棋士はカワイイ!

将棋と棋士の魅力を伝えたい!そんなブログです。 なんか難しそう、古くてださそう、そんな印象を吹っ飛ばす!
指すのではなく観戦ならば簡単で面白い!

真田圭一

第73期名人戦七番勝負第3局初日が終わる

羽生善治名人に行方尚史八段が挑む第73期名人戦七番勝負第3局初日は、
行方八段の封じ手で初日が終わりました。

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今日の圧力団体の皆様。
島根県は去年の名人戦第5局の予定だったとのことで、1年越しの名人戦となりました。

安食女流「注目の初手は何でしょうか」
真田七段「先手は角換わりを目指すんじゃないかと思うんですけどねえ。
ただ羽生さんが受けて立つかどうかという問題があるので、
先手が角換わりを目指して、後手が受けて立つか横歩取りにするか、
予測が難しい対局ですね」

行方八段の▲7六歩に羽生名人は何でもこいの△8四歩。
2手進んだところで圧力団体の方々が退室しました。
退室される方々に立会いの井上九段がおじぎをしていたら、何故か羽生名人もおじぎ。
行方八段も「え?そういうものだっけ?」みたいな感じでおじぎ。
羽生名人が去年4連勝したせいで島根での名人戦が流れたので、
お待たせしました的なことかもしれない。

ニコニコ生放送では9時から、解説に真田圭一七段、
聞き手に安食総子女流初段で大盤解説会が始まりました。

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おはようございます。

安食女流「注目のポイントをお願いします」
真田七段「この将棋は大事な将棋ですね、特に行方八段にとっては。
1局目短手数で負けてしまった後の2局目で、後手番で勝ったんですよね。
この将棋を勝つと名人獲得というのが現実味を帯びてくるので。
2局目が相掛かりでちょっと力戦になったんですよね。
すごく行方八段会心の差し回しで、
1局目終わってどうなるんだろうというのを払拭しましたからね。
矢倉をやるならオーソドックスな矢倉だと思います。
ここで矢倉をやると第1、第3局が矢倉となるので、
この先も矢倉の矢倉シリーズになるかもしれないです。
角換わりだと1~3局すべて戦型が違うことになります。
7番勝負の展開が占えるというか、
羽生さんは最近の傾向で2日制の後手で横歩取りをやらないんですよ。
やっぱり時間が長いと横歩取りの後手は薄い将棋なので、
先手の少ないリードを守りきられちゃうというイメージがあるんでしょうか。
1日制の将棋だとよくやるんですけど、2日制だと▲7六歩に△8四歩の方が多いですね」

行方八段は▲2六歩で角換わりがほぼ確定。

真田七段「最近先手の矢倉は不利感があるんですよ、
本当に最前線の話なんですけど。
もちろん将棋はそんなに簡単に良い悪いは無いんですけど、先手に課題があります。
角換わりは先手に相当主導権があるので、使いたくなる戦型なんですね。
角換わりは決まると一気に進むんですよ。
こうなると数十手先までほとんど変化の余地がないんですよね。
近年タイトル戦で角換わりは、あんまり考えることがないんですよね。
矢倉は後手が急戦矢倉にするとか、先手が藤井矢倉にするとかあるんですけど、
角換わりは後手に少しだけ変化の余地があるだけで、
考えてもしょうがない、手数はすごく進みますね。
こうなると午前中でもかなり粛々と進みますね」

リレー質問
先崎九段から真田七段へ
野球はどのチームのファンですか。今年の順位予想をお願いします。
真田七段「野球は今はソフトバンクホークスのファンですね。
まあ南海時代からなんですけどね。安食さんは西武ファンで」
安食女流「はい。ちょっとライバルですね」
真田七段「順位予想は難解すぎますね。
オリックスが最下位で低迷してるのが予想外だったんで、
オリックスだけマークしてたんで、
CSに出ないで消えてくれたらいいなという願望をこめてオリックスを4位に。
安食さんもいるんで西武を2位に。3位がそつのない日本ハム。以下ロッテ楽天。
ただ今年はどこも強いですよ。差が無いんで。オリックスもね」
安食女流「金子選手が復帰すると」
真田七段「戦力が戻ってくるとね」
安食女流「球場も行かれますか?」
真田七段「マリンスタジアムに行きました。すごく人が多かったです」
安食女流「日本ハム強いですよね」
真田七段「選手が抜けても抜けても勝つんですよね」

アンケートパリーグはどのチームが優勝すると思いますか?
西武21.8%、日ハム26.0%、ソフトバンク31.3%、
ロッテ4.3%、楽天8.9%、オリックス7.7%。

真田七段「ほら結構われましたよ」
安食女流「セリーグの順位予想は?」
真田七段「セリーグはちょっと」

アンケートではセリーグは?
DeNA22.1%、巨人27.7%、ヤクルト10.8%、
中日8.1%、阪神14.2%、広島17.0%。
ニコニコではDeNAが人気?まあ今1位ですけど…。

藤田女流から安食女流へ
ゴールデンウィークはどのように過ごされましたか。
また、ニコニコ超会議の感想もお聞かせください。
安食女流「ゴールデンウィークはお誕生日があったので旅行に行って来ました。
1日から行ったんですけど。あとお墓参りも。
いろいろ普段できないことしましたね。今年は結構ゆっくりできました。
どこかいかれましたか真田先生」
真田七段「僕は棋士なのであまり動かないで。
あえてゴールデンウィークには動かないという。
人ごみに突っ込んで行くことはなるべくしないように」
安食女流「お二人とも棋士だと平日に好きなところに行けますね。
超会議行ってきましたけど楽しかったです
今回プロレスのコーナーもあったんですけど、将棋と近かったので結構楽しみました。
私が見たのは仮面女子のプロレスで、歌も歌ってくれて。
ボブサップが見たかったんですけど、
小林幸子さんにやられてしまったらしくて見れなかったのが残念でしたね」
真田七段「なかなかボブサップ見る機会無いですからね」
安食女流「歌ってみたとかも好きなので、
将棋の方を見ちゃうのでなかなか回れなかったんですけど、
人狼は人が多くて見れなくて、テレビ番組で見てました」
※真田七段は奥様が女流棋士なので、
平日に休みが多いのにわざわざ休日に旅行しなくても、ということなのでしょう。

アンケート超会議行きましたか?
二日間行きました!1.1%、一日だけ行きました1.2%、
ニコニコで見てました53.1%、何もかも見逃しました44.6%。
運営轟沈。
安食女流「来年も行こうと思っています。かなり先ですけど」

アンケート角換わりは指しますか?
すすんで指します29.5%、なるべく避けます46.1%、振り飛車党なので…24.3%。
真田七段「意外と多いですね。見ている方は結構玄人筋なんじゃないですか」

棋力アンケート
見る専門26.1%、初心者17.9%、級位者26.2%、初段~三段15.2%、
四段以上2.2%、プロ・奨励会・研修会1.1%、タイトルホルダー11.3%。
真田七段「タイトルホルダー?羽生さんいるから何人もいないですよ?
あ、町内名人とかもありますかね?」

この後真田七段による角換わり棒銀と角を交換しない場合の棒銀の違い、
端歩を受ける場合受けない場合の解説に。

行方八段は駒音高く▲6八玉。
先手の右の金の態度をなかなか決めないという指し方もあるので、
そういうことも考え出すと漫然と何を指してもいいというわけではなくなるので、
少し時間を使う展開になるかもしれないとのこと。

質問メール
棋譜中継を見る限り、真田先生は対局時の食事は肉じゃが定食率が高いです。
ただし最近は肉豆腐定食新手が出て、それからはそちらばかりになりました。
鞍替えした理由は何ですか?
いやよく見ていらっしゃる、詳しいですね。
肉豆腐定食は誰かが食べているのを見てちょっと頼んでみようかなと思って、
肉じゃが定食よりも細かい小鉢がいろいろついています。
肉じゃがも結構食べ応えが合って、肉豆腐の方がさっぱりしていて、
でも量が少ない方がいい時は小鉢があるのでちょっとしんどいです。
頼んだことがないのを頼むということはなかなかありません。
最近だとあまり重過ぎないように、量も中身もということがあるので、
ちょうどいい量でさっぱりしたのがあるといいんですけど。

先日世界コンピュータ将棋選手権がありました。
コンピュータ同士の対局だと、角換わりの戦型では棒銀や早繰り銀が多かったです。
棒銀や早繰り銀が流行ることはありますか。
流行る可能性はあると思います。
今何でやってないかというと、ちょっと単調な戦法なんです。
含みとか幅が広くない、よく言えば単純明快で、対策も立てやすいんですね。
かなりもう優秀な対策が確立されています。
流行るなら例えば広瀬八段が振り飛車穴熊で王位とったような感じだと思います。
彼の振り飛車穴熊は誰も真似しないんですね。細かいところで崩しているので。
振り飛車穴熊だから勝ちやすいのではなくて、
細かいところで差をつける振り飛車穴熊で、見た目だけでは真似できません。
糸谷竜王の一手損角換わりもそうで、真似できないのでブームにはならないんです。
細かいところで工夫しているから。
それで言うと流行るとしたら、細かい工夫で流行ることはありえます。
単なる棒銀早繰り銀ではなく細かい工夫、
高度な段階で流行るということならあります。
振り飛車穴熊も本来は単調な戦法で、それでも勝つためには細かい工夫が必要です。
それを見出す人がいるかどうかですね」

ペア将棋企画がたまにありますが、
真田夫婦がやったらどんな戦型になりますか?また、読み筋のシンクロ率は?
真田七段「戦型は全く予想できないですね。
僕は居飛車党なんですけど奥さんは何でもやる力戦派なんで。
僕は指した手を立てるというか、ふわふわした手は指さないんですけど、
奥さんはぐだぐだした将棋も結構好きです。
僕は攻めようかなと思ってやっぱりやめとこうとかは好まないんですけど、
うちの奥さんは目の前の局面で対応するのが得意なので。
相手に対応していく将棋なのでまったく呼吸が合わないと思います。
すごい将棋になると思いますよ、恐ろしい将棋。
将棋の作りが力戦になっちゃうでしょうね」
安食女流「他の方はどうなんでしょうかねえ。
あまり夫婦ぴったりというのは無いかもしれないですね。見てみたいです」
真田七段「やる方は将棋になるか心配ですけどね」

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真田七段「これは右金がきな臭いですね。
素直に▲5八金とこない事も考えないといけないと思います。
これは5八金意外にも意識がありますよ」

前に真田先生が羽生先生と現代将棋について話している動画を見て、
とても興味深く聞き入ってしまいました。
初期配置と戦いの局面を論理的に埋めたのが羽生先生で、
羽生先生の理論をみんな学んで自分の将棋にしたと聞きました。
しかし毎年のように世代交代を叫ばれながら、まだ羽生先生はトップにいます。
真似できない羽生先生の技術とは何でしょうか。
15分くらい私が、知り合いの方に説明するのを撮らせてもらっていいですかと言われて、
それで話したんですよね。
羽生さんというネーミングが入ってるんでヒットしやすいと思うんですけど。
羽生さんのすごいところは七冠王を取った後ですよね。
周りの技術が上がって羽生さんのみが勝てる訳ではなくなってからも勝っているんですね。
羽生さん発明家なんですよね。技術を発明していく。
周りが吸収したことで大きな差ではなくなったんですけど、
毎回指し手や考え方で新しいものを打ち出してくるんですよね。
将棋が古びないんですよね。
これは凄いことで、
一人の棋士が1回できるかどうかということを毎年やってくるんですよね。
勝負術というよりも技術を開発し続けてるんですよね。
それを25年以上、毎年のように、そこに羽生さんの凄みがありますよね。
勝負師より発明家といった方がいいかもしれませんね。
※多分この動画のことです 羽生さんの凄さを語る真田七段

放送の序盤で、矢倉の▲4六銀に△4五歩と指すのがよくて、
先手が困っているという話でしたが、昔は△4五歩は後手が悪いというのが定跡でした。
自分が定跡だと思っていた範囲内でこんなことが起こることに驚きましたが、
今後も定跡を覆す手がでてくるのでしょうか。
非常に大きな出来事というのは間違いないんですよ。
森下先生が断言したというよりも、みんながそう思っていたんですね。
10年単位でずっと指されなかったので、
その結論が覆ることはないだろうと、我々プロも思っていたんです。
だから非常に大きな出来事で、
それほど思っていても根底から結論が覆ってしまうことが起こるんです。
それだけ将棋が進歩したということですね。
その時代の多くの棋士が持っている感覚があります。
その時は誰も気づかなかった新しい考え方が出てきたということです。
もちろん塚田先生とかが細かい工夫を出したというのもありますが、
違う捉え方をすることによって、プロは感覚でだめと思うことがありますが、
気持ちは別にして冷静に考えたら、実は戦えるという局面があります。
時代がさかのぼるほど、プロは感覚で判断していたんですね。
この形は悪いとか、まとめきれないとか。
やる気はしないけど歯を食いしばってやってみたらどうかと考えると、
思ったより勝負になっているということがあります。
切り捨てた後からもう一歩踏み込んで検証すると、
いろんな形勢判断の精度が上がって進歩しました。
近年は難しい局面でも評価軸が増えて、
最近だと渡辺さんとかの固い玉なら戦えるとか、
銀損しても玉を固めてじっとしてるとか、
昔だったら感覚でダメと言われた事も、今は先を考えるようになりました。

私は五月病にかかっています。何か直すものはあるでしょうか。
真田七段「考えすぎですよ。頭使いすぎだと思います。
何も考えなくてなるものじゃないでしょ。
だいたいそういうときは生活を正すのがいいと思います。
体の方をただしちゃう、メンタル的にきついときは。
考えて悩んでいる時に考えて解決しないんです。
逆に体を整えて、生活を心地よい方に、体が喜ぶ方に変えるといいと思います。
学校とか会社とかまた毎日行くのかーとか、考えてそうなってるので」
安食女流「早起きとかされてますか?」
真田七段「若いときよりは早く起きるようになりましたね。
早起きは年齢なりに大変じゃなくなってきました」
※ニコ生将棋では人生相談も受け付けています?

先日安食様は20数回目のお誕生日おめでとうございます。
ファンの方などからプレゼントはもらいますか?
安食女流「真田先生はいつなんですか?」
真田七段「僕10月なんですけど、くれますよ奥さんが」

などと話していたら行方八段はとうとう▲5八金。

真田七段「最近は▲4八金▲2九飛の形が出てきたんですよ。
ここ1、2ヶ月のすごい最近の話で、ただお互い念頭にあったと思います。
▲4八金は△3九銀とか角とかの傷があるので、
▲2九飛もセットで指さないといけなくて、
仕掛けるまでに1手余計にかかるというデメリットもあります」

安食女流「プレゼントの話なんですけど、ファンの方からはありますか?」
真田七段「そういうこともありますね」
安食女流「誕生日は何をもらいましたか?」
真田七段「誕生日はなくてバレンタインとかはあったんですけど、
男性用のハンドクリームとかもらいました。最初は奥さんに借りてたんですけど。
今は昔に比べていろんなのがでてきましたね。
若い頃は手荒れたりとかはなかったんですけど、
年齢とともにちょっと潤いが(笑。
冬場とか乾燥するじゃないですか。そんな感じで」
安食女流「私はぷーさんが好きなので母親からもらいました。」
真田七段「それはいつくらい?」
安食女流「2、3日前なんですけど(笑。
だんなさんからはブレスレットを、
お守りみたいなのをおそろいというかそんな感じでもらいました」
子供の頃の話だと思って聞いたらまさかの2、3日前だった的な。

盤上の解説に戻って
真田七段「ここで後手の方針が完全に分かります。3択なんですよ。
△3三銀からの待機策、△6五歩で受身に立つ、△7四歩の同型から追従する、
これしか手がありません」

真田七段「行方さんとは僕が12歳で行方さんが11歳の時に初めて会いました。
彼は昔から居飛車党で、典型的な田舎将棋です。
洗練された都会将棋とは違って、筋が悪い汚い手をやるんだけど、
地方から出てきた人特有の根性のある手を指すんですよ」

羽生名人は△7四歩。
先手がいいとされている同型で用意があるのか、
先手に▲6六歩と指させて将来▲6六角と指す手を消したのかとのこと。

行方八段は▲6六歩。
真田七段「先手は同型を指されると、
後手が何かを見つけているという意味なのでどきどきしますよ」
と言ったところで行方八段が席を立ちました。

羽生名人は△7三桂の同型ではなく、△3三銀。

真田七段「羽生さんと初めて会ったのは僕が12歳のときに、
14歳で二段の羽生さんを見ました。オーラが違いましたよ。
とても14歳とは思えない、落ち着き払ってました。
奨励会ってすごい悲壮感と必死さが漂ってる場なんですよ。
8割以上辞めていく世界で、決死の覚悟が伝わってくるんですけど、
羽生さんはおだやかで、勝てないなんて夢にも思ってないみたいな。
悲壮感なんて無いんですよ。
何としてもプロになるみたいなのもなくて、力が抜けていて、
当たり前のように勝ちまくって当たり前のように抜けていきました。
似た雰囲気だったのは森内さんとか佐藤康光さんとかかな。
あんまりがつがつという感じではなかったです」
内藤九段が奨励会の時に加藤九段と対局したときに、
天才とはかくも涼やかなものなのかと思ったそうですが、
凄い人っていうのはみんなそうなんですかね?
加藤九段がどうして闘志全開スタイルに変わったのかも聞きたいですね。

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真田七段「ここで先手に▲1八香、▲9八香、▲6八金右、▲6七金右、
▲2五歩、▲2五桂の6通りの手があります。
どの手を指しても1局で、この両者だと▲6八金右と指した対局があります。
また、羽生さんが先手で後手の郷田さんを相手に▲6七金右と指したこともあります。
▲2五歩は先手不利と言われていたのが最近覆った手です。
注目はここで行方八段がどれくらい持ち時間を使うのかということですね。
本来はここで1時間半や2時間ほど使うタイプなんです。
でもこの対局の勝負を考えた時に、
果たしてそれが有利に働くのか、と考えると早く指すことも考えられます。
また、後手はここで6通りの対策が必要なのに対し、
先手は1通り指せる順があればよいので、
やはり先手がそういう意味でも有利なんですね」

アンケート次の一手
▲2五歩19.0%、▲2五桂18.0%、▲1八香8.8%、▲9八香7.2%、
▲6八金右23.9%、▲6七金右7.4%、その他15.6%。
1番人気は▲6八金右。
真田七段「その他は▲4五歩なのかな?
この形は後手は一番隙の無い形で待っています。
4三金の形だと将来▲4一角という隙があるし、
7三桂の形だと▲7五歩△同歩▲7四歩や▲5一角という隙があります。
なので仕掛けない手を指して、何かいい有効な手待ちはありますか?
と聞くのが多い指し方です」

昼食アンケート
安食女流「何かリクエストありますか?」
真田七段「さっぱり系が」
さっぱりしたうな重、さっぱりしたステーキ、
さっぱりした激辛タンタンメンなどコメントに流れましたが…
さっぱり蕎麦28.4%、さっぱり肉じゃが2.2%、さっぱり肉豆腐6.0%、
さっぱりトンカツ14.8%、さっぱりカレー7.6%、さっぱり寿司9.1%、
さっぱり中華4.0%、さっぱりパスタ7.6%、こっさりラーメン20.2%。

昼食休憩後、行方八段は16分ほどで▲6八金右。
真田七段「若い頃ならもっと使ったと思うんですよ。
予定してる手と違う候補もたくさんありますから。実戦的な指し方ですよね」
羽生名人は長考。ここから先は長考合戦か。

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昼食アンケートの答えはほそ島や

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安食女流はちからうどん

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真田七段はとりなんせいろ
普通のメニューにはのってないやつらしい。

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安食女流「さっぱり系ですね?」

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対局者はなんかすごいそばっぷりである。

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披露宴のような前夜祭。

詰め将棋の答え合わせの後初手から解説に。

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羽生名人は長考中。△2四銀が有力とのこと。
14:51に羽生名人は△2四銀。

そしておやつタイムに。

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真田七段「羽生さんのところに置いてあるのがうまい棒に見える」

ニコ生のおやつは


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安食女流「チーズケーキですね」
雪見大福のアイスじゃない版みたいな味らしい。

おやつ休憩明け、まだ指さない行方八段。

質問メール
プロ棋士のファッションに関する質問です。
羽生世代と言われる方々から前の方々は、ファッションセンスが悪いと思います。
今の若手の棋士の方々はこざっぱりしてると思います。
奨励会幹事をされていた真田七段から見て、いいセンスの棋士は誰ですか。
それはね、変わり身ははっきりしてます。島先生ですよ。
島先生がでて決定的に変わりました。
その前の時代は時代背景が違って、映像が見られるということがなかったので。
プロ棋士にとって最高の憧れの衣装は着物なんですよ。
その手前のスーツとか私服とかは意識が行かない時代だったんです。
竜王戦が創設されて島さんが初代竜王になって、それですごく触発されました。
当時僕は高校生で制服を着てましたが、これからはおしゃれをした方がいい、
という影響を受けました。
僕の世代でもセンス良い悪いというより、
よれよれのシャツみたいな無頓着な人はいました。
今はそっちで個性を発揮する人はいないですね。
だからまあいい事だと思うんですけど、
今はニコ生もありますし最低限顔写真は見られますから。

安食先生といえばカツ、加藤先生はうなぎ、森内先生はカレーなど、
棋士の先生はお昼の定番となっている食事があります。
真田先生は対局時の食事は決めてますか。
まあ決まりきってるということはしてないんですけど、
2つ3つの選択肢は用意しています。
ただ言われてみると同じ選択肢が続いてたりします。
やっぱり安心感があるんですよね。
メニューを変えるのはそれだけリスクがあるんです。
麺類なら2つ3つ、定食でも2つ3つ候補がありますが、
言われてみると肉豆腐定食が続いたりしています。

プロの将棋では妙手、好手、指されてみればなるほど、
といった表現の手がありますが、
棋士として嬉しいのは指されてみればなるほどなのでしょうか。
そうですねえ。自分の指し手が評価されると嬉しいかということですよね。
まあ我々プロは結構ぱっと見てこうやるだろうという直感力が優れていて、
そんなに外れることはないんですよ。
ぱっと見える手じゃなくて、よくよく考えたらその手がいい手なんだ、
という読みの入った手、第一感じゃない手が良い手です。
逆説的ですけどぱっと見で浮かばない手が良い手ですね。
そういう手は中盤の終わりから終盤に多いんですよ。
局面がごちゃごちゃとしてきて、やっぱり羽生さんとかそういう手が多いんですよね。
第1局の△5三金寄みたいな玉から金が離れていく手とかね。
相手の行方さんもあの手が意表を突かれたって言ってましたね。
ある程度駒がぶつかった先にでてくるそういう手ですね。

攻めが重い、軽い、細いという表現が、初心者の自分には理解できません。
これはそうですね、どちらかというと実例を交えてやった方がやりやすいかなと。

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軽い攻めはあんまり戦力が集中してない、戦力不足気味。

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褒め言葉で使われる軽快な攻めというのもあって、
戦力が少ないけど手にしちゃうみたいな。
いずれにしても攻め駒はそんなに多くない事を言います。

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重い攻めは駒が重複することです。

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これは角の通りが悪くて重い形です。

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持ち駒の銀を3五にごつん打っていくみたいな。
成功する場合は重厚な攻めとか言われます。

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細い攻めは戦力が足りないことを言います。
ただ現代将棋は王様が固くて攻め駒が少ないけれど繋がっている、
というのが良いとされています。

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そして誰もいなくなった。

質問メール
真田先生はニコ生で解説した王座戦の矢倉の将棋を、
数日後に太平五段相手に指していました。その時の心境は?
多分矢倉のわりと行くとこまで行っちゃうやつで、
あの将棋どっちを持っても面白いかなというのがあって、
難解な終盤になるならそれも面白いかなと思って指しました。
僕がもう少しいろんな手の自由が効くかなと思ってたら案外そうでもなくて、
負かされてしまった。
その場でも好きなほうを選べると思ってたんですけど、
やってみたら選択肢が少なくて、
奥が深い変化があるかなと思っていたんですけど。

ティロフォン久保九段から
久保九段「こんにちは」
安食女流「今回は副立会いで」
久保九段「さきほど大盤解説をやってきましたけど、すごく盛況でした。
前夜祭からもすごく大勢の方がこられて、凄く熱い県です」
安食女流「お二人の様子はいかがでしょうか」
久保九段「もう3局目ということもありまして、結構リラックスしている様子です」
安食女流「すごい人数の前夜祭だったんですね」
久保九段「対局者は途中で中座するんですけど、
その後も最後までたくさんの方がいらしてました」
安食女流「地元のファンの方も参加されてたんですか?」
久保九段「遠くから来られる方もいて、今日も九州からこられた方もいました。
将棋ファンの方に写真をずーっと撮っていただいてました」
真田七段「現局面はどうですか」
久保九段「まだ公式戦でも指されている形で解説も大変ですよね。
手の解説はほとんどできなかったです。
どこかで行方さんの工夫が見られるのかなと思います。
私は振り飛車の予想をしてたんですけど外れました」
真田七段「これから先には振り飛車も出るかもしれないですね」
安食女流「振り飛車だったらどの振り飛車が見たいですか」
久保九段「振り飛車だったら何でもいいです。
解説するときもテンションが違ってきます」
安食女流「島根では何かおいしいものは召し上がられましたか」
久保九段「魚はやっぱりおいしいです。
あと、私はいただけなかったですけどお蕎麦も有名です」
真田七段「羽生さんのお盆に載ってるカラフルなのは何ですか」
久保九段「コーヒーを頼んだらクリープがいっぱい来た、
という情報は来ましたけどそれじゃないんですよね」
安食女流「そうですね謎ですね」
真田七段「もし何か正体が分かったら教えてください」

安食女流「ということでうまい棒の謎は解けなかったですけど」

盤上の解説に戻って、
真田七段「もう封じ手時刻をお互い意識して、
指したい手をなるべく相手に見せたくないという駆け引きがありますね。
どこに用意しているのかも分からないようにしたいですね。
目の前の局面まで行っちゃうとここだってばれちゃうので、
少し前の局面で封じ手にしたいんですよね。
ただお互いがそう思っているという。
今の局面は行方さんが角換わりに誘導して羽生さんがそれに乗った局面なんです。
片方が誘導している順に相手が素直に乗ってくる、これが怖いんですよ。
プロの場合は誘導してこれで勝てるとは思わないんですよね。
前例ではない用意の手、これをどこに設定しているのか」

羽生名人は前例通り△5九角。

そして解説中に羽生名人と山村英樹さんの間で何かやりとり。
BS放送の時間の確認やおやつの要望など憶測が飛びました。

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真田七段「ここはちょっと自由度があるかもしれない」※後手番

現地から貴重な情報。謎のうまい棒の正体が今明らかに。

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おやつ盛りすぎじゃないですかね…。庶民派の羽生名人。
真田七段「なかなか見ないですよ」
そして羽生名人にお茶が届きました。先ほどの会話の正体はこれかも。

羽生名人は前例通り△4四銀。用意の新手はどちらが先に出すのか。
休憩中に数手進み、羽生名人が△4七歩と歩を垂らしたところで解説再開。

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真田七段「これは先手の攻めを焦らせた手です。
▲4八銀を打たせないということと、いざとなれば△4八歩成もできて、
先手にどうやって攻めるのか、または△4八歩成を受けるのか、
相手に手を渡して今後の将棋の方向性を聞いた手です」
行方八段は席を立ちました。

アンケートどちらを持ってみたいか
後手:羽生名人31.5%、先手:行方八段26.9%、ニャンとも言えない41.6%。
羽生補正込みでこれなら行方八段がうまく指しているか。
真田七段は行方八段から▲3五歩や▲5八金、▲7二銀といった有力な手があり、
少しよくなりそうなのでここは考えたいとのこと。

安食女流「真田先生はどちらを持ってみたいですか」
真田七段「持ってみたいのは先手なんですけど、
実戦で持つことが多いのは後手なんですよね。
羽生さんの方としてはいかに倒れないか、行方さんの方はいかに良くするか、
という戦いになりつつあります」

封じ手予想アンケート
▲5八金31.9%、▲4六歩30.9%、▲3五歩11.1%、▲7四角成8.9%、その他17.2%。

▲5八金が普通に見える手。▲4六歩は▲5八金よりもいい手かもしれない。
▲3五歩は筋のいい手だけど後手も頑張り甲斐がありそう。
お勧めは▲5八金か▲4六歩で、それ以外の手は悪くなる可能性もある、とのこと。

真田七段「封じ手でわずかながら先手がリードを奪えそうなので、
ここからリードを保って勝ちきるのが行方さんのやりたい展開でしょうね。
羽生さんは勝負術で泥試合に持ち込めるか、
明日は朝から緊迫した展開になると思います」

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圧力団体の皆様。副立会人の豊島七段の姿も。
真田七段「これから棋聖戦で羽生さんと戦うでしょ?
格好の偵察みたいなね、最高の勉強ですよね」
※豊島七段は棋聖戦挑戦者決定戦で佐藤天彦八段を破り、
6月2日から羽生棋聖とのタイトル戦となります。

行方八段は18:34に封じ手の意思表示をして1日目が終わりました。

安食女流「今日1日いかがでしたか」
真田七段「久々に2日制らしいペースの将棋を見られて、
どこで封じ手になるのかという駆け引きがあって、
あまり進みすぎることがないという、従来の2日制の将棋でした。
居飛車党同士で行方さんが主導権握りやすい角換わりに誘導して、
それに羽生さんが素直に応じたことで角換わりになりました。
展開としては面白いんじゃないですか?
1勝1敗で挑戦者が先手で主導権を握っている、
非常に面白い内容になってると思います。
明日は居飛車党の理想、先手が少しリードを奪ってそのまま押し切る、
これを実現できるかどうか。
羽生さんは怪力でわかりやすい展開を阻止して、
羽生さんに底力を出させる、怪しい手を狙ってくる展開とも言えます」

ということで1日目が終わりました。
真田七段と安食女流は相性がいいっぽい気がします。
真田七段は最初は羽生愛を隠していましたが、
時間がたつに連れてどんどん溢れてきたのも面白かったです。
盤上は角換わりということで、先手が少し良さそうな展開ですが、
羽生名人の羽生マジックが出るのか注目です。

明日のニコニコ生放送では9時から、
解説に中村太地六段、聞き手に井道千尋女流初段で大盤解説会が始まります。
羽生名人と2度タイトル戦を経験した中村六段がどんな解説をするのか注目です。

王座戦第1局は羽生善治王座が豊島将之七段を下す

羽生善治王座に豊島将之七段が挑む第62期王座戦第1局は、
振り駒で先手になった羽生王座が豊島七段を破り先勝しました。

対局開始とニコニコ生放送の開始時間が9時、大盤解説が13時からでしたが、
午前中から異様な対局になりました。
両者とてつもないハイペースで指し続け、
11時くらいの段階では日曜日のNHK杯の11時くらいの局面になっていて、
結局午前中だけで89手も進む異様なペースで対局が進みました。
89手目に羽生王座から新手を放ち、そこで豊島七段が考えて昼食休憩になりました。

ニコニコ生放送では13時から解説が真田圭一七段、
聞き手が藤田綾女流初段で大盤解説がスタートしました。
真田七段曰く、豊島七段はタイトル戦が2回目だが、
最初のタイトル戦は振り飛車党の久保九段だったので、
前回とは違った楽しみのあるタイトル戦なのではとのこと。
初手から解説になりましたが、
最初に後手の豊島七段に急戦矢倉にするか持久戦にするかの選択肢があって持久戦、
次に羽生王座にどんな攻撃陣形をとるのかという選択肢があって、
▲4六銀▲3七桂戦法を選択しました。
真田七段「もうちょっと気の利いた名前がないかな、符号を言ってるだけだから」
現局面まで進んでからは、
ちょっとした手順の前後でその後の展開が大幅に変わってしまう、
という変化をじゃんじゃん解説していました。
羽生王座から手を変えましたが豊島七段も当然研究済みのはずと真田七段。
90手目の局面での視聴者アンケートは、
羽生王座24.6%、豊島七段36.4%、ニャンとも言えない39.0%と、
羽生補正を物ともしない豊島補正が見られました。電王戦パワーなのか。
真田七段は後手で相手に動いてくださいというタイプだそうです。

質問メール
棋風という言葉を耳にするが、自分の棋風を動物に例えると何ですか?
真田七段
自分から手を出さないので動物で言うと何になるのかな。
多少パンチを入れられても倒れないぞという感じの動物だと何かなあ。
打たれても倒れない系の。何だろう。
藤田女流
私は攻めるのが好きなので、一撃を入れる系は何ですかね。
サニキ
ライオン?ライオンは2分くらいしか追いかけられないらしいよ。
攻め好きと言うのは基本ライオン系じゃないかな。

加藤一二三九段がうな重ではなくエビフライ定食を頼んだが、
その時の対局相手は真田七段だった。何かありましたか。
真田七段
何を頼んだのかはまったく気づかなかった。
自分が対局じゃない方が僕も注目していたと思う。
ただし感想戦では加藤先生は上機嫌だった。
先生はすごく一生懸命な時とやだという時とムラがある。
僕は相手の戦法を受けて立つところがあるので、
加藤先生は感想戦を結構一生懸命やってくれる。
横歩取りとかは多分感想戦やってくれない。

ここで羽生王座が飛車を取り、真田七段
「切りあって終わりという局面から遠ざかった。
中盤の終わりから終盤の入り口あたりに戻った感じ」

リラックス方法は何ですか。
だいたい対局2日3日前くらいからパターンがある。
理想はマッサージとかサウナとかに入っておきたいが、僕は映画を見る感じ。
大阪の対局だと前日に大阪入りして映画を見るときもある。
最近はルーシーも見た。
そこでコメントに藤田女流はホラーが好きと書かれ、
昔バタリアンとか、あとゾンビ系も見る。
藤田女流はゾンビ系にすごいはしゃいでいました。多分大好きなはず。
最近はムカデ人間を見たらしい。

勝負飯というのはあるか。
昼麺類で夜ご飯ものと決まっている。
持ち時間に合わせて、長いときは前の日の夜にもしっかり食べる。
3時間以下ならそこまでじゃないような。重め軽めという基準で考える。

ここで福崎九段からティロフォン。
藤田女流「先ほど検分の写真で」
福崎九段「ちゃんと仕事してるでしょー?」
研究の将棋なのでほんとにお互い真っ向勝負。
ホテルは関西の棋士、女流棋士もたくさん来ている。
途中で寝てしまうほど熱心にやってる。
将棋連盟からも近いし今の若手は熱心な方が多いから頼もしい。
昔は一人でやってたから我々も楽しい時代になりましたね。
奨励会のこも来てるし女流もきてるし香川王将もきてるしそうそうたるメンバー。
お二方真面目に楽しく頑張ってください。

福崎九段はコメントでも面白いと絶賛でした。
言い方も面白いんですがなかなか文章では書けないっす。

今の将棋界はたくさんの親子、夫婦がいますが、
一緒に解説しているのはみたことありません。
真田先生が夫婦で解説しないのはなぜですか。
だめってことはまったくない。やったこともある。女流名人戦とかやった。
子供が産まれてまだ小さいので、夫婦で空けるのは難しいから今は夫婦でやってない。
及川くんと上田さんも今度やるし、嫌ってことはないと思う。
子供が大きくなったら、今までも解説してたのであると思う。

その後の解説ではもう止まらない真田七段。
ずーっと大盤を使って駒と口と頭を動かしまくってました。

後手玉が安定したので、駒の配置の意味を切り替えて、
局面を切り替えてみるための時間がいる。
先手が攻めるにしても、
後手玉に駒を近づけていくのか、飛車を攻めつつ遠巻きに行くのか、
全体のバランスを捉えてどの迫り方が有効なのか手を選ばないといけない。
後手が一番激しく攻め合いに来た時の速度とかも見ないと。
なのでここからは指し手がスローペースになる。
羽生さんの場合は、
相手がねじりあいになったときどういう手を好むのかというのを見てくるので、
第2局以降に影響がある。
初戦は豊島さんは勝っておきたい。
豊島さんは勝っても油断してはいけない。
3局目4局目あたりになると羽生さんはまったく別人みたいになる。
相手の癖をつかんでしまうから。
後になればなるほど相手の傾向を掴んで、将棋の内容もどんどんよくなる。
昔大山先生もそうだったらしく、番勝負で1局目は負けるがその後4連勝ということがある。
もう分かったとばかりに5局目とかになると圧勝するのがパターンだった。
番勝負の最初にリードしておくに越したことはなく、ここからの内容は非常に重要。

どちらが優勢かアンケート
羽生王座39.6%、豊島七段25.4%、ニャンとも34.9%。
羽生王座が攻めっぱなしの豊島七段が受けっぱなしなので、
豊島補正が消えてしまったのかもしれない。

この後は真田七段の、時には羽生研究家かとも思えるような解説で独壇場でした。
真田七段
羽生さんが今タイトル戦真っ最中の王位戦の2日制と、
王座戦の1日で5時間の対局は相当違うので、羽生さんの将棋の作りも変わる。
名人戦では封印していた横歩取りを棋聖戦では解禁するなど、
持ち時間によって戦型から変えてくる。
長考する豊島七段についても、
この局面は残り時間が1時間あれば乗り切れるくらいなので、
何時間使ってもここで主導権を握れるかどうかが問題と解説。

豊島七段は15:47分くらいにようやくおやつを食べ始める。
真田七段「しばらく指す気ないぞってことですね」

その後段位の免状の話に。
谷川十七世名人、森内十八世名人、
羽生十九世名人の名前が並んだ豪華な免状になっているのでぜひとのこと。
真田七段がプロ棋士の免許状(アマは免状)をご開帳。
名前が将棋連盟会長のだけというのが違うみたい。
和服で木の盤というのは、
江戸時代からやってきたことを伝統で守り続けているという意味がある。
免状も同じく江戸時代の名人が発行したものなので、
和紙を使って手書きでやって伝統文化を形にしているという意味がある。

ここで次の一手アンケート。
真田七段によると、受けの手は一長一短があり、
純粋にプラスだけという手を見つけにくい状況で、
展開によってはマイナスになってしまうとのこと。
攻める手は意味がはっきりしているので、
勝てるかはどうかは分からないがプラスではある。
と解説している間に豊島七段は△9六歩と端から攻め合い。
真田七段「これは第一感で浮かぶ手ではなく、
良くも悪くも羽生王座の▲4一飛と豊島七段の△9六歩の2手は両者の個性がでた」
その後の検討で
「△5九銀不成では勝てないから消去法で出た手なのかもしれない。
先の先まで読んでこの手でいいということであれば、それはものすごい読みの質と量」
また、この手は理論じゃないので羽生さんもそんなに考えないですよと言い、
その通り羽生さんはさほど考えずに▲同歩。
豊島七段もさほど考えずに△5九銀不成。
端歩は終盤に向けて、先手玉が詰む変化をたくさん仕込んだということらしい。
羽生さんが切り合いにいくと見せて、
局面を落ち着かせるみたいな展開になれば羽生さんが優勢、
切り合いならもうどっちかが倒れているという形勢判断になる。
先手の6六の桂馬がいなくなって、先手玉がそちらに逃げる展開になれば羽生さんがいい。
真田七段は羽生王座が切り合わない展開にして優勢になるのではという見解。
ただし豊島七段は明確に切りに行った。きちんと受ける気はさらさらない。
1歩渡すと、その歩がと金になるので歩でも渡すのは大きい。
豊島七段は過激に行ったので、
羽生さんはお互いの詰む詰まないをはっきり読まなければならなくなった。

ここで羽生王座は66の桂馬をどかしつつ飛車取りに当てる▲7四桂。
サニキは羽生研究家なのか。
▲7四桂はすぐに指されたので、この早さは気になる、
他のたくさんの手をどういう理由でこんな短時間で切り捨てたのだろうとのこと。
豊島七段がどこに飛車を逃げるか、9筋だと攻めに使うことになるし、
3筋は守りに使うことになるが、
どちらにしてもそんなに短時間で読みきれるわけではないので、
時間があるのにあっさり指したのが不気味。羽生王座の自信を感じるとのこと。
ここで席を外す豊島七段。流石に意外な手だったか。
真田七段
「手が広い局面からの、
▲4一飛から▲7四桂という関連性がなさそうな手順を描けるのは才能」

豊島七段は長考の末攻撃的な▲9二飛を選択。

羽生王座の▲4一飛から▲7四桂は読みに無い手だったはずなので、
豊島七段が細い正解の糸を手繰り寄せなければいけない正念場。
未知の局面になってからバランスを崩さないというのが将棋の強さ。
羽生王座は豊島七段の研究にバランスを崩さずについていっている。

豊島七段が残り1時間を切ったところで夕食休憩に。

休憩明けに豊島七段は切り合いを挑む△6六歩。
しばらく手の解説をした後に真田七段
「自信もってやればすごい手ですよこれは」
羽生王座の攻めを呼び込んで勝とうという手で、
針の穴ほどの漏れもあってはならないとのこと。

ここでティロフォン。香川女流王将から。
朝から検討とタイトル戦の空気を勉強しにきたとのこと。
谷川会長、淡路九段を始めたくさんの棋士が検討しているらしい。
若手は△7一歩が有力ではないかと思っていてその先を検討していた。
控え室は先手持ち。

ここで夕食の話題に。
真田七段曰く対局中の食べ物は本当に味がわからないらしい。

さらに解説を進めると、
△6六歩は切り合いの他に後手玉の入玉を助ける意味もあることが判明。
しかしその後検討を進めると、重要な局面で先手玉が詰まないことが分かり、
豊島七段は自信があるのではなくて修正案、頑張りに行った手と真田七段。
豊島七段が中盤に指した△9六歩と▲同歩が入っているせいで、
先手玉が打ち歩詰めの順に逃れることが分かり、
△9六歩の後に豊島七段に予定変更があったのではとのこと。
この後はっきりと羽生王座に形勢が傾きました。
真田七段
「先手に一手余裕があって、相手の王様を寄せればいいというのは、
将棋をやってて一番楽しい時。
だいぶ羽生さんの顔に余裕が出てきた。将棋やってて一番楽しい時間だから。
後手も一手間違えたらわかりませんよという体勢だが、相手に楽しまれちゃうんですよ。
今日1日頑張った甲斐があったなあという時間帯」

羽生さんが席を外しして真田七段
「測ったように自分が勝ちになった時に席を立つのが羽生流、って藤井さんが言ってた。
棋士は自分は癖がないと思っているものなので、羽生さんも気づいていないと思う。
将棋はお互い苦しいという局面があるので、
苦しいと相手に悟られると相手に勇気を与えてしまうから、
苦しい思っていることは悟られないようにしないといけない。
優勢の場合は悟られても関係ない。最善手を指し続ければいいから」

まとめに入る真田七段
「実戦心理や勝負のあやというのが良く出た将棋で、今後も同じ局面が出てくると思う。
羽生さんはどこまで行っても局面のバランスを保っていることが多い。
この対局もこの一手で豊島さんを倒したと言うよりは、
上手くついていって結果端歩を逆用したような形になって勝つことになった。
豊島さんも伸び代をものすごく感じる。
読みの絶対量が豊富で、今日も自分から動いて倒れてしまっただけなので、
この辺のバランスが取れるようになったら羽生さんにとっても相当難敵になるはず。
大きな対局ばかりが続くと、体力はきついが頭は冴えてきて、
そういう状態にならないと入らないスイッチが入るんだ、って中原先生が言ってた」

豊島七段は何と角のただ捨てに。
投了図を美しくということではなく、若手らしく泥臭く、
少しでも勝てる可能性のある手を指そう、
自分から負ける手は指したくない、という意図なのではとのこと。

そしてここでも席を外す羽生王座。羽生流ですな。
真田七段「こういうのは戻ってきて比較的すっと指しますよ」
羽生王座は戻ってきたら予言通りにすっと▲3三金。
羽生研究家もここまでくると凄すぎます。
豊島七段は周囲をきょろきょろしたりぼーっとしたり水を飲んだり、
盤上没頭ではなく心の整理の時間帯に。
10分くらいの残念棒の後に豊島七段の投了となりました。

真田七段
「本当に密度の濃い将棋。
研究局面から羽生さんが新手を出して、
この一局でこの局面の奥の深さを感じさせてくれる、
またプロの対局にも出てくる予感を感じさせる将棋だった。
次は豊島七段の先手なので矢倉か角換わり、
豊島さんが角換わりを目指して羽生さんが受けて立つ展開になると予想します」

今日は最後まで真田七段が解説しっぱなしで、
とても将棋の勉強になった気がする1日でした。
女流棋士ですと伊奈川愛菓女流初段の羽生ファンっぷりが有名ですが、
男性棋士筆頭は真田七段かもしれません。
この二人で羽生さんのタイトル戦の解説をするとどうなるんだろう、
という怖いもの見たさも出ました。
指し手やら癖やら席を立つタイミングやら、おやつのメニューや食べるタイミングなど、
いろいろな羽生さんの行動を予言、的中しまくる狂気解説になるのかもしれない。

今日の将棋は関西の若手棋士の間で研究されていた局面になったようで、
現地に行っていた大石直嗣六段が豊島七段との研究会で経験したことがあるそうです。
当然後手良しという結論だったから豊島七段がぶつけたわけで、
それを羽生王座が跳ね返したという格好になります。
羽生さんは将棋の強さを、
未知の局面で最善に近い手を指し続けることができる力と表現していますが、
真田七段の、羽生王座は豊島七段の研究にバランスを崩さずについていっている、
という言葉もそれを感じさせてくれるものでした。
羽生王座は今年度に入ってから、タイトル戦に出ずっぱりなのに勝率1位、
という意味不明な強さを見せています。

493
これが山崎八段が言った、勝ったくせに怒っているというやつなんだろうか。
写真は王座戦中継Blogより

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羽生さんの凄さを語る真田七段

真田七段講演【将棋と人生の魅力&羽生名人の凄さ】


サニキこと真田圭一七段が、羽生さんの凄さを語る動画です。
最初に真田七段が説明している局面は振り飛車対居飛車穴熊の局面です。
羽生さんが15歳くらいの頃には、
お互いがベストポジションに駒組する理論はできていたとのことですが、
羽生さんの登場によってさらに理論が進み、
居飛車穴熊側が駒組が出来た段階で、
10回戦えば8回9回勝つということが解析されたと述べています。
そうなると羽生さんが15歳くらいの頃の、
お互いがベストポジションに駒組する理論はもう無意味なことになりますから、
羽生世代の藤井猛九段の藤井システム、近藤正和六段のゴキゲン中飛車といったように、
振り飛車側が新たな理論を創ることになりました。
次に真田七段が並べる横歩取りも、
やはり羽生世代の中座真七段が△8五飛戦法という新たな理論を創りました。
私が面白いと思ったのは、
一人の棋士が羽生さんの手を理解するのに一生懸命考えたことが、
今は理論が言語化されて教科書的になり、
小学生でも読んで理解すればいいというところまで落とし込まれているという話です。
羽生さんより若い世代は整備された理論を学ぶことが出来るため、
理論が言語化された環境では合理的な考え方をする渡辺明二冠が初代永世竜王になり、
四間飛車穴熊という独自路線で王位を獲得した広瀬章人八段が、
タイトル失冠後に矢倉や角換わりの将棋を指して理論を学びなおし、
今年A級に昇級したというのも面白い流れです。

藤井九段の藤井システム、近藤六段のゴキゲン中飛車、中座七段の△8五飛戦法は、
将棋が強くて棋士になった人が、
それまで自分を強くしてくれた理論を捨てて創った理論です。
羽生さんも例えば以前紹介した東京大学で羽生さんが講演した動画の中で、
横歩三年の患い、振り飛車には角交換、手損は避けよ、5筋の位は天王山、
という格言を紹介したうえで、
でもこれは今はそうではないんですよということを述べています。
現在の将棋の教科書を作るとしたら絶対入らないであろう格言を、
参考書を読みまくったであろう東大生を相手にわざわざ言うくらいですから、
それまでの価値観とか権威とか、
そういったものを壊して新しい価値観を発見するのが本当に好きな人なんだなと思います。
歴史は繰り返すといいますが、
羽生世代の理論も覆ることになるんですかねえ。

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