、桂馬や香車はまだ一段目にいるという状態でしたので、
銀が参加できても3枚の攻めということになります。
そこで攻めが薄いと判断して、
力強い受けの手を選択するというのは自然なことだと思います。
ところが3枚の攻めのまま、桂馬や香車は援軍に行くこともなく取られるという展開で、
受けつぶしを狙った三浦八段を相手に攻め切ってしまいました。
下記は渡辺明三冠のブログからです。

A級棋士の三浦八段も負け、ですか。
△GPSの△75歩▲同歩△84銀はこの形では新手法の仕掛けですか、
これで決定的に悪くならないのならば新定跡誕生です。
以下▲77銀と埋めるまでは相場ですが、
△64角と引いて特に狙いはないけど先手に価値が高い手がない、と。
この△64角と引くところまで△75歩と仕掛けた段階で見通しているんですね。

電王戦が創設されて、昨年は米長先生が負けた。
今年は現役棋士が出るとは言え、
自分のところに回ってくるのは当分は先だと思っていました。
来年以降のことはもちろん何も決まっていませんが、その見解は甘過ぎたようです。
再び今日の将棋。66手目△74歩▲同歩△64歩って、
そんなんで手になるの?って感じですが、えらく細い攻めを繋ぐんですね。驚きました。


渡辺三冠は細い攻めを繋ぐ技術の高さに強みがあるとされている棋士ですが、
その渡辺さんをしてそんなんで手になるの?という手を通したというのはすごいですね。
思いもよらないところから攻めの糸口を作るのが得意なのが羽生三冠、
細い攻めを繋ぐのが得意なのが渡辺三冠、
攻めをぶち切る、繋がりを絶つのが得意なのが森内名人というのも面白い構図です。

さて、第2回電王戦はこれで終わりましたが、
皆様は将棋に、棋士に、コンピューターに、どのような考えを持ったでしょうか。
400年以上にわたって当代一と呼ばれた人達が人生をかけて挑み、
それでいて今もなお新発見があり続ける将棋の奥の深さ。
将棋に没頭し、研鑽を積まなければ生き残れない世界にあえて身を置いた棋士達の純粋さ。
とにかく手を広く読み、新たな鉱脈を探し続けるコンピュータとそれを支える開発者達。
私は日本の伝統の中の美しい世界を見れたことが嬉しいです。
電王戦で初めて将棋の番組を見たという方の中から、
これを機に将棋ファンになってくれる人が少しでも増えるといいなあと思います。

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世界コンピュータ将棋選手権▲Puella α対△Ponanza

世界コンピュータ将棋選手権 決勝リーグ四回戦


第22回世界コンピュータ将棋選手権、
これまで2勝1敗同士のPuella α対Ponanzaの将棋です。
決勝リーグは西尾明六段がニコニコ生放送で解説されていましたが、
すごくわかりやすい解説で見ていてとても面白かったです。
ツツカナの開発者一丸貴則さんも、
自身のブログで西尾六段には頭が上がりませんねと述べています。

Ponanzaの右玉に対して、Puella αが自分の玉頭からつっこんで攻めて行きます。
恐れを知らないコンピュータらしいとも言えますが、
この攻め筋と西尾明六段の解説を聞いて、私の右玉の採用率がすごく下がりました。
受けきる自信はまったくありません。

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