棋士はカワイイ!

将棋と棋士の魅力を伝えたい!そんなブログです。 なんか難しそう、古くてださそう、そんな印象を吹っ飛ばす!
指すのではなく観戦ならば簡単で面白い!

将棋

名人戦第2局は挑戦者の行方八段が圧勝!

羽生善治名人に行方尚史八段が挑む第73期名人戦七番勝負第2局は、
行方八段が羽生名人を破り1勝1敗としました。

ニコニコ生放送では解説に先崎学九段、
聞き手に藤田綾女流初段で大盤解説会が始まりました。

藤田女流「昨日は進まなかったですね」
先崎九段「昨日は無かったも同然ですね。今日1日の対局。
昨日私も携帯で見てて不思議でした。何考えてるのかねえ。歴史的に遅い進行ですね」

羽生名人の封じ手は▲3六飛でした。

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おはようございます。

藤田女流「ここまでの消費時間が羽生名人4時間20分、
行方八段3時間52分となっております」
先崎九段「お互いに使う分にはね、自分だけ使うのはあれだけど。
マラソンで言うと最後のラストスパート勝負を、
お互いが目指してやってるんでしょうね」

角交換後に△2八角と指すと激しい変化になるとのこと。
△2八角って最近話題になりましたな。
行方八段は羽生名人の封じ手を見て席を立ちました。

リレー質問
中村九段から先崎九段へ
参考にしたいので夫婦円満の秘訣を教えてください。
先崎九段「はい?どちらが円満なんでしょうか。
あんま喧嘩しないことでしょうか。それができたら苦労しないねははは。
僕は気が短いんですけど熱しやすく冷めやすいので直ぐ反省するんです」
藤田女流「奥様と囲碁はされるんですか?」
先崎九段「私囲碁はちょこちょこ打つんですけど教えてくれないんです」
藤田女流「コメントで喧嘩をしない方法を教えてくださいと流れました」
先崎九段「それが分かれば苦労しないハハハ。
あまり真面目に考えないことですよね」
藤田女流「どっちから謝りますかとコメントきました」
先崎九段「それはうちの夫婦の場合は僕が謝る。
僕は早いんですよ、すぐに怒って、向こうが怒った時には謝ってる。
だいたいね、喧嘩はつまんないことでしますから、早めに」
終盤にいかないうちに謝るのが秘訣とコメントが流れて、
先崎九段「そうそう寄せ合いにいかないようにね。うまいこというね」

鈴木女流から藤田女流へ
藤田さんは小さい頃から行方八段にあこがれていたと聞いています。
行方八段にあこがれたきっかけや、聞き手の秘訣を教えてください。
藤田女流「子供の頃に指導対局をお願いしたことがありまして、
それであこがれるようになりました。
小さい頃に師匠を頼んだことがありまして、
行方先生20代前半でまだ若いということで、
今の師匠の西村九段を紹介していただいたという経緯があります。
名人挑戦でメールをさせていただいたら、
中継で担当することがあると思うから洗いざらい言っていいよと言われまして、
何を言えばいいのか」
先崎九段「そういうこと言うってことは何か言いたいことがあるんだよね?
藤田さんがそういう振りをするというんだから。どんなねたがあるの?」
藤田女流「言って大丈夫かな。
以前名人戦で弘前対局があって、お仕事ご一緒させて頂いた時に、
部屋が隣だったんです」
先崎九段「隣で(ニコッ」
藤田女流「そんな変な話じゃないですよ。
多分行方先生酔っ払っていらっしゃって、
夜中にドアからかちゃかちゃカード差してる音が聞こえたんです。
酔っ払っていらっしゃらないときから部屋の番号間違えていたので、
怖い出来事がありました。
翌日行方先生お部屋を間違えてましたねって言ったら、覚えてなかったです」
先崎九段「まあそういうことにしておきましょうか」
藤田女流「言って大丈夫でしたかね?」
先崎九段「僕は大丈夫ですよハハハ。
だいたいがちゃがちゃされたら怖いじゃん男でも怖いもん」
藤田女流「戸締りはしっかりしてたので大丈夫です。
あと聞き手のコツは教えて欲しいですということですけど、
先生どういう聞き手がいいですか参考までに」
先崎九段「藤田さんが一番いいです」
コメントで元気さが一番と流れて
先崎九段「とりあえず明るくしておけばね。
これ番組終わった時にやるでしょ?リレー質問って。疲れてる時にやるんだよね。
疲れてる感がありありと感じる時あるよね。
夫婦円満の秘訣とかいかにも疲れてる(笑」

行方八段は△3三金と角交換を避けました。

先崎九段「指したよ指した、穏やかな手なんだ。前に▲5八玉って上がったでしょ?
これが▲6八玉だと△3三金は指しにくいんです。
ここは先手がいろいろ指し方があって困っちゃうなという。
ひねり飛車にすると一度▲5八玉と指してるのに▲4八玉にするので一手損なんだけど、
▲7五歩で銀を追えるのがセールスポイントです。
銀を▲2七銀と上がるのもあります。どうするんでしょうね。
角から歩は気持ちいいじゃないですか、銀を追うことができるから。
とりあえず保留するって考え方もありますよね▲9五歩で。
でも角か銀をどっちか指したいですね、わかんないけど。
大まかに言うと左側でひねり飛車にするか右側で居飛車にするか」

アンケート次の一手
▲9七角36.1%、▲2七銀20.8%、その他43.1%。
先崎九段「みなさんさすが次の一手慣れしてらっしゃる」
藤田女流「解説会だと結構その他が当たるんですよね」
先崎九段「いかに解説者が真面目に考えて無いかがばれるという」

行方八段は別行動で新宿からバスで5時間かけて対局場に行ったらしい。
相手と一緒は嫌ってことなのかな?

初手から解説の最中に羽生名人は▲9七角。

先崎九段「ひねり飛車というのは私や羽生さんが修行時代、
奨励会時代にすごく多くて、
その後何故か指されなくなったんですけどなかなかいい戦法なんですよね。
羽生さんも経験値が高いと思います。
まあ行方さんももちろん指したことがあるんでしょうけどね。
昔は多かったですねひねり飛車という戦法が。
数ある戦法の中でも多い部類だったんですけど」

質問メール
先日村山聖九段がテレビで特集されていました。
亡くなる直前に先崎先生に実戦集の執筆を依頼したことや、
亡くなられたときに寄せた先崎先生の文章も放送されました。
まだ発表されてないものがあれば教えてください。
先崎九段「村山さんねえ。面白い人で。
体が弱くて、でも体力がないかというと不思議で朝まで麻雀ができる、
でも階段が登れないんです。
階段登るって体がしんどい人にはものすごいきついことなんだって思いました。
びっくりするんですよ、すごい元気でいる人が階段登れない。
対局してる時は、体がつらいときとかはよく休んでましたよね。控え室で寝転がって。
3段くらいの簡単な階段が登れないんです。
手すりがあってもしんどいらしいんですけど。
麻雀はすごい元気、当時はバリアフリーなんて言葉なかったんですけど、
その後言われるようになるじゃないですか。
一見元気そうに見える人でも日常のことで辛いことがあるんだと、
自分の中で見えなかったものが一つ見えました」
藤田女流「将棋会館の隣の鳩の森神社で会って、握手してもらったことがあります」
郷田九段が故村山聖九段について語る

先崎先生は電王戦の観戦記で、来年もこの形式でやろうじゃないかといってましたが
谷川会長から出場依頼がきたらでますか。
やれって言われたらやりますよ。
こないだ電王戦見ててさ、
僕は阿久津さんがよくやったと思うけどいろんな意見があるよね。
確かにつまんないんだあれ。勝負だからしょうがないんですけどね。
自分みたいな研究する能力がない人間がやった方が面白いかもしれないね。
私もやっぱプロですから、勝たないと負けちゃいますからね勝負って。
阿久津さんも絶対勝ちたいというより、
勝たなきゃ負けるという論理で子供の頃から生きてるからしょうがないんですけど、
主催者の方とか視聴者とか面白い方がいいじゃない。
自分みたいな研究する能力のない、
気概の無いやつがやった方がいいんじゃないかと思いました。
かなり中盤のところまで予習してたんだね斉藤君もね。
プロが予習しないでやるとぼこぼこになるのは間違いないんですよ。
だから私みたいな予習しそうもない、実際しない棋士に頼んで、
ぼこぼこになるのを皆さんに楽しんでもらうというね。
私コンピュータとか分からないんですよ。
すごく頭いいと思ったら成らずで王手されたら分からないとか。
何百手詰めとか一瞬で読めるのに。
そらコンピュータの方が強いですよ、すごい読むじゃないですか。
魔法ですよ昔からしたら。スマホだって。
コンピュータと戦えるくらい将棋の棋士は強いんだって思ってもらわないと。

ここで行方八段は△4二銀。
先崎九段「これひねり飛車になるとまたしばらく駒組みになります」

先崎先生は王将戦第7局の立会人として郷田王将の誕生に立ち会われました。
同世代の棋士がタイトルを取るところを間近で見るのはどんな気持ちですか。
また、郷田王将の物まねタイムについてちょっぴり教えてください。
物まね?あった?それ。まあ機嫌が良かったんでしょうね。
打ち上げはやったんですけど、僕はその後は用事でいなかったんで。
誕生の瞬間は当たり前だけど嬉しそうでした。
まあでも同じ盟友って言葉あったけど、
我々の世代が頑張ってると嬉しいもんって感じになって。
若い頃は同じ世代が勝つとだいたい不愉快になって、今はそういう年齢になってきて。
すごいですよねタイトル取るなんて。

先崎先生はマンガ3月のライオンの監修、作品のコラムを担当されています。
私はそこで将棋に関心を持ち、どっぷりつかるようになりました。
監修をする上で考えていることや、気をつけてることを教えてください。
行方さんと登場人物の滑川さんのエピソードもあれば是非。
嬉しいねいやいやありがとうございます。
コラムあれね文字が小さいですよね。行方さんと滑川さんか。
実際の棋士をモデルにすることはないと先生は言ってましたけど、
そうは言ってもはっきりとは無いかな。
気をつけてること?何もありません。ヒットしてすごいってそんな感じです。
棋譜は編集者の方を通してこんな将棋が欲しいとかを言われて、
私がアドバイスしています。
すごく大変なこともあるし、ほとんど何もしないこともあるし。
私も本当にすごいって思います。
私マンガあんまり読まないんですけど、すごいなって。

名人戦第1局を見ていたら私も将棋が指したくなり、
近くの店で店員の方にのせられて、高級な将棋盤を買ってきてしまいました。
盤に駒を並べてはにやにやしてる毎日ですが、
格好つけて指そうとすると、盤を傷つけたり隣の駒をはじきとばしたりしてしまいます。
上手に指すコツはありますか。
先崎九段「いい駒と盤なんですよね。まあでもどんどん。
コツって何でしょうね。考えたことはないんだけど」
藤田女流「始めた時は練習されましたか」
先崎九段「ああ子供の頃は授業中にも練習しましたね。
今はパソコンとかゲームとかで将棋指す方が多いから、
実際に手つきが綺麗っていうのは大変なんですね。
昔はリアルな分しかなかったから、手つきと実力って比例したんです。
麻雀なんかもそうだよね、手つきが綺麗だと強い。
今麻雀もネットでできるから、手つきはぎこちないのに強い人っているよね。
本当ネット時代の面白いところだなと思います。
イベントでも指導対局を受ける方で、
実際に人と指すのは初めてという方もいます。
コツねえ。3本の指?」

解説に戻って
先崎九段「序盤でも考える内容があるときと無いときがあって、
この局面はないんです。形が決まってるんです。
これは1日制の対局で、
朝から対局していていいペースで進んでますねっていうくらいで、
でもそれにしてもこの将棋はスローペースですね。早く桂跳ねなさいっていう。
角と角がぶつかってる形っていうのは考えることがいっぱいあるんですよ。
今は向かい合ってなくてひねり飛車で形も決まってるから考えることないんです。
何考えてるんでしょうねえ」

棋力アンケート
入門者16.1%、初心者27.8%、級位者30.4%、有段者14.2%、高段者2.2%、
アマ強豪1.2%、奨励会員・棋士8.0%。
藤田女流「7番が8%は多すぎませんか」

