今日はニコニコ生放送で、初の朝日杯の生中継がありました。
朝日杯は全部の棋士が参加する早指し棋戦で、
持ち時間は40分、使いきると1分将棋となります。
そのため序盤はNHK杯よりもさくさく進行していきました。
ニコニコ生放送では解説が近藤正和六段、
聞き手が藤田綾女流初段で大盤解説会が始まりました。
近藤六段「チェスクロックですとノータイムで早いですね。
これ話しているとどんどん進んで遠い昔のことを解説しているみたいな」
序盤は記録係りがついていけてるのが不思議で仕方ありませんでした。
糸谷竜王対豊島七段は糸谷竜王の先手で角換わり腰掛銀に。
しかし先手の糸谷竜王から同型を避けました。
最近同型の後手に新発見があって同型復活傾向らしい。
糸谷竜王、豊島七段、久保九段、稲葉七段のブロックについて
近藤六段「この4人誰が残っても実力者なんですけど、
注目は新竜王になった糸谷さんじゃないですかね」
先手の糸谷竜王の王様が穴熊に入った瞬間に、後手の豊島七段が先攻していきました。
糸谷竜王は席を外して、戻ってきたら直ぐに指す竜王戦でもおなじみだった不在流。
近藤六段「飛車を引くと歩がピッタリなんでね、普通は桂馬を跳ね…」
ぱしっ(駒を指す音)
藤田女流「あ、飛車を引きました」
近藤六段「これが生放送の恐ろしいところでね」
今度は豊島七段が席を外しました。案外そういうものなのか。
アンケートどちらを持ってみたいか
先手・糸谷竜王26.0%、後手・豊島七段47.7%、どちらとも言えない26.4%。
攻めてるほうが好き?
豊島七段は自身の飛車と相手の穴熊の香車を交換する鬼攻め。
糸谷竜王がそれを誘ったんだけれどもさてさて。
近藤六段「横歩取り、角換わりなんかはもう中盤が短くて、
戦いが始まったらもう優劣がついている場合もありますからね。
将棋の対局はもう興奮してるから、意外と手が進んでしまうんですね。
後からもっとゆっくり指せばよかったなとか反省するんですけれども、
その時は興奮してるから止まらなくなっちゃってね」
藤田女流「糸谷竜王がすごい前傾姿勢に」
近藤六段「気合が乗ってるねえ」
近藤六段「糸谷さんの手が遅いと言うことは豊島さんペースなのかもしれません。
早い時は本当に早いですから」
ここで画面が対局場に切り替わると…
近藤六段「あ、席外してただけだった」
幻惑の不在流。
近藤六段「糸谷さんのように動き回るスタイルでタイトルを取ったのは珍しいと思うね」
そして記録係りまで不在になり、戻ってきて困る糸谷竜王。
糸谷竜王(これ指しちゃっていいのかな…。)
戻ってきてすぐに指すというペースが乱れたか。
記録係りがチェスクロック持参で戻ってきたので、故障か電池切れではとのこと。
そして開始から1時間くらいの間に4者とも1度は席を外しました。
意外に席を外すものらしいです。
ここで対局場のマイクから「はあ、そっか」のため息。糸谷竜王かなあ。
そして糸谷竜王が席を外しました。
終盤は糸谷竜王勝ちかというところで豊島七段の名手がとびだし、
もう訳が分からない展開に。
今度は豊島七段が王手竜取りを決めて豊島七段の勝ちか、
というところで糸谷竜王も攻防手を放ちます。しかし…
近藤六段「これは豊島さん余裕がでてきましたね。ネクタイのあたりが余裕」
近藤六段のネクタイ評価関数。
近藤六段のネクタイ評価関数。
最後は糸谷玉に豊島七段が必死をかけて、糸谷竜王の最後の攻撃を交わしきり、
豊島七段の勝ちになりました。
質問メール
将棋の盤や駒を買うときに注意した方がいい事はありますか。
将棋の盤や駒を買うときに注意した方がいい事はありますか。
自分の気に入ったものを使うのがいい。
持った時のさわり具合は人の好みによって違う。
駒の大きさによって盤を決めればいい。駒台もセットで売っているのがあれば高さも合う。
足がついている盤は気分がいい。
奨励会は三段になると使う盤が高くなる。
糸谷さんも最近えらくいい盤駒使ってるなと思ってるのでは。
近藤六段は師匠の故原田九段から頂いた物を使っているそうです。
最長何手の詰め将棋を解けましたか。
近藤六段「私はねえ、私の修行時代は伊藤宗看、看寿の詰むや詰まざるやの、
将棋図巧の最後の方の100手以上あるやつ、そうそう117手詰めかなあ。
これをやって一気に強くなった覚えがあります。
当時はパソコンとか情報がなかったから、詰め将棋が修行だったんですね。
私は新潟で、詰め将棋と棋譜並べだけで実戦はほとんどやってなかったんです。
皆さんも是非、解かなくていいんで並べてくれれば、ひとつの芸術ですから。
一週間もずっと考えてそれでも詰むって感覚に入らないのもありました」
藤田女流「私は長くて50数手。ずっと考えて解けないのに、
お風呂入ってるとふっと解けたりする」
将棋図巧と将棋無双は10数手詰めでもすごいらしい。
そして16時くらいから久保九段対稲葉七段の棋譜を大盤で並べることに。
先手の久保九段が角交換四間飛車、の出だしから角道を止める展開でした。
中盤久保九段の飛車と銀桂の二枚替えになり、振り飛車が捌いて悪くなさそうでしたが、
稲葉七段が竜を引いて守り、香車も受けに投入してどうもここから稲葉ペース。
最後は先手の美濃囲いに△3六桂が飛んで来て粘れない形になり、稲葉七段の勝ち。
質問メール
将棋会館の売店は関東と関西で違いはありますか。
将棋会館の売店は関東と関西で違いはありますか。
書籍とか扇子とかは変わらないと思う。
ただ関西は関西棋士のグッズが多いと思う。
関西棋士のサイン本が置いてあったりとかそういったことじゃないですかね。
三段リーグでの藤井先生との対局で、
藤井先生が王手放置をして負けたという話がありますが、
その時の話やその他ありえないような対局の話をお聞かせください。
藤井先生が王手放置をして負けたという話がありますが、
その時の話やその他ありえないような対局の話をお聞かせください。
お互い藤井三段と近藤三段で、藤井三段が20歳、私が19歳でした。
藤井三段が勝勢で、こちらは苦し紛れに王手したんですけれども、
そしたら読みきったつもりで王手してきたんです。
こっちも興奮してたから、王様を取って駒台の上にばしっと置いて、
隣で対局してた人が驚いていました。
その後藤井三段は連戦連勝して、15勝3敗で昇段しました。
他にありえないような対局というと、私と野月七段との対局で、
詰ませても勝ちそうだし、詰ませなくても勝ちだし、と悩んで詰ましに行ったんですね。
それで王手したら、香合いが絶妙手で逆転されてしまいました。
そういうのが勝又教授のネタになるんですよ。こんちゃん何かないとか聞かれるんです。
本家ごきげん中飛車講座をお願いします。最新型を是非。
確かに全盛期はものすごく指されまして、居飛車党の方まで指してました。
ただ超速銀がでてから指されなくなりました。
3七銀に持久戦なら銀には銀をあわせてじっくり指して、
許さない気分なら3二金から5六歩という、菅井さんがやるような指し方がいいです。
それと超急戦もいろんな変化がでてきています。
2局目が19時で遅いというコメントがありましたが、
千日手や持将棋を考えて19時からの予定になっているらしいです。
そして17:10くらいからまた休憩に。
19時からなら会社勤めの人も見れるかもしれない。
18:45に入室し振り駒開始。豊島七段が先手に。
第2曲は豊島七段対稲葉七段。振り駒で豊島七段の先手になりました。
稲葉七段が横歩ではなく一手損角換わりを選択し、豊島七段は棒銀へ突き進みました。
早指しで一直線に棒銀にいくとかアマチュアの将棋みたいで、
プロがやると迫力があります。
その後稲葉七段が棒銀の進軍を受け止めて、豊島七段が一旦穴熊に入り、
稲葉七段は豊島七段の棒銀を追い払いつつ厚みを作る展開になりました。
どちらをもってみたいか
先手・豊島七段34.6%、後手・稲葉七段31.3%、ニャン34.2%。
ほぼ互角。穴熊対厚みは3%差で穴熊が人気か。
豊島七段の▲3四歩に「ぱっと見▲1六角を狙ってるのかな?」
と言ってすらすら並べる近藤六段。
角を捕獲する手順で、そんなぱっと見があってたまるかと思いました。
稲葉七段は角を助けて辛抱する手順に。
ここで対局室の写真が紹介されました。
歴代の永世名人の掛け軸らしい。木村名人、大山名人、中原名人の掛け軸とのこと。
盤上では豊島七段の角と稲葉七段の銀桂香の3枚替えになり、
その後も豊島七段が着々とリードを広げました。
そして聞こえてくる稲葉七段のため息。
ところがため息をつきつつ根性の粘りで、近藤六段が実戦は難解と表現するような混戦に。
稲葉七段「そっかあー、しかし…」
結構ぼやくタイプか。
しかし終盤は豊島七段の穴熊の遠さを生かして形勢を押し戻し、
この涼やかな対局姿に。
ほどなく稲葉七段が投了し、豊島七段の勝ちになりました。
ニコニコ生放送での朝日杯は初めてでしたが、NHK杯よりも手の進みが早く、
時間が無くて読みきれない中での勝負術がとても楽しめました。
糸谷竜王が有利と見られていた局面でしっかり返し技を用意していた豊島七段、
竜引きや香打ちの受けで久保九段の攻めを空中分解させた稲葉七段、
最終局もしっかり返し技を用意していた豊島七段に、
「そっかあー」というため息から不利ながらも違う手をひねり出した稲葉七段。
こう見ると豊島七段は結構黒いのかもしれない。