show棋ふぉーカス


羽生さんが投了したときの長沼先生のお辞儀がえらい深すぎです。

将棋マガジン1990年3月号、
神吉宏充五段(当時)の「へえへえ 何でも書きまっせ!!」より。

棋士室に「わーい、神吉さんだあ」と叫びながら長沼四段が入って来た。
「おおっ、長沼君、将棋世界で読んだんやけど免許取りに行ったんやて?」
「ええ、十二月十九日にやっと取れました」と感慨深げに頷きながら。
聞けば教習所に通いだしてから5ヵ月と4日もかかったそうで、
口の悪い仲間からは並の運動神経ではないと絶賛しきり。
しかし免許を持った強みか、フンと鼻息で「もうだいぶ走りました」ここまでは良かった。
「百キロぐらい走ったんですよ」(一同ズッコケ)。
マッチ(浦野六段)「へえー、百キロか。神吉さんぐらいスピードが出るんやなあ」
「スピードと違いますよ、距離ですよ。スピードやったら神吉さんより出ますよ」
「アホか!」関西の棋士が二人以上集まるとほとんどこんな会話になる。
ネ、オモロイでっしゃろ。さらに長沼免許騒動は続く。
しかし5ヵ月と4日もかかったのなら教習所でも結構費用がかかったのだろうと思って
「なんぼぐらいかかったん」と私が訊ねた。
長沼は笑いながら「なんぼかかったんか、もう全然覚えてないんですよ」
そう答えた瞬間マッチはもとより
隣で棋譜を見ていた森(信)五段も長沼君の方に目を向けて
「君が数えんわけないやん」。
関西の棋士に長沼流のボケは通用しない。
観念したのか、暫くして「ええー、消費税込みですかあ・・・」
一同「そうや!」
「あんまり覚えてないけど、二十八万九千五百七十三円です。ひどおーい」
さすがである。「駒取り坊主」と呼ばれる長沼将棋。
このキメ細やかな損得勘定が、彼の将棋を支えている。



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