羽生名人は▲7七銀。
先崎九段「これは考えるわけだ、なるほどすぐに桂跳ねないわけだ。
後から銀が出て行くんじゃなくて先に銀を出そうという欲張った珍しい手ですね。
後手の8三にいる銀に対して飛車ではなく銀で圧力をかけようという。
これはまた考えるんですねえ」

質問メール
将棋とは関係のないラジオ番組で、
評論家の宮崎さんが行方さんについて話してました。
大山名人の弟子とか、奥様のこととか、ロックが好きとか絶賛してました。
それを聞いて意外な人脈に驚きましたが、
行方さんについてここで話せることがあったらお願いします。
先崎九段「そんな話せないことはないです。
彼はお酒そんなに強くないんですけど好きなんです。
あまりたいした話はしないですねえ、したことがないです。
将棋の話はあんまりしないですね、全くしないわけじゃないですけど。
棋士は将棋の話まったくしない人もいるし、好きな人もいます。
お酒は全般弱いけど好き。なかなか酔っ払いの典型、模範的な酔っ払いです。
絵に描いたような」
藤田女流「1局目の前夜祭には弘前市長が来られてました。
地元では盛り上がっているそうですね」
先崎九段「僕こないだの王将戦で弘前に行ったんですけど、
市役所に垂れ幕が、けっぱれ行方八段って。王将戦の垂れ幕より大きいハハハ」

先生は将棋マンガの監修、奥様も囲碁マンガの監修をされています。
お互いその事について話されたりしますか。
監修のさいに楽しいこと困ることがあれば教えてください。
まあそんなに仕事の内容について話すわけじゃないけど、
一般的に面白いねとか新しい本でたねとか話します。
少女漫画のカテゴリに入るんでしょうね、単行本もでてて。
なかなか囲碁マンガって感じです。
囲碁はひかるの碁以外がなかなかなかったんですけど。
※先崎九段の奥様は囲碁の棋士で、マンガ星空のカラスの監修をされています。

人間将棋の様子を見て、一度行ってみたいと思っています。
先崎先生も出演されたことがあると伺っていますが、どんな感じだったのでしょうか。
あと、今年人間将棋にいかれる藤田先生は、
部屋の鍵をかけ忘れないようにお願いします。
先崎九段「地方から来る方は希望の駒ができるって噂を聞きました。
やる方はできるだけ全部の駒を動かそうとするのが普通の人間なんだけど、
将棋指しってそういうやつに気を使わない奴もいるから、
駒を動かしてあげようって考えない奴がいるんだね。蹴飛ばしてやりたい。
全部の駒を動かすように2人力をあわせて努力するんですよ。
僕の相手は心得た奴だったんだけど、話しを聞くと全く気を使わない奴もいるみたい。
人間将棋はすごくのんびりとした空気なんですよね。
いろいろちゃちゃ入れたりとか、土手みたいな感じのところで、
お花見しながらお弁当食べたりのんびりしながら、なかなかいいイベントです。
全部動かすって大変なんです。香とか。
でもそれは棋士2人がちゃんとやれば出来るんです。
今週?すぐじゃん。行くんでしょ?とにかく天気だよね。
お花見だけは雨降ったらできないですからね」
藤田女流「今年はタレントのつるのさんも来るということで、
是非ご都合が合う方はお越しください」

将棋のニコ生中継が始まってから、将棋の番組をよく見るようになりました。
序盤の一手から妥協せず最善を追及するプロ棋士にあこがれています。
そこで質問ですが、アマチュアにとっては序盤の乱戦についていけなかったり、
プロの勝ちやすいがアマではできないこともあると思います。
アマで勝ちやすいとか、プロの棋譜で真似しちゃいけないとかあれば教えてください。
確かにあるんです。
将棋って相手に技をかけようとすると、
相手もかけようとしてるから、かけられやすいんです。
長期戦にしたい方は、序盤は相手に技をかけることを考えないようにするといいんです。
騙そうとすると騙されやすいんです。
あと玉を固めて細い攻めを繋ぐってすごい難しいことなんですね。
穴熊はね、細い攻めを繋ぐ技術がないと穴熊に囲っても大変なんですよ。
穴熊って使いこなすのが大変なんですよね。
細い攻めを繋ぐっていうのは将棋のテクニックの中でも難しいことなんで。
お勧めの指し方?
それはでも自分の好きな形をある程度指してみるのがいいと思いますけどね。
とりあえず自分の好きなのを1個何か。
振り飛車の方が入りは楽なんですよね。必ずできるので。
矢倉はやると他の戦型も自動的に出来るようになるんです。
棒銀もいいですよ、破壊力があるから。
でもきちんと受けれるレベルの相手とぶつかったときに壁にぶつかります。
角換わりとか横歩取りはプロの戦法ですよね、難しいんですあれは。

アンケートみなさんは?
居飛車党49.8%、振り飛車党28.6%、オールラウンダー21.5%。

藤田女流「先生は一番最初は?」
先崎九段「最初?覚えてないなあ。藤田さんは?」
藤田女流「私は棒銀でした」
先崎九段「居飛車振り飛車どっちも指せるとねえ楽しみが多いからいいですよね。
本当に棒銀っていうのはねえ、
相手が対策を知らないと簡単に勝てるから偉大な戦法です」

最近将棋を指し始めて、先崎先生のホントに勝てるシリーズの本で勉強しています。
定跡を覚えることは出来たのですが、組んでから中終盤でで負けてしまいます。
中終盤を勉強するにはどうすればいいでしょうか。
将棋は確かにね、序盤より中盤が大事で中盤より終盤が大事です。
将棋で一番大切なことって何だと思います?
相手の玉に詰みがあるときに詰ますことなんです。
確実に詰ませれば終わりなんですけど、それがなかなかできないんです。
一手詰めを詰ます。詰め将棋って難しく考えなくていいんです。
詰みがある局面を詰ます、一手詰めの形をいっぱい覚える。
中盤は玉の周りにいる駒を攻める、だいたい金を攻める、取ると勝てるんです。
銀を取ってもなかなか将棋は勝てないけど金は結構勝てる。
一手詰めを確実に詰ますことができれば、
入門から初心者へものすごいステップアップなんです。
将棋の終わり方が確実に分かるということなんで。
将棋は重要な手と重要でない手があるんですけど、詰ませるのは重要な手なんです。
中盤は難しいですねえ簡単だったら我々プロは食いっぱぐれですか?
難しく考えなくて、相手の陣形を崩して、後は手筋をいっぱい覚えるといいです。
いろんなことを覚えるとすぐには役に立たないけど気がつくと強くなってる、
ということが多いです。

振り駒は白い布を敷いてやります。
駒が布を飛び越えても有効ですが、何で布があるんですか。
ハハハ。あれはテレビ用で、日頃は敷きません。
あれ確かに布敷くのは何でかな?テレビ栄えするからだと思います。
5枚じゃなくて3枚で振ったりもします。でも盤の上が多いですかねえ。
あれ振り駒もややこしいルールがあるんだよね重なった場合とか。
縦に立ったりとか横に立ったりとか。
あれいい駒のが立ちやすいんですよ。
角のところが大きいんですよ。そうすると立ちやすい駒があるんです。
僕の知り合いに回り将棋愛好家ってのがいてさ、連盟に買いに来たんだよ。
どれが立ちやすいかって見て買っていった。
振り方も大事らしい。ちゃんと出すのがプロ。
回り将棋強い奴は本当に強いですよ。
僕は見てたことはあるんだけど、ものすごい勢いで回るんです。
だから回り将棋っていうんだってびっくりした。
あれは売り物になるね。

先ほど棋力のアンケートがありましたが、
自分がどのくらいの棋力があるのか分かりません。
初段を目指してみたいのですが、詰め将棋なら何手詰め、
この定跡、手筋を覚えてる、といった基準があれば教えてください。
初段って昔で言えば免許皆伝なんですよ。
5手から7手詰めを解けて、プロ2枚落ちっていうのが一つの目安です。
昔で言えば町内チャンピオン、狭いエリアで強いっていうのが初段です。
ちょっと将棋指す人がでてきたらちょっと撃退できるのが初段。
でもネットの段級は通常より辛いけど、
ネットの世界は公平ですからしっかりしてますね。

行方八段は40分ほど長考中。
先崎九段「▲7七銀はやっぱり意表を突かれたんだ」

名人戦はタイトル戦の中でも一番持ち時間が長く9時間もあります。
持ち時間の差は将棋の内容にどのくらい影響するのでしょうか。
9時間の自分と4時間の自分で100戦したらレーティングはどのくらいでしょうか。
4時間も9時間も同じじゃないかなあ。
でもそれだとあれだから9時間肯定しないといけないかな。
9時間の方が勝率はいいと思うけど、やってみないと分からないね。
片方が9時間で片方が30分くらいで試すとか。
棋士はいっぱいいるじゃん試せばいいんだよね。
意外と長い方が調子狂うっていうのがあるかもしれない。

先生が考案されたトライルールはすごくいいなと思いました。
しかし玉を詰ます以外で勝つのはよくないとも聞きました。
プロ棋戦で採用するというのは無理ですか。
トライルールっていうのは王様が先手なら5一、
後手なら5九まで入れれば勝ちっていうルールなんですけど、
入玉すると勝負つかないから、しょうがないから得点で勝ちとか決めてるわけですよ。
金も歩も1点で、無理やり勝負つける方便なんですよ。
あと駒取り合うっていうのはあんまり好きじゃないんですよ僕はね。
時間かかるしややこしいじゃないですか。
でも公式戦だとなかなか採用しづらいだろうけど、将棋の宿命でしょうがないんですね。

私は将棋脳ではさっぱりですが、プロの棋譜をならべるのが楽しいです。
プロの方は対局に挑む際に用いる戦型をどう決めるのでしょうか。
羽生さんが相掛かりを選ばれた事情はありますか?想像でもいいので教えてください。
先崎九段「戦型はあらかじめある程度決める場合と、
当日気分で決める場合と2通りあります。
必ず決めてるっていう棋士はあんまりいないと思いますよ。
僕は決めてることと半々くらいかな。その日の気分で決めることもあります。
普段の対局は先手と後手が分からないですから、
今日は振り飛車しようかなーとかそんな感じです」
藤田女流「羽生名人の相掛かりですが」
先崎九段「想像ねえ。羽生さんの気持ち。相掛かり。うーん何でしょうねえ。
相掛かりがしたかったんだよじゃ答えにならないですよね。
まあ矢倉にしたくなかったのかなあ」

一旦休憩に。

藤田女流「それでは再開します。まだ進んでません」
先崎九段「しかし歴史的なスローペースですね。2人で使えば心配ないっていう。
これはマラソンで言えば40キロ過ぎからのスプリント勝負ですね。
そりゃ考える材料はありますよ?でももうちょっと指してくれないとねえ。
見てる方の身にもなってみろってね」
その後解説を進めて
先崎九段「変わりに指してあげたいねえ。
スプリント系の将棋は一般的には若い方が有利なんで、
ベテランはそうならないように普通は指すんです。
将棋って終盤がすごく難しいんだけど、
ゴール前のヨーイドンに自信が無いと早く指すんですけど、羽生さんは自信があると。
将棋の強さとはまた違う、勝負の強さで決まるので、
相手によって使い分けるというのはありますね」

残り30分で緊急アンケート昼休みまでに行方八段は?
指す28.8%、指さない71.2%。
先崎九段「確かに指さなくてもおかしくないんだけど、うーん」
すると行方八段は△2四歩。
先崎九段「なるほどこれは考えただけあるね。考えて△9四歩とかだとちょっとね。
これは△2三金とやって対抗しようという、珍しい形ですよね。
確かにこれは考えただけあって凝った手ですよね。でまた考えるんだ。
考え方としては、先手の玉はあんまり右に行きたくないんだ。
だから難しい手を指しましたね」

質問メール
昨年度はB級1組昇級おめでとうございます。
今期の抱負などをお聞かせください。
いやいやいやいや、将棋は目の前の1番を頑張るしかないんですけど。
A級とB1で自分より先輩って谷川さんしかいないんです。
これは、まあ、大変だわと思います。最初に谷川さんと当たるんですけど。
苦戦です。苦戦の中頑張ります。

森内前竜王名人、郷田王将、羽生名人と羽生世代が猛威を振るっていますが、
お隣の囲碁界では井山四冠より若い世代が台頭しています。
40代が勝つのは特殊だと思いますが同年代の先崎先生はどうお考えですか。
これは長く続く話じゃないです。私の世代が頑張りすぎてるんです。
将棋界がこれから先40代が強いってことはないですね。
正直言えばもうちょっと下が出てくるべきだと思いますよ。
でも順位戦はなってるんだけど、今そういう時期なんですね。
不思議な、不思議だなと思ってます。
囲碁界はちょっと前は全然でなかったりしてましたし、将棋界は今は異常だと思います。
羽生さんがすごいんです。
最近もう達観してきて、将棋は運がいいほうが勝つんだなと思い始めました。
あんまりかんかんに思いつめてやるということは無いですね。
若いときは思いつめていくんですよね。
それやってると体も頭ももたないからね、だんだん気楽に。

タイトル戦の午前中にうつむいて寝てるような光景がありますが、
頭の中はフル回転なんでしょうか。
まあそんなフル回転ということはあんまりないですかね。
うつむいてる時はそんなに考えてないと思います。
盤の前に座ってずっといるというのは意外と大変なんですよ。
正座か胡坐じゃないですか。本来正面を見るためにある姿勢でしょ?
45度みたいな下を向くには本来向いてない。だからちょっとうつむいたりとか。
NHK杯とか早指しのときはそんなに余裕はないですけど、持ち時間が多い時はね。

先崎先生は毎年春に盛大なお花見を開催されていますが、
Twitterでもその写真が公開されていて、非常に楽しそうだなと思いました。
何か裏話があれば教えてください。
先崎九段「まあなんとなく桜が咲くからねえ。
やっぱ日本人は桜を見るとお花見をしたくなるじゃないですか。
日本人だから、先祖代々のDNAだからしょうがないね。日頃こんな座ってやってるから。
今年は棋士も多くて、渡辺さんも藤井さんも来てましたね」
藤田女流「何人くらいいらっしゃったんですか」
先崎九段「30くらいなんじゃないですか?
一応主催は私なんですけど、勝手にみんな集まってやってるんで」

私は棋士のエッセイが好きで、先崎先生のも楽しく読ませていただいてます。
タイトル戦に立会人で参加したときに、
関係者と麻雀にいそしんでたというエピソードがとても面白かったです。
最近あった面白エピソードがあれば教えてください。
ほうほう、麻雀昔はよくやってたんですよね。
大山先生が健在だった頃は、大山先生は対局者なんですけど、
控え室で麻雀やれって言うんですよ。対局者が言うんだからしょうがないよね。
今はあまりそういうことができないんですけど、
みんな本当はやりたがってるんじゃないですか?
対局者は真剣なんですけど、一緒に行く人間は気楽なわけで、
将棋がこういう感じで手が進まないとみんなくっちゃべって、
将棋って駒がぶつかってからじゃないとみんな研究しないんですよね。
棋士と記者とみんなでお茶飲んでなんかいろんなこと言ってるんでしょうねえ。
聞いてるかもしれないからねえあんまり言えないけど。
記者の方はもちろんいろいろあるんですけど、何といっても将棋が進まないと。
立会人ていうのは不思議なもんで、何もないのが一番なわけで、
そこが不思議なわけですね。
解説とかで行くと何かあった方が面白いじゃないですか。
立会人は何もなく平和に平和にがいいので、気持ちの使い分けが妙に面白いです。

昼食アンケート
先崎九段「僕はもう藤田さんにお任せします」
藤田女流「それではコメントから」

おそば36.8%、おすし27.1%、洋食19.0%、中華17.1%。
藤田女流「今日は難しいですね」
先崎九段「これ難しいとかあるの?お昼のアンケートで?」
藤田女流「加藤先生の場合はウナギとその他とかになります」
先崎九段「それでウナギ行くんだ(笑。なるほどね」

昼食アンケートの答えはおそば

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藤田女流「コメントで松永って流れました」

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先崎九段「なんかこの遠近法嫌だね」

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詰め将棋の正解者プレゼントは先崎九段の著書右四間飛車戦法。

そして初手から解説に。
羽生名人の端歩のあたりはお互い微妙な心理戦があったはずだが、
これは指してる人じゃないと分からないらしい。
また、羽生名人の封じ手に対する行方八段の△3三金も気勢を削ぐ指し方で、
現局面は▲6五銀なら突っ張り、▲8八角なら妥協、▲4八玉ならやってこい、
という手とのこと。

どちらを持ってみたいかアンケート
先手:羽生名人38.6%、後手:行方八段15.5%、何とも(ニャンとも)言えない45.9%。
先崎九段「どちらも持ちたくないというのは非常に誠実なお答えです」
羽生名人は▲8八角。

ティロフォン野月七段から
野月七段「もしもしどうも野月です」
藤田女流「野月先生は副立会いで得意の相掛かりになりましたね」
先崎九段「良かったですね」
野月七段「今2番押しました」
藤田女流「後手持ちたいということで」
先崎九段「これでも棋士でも分かれると思うんですよね。
僕はなんていうか少し先手もちたいかなあ。でも後手もってもいいですよっていう。
このまま良い勝負にならないんだよねこういうのは」
野月七段「そうですね」
先崎九段「それにしても進行が遅いですね」
藤田女流「現地はどんな雰囲気ですか」
野月七段「皆さんリラックスしています。あまり検討することもないんで。
駒がぶつかってないので、
指し手の選択肢がたくさんあるのでどれもあるよねで終わります」
先崎九段「序盤すごい考えてたでしょ」
野月七段「羽生さんが3八銀て上がった形で、
相掛かりだけど最新形じゃなくてじっくりやりましょうよと言って、
行方八段もそれに答えた感じだと思います」
先崎九段「解説もやってるんでしょ?大変だよね」
野月七段「対局場から10分くらいのところで解説会をやってまして、
今は森先生が解説会にいて留守番係りを杉本さんとしています」
藤田女流「そちらでの対局は初めてなんですよね」
野月七段「すごい古くて歴史ある建物ですね」
藤田女流「仮説トイレがすごい立派って聞いたんですけど」
先崎九段「そんなこと聞くの?(笑」
野月七段「外から見ても豪華だし、
検分で行方さんとすげーって言いながら確認したんですけれども。
エアコンとかもついてますし、工事現場にあるものとは違います」
藤田女流「対局者の様子はいかがですか」
野月七段「対局者2人ともリラックスしています。
行方八段は単独行動で高山まで来て、僕は大阪から来てばったり会って、
服装もリラックス雰囲気もリラックス、
対局場から昨日帰るときも一緒でしたけどリラックス。
羽生さんは昨日夕食会で羽生さんと私と観戦記者の方の3人で、
将棋と関係ない話で盛り上がってました。
僕と杉本さんで話した感じでは、夕食休憩までに駒がぶつかればいいかなと」
藤田女流「昼食のお写真も拝見したんですけどすごくおいしそうな」
野月七段「昨日の夕食の時に注文していたんですけど、我々はお弁当食べてました。
今ちょうど森先生が向こうから戻ってきました」
先崎九段「向こうから。何か臨場感があるね」
野月七段「飛騨高山すごいところで、温泉もいいし食べ物もいいし、
桜もちょうど満開で街のいたるところに桜があって、
橋のところに大きな桜が垂れてて観光客が写真とってました」
藤田女流「対局室結構鳥の声が聞こえてきますね」
野月七段「そうですね鳥のさえずりが聞こえてきます。
風の音もそのまま聞こえてくるという感じですね」
先崎九段「風流ですね」
野月七段「対局室には電気が通ってないんですよ。古い建物なので。
対局室にホットカーペットが敷いてあって暖を取ってます」
先崎九段「森先生はどちらもちなんでしょうか」
野月七段「どちらかというと行方さんの方が考え甲斐があると」
先崎九段「考え甲斐とはなかなか味わい深いですね」
野月七段「綾ちゃんは?」
藤田女流「私は先手ですね」
先崎九段「先が全く見えないんで何とも言えないですねえ」

解説に戻って
先崎九段「確かに後手の方が考え甲斐があるんですよね。
長期戦になったら良くなりそうだから」

その後手順を検討し、やはりゆっくりすると後手の方が少しずつ良くなるようでした。
先崎九段「森先生なら先手持ちって何となく思ってたんですけど、
森先生が後手っていうことは後手なのかなと私も思えてきました」

ニコ生のおさんじは銀座あけぼののイチゴ大福

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藤田女流「おしゃれな器が出てきたのでどうやって食べればいいのか」
先崎九段「早く食べてよ真似しようとしてるんだから(笑」

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藤田女流「切れない、どうしよう」

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羽生名人のおやつはいちご?

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結局手で食べる。

おやつ休憩中に羽生名人は玉を4筋に寄るのではなく8筋の歩を突き、
隙とみた行方八段が△7二飛から△7四歩と仕掛けて開戦しました。
激しい順として並べた解説通りに進みそうになり、
先崎九段「いきなり大決戦になるもんですね。
▲4八玉と指せば穏やかだったんですけど、しょうがないなこれはしかし」

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視聴者からイラストの投稿

質問メール
以前ニコ生で解説していた田丸九段が、
先崎九段にアマ初段から三段になるまでにどれくらいかかったかを聞いたら、
2、3時間と答えたと話していました。
天才とはそういうものかと思いましたが、2、3時間で何をしたのですか。
そんなこと言ったんですかね。言ってないと思うんだけどなあ。
まあ言ったとして、そういう風に脅かしてみたんだなハハハハハ。
プロはまあそういう時期があるんですね。急に伸びるのが。
あのーすいません。そんなこと言ったとしたらまあ冗談です。
※先崎九段は子供の頃に大人の大会に参加して、
少年ジャンプを読みながら指して優勝してしまった、なんてエピソードもあります。
故米長永世棋聖の内弟子になったのが小学校4年生のときなので、
当然それより前にそんなことをしちゃったという天才でした。
そんな人にアマ初段から三段になるまでに2、3時間とか言われたら、
信じちゃうかもしれないですね。

現在6級ですが、2年近く停滞しています。
石田流を指していますが、別の戦法の方がいいでしょうか。
また、後手の場合何を指せばいいでしょうか。
石田流を封印されることは別に無いんじゃないかなと思います。
まあ何とも言えないですけどねえ、終盤の詰め将棋とか、3手くらいの詰め将棋。
どの戦法がいいとか悪いとかは無いんですよね、合ってる合ってないはあるんですけど。
石田流でどんどん腕を磨かれても、他の戦法やってみたいんだったら他をやって。
後手番だと石田流ができないからどうしましょうねえ。
序盤は気軽に好きな形を組んでどんどん攻めていくという感じで。
将棋を堅く考えると上達しにくいことが多いですね。
やわらかく考えるといいと思います。

将棋連盟のサイトで写真家弦巻勝さんとのコラボが連載されています。
子供時代の米長先生や先崎先生、林葉女流など、たくさんの写真がありますが、
被写体になったご感想や子供時代のことなどを教えてください。
先崎九段「見ました見ました懐かしかった。覚えてないですからね。
恥ずかしいですよね自分の子供時代の写真て。
3年間内弟子でした。3年で10局近くですかね。
教えるというか向こうが不安なんですよ、強くなってないんじゃないかと」
藤田女流「昔は内弟子が多かったんですか」
先崎九段「僕の頃はあまりなかったんですけど、
もうちょっと前ですよね内弟子が多かったのは。
それより前だと戦後はみんなで生きていかないといけないから、
それがちょっと違ったんですよね」
藤田女流「コメントで米長先生の勝負ネクタイがあると聞いたと」
先崎九段「勝負ネクタイいい言葉だね。そういうのは考えたこと無かったですけど。
最近見られた方は内弟子ってなんだろうって思いますね」

羽生名人は▲6五銀。
先崎九段「ひゃーこれ激しいねえ」
行方八段は即座に△6四歩。
先崎九段「自信があるのか?」

先崎九段「記録係りはもちろん勉強のためってことで記録録ってるんですけど、
記録係りが一番こうなれば早く終わるなとか考えてるものなんですよ。
これが記録の効能でね、どうなれば早い流れになるかが分かるようになるんです。
将棋ってリズムがあるから、
1回堰が切れちゃうと止まらなくなっちゃう時があるんですね。
なので序盤がゆっくりだから終局まで長いってことではないんですね」

羽生名人を描いてくださいというリクエストに答える藤田画伯。

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藤田女流「あ、でも人っぽくなりました一応」
先崎九段「大丈夫?家族じゃないから止めはしないけど」

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藤田女流「手がどっかから出てきちゃいました」
先崎九段「なかなか意外な展開でどうこの場をしていいかどうか」

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先崎九段「サイン?度胸あるよね」

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見せているとこのタイミングでティロフォン金井五段から。
金井五段「もしもーし見てますよ」
藤田女流「これ誰かわかります?」
金井五段「その絵が芸術的すぎてどんな人なのかわかんないです」
藤田女流「何か適当です」
先崎九段「これはだって適当に言うしかないよ(笑」
金井五段「午前中からやってるんですけど、
100人にも届こうかというくらいいらっしゃいました。
午後には140人くらいの方が入場してくれています」
藤田女流「金井先生目当てに」
金井五段「それは難しいんですけど名人戦なので。
昨日街並みなども散歩させていただいて、楽しく過ごさせていただいてます。
本当に素晴らしい場所ですね」
先崎九段「結構スローペースで進んでましたけど」
金井五段「同じ局面で1時間くらいしゃべるみたいな。
副立会人の先生方の力を借りて頑張ってます。
途中までは羽生さんのほうが方針が分かりやすいかなと思ったんですけど、
行方さんの△7二飛を見て行方さんがいけるのかなと思いました。
先崎先生はどうですか」
先崎九段「羽生さんが誘った感じなんだけど玉が薄いからねえ。
どうですかどっちが勝つんですか」
金井五段「終盤の最後の方に行方さんの2三の金が威力を発揮するのではないかなと。
今になって後手を持ってみてもいいかなと思ってます」
先崎九段「微妙なニュアンスで」
金井五段「歯切れが悪くてすいません。
終局まで皆さんと一緒に見守っていきたいと思います。
わかんないことがあったら突然聞くかもしれませんのでよろしくお願いします」

先崎九段「元気がいいね」
藤田女流「2三の金が威力を発揮するって」
先崎九段「預言者みたいだね」

羽生名人は▲7三歩。
後手が今チャンスで、△同飛▲6四銀に△7六歩で勝てれば話が早い、
荒っぽい捌きだが、玉の陣形差を生かした展開になるとのこと。

休憩中に△同飛▲6四銀まで進みました。

先崎九段「当然△7六歩を考えてるんだと思います。
△7六歩は見えたら我慢するのが相当大変です」

行方八段は少し変えて△8七歩。

先崎九段「またややこしい手を指しましたね。何て言うか…。
何でややこしいと言ったかというと、取る手と逃げる手があるからなんですよ。
飛車取りを逃げるなら打たない方がいいと思うんですけどねえ。
形決めた感じはあまりよろしくないんですよ。
例えば飛車回ったり▲4八玉と逃げたり。
歩を打つのはなかなか得しないと思うんですけどねえ。
行方さんが叩いたんだから何か目算があるんですけど、不思議ですねえ。
取っても角を逃げてもどっちも得をしないと思うんですけどねえ。
△9三飛?それから△6三歩が間に合えば銀が取れるけど、
それを許してくれるとも思えないし、
こういう手を打つ棋士は何か狙い筋があるはずなんだけどなあ。
わかんないです!悪手を咎める時は逃げる方が強い手なんですよねえ」

羽生名人は▲同金。行方八段は即座に△9三飛。

何もなければ▲7六歩、でも何か良い手がありそうというところで、
羽生名人も長考に入りました。
良い手がありそうっていうプロの感覚は不思議ですね。
その嗅覚はどこから来るのか。

アンケート次の一手
▲7六歩19.2%、▲4八玉34.8%、▲5六飛12.4%、その他33.6%。
先崎九段「▲4八玉は相当やりたい。でも現実に銀が死ぬから対策を用意しないと。
▲7五銀じゃいくらなんでも丸損だからねえ」
藤田女流「糸谷竜王は▲4八玉なら先手持ちと解説しているそうです」

質問メール
将棋祭りの指導将棋で奨励会三段の方と指させていただきましたが、
そのときついうっかり2歩になってしまいました。
その時パニックで待ったをしてしまいました。
指導対局のときはどうすればいいでしょうか。
いやいやいやいや、別にいいんじゃないでしょうか。
そんなことは御気になさらず、大丈夫です。
大会とかそういうところだとあれですけど、指導対局ですから。

先崎先生が以前同世代の棋士を、森内はターミネーター、
丸山はエイリアンなどと評していたのがとても面白かったです。
行方八段の棋風も評してください。
そんなことまったく覚えてないんですけど。
行方さんは何だろうねえ、積極的だけど粘り強い不思議な将棋。
まあ王道をいく将棋ですね。

先崎先生は世界初の将棋ボクシングをおこなった第一人者です。
将棋ボクシングの時、ボクシングの最中に将棋のことを考えていたのでしょうか。
今度友だちとやろうとしてるので是非教えてください。
よくわかんないですけどなさらない方がいいんじゃないでしょうか(笑。
うっかり引き受けてしまってやらざるを得ない羽目になってやったんですけど。
考えませんよ目の前で人が殴ってくるのに将棋のことなんて。
いくらテレビの番組的なことがあるとはいえ、
殴ってくる人の前で考えませんよ人間は。真面目に答えるとなさらない方がいい。
チェスボクシングっていうのがヨーロッパであって、
頭脳と体力で勝負を決めようって。
チェスは引き分けが多いんで決着をつけようということなんです。
もうあんな無謀な企画は引き受けません。
テレビの企画とはいえ元世界チャンピオンの井岡さん相手に9ラウンド。
ずいぶん体力あるなあと驚きました。

1歳7ヶ月の息子と楽しませていただいています。
私は将棋に興味を持って3年程度で、夫に将棋が面白いと話したときに、
実家に盤と駒があってよく指したよと聞いておどろきました。
息子も将棋番組が好きなようで、オープニングが始まると「あった」と話します。
将棋連盟モバイルのCMでの、藤田女流の王手がお気に入りなようで大爆笑しています。
頑張ってください応援しています。
藤田女流「1歳7ヶ月ですごいですね」
先崎九段「天才かもしれない」
藤田女流「オープニングが流れるとわかるんですね。
家族で楽しんでいただければと思います。ありがとうございます」

この後休憩になってCMが流れました。
ティロティロでひっぱって来るぞ来るぞとやってからの王手がいいのかな?

羽生名人は▲5六飛に行方八段は△5四歩。

先崎九段「これはリスクが高い手なんですけど勝ちっていう手なんです。
▲5六飛に△5四歩は味が良すぎる。
急に良くなってびっくりしてるんじゃないかな」
玉と飛車が縦に並んでいるところに歩が伸びてきて、
9三にいる飛車の横利きが強くなる価値の高い手ということらしい。
戻って△8七歩に▲同金が手拍子だったかとのこと。

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確かに困ってそうな様子の羽生名人。

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夕食休憩あけの羽生名人の次の一手正解者にプレゼント。

次の一手の正解は▲7六歩。正解率3%前後とのこと。

アンケートどちらを持って指してみたいですか?
先手:羽生名人27.1%、後手:行方八段34.2%、何とも(ニャンとも)言えない38.8%。
先崎九段「羽生さんの信用がすごいですね」

解説では後手が攻める順を検討しましたが、
なかなか上手く攻め潰す順もなく、
行方八段が優勢ながらも長い戦いになりそうとのことでした。
検討を深く進めると難しくて驚きましたとのこと。

先崎九段「ここで行方さんが考えるようだと難しい。
ある程度手を決めて前に出たはずだから」
行方八段は△6三歩。
大盤で▲7二銀から攻め合ってみたら後手玉が頓死してしまいました。
言うほど後手優勢じゃなかったか。
先崎九段「実に意外ですね、
△5一金▲6三銀成りに次の手で後手勝てると思うんですけど、それが無い」
控え室で検討されている▲7五銀には、
先崎九段「▲7五銀はまあ角損に目を瞑れば???角損意外は問題ないけど。
駒得ってどれくらい得なのかが難しいんですよね。
ただどちらがいいかと言われれば後手がいいんですよ少し。
でもこんなもんなのかな?」

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先崎九段「パターンで覚えておけばいいんだよな。詰まない?これが?」
と検討していると羽生名人は▲7二銀。
△6四歩▲6一銀不成りと進み、
先崎九段がこれは私が言った順で終局するでしょうと言った瞬間、
行方八段は△8七銀と違う手を指しました。見事なフラグ回収。

行方八段が勝勢との局面で、羽生名人は席を立ちました。
その後私なら投げるかもなんて話していたら、羽生名人は▲8九金と糞粘り。
先崎九段「投げるなんて言って失礼しました。私が悪かったです甘い事を言って。
投げるかなんて言ってる私は人間が甘いね…」
先崎九段が一足お先に反省会モードへ。

羽生名人は再度退席。投了の心の準備か新鮮な空気を吸って糞粘りモードか。
行方八段は△7七飛成り。勝利への最短ロードと先崎九段。

ここでティロフォン森九段から
藤田女流「森先生お疲れ様です。だいぶ局面の様子が佳境ですけど」
森九段「終局間際って感じになってたんだけど、羽生さんの粘りの金打ちでね」
先崎九段「粘らないで投げるって言った私は人間が甘いんでしょうか」
森九段「甘いねえふふふ。
7三飛車のあたりで4四角のほうがよかったんじゃないかな」
先崎九段「そっちのほうが粘る気がうせるのではないか、
と言っていた私は甘いのでしょうか」
森九段「それは甘くないね」
ここで羽生名人は▲6二成銀。
森九段「ここで△7六銀成りが本線で、でも結論がでてないんですよ。
変な雰囲気になってきたね」
先崎九段「ここで▲4八玉ですか」
森九段「強いねふふふ」
立会人の森九段が電話するくらいなのでまだ粘る雰囲気なのかもしれない。

といったところで行方八段は△7六角。
先崎九段「これがなるほど正解です。分かっていても受かりません。
羽生さんも何かあると思ったはずですけど、
こんないい手があったか、あーあって感じだと思いますね」
そして数手進んだところで羽生名人の投了となりました。

先崎九段
途中からは差がついちゃって。▲5六飛車がよくなかったんでしょうね。
後はもう次から次へと手筋が決まって行方八段の快勝でした。

ということで行方八段が勝ち、対戦成績を1勝1敗としました。
羽生名人は去年の名人戦で、
森内名人を相手に第1、第3、第4局を相掛かりで勝っていたので、
正直相掛かりになったときに羽生名人が勝つのかなと思ったのですが、
2日間相掛かりの力戦を指して羽生名人を先に転ばせて快勝、
しかも1局目に名人戦史上最短手数で負けて、嫌な流れからですから、
行方八段がすごく強かったです。
第1局で解説していた森下九段は、
行方八段は序盤から策を凝らすというよりも、中盤過ぎから本領を発揮するタイプ、
と述べていましたが、相掛かりの力戦型でしかも後手番、
序盤から無理しないでいいよね、
ということで本領を発揮しやすい展開になったのかもしれません。結果論かな?

名人戦第3局は5月7日と8日。
ニコニコ生放送では9時から、解説に真田圭一七段、
聞き手に安食総子女流初段で大盤解説会が放送されます。
1勝1敗で迎えた第3局、挑戦者の先手番行方八段はどんな戦型で挑むのか注目です。

第73期名人戦七番勝負第2局初日が終わる

羽生善治名人に行方尚史八段が挑む第73期名人戦七番勝負第2局初日は、
羽生名人の封じ手で初日が終わりました。

ニコニコ生放送では9時から、解説に中村修九段、
聞き手に山口恵梨子女流初段で大盤解説会が始まりました。

羽生名人の初手は▲2六歩。
山口女流「修先生今日は角換わりの予想でしたけど」
中村九段「参ったな、相掛かりになりますねこれは。でも意外と考えますよ。
初手76歩のイメージで角換わり矢倉をイメージしてきてますから」
行方八段は目を閉じて1分ほど置いてから△8四歩と指して、
相掛かりを受けて立ちました。

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おはようございます。
山口女流「注目のポイントを教えてください」
中村九段「この二人なんで多分矢倉か角換わりだと思ってたんです。
90%くらい▲7六歩だと。▲2六歩が9%、1%が▲5六歩かなと。
9%出ちゃいましたね。
行方さんは▲5六歩にたいしては△3四歩かもしれませんけど、
相手が居飛車の場合は大抵△8四歩です
あ、▲2五歩突いちゃいましたね。完全に相掛かりになりました。
矢倉や角換わりはみんなで研究されていますので、
1日目から終盤近くまで行くんですけれども、
相掛かりは手探りなので今日はそんなに進まないんじゃないかと思いますね。
考えていることは10手20手30手先のことです。
考えすぎちゃって1手目じゃなくて3手目を指して負けちゃう人もいますけど」

中村九段「羽生さんの着物高そうだなあ。
私も立会いで和服なので草履を履くじゃないですか。
男性の草履って見た目があまり変わらないんですよね。
でも間違えちゃいけないから分かりやすいところに置いておくんですよ。
でも出る時に綺麗に並びかえられちゃって、
ひょっとしたら家に羽生さんのぞうり3足くらいあるんじゃないかな?
間違えてるんじゃないかという不安がね」

相掛かりで飛車先が交換できる戦型になったので、
中村九段「▲3六歩、▲3七桂を入れてから飛車先を交換できれば、
飛車を▲2九まで一手で引けるのになあ」
山口女流「先生序盤から工夫をされますよね」
中村九段「それでずいぶんね…。
神谷広志がよく言うんですよ。あんたは序盤が下手くそなのに得をしようとするって」

アンケート目が悪いですか

目のよさだけが自慢です23.8%、メガネです61.5%、コンタクトです(ソフト)8.7%、
コンタクトです(ハード)2.6%、レーシックです3.4%。
中村九段「目のよさが自慢ってすごいことですよ。大事にしてください」
山口女流「メガネ3月のライオンモデルとかありますよね。
先生はデザインにこだわりとかありますか」
中村九段「メガネの淵の上は黒いのにしてるんですよ。眉毛が薄いから。
眉毛描く自信もないし。
行方君は昔かわいかったんですよ。
師匠の大山先生に連れられて船の旅とか。伊豆の方だったような気がするけど。
団先生よりもっと前なんですけど、学生でお手伝いで、
黒ぶちメガネで一生懸命手伝ってましたよ。
大山先生は誰よりも働いててね、
みんな船酔いでダウンしているところで麻雀卓を直したりとか、大好きでしたよ」
山口女流「すごい体力ってイメージですけど」
中村九段「トップになる人は考えられないくらい体力ありますね。
大山先生、中原先生、羽生さん。
谷川先生はあまりイメージ無いとか言うと怒られちゃうかな?」

その後対局中にシップや針とかやったことがある人がいるという話になり、

山口女流「マッサージとかはどうなんですかね?」
中村九段「1回やったことありますよ。失敗しました。
夕食休憩のときにあまりおなかがすかなくて、
30分くらいすっきりしたら勝てるかなと思って。
やっぱりね気持ちよかったんだけどね、
対局中に普通マッサージとか受けないでしょ」
山口女流「先生受けてるじゃないですか」
中村九段「外に出て歩いている時に、
気がつかない良い手が思いついたっていう印象が残ってるんで、
刺激を受けた方がいいのかな」

初日の午前中のゆるいトーク

中村九段「対局のときに佐藤康光さんがメガネのスペアを持ってきてるんですよ。
私も新人王戦の立会いの時だったと思いますけど、
メガネのレンズが落ちたんですね。
その時は千駄ヶ谷だったので休憩時間中にメガネ屋さんで直してもらったんですけど、
その後しばらくは私もメガネのスペア持参してました」

リレー質問
森下九段から中村九段へ
中村先生は50歳になってさらに強くなられ、将棋にも迫力を感じます。
年齢を重ねてなお強くなる秘訣、情熱を持ち続ける秘訣を教えてください。
中村九段「こういうこと聞くかねえ。森下さんらしいですけどね。
強くなってる?強くはならないですよねえ。
打ちのめされることが多くてね、コンピュータなんかで練習しても勝てないですよ。
今まで私が30年40年やってきたのが何だったっていうのが辛いんですけどね。
この年になって教わることが多いというのは辛いですね」
山口女流「先生もコンピュータで研究されるんですか」
中村九段「うーんやっぱりあのね、勉強になりますからね。
この年になってこんな手があるんだっていうのが分かると嬉しいんですよね。
知らなかったことを教われるというのは、
コンピュータだろうがなんだろうが嬉しいですね。
昔は強くなりたいだけで、
あの時もっと詰め将棋といとけばよかったなとか思うこともありますけど」
山口女流「森下先生も詰め将棋言ってました」
中村九段「お互い終盤逆転負けが多いからかな?
やっぱりプロで残る人は終盤が強い人ですね。
行方さんもイメージとして、
終盤時間がなくなったときに乱れないというのがありますからね。
今回1局目はなりませんでしたけど、羽生さんと終盤競り合う展開になれば、
強さが出ると思います。
イメージとしては郷田さんのイメージ、長考派で終盤しっかりしているというのがね。
行方さんは羽生さんとは3勝13敗という感じなんですが、
勝ったのがJT杯、銀河戦、タイトルに挑戦した王位戦で、
本人としては王位戦は防衛されて早指しで勝っただけですから、
羽生さんに勝ってるっていう印象がないとおもうんですよね。
だから早く結果が欲しいんじゃないかと思います」

鈴木女流から山口女流へ
山口女流は振り飛車党でいらっしゃいましたが、最近は居飛車党になられました。
有吉先生の棋譜で勉強されているとのことですが、
今まで何局くらい並べましたか。
山口女流「データベースで33局しかなくて、有吉先生の全集で、
33、4局並べましたけどそのくらいしか。
順位戦の有吉加藤戦を持ってきました。なんか300手とかいうのもありましたよ」
中村九段「記録係り本間4級ってすごい時代ですね。二段佐藤紳哉!?」

ということで有吉加藤戦を並べることに。
山口女流「森下先生に濃厚な矢倉を勉強しなさいと言われたので」
中村九段「平成7年ですね。私にとっては最近に思いますけどね。
20年前の名人って誰だか知ってる?竜王戦の挑戦者決定戦に新四段が出たんですよ。
それが行方さんで、決定戦に勝ったのが羽生さんだったんですよ。
それから頑張ってね、ここまで来たんです。
弘前は大変なことになってるんですよ。
青森の新聞は青森出身の相撲の序二段の成績とか、
行方さんの予選の成績とかも出るんです。
力が入ってしまうのはわかるんですけどね」

有吉九段の矢倉早囲いに、加藤九段も矢倉早囲い、のような手順から普通囲いに。
それを見て有吉九段が攻撃態勢を着々と整えてると、
平凡に指すと作戦負けになると見た加藤九段が、
居玉ながら矢倉の囲いの銀を前進させて、△1五歩から戦いになりました。
矢倉らしいあちこちで戦いが起こっている大乱戦でした。

山口女流「そして現局面ですが一手も進んでないと」
中村九段「飛車先くらい交換したんでしょ?え?してないの?」
相変わらず行方八段はマイペース。1時間の長考中。

中村九段「さっき神谷の話がでたから言うけどね、
彼が長考する時に、美濃囲いを銀冠にするじゃないですか。
銀を王様の頭に上がった瞬間に長考するらしいんですよ。
嫌でしょこのタイミングで仕掛けられると。
将棋は長くて消耗戦なので、お互いストレスをかけあうんですよ。
序盤の指し手にでてこないところにお互い神経を使って、
優勢になったっていうところで間違えちゃうんですよ」

詰め将棋コーナー

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駒の形詰め将棋
▲2一金△同玉▲1一飛成り△同玉▲1三飛成り△1二駒合▲2二金

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▲1一飛成り△同角▲1二飛成り△同玉▲2三桂成り△2一玉▲3二金

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山口女流の自作詰め将棋(伊藤果先生に手直ししてもらった)
山口女流「最初27手詰めだったんですけど、伊藤果先生に手直ししてもらって、
31手詰めになりました」
中村九段「27手詰めなら1分でいけるかなと思ってたんですけど、
伊藤果先生の手直しって聞いて並べるのやめようかなと思っちゃいました」
山口女流「10分で何段ですかね?」
中村九段「まだ解けてない」
伊藤先生に6三歩が汚いと言われたらしい。そこに追うのがばれちゃうからとのこと。
山口女流「これ合い駒問題なんですよ」
中村九段「うっそー。(あーなってこーなってもにゃもにゃ)
4二に何合い駒するかだけなんでしょ?どうせ」
▲2三歩成り△1四玉▲2四と△同玉▲3五馬△同玉▲45飛成り△2四玉
▲2五竜△1三玉▲1二と△同玉▲2四桂△1三玉▲1四歩△2二玉▲3二桂成り
△同玉▲2三竜△4一玉▲4三竜△4二角▲3二銀△5一玉▲4二竜△同玉
▲4三銀上成り△5一玉▲7三角△6一玉▲6二角成り
まで31手詰め。
中村九段はぼやきつつあっさり解いてしまいました。プロぱねぇ。

31手詰め将棋の最中に行方八段は△7二銀。
後手番なので追随していく方針に決めたということらしい。

次の一手アンケート
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 中村九段「▲2六飛車指されたら私帰りますよ。
まあ私も角道開けられないまま7六飛車って回って、
9六歩9七角とかやったことありますよ。
ひどい飛車角だって言われてね。まあ勝ちましたけど。
だから何でもあり得ないって言うのはだめかな?」
コメントで中村高橋戦が見たいと流れて
中村九段「高橋さんは同期ですけど一番指しててきつかったです。
将棋が重たいんですよね。攻め自体はすごく軽くてすごく参考になる将棋なんですけど。
矢倉がねえ恐ろしく強かったですからね。
なになに戦高橋道雄って書かれてるの見るだけで重たい気持ちになってね」

休憩中に羽生名人は▲9六歩。

中村九段「まだまだ作戦がわかんないですねお互いにね。
なんか▲9六歩突くとひねり飛車かなとも思いますけどね」

初日午前中のゆるいトーク

中村九段「振り飛車から居飛車党になると覚えることいっぱいで大変でしょ」
山口女流「前期の成績がひどいです」
中村九段「振り飛車でも居飛車の感覚で指す人も増えてますし、
横歩取りとか激しい将棋もっされました?
私はついに指さなくなりました。先手の時ですけど。
先手で横歩取った時にちゃんと角上がってくれればいいんですけどね。
いろいろ変化があってさらに相手が若手だと常に研究してますからね。
朝からコーヒーをゆるりと飲んでるような将棋が指したいんですけど、
飲ませてくれないんです。余裕が無いんですよ朝から。
昔は朝ゆっくり指してさあこれからだったんですけど、
今はさあこれからも許してくれないですからね。
もう瞬きしてる間に戦いになっちゃう」

質問メール
中村先生は2009年度のB級1組昇級の時に、
一番嬉しかったことを聞かれてNHK杯にシードされることと答えていましたが、
NHK杯に出れるということはどれくらい嬉しいのですか。
中村九段「今だと3回勝たないといけないんです、予選で。
当時だと先崎君とか屋敷君とかそういう人がごろごろいるんですよ。
なので嬉しかったですけどね。
NHK杯は1発勝負ですし勝つ可能性も高いですけど、
若手も結構震える棋士もいますから、
度胸据わってるベテランが勝つことも多いですけどね。
攻め将棋って多少間違えても玉に影響ないことも多いじゃないですか。
受け将棋だと間違うと玉に直結するので、まあ言い訳ですけどね。
たまに出てもねえ粉々になっちゃうんであれが辛くてねえ。
解説しててもこんな将棋指したら辛いなと思っちゃって、
将棋の内容が悪いとテンション上げるのがね、大変です」
山口女流「嬉しいですか?テレビにでるのは。
私師匠が予選抜けたときにメールが来ました」
中村九段「堀口さんは奨励会同期なんですよ。
詰め将棋が鋭くて駒をたくさん渡すとすぐに寄せられるんです」
山口女流「修先生なんで受ける青春なんですか」
中村九段「奨励会時代に、飯田先生が柔道が強かったんですよね。
それで受けるんです。攻めきれないんです。
なんだかよくわからなくて、将棋って攻めちゃいかんのかなと思って。
奨励会では下手の攻めを受ける、それから反撃するという将棋が多かったんで、
丁寧に面倒見るのが好きだったんですね」
山口女流「青春はどこから」
中村九段「青春は知りません」

中村先生はバニラというかわいらしい犬を飼っていますが、
中村太地先生もバニラという犬を飼われていて同じ名前です。
犬談義をすることはありますか。
また、羽生名人は挨拶で長く棋士を続けるには猫を飼うことと述べていましたが、
棋士界では犬派猫派どちらが多いですか。
中村九段「太地君は犬の名前も同じで苗字も同じで、まあそれはいいんですけど。
僕も名人戦の前夜祭行ってまして、
加藤先生と内藤先生が猫を飼っているのでそう言ってましたね。
羽生さんは犬と兎だったかな?」
山口女流「神谷先生も猫派じゃないですか」
中村九段「すごいですよ。加藤先生を尊敬してますよその点に関しては。
犬飼うようになってその気持ちが分かりました。家族と一緒ですよね。
猫ってあんまり従順じゃないですよね、自分勝手というか。
そういうのがいい人もいるし犬がいい人もいるし。
昔はインコ、兎、どじょう、長く生きてるといろんなもん飼ってますね。
どじょうは縁日で子供が買ってきて飼うことになりました」
山口女流「なんて名前だったんですか」
中村九段「ないない」
山口女流「絶対ありますよね」
中村九段「みんな亡くなっちゃうからね。それが寂しいですね。
どじょうって水がすぐ汚くなっちゃうんですよね。
一時避難させてから水を換えて、その後つかまえるのが大変でね」

伝説の星のあるない論争について、
中村先生に真相を語っていただければと思います。
中村九段「しゃべればしゃべるほど私は恥ずかしいんですけどね、
だからしゃべらない。
まあお酒飲んでの話ですから、郷田なんかも飲んでて、
郷田はねえ変な奴なんですよ王将になったから言うけど。
事の発端は函館で酒飲んでて酔っ払ってたんですよ。
将棋盤には星がないって、ないじゃないですか、ないんですよ、っていう話をね。
100円かけようが100万円かけようが羽生さんまで巻き込んで、
大変な話になっちゃったんですよ」
山口女流「それで深夜の3時くらいに羽生さんに電話を」
中村九段「流石にそんなことはして無いと思いますが。
昔棋聖戦ロサンゼルスでやるって話になって、挑戦者になるつもりだったんで、
もし負けたら記録係りで行きますって言ったら負けて記録係りになった、
ということもありました。
酔っ払って多分谷川さんに電話かけて、しかも私は何話したか覚えてないんですよ。
星のある無い論争?しゃべれない!以上!」

中村九段対南九段のタイトル戦、不思議流体地蔵流を並べることに。
先手が中村修王将、後手が南芳一棋聖。
中村九段「南さんは昔から全然変わらないですよね。
胡坐かかないし、いや正座の方が楽なんですふふふとか言って」
山口女流「南先生言ってましたけど前傾姿勢にしているのがいいらしいですよ。
腰が楽みたいで」
ということで相掛かりの将棋になりました。

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中村九段「あまりにひどい感じなんでひどい言われ方しましたけど」
確かに歩が7七にいて飛車が7六にいますね。これが不思議流全盛期?の将棋か。

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山口女流「先生ここで封じ手ですけど覚えてますか?」
中村九段「覚えてないなあ忘れちゃうんですよね。今なら▲1五歩かなあ。」
山口女流「先生それです」

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中村九段「ここで決め手っぽい手が出るのかな?
昔はこういうところで手が見えたんだけどねえ」
と言いつつ▲1二歩の決め手をあっさり見つけてしまいました。

山口女流「それで指し手のほうはまだ動いてないと」
と言うことで中村九段が準備してきたクイズタイムに。

中村九段
現在の王将は郷田王将ですが、
羽生さんの王将はどこまで動いたことがあるでしょうか。
3段目のなかに1箇所だけ旅をして無い箇所があります。
3択にしましょう。
1三、2三、3三、この3つのうち羽生さんが旅してない場所があります。
どこでしょう。

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山口女流「個人的には3番だと思います」

正解は3番。3三玉に入られたこともある。
森下さんは入って勝った。木村さんは入ったけどつかまった。
2段目は5二玉がない、2二玉もない、あと1箇所だけないがどこでしょう。

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この出し方で1番だったら策士すぐる。
正解は7二玉。
中村九段「もしこの将棋が入玉形になったら、
3三に入らないかなーということも楽しみにしておいてください」

昼食アンケート
中村九段「前回ウナギっていってウナギ食べましたからね。
特に食べたいものはないけどなあ」

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中村九段「コンビニは無いでしょ普通」

昼食休憩明けに羽生名人は▲7六歩。
中村九段「初手がこれだと思ってました。やっと来ましたね」

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がらりというお店

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かつおのたたき
中村九段「対局のときに来たときもあるんですけどね、
ご飯おかわりタダだと思うとついつい頼んじゃうんですよ」

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壁が気になる。

詰め将棋の正解者プレゼントは不思議流受けのヒント。
山口女流「この本のタイトルは」
中村九段「昔羽生さんの本でなんとかのヒントっていうのがあって、
それをヒントにね。フフフ」

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そしてプレゼントじゃないけど新商品の糸谷竜王のスイーツハンカチ!

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一発逆転ハンカチ!
タイトルホルダーになるといろいろありますね。

といったところでクイズの続き。
羽生名人の王様が1段目で行った事があるマスはどこか。
9一に行った事はある。あと2箇所。
7一にもある。あと1箇所はどこでしょう。

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正解は3一。
中村九段「すいませんねこんなくだらないことに皆さんアンケート答えていただいて」

今年の名人戦初日雪降ったじゃないですか。その後4月16日に雹が降ったんです。

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ここでも羽生人気。正解は行方市。
中村九段「中村市は今無いんです。
西土佐村と合併しましてね、四万十市になってるんです」

ということで初手から解説に。

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山口女流「終了っと」

ここでティロフォン杉本七段から
杉本七段「もしもしこんにちは」
中村九段「これは杉本先生ですね」
山口女流「現地はどうですか」
杉本七段「あまりにも指し手が進まなくて」
中村九段「何してました」
杉本七段「のんびり見学してました」
中村九段「私も立会いでこういう展開になると、
コーヒー5杯くらい飲んじゃうんですよね」
杉本七段「私も3杯目になりました。
意表の展開だと思いますがいかがでしょうか」
中村九段「一手一手慎重でさぐりあってるような感じですね。
1局目は早かったので2局目はお互いじっくり指そうとか思っているのか」
山口女流「現地で印象に残ったことはありますか。
行方先生や羽生先生のようすなども教えてください」
杉本七段「前夜祭で行方さんの挨拶も気合が入っているような気がしましたね。
羽生さんはいつも通りというか」
山口女流「鮎の塩焼きおいしそうだったんですけど」
杉本七段「久しぶりに食べましたけどたくさん食べ過ぎました」
山口女流「トイレかなり高級だと聞いたんですけど」
杉本七段「エアコンもついてますし1日過ごせそうだなとか」
中村九段「すごいですねそれは」
山口女流「わざわざ栃木県から取り寄せたんですよね」
杉本七段「釣り上げて取り寄せたみたいです。
大盤解説はホテルのほうでやっておりまして、
これから大盤解説のゲストにも出る予定です」
山口女流「控え室の様子はどうでしょうか」
杉本七段「新聞社の方や関係者の方がたくさんきています」
中村九段「行方さんは前日飲みすぎてませんでした?大丈夫でした?」
杉本七段「前夜祭ではかなりセーブされてた感じでしたけど、
その後は見てないので」
山口女流「杉本先生は?」
杉本七段「意味もなくセーブしてました」
山口女流「谷川先生の紫綬褒章祝賀会に出られたと伺っていますが」
杉本七段「350名以上の方、棋士も60名くらいいたと思います」
山口女流「中村先生と杉本先生はお弟子さんが女流棋士という共通点がありますけど、
どういう感じに接しようとかありましたか?」
杉本七段「私ですか?基本的には弟子に取らないんですけど、
室田の場合も断ったんですけど、本人の熱意に負けたというか。
中村先生はいかがですか」
中村九段「いやー熱意?近所に住んでたっていうのもあったんですけど。
男の子と女の子では違うところがあって、
男性は四段になるまでかなり時間かかりますから。
女性は早くに女流棋士になってしまうのがだいたい分かってるんで、
長い付き合いになるかもしれないなという感じはするんで、
ただ好みが合いそうかなと思ったんで。
言うこと気かなさそ…見てなければいいんですけど」
山口女流「杉本先生は藤井君というお弟子さんがいると」
杉本七段「今中学一年で奨励会二段です」
中村九段「北浜君が恐れてましたよ」
山口女流「藤井先生も恐れてましたね。
僕のあだ名がシステムになるとおっしゃってました」
杉本七段「噂には聞いたことがあったんですけど、
藤井先生本当にそんなことおっしゃってましたか」
中村九段「いろんなところから噂を聞くじゃないですか。
詰め将棋作る方も凄いって」
杉本七段「今は作らさせないようにしてるんですけど、
本人に聞くとわりと短時間に作れるらしいんで、
さまたげにならないのかもしれないですけど」
山口女流「入門されたときはどうでしたか」
杉本七段「入門というか小学校1年の頃から知ってるんですけど、
その頃から数十年に一人の逸材だなと思いました。
将棋以外に関しては寡黙なんですけど、感想戦になるとプロ感覚だなあと思いました。
プロじゃないと分からないようなことをひとりごとでつぶやいていたので。
私あまり将棋の技術を教えたことが無いですね。教えることもないんで。
詰め将棋がもともと好きだったみたいですね」
中村九段「中学生で四段になった人が4人いますけど、本当に合致します」
杉本七段「まだまだこれからどうなるかわかりませんから。
何もしなくても勝手に成長してくれるのでそういう意味では安心です」
中村九段「阿部光瑠もね、たまに奨励会の成績を見て、
36勝6敗で何だコレと思ったことがあります。
確かにあれもいつのまにか強くなったですね」
山口女流「先生確か最近本を出されたという」
杉本七段「今週の金曜日に発売になります。
相振り飛車の絶対手筋という本です。
香川女流王将との将棋も書かせていただきました」
中村九段「いやいやいや。結構プロも買うんですよ勉強のために」
※中村九段は弟子に阿部光瑠五段、上村亘四段、香川愛生女流王将、
杉本七段は弟子に室田伊緒女流二段がいます。

電話が終わるとそこは

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おやつタイムだった!


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中村九段「ほらきた!」
もごもご説明する山口女流に
中村九段「早く食べようよ。
さっき健康診断の表もらってね、昨年しぼうかんだし石かなんかもあったりして、
今は大丈夫なんで」

休憩中に羽生名人は▲1六歩。
羽生名人は▲9六歩と端に手をかけているので、
後手の行方八段は△8三銀と棒銀を見せたのですが、そこで悠然と1筋の端歩。
山口女流「端歩は心の余裕と言いますけど」
中村九段「その言葉にずいぶんだまされました」

羽生さんのところに残っているロールケーキは、
頼んだプリンだけじゃ寂しいだろうということで現地の方がつけたらしい。

質問メール
タイトル戦の第1局は振り駒で先後を決めますが、
将棋は先手の勝率が若干高いので、第1局に先手がいいのか、
はっきり先手だと分かっている第2局がいいのか、
中村先生は第1局はどっちがいいですか。
そういう状況忘れちゃいましたけど、今もしそうなったらどっちでもいいですけど。
タイトル戦はあの立会いが多いでしょ。
そうするとね、指してるわけじゃないですけど参加してるわけで、
この前終わったからいいますけど王将戦第3局目、郷田さんが電車に遅刻してきたんです。
困ってね。電話したら寝坊してますって。
前夜祭には間に合ったんですけど盤の検分には間に合わなかったんで、
申し訳ないですけど渡辺王将の前に座りまして、
久しぶりにタイトル者の席に座って、嬉しいもんでしたね。
タイトル戦ってやっぱり真剣勝負だし、
普段の対局とは違って多くの人が係わる一種のお祭りみたいな感じで、
中心にいるんだなというのと責任感を強く感じます。
このお祭りを楽しくするのもつまらなくするのも自分次第だって。
今は立会人だから無難に終わって欲しいと思ってますけど、
扇子がうるさいとかそういうこともなくね。
主役だけど何だろう、その二人の将棋で周りが盛り上がるというのがあるんで、
みんな腫れ物に触るような感じで、若いときは申し訳ないなと思ってたんですけど、
何の話だっけ?振り駒?どっちでもいいです。
どっちかというと先手の方が一手得だからいいかな。

A級プレーオフで解説された、
野月先生と山口女流との角厨対飛車厨の対局が面白かったので、
是非お願いします。
どっちが勝つかっての?分からない。飛車だと思うけど。
普通に指してればそんな強い方が勝つんじゃないですかね。
ということで山口女流が飛車2枚、先手でやることに。

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山口女流の初手は野月七段に指された▲5六歩。

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飛車を並べる山口女流。これはちょっと勉強してきたか。
中村九段「なんかチェスみたいだね」
ここから怒涛の攻める大和撫子タイム。

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▲3七桂!
中村九段「ひえー恐れを知らない」

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▲4五桂!
中村九段「ひえーこれが噂の。このタイミングで飛ぶ?」

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▲4五銀、▲5五銀、▲4三金で悩む山口女流に、
中村九段「私の第1感は違うけど」
何故か中村九段が▲3六歩からの展開を指導する展開になり、
▲3六歩以外で指す羽目に。
※後手の3五にいる銀が働いている守り駒なので、それを攻めるということらしい。

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山口女流「何で私こんな駒少ないんだろう」
攻めダルマモード発動か。

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△5九飛
山口女流「詰めろですか?」
中村九段「さあー?」
山口女流「教えてくれないんですか?」
※実は詰めろ

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山口女流「参りました」ということで感想戦になりました。

盤上では羽生名人が▲2四歩。
中村九段「これもねえ朝10時台に突くチャンスもあったんですけどねえ。
現地の大盤解説の杉本さんもどうやって時間を潰しているのか」
山口女流「クイズありますよ先生」
中村九段「まだもう少し先までとっときたかったんですけど」

質問メール
中村先生が現地からのティロフォンで出演したときに、
中村先生の娘さんがかわいらしいので会ってみたいと山口女流が話していましたが、
その後会いましたか。
山口女流「ずばり無いです。お写真でしか拝見したことがないので是非」
中村九段「いえいえ別に、是非、はい」
山口女流「将棋会館いかがでしょうか」
中村九段「将棋指さないので…」

昔の名人戦は緊迫感がありましたが、
最近は自由な雰囲気になっているように思います。
対局室での規制などあるのでしょうか。
自由というわけじゃないんですけど。
音声入ってるんですよね。観戦者の席に普通の人が入ったら5分持たないですよ。
緊迫感はすごいですね。解説者は緊迫感が無いのが多いので申し訳ないんですけど。
昔はそういうのが無かったのでより際立ってたのかもしれないですし、
立会いの先生も迫力ありました。
私みたいにふにゃふにゃなのはあまりいませんでしたし、
丸田先生とかすごかったです。
羽生さんが名人戦の挑戦者プレーオフで将棋連盟でやったときに、
ちょっと明らかに変な手が出ちゃったときに、
控え室に30人とかいて歓声とか上がっちゃったんですよ。
それを丸太先生が一喝しましてね。何て言ったか忘れちゃいましたけど。
まあオープンになったから自由というのもあるのかもしれないし、
将棋界に詳しくない人も見れるようになったので。
奨励会の幹事のときに取材でテレビとか来られたときもあったんですけど、
やっぱりわからないですからね。
負けたら退会かもしれないようなピリピリやってるところで、
後ろでパシャパシャやられたり、
奨励会の魅力を外に発信できるようにはなったんですけど、
何だか分からないといったものが薄らいできたというのはあるかもしれないですね。
ニコ生とか電王戦とか、車将棋って何ですかあれ。
車がどんどんひっくり返ってトランスフォームになるのかと思ったんですけど。

スーパー雑談タイム
中村九段が毎年出演している京急将棋祭りについて
中村九段「先崎君と井道千尋さんが出演した時で、
神谷広志と屋敷君か櫛田くんが対局で、
千と千尋の神隠しってやろうとしたらね、かみさんに古いって言われちゃって」

中村九段「郷田君の記念グッズを作ろうかなと。
郷田が角を使った合格グッズとか。
棋士で角のつく人が二人いるんです。兄弟なんですよ。
なかくらさん。分からなかったでしょ?」
「パチッ」
中村九段「くだらないことばっかりやってるうちに▲5八玉って」

盤上の解説に戻り、
中村九段「ひねり飛車ではないですね、バランスを取った手ですね。
こうなると▲4八金とかも入るかもしれないですね。
ここでまた考えますね。だって狙いがなんとも」
コメントで弟子勝ったよと流れて、
中村九段「王位リーグ3連敗しててね、ひとつ勝ってまあよかったかな。
相手が広瀬さんで勝ったのはまあ自信につながるかな」

そこで中村九段のクイズタイム!
私この将棋矢倉か角換わりかと思ってまして、
桂馬が2五に跳ぶか4五に跳ぶか、当然二人の将棋たくさんあるんです。
羽生さん行方さんの1年間と4ヶ月の勝敗を調べて、くだらないでしょ?
羽生さんが4五か6五に跳んだときは11局あって、10勝1敗。
相手に跳ばれたときは7局あって、4勝3敗。
10勝1敗の1敗は誰でしょう。
あれ?NHK跳んで負けてた?それじゃそれは置いといて、忘れてください。
12局あって10勝2敗、もう一つの負けは誰でしょう。

佐藤康光九段13.4%、渡辺明棋王58.4%、豊島将之七段28.2%。

渡辺君は跳ぶのが多いんだよね。跳ばせないんだけど。
実は豊島君が王座戦で勝ってます。

それでは次の問題です。
行方さんが4五桂か6五桂跳ばれた方は2勝3敗。
跳んだほうが9局なんですけど、7勝2敗、ひとつは羽生さんなんですよ。負けたのが。
もう一人は誰でしょう。

佐藤康光九段20.9%、森内俊之九段39.5%、渡辺明棋王16.5%、豊島将之七段23.0%。

森内さんが正解でした。
もうひとつだけね、2五桂もやりたいんです。
これ結構羽生行方で差があるんですよ。
2五か8五桂は羽生さんが跳んだ将棋が5局で4勝1敗。
毎回やるのあれですけど負けた相手やりますか。

深浦康市九段36.6%、阿久津主税八段11.0%、
佐藤康光九段30.6%、屋敷伸之九段21.8%。

阿久津屋敷ってのはあんまり勝ったの見たことなんですよね。
屋敷君って勝ったっけ?正解は深浦さん。

羽生さんが2五か8五に跳ばれた将棋は7勝1敗。
角換わりで桂馬が跳ぶときとかに言いたかったんですけどねえ。
負けた人は誰でしょう。

森内俊之九段21.7%、渡辺明棋王46.9%、佐藤康光九段18.7%、豊島将之七段12.6%。

正解です。おめでとう。彼はやっぱ攻め将棋ですからね。跳んだときは強いです。

それで次行方さん。
行方さんが自分で2五桂跳んだのは4局指して0勝4敗。
だから4五に跳ぶように誘導しないと。
逆に相手に跳ばれた将棋は3勝1敗。
だから今日羽生さんが桂馬飛んだら、羽生ファンは4五に跳ぶように祈って、
行方ファンは2五に跳んでもらうように祈って、
ってやろうとしたら相掛かりだったんですけど。

次の一手アンケート

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中村九段「封じ手多いですねえ」
山口女流「先生1局教えてください。3六歩で」
中村九段「3六歩ねえ」
その後先手の攻めを後手が受け止めて、
中村九段「私が攻めるとうまくいかないねえ」

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今日の封じ手圧力団体は控えめ。
森九段「6時半になりましたので羽生名人の封じ手となります」
羽生名人「それでは封じます」
ということで27手目を羽生名人が封じて初日が終わりました。

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先手番で封じ手

いやー力戦で序盤から考えることが多い相掛かりですが、27手目に封じ手ですよ。
むちゃくちゃゆっくりした進行でしたが、
解説の中村九段がいろいろ準備してくれて、楽しく解説を聞くことが出来ました。
おかげで画像が32枚とかいう大変なことに。
最後に中村九段がしゃべれない!以上!と言っていた、
星のあるなし論争について。

将棋世界1998年6月号より

舞台は海の幸をたらふく食べた後に入ったスナック。
女の子に囲碁と将棋の違いを説明している時のことだった。
酔った(多分)中村さんがいった。
「囲碁の盤の上にはところどころ目印がついているんだ。将棋盤の上にはそれがない」
なかなかに気がつかない、中村さんらしい説である。
たしかに碁盤には九つ、漆が盛り上がった点がある。そこを星といえ。これは間違いない。
だが将棋盤になかったかなあ。
先崎、郷田はしばらく沈黙した。なにせ一週間以上将棋盤を見ていない。
将棋のことなど一瞬も考えていない。自信がもてない。
やがて、おずおずと郷田が切り出した。
「そうでしたっけ、中村さん。
将棋盤にも星みたいな飾りが付いていたんじゃあなかったっすか」
中村さんが「あのねえ」といった。「付いてないって」。
先輩である。その話はいったん終わった。
しばらくくだらない話をした後、郷田がぶつぶつ呟きだした。
「やっぱり付いているっすよ中村さん。そう付いている。四つついている」
「はあー、付いていないって、そんな点なんかあるわけない」
ある、ない、ある、ない。我々はもめた。両者とも一歩も譲らない。
酔っ払いがくだらないことでアツくなるのは世の常である。
それに、二人とも頑固なんだ、これが。
「ある、ある、ある。あるといったらある。大丈夫ですか中村さん」
「ない、ないに決まっている。だいたい郷田も何年将棋をやっているんだ、ないものはない」
「中村さんこそ本当にタイトルを取った男ですか、ある、あ、り、ま、す」
「いや、絶対にない」
この絶対という一言が郷田の闘志に火を付けた。郷田軍の進撃がはじまる。
「中村さん、今、絶対といいましたね。ぜえったい、ですね」
「ああ絶対だ」
「絶対ってことは100%ないってことですね、じゃあ僕が百円ここに出します。
百円と百万円で賭けましょう」
「あのなあ、お前、そういう極論……」
「極論は中村さんじゃないすか。万が一つも間違いないなら、百円貰い得でしょう」
「……」
「ほら中村さん、百円、あげますよ」
僕は正直いってあるともないとも確信が持てなかった。横で女の子が呆れだした。
「二人とも、本当に将棋指しなの」
このままでは埒があかないので、誰かに電話して聞いてみようということになった。
当時飛ぶ鳥を落とす勢いの羽生の家にジーコンジーコン。
「ねえねえ先崎だけど」
「なんですか、こんな夜中に」
「いや、実は(中略)で、あるかないか分かる、できれば見てくれない」
羽生も呆れたのだろう。
「悪いけどもう寝てるんで、そんなのいちいち見る気しないよ、けど、あるんじゃない」
席に戻って二人に、羽生がたしかあるんじゃないかといっていたと伝えた。
その時の中村さんの台詞はカッコ良かった。
「羽生時代もこれで終わった」
その後の羽生の活躍はご存知の通り。あるかないかは皆さんの盤で確かめて頂きたい。
そう、市販されている九割の盤の上には、ひっそりと、存在を恥ずかしがるかのように……。

この6年後、羽生さんは七冠を達成しました。
「羽生時代もこれで終わった」はすごいフラグでしたね…。

電王戦FINAL最終局はまさかの結末に!

2勝2敗で迎えた電王戦FINAL第5局、阿久津主税八段対AWAKEの対局は、
阿久津八段が勝利して人間側の3勝2敗に終わりました。

タイムシフトで視聴できます。

いやあ今日は思いも寄らない展開になりました。
以前電王AWAKEに勝てたら100万円という企画で、
AWAKEに悪手を指させる順で山口直哉さんが100万円をゲットしているのですが、
阿久津八段も同様の意図の手順で指し進めました。
そして…

denou5-1
あ、やった。
後手の△2八角が悪手で、手数がかかるものの角を捕獲できる順があります。
さらに…

denou5-3
巨瀬さん「ここで投了します」
終わってもーた。

河口俊彦著「盤上の人生 盤外の勝負」より

十数年前だったか、評論家で将棋ファンだった石堂淑郎さんが、
羽生、佐藤、森内など「新人類棋士」(懐かしい言葉だ)と言われた青年達を
「彼等は人生の挫折というものを知らない。
筋のない竹みたいな人生で、見ていておもしろくない」と言っていた。
A級から落ちたなどは、挫折というほどのものではない。
しかし佐藤のような負けを知らない人にとっては、大ショックだったろう。
棋士人生も下降トレンドに入ったか、と感じたかもしれない。
だが、さっきも言ったようにこの人はモノが違った。
B級1組には一年いただけですぐA級に戻り、二十四年の春には、
王将戦で久保利明を四勝一敗で破り、王将位を奪った。
こうなってみると、佐藤の内面で、節が一つ出来た、と言うことになるのだろう。
森内の十一連敗からの立ち直りにも同じことが言える。
だから佐藤もまたこれからが楽しみだが、
この人の将来には、羽生、森内と違う面が見えてくる。
棋士仲間から信望が絶大なため、早くも将来の会長という声が出ていて、
恐らく何年か後には会長になるだろう。
そこでまた節が一つ出来て、大山が会長になって変わったのと同じように、
新しい佐藤康光が生まれるはずだ。


阿久津八段はシャープな将棋や、指したい手を指して勝つタイプと評されますが、
電王戦第5局のPVを見てもわかるように将棋も生き方もかっこつけタイプなんですね。
その阿久津八段がA級順位戦で全敗した後の対局で、
勝っても賛否両論、負けたら批難轟々という、らしくない戦型にあえて挑んだのを見て、
私は故河口俊彦八段の上記の内容を思い出し、
阿久津八段も節を作って新しい阿久津八段になるのだろうと思いましたし、
その最初の対局を生で見れてラッキーだと思っていました。
なので巨瀬さんの気持ちもわからなくもないですけど、投了は残念でした。

将棋世界2015年3月号より プロ編入試験を受ける直前の今泉さんの話

三段リーグのことは今も上手く言葉に出来ないです。
言葉にしようとすると、まだ割り切れていないんやなと思います。
自分の嫌な部分をほじくり返しているような気がして……。
もう終わったことなんやからって蓋を閉じていても、パカッと開けると、
またコレを掘るん?ってなるんです。僕は甘かった。
結局、甘いから四段になれなかったんです。
三段はみんな三段になるだけの実力はあるわけですから。
甘い、という言葉はいつも自分に返ってくる。痛いんです。
自分の言葉に自分がやられてしまう。


名人戦第1局を解説していた森下九段も、
奨励会の話になると言葉がなかなか出てこなかったです。
巨瀬さんにも奨励会、プロ棋士、AWAKE、電王戦に対する思い入れがあって、
投了ということになったのでしょう。

そんなわけで終わってしまったのですが、
もしAWAKEが△2八角を指さなかったらということで、
AWAKE側を永瀬六段が指し継ぐエキシビジョンマッチになりました。

denou5-2
この後永瀬六段が普通に勝ちに行って盛り上がりました。
このまますんなり阿久津八段が勝ってめでたしめでたし、
という展開を全力で否定する鬼軍曹でした。
対局自体は阿久津八段が劣勢をひっくり返してかっこよく勝ったんですけどね。

伊藤さん
直接これの役に立つとかって正直考えてないんですよ
それはたぶん他の人も一緒だと思うんですけど

保木さん
誰かが役立ててくれるだろうくらい

伊藤さん
だいたい理系の人間ってね
自分のやってる事が人に理解されないのはですね
もう慣れてるんで


Puella αの開発者である伊藤さんと、
Bonanzaの開発者である保木さんの言葉を抜き出したものです。
その研究が役に立つかどうかは他人が勝手に決めるもんだと言ってますね。

対局後の記者会見で巨瀬さんが、
「プロが勝たなければいけないのは確かなのですが、面白いと思ってもらわないと」
と述べています。
しかし、面白いと思うかどうかは視聴者が勝手に決めるので、
投了するのは巨瀬さんの勝手ですが、
「今日の指し方はそれを否定するような指し方だ」
は無いんじゃないのと思いました。
△2八角を見て上記のように思う私のような変人もいるんだよ。
巨瀬さんは職業がエンターテイナーじゃないから投了までは納得できますし、
△2八角とかつまんねと視聴者が言うのは勝手ですけど、
ルールを呑んで参加した出演者のあんたが言う?と思いました。
そのおかげで最後の記者会見は開発者五者五様に、
気配り九段の阿久津八段という面白会見でしたけど。

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名人戦第1局は羽生名人が完勝

羽生善治名人に行方尚史八段が挑む第73期名人戦七番勝負第1局は、
羽生名人が行方八段を下しまず1勝としました。

ニコニコ生放送では9時から、解説に森下卓九段、
聞き手に鈴木環那女流二段で大盤解説会が始まりました。

鈴木女流「森下先生の予想は何でしょうか」
森下九段「△5三金だと思うんですけどね」
注目の封じ手は△4三金左でした。

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おはようございます。

鈴木女流「やはり森下先生のおじぎは長いですね」
森下九段「小学生の頃に、師匠の花村先生の後援会の方にだいぶ注意されました。
それは挨拶とは言わない、会釈と言うんだとか、会釈にもなってないとか言われて、
だいぶ鍛えられました。
師匠の花村先生から叱られた事は1回もないんですけど、
ふすまの開け方ひとつとっても、畳の歩き方ひとつとっても教わりましたね」

封じ手の△4三金左は3三にいる銀を前に出して角を押さえに行く狙いとのこと。

森下九段「封じ手の1手前の局面では、行方八段がどう指すのかわからず、
早くも後手が少しリードしたのかと思っていました。
▲6八飛はひねりだしたという手ですね。
指された直後はなるほどなあと感心しましたが、
ちょっと先手が無理な陣形で、
後手に少なくとも互角には戦える順があるのではないかと思います」

リレー質問
田丸九段から森下九段へ
最近お気に入りのお蕎麦屋さんがあれば教えてください。
えーそうですね、実はもう4年近く前なんですけれどもね、
たまたま行ったお蕎麦屋さんが、
山田道美先生のご子息の方がされていたということがあります。
駅の近くで何度も通ったんですけれども、
その時はお昼から時々一杯やってたものですから、
お客さんご職業はと聞かれたんですね。
それで将棋指しやってますと言ったらですね、私の父も将棋指しでしたと言われたんです。
もしよかったらお父様のお名前をと聞きましたところ、
山田道美ですと答えられて大変驚きました。
そば粉100%の太麺で無骨な田舎蕎麦という感じだったんですけれども、
その後四谷に移転されて、
なかなか諸事情があって閉じてしまったんですけど、
今はお蕎麦屋さんの学校で修行されているらしいです。
そのお蕎麦屋さんができたらすぐに行こうと思っています。
そのお店はまつり蕎麦というんですけど、
まつり蕎麦屋さん以外には松永さんというお店が将棋連盟の近くにあるんですけど、
まつり蕎麦さんの後に見つけたお蕎麦屋さんはあまりないです。
松永さんは将棋連盟から歩くと10分少々といったところですかね。
今日みたいにお天気がいい日は散歩コースで、
純粋なお蕎麦屋さんでご飯者とかおうどんとかがなくて、おそば、お酒、おつまみ。
松永さんは多くの棋士が行ってますから、皆さんも行かれると、
もしかしたら知っている棋士がいるかもしれませんね。
神宮前商店街というところにあります。

貞升女流から鈴木女流へ
囲碁は最近打っていらっしゃいますか。上達なさっていますか。
鈴木女流「それが上達まったくしていないんです」
森下九段「なかなか上達するのは難しいですよね。
私も囲碁は幼稚園の頃から知っているんですよ。
親父が囲碁が好きで、ただあんまり好きになった記憶がなくて、
四段になってからですね。でも強くならないです。
囲碁部の幹事もやっていたものですから、20代の頃はよく打ってました。
アマチュアの初段から三段くらいだと思います。
今はもう初段全然ないと思います。今はもう観る将ならぬ観る碁ですね。
将棋と違って囲碁は海外でも盛んなんですけれど、
韓国や中国の選手は読みと計算を4、5歳からとことん鍛えるそうです。
藤井聡太君が12歳で詰め将棋選手権優勝されていましたけど、
韓国中国の囲碁界では子供が優勝するというのも当たり前だそうです。
2、3年前ですかね、中国で8歳のプロが誕生したことがありましたね。
私も来年50なんですけど、だんだん年取ってくると読むのを省略するんですよ、
面倒になって。
若いときはしらみつぶしに読むんですよ。
でもしらみつぶしだとコンピュータには絶対勝てないです。
なので囲碁は選手寿命が厳しいですよね。
中国では30歳だとコーチになるくらい厳しいと聞きました。
いいか悪いかはわかりませんけどとにかく強いということは分かりました。
日本の将棋でよかったと思います。すごい世界ですね。
鈴木さんは以前囲碁の講座番組に出演されていましたね」
鈴木女流「あ、そうなんですよ、囲碁の講座をさせていただきまして、
万波さんから5級をいただきました。
どうしても石を取りたくなってしまって、盤全体を見ることができないんですよ」
森下九段「数年前オセロのチャンピオンに聞きましたけど、
オセロですと10手後を読むのが限界だと言ってました。
その時のコンピュータは25手読む状態だったそうです。
オセロはぱたぱたひっくり返るので、頭の中で整理しきれないそうです。
先日私がコンピュータと指すことになったときに、
子供の友だちの保護者の方に、よく森下先生コンピュータと戦えますねと言われました。
確かに私も将棋を知らなければ、
何で人間がコンピュータと戦えるんだろうと思うかなと考えました。
昔木村義雄十四世名人がどのくらい読まれるかと聞かれて、
ひと睨み3000手と答えたそうです。
今の言葉でいうと盛ったなと思いますけど、
もっと計算できるコンピュータ相手によくやったなあと思います。
リベンジマッチについてですが、事前対局で一手15分、
17時間かかってしまったのですが、3局指したんですけれども3連敗してしまいまして、
対局そのものを盛り上げるから勘弁してくれと言ったら、
いやいや勝ってもらわないと困ると言われたんですけど、
せめて盛り上げないとということで話しながらということにさせていただきました。
途中の局面で無条件で竜を作れたんですよ。
ツツカナが察してくれたのかなと思ったんですけれども、それでいい勝負なんですよ。
ツツカナの評価値を後から見たら全然下がって無いんですよ。
もう全然将棋の作りが違うんですよね。よく勝ったなあと思いました。
環那さんもずっとやってもらいましたし、貞升さんも19時間も読み上げをされて、
ただ貞升さんがおっしゃっていたんですけれども、
後でアマチュア強豪やプログラマの方に、
プロがあんなに読んでるとは思わなかった、と言われたそうです。
どうも意外だったらしくてですね、
それで実際に話してやったら結構面白いかなと思うんですよね。
対局者の生の声というのは、羽生さん何考えてるのかなとか、
行方さん何考えてるのかなとか、我々プロでも気になるじゃないですか。
実際金上がられてもう40分考えられてますよね。
封じ手の△4三金は十分考えられますから、行方さん昨日から考えてるはずなんですよ。
あと羽生さん席を立たれてましたけど何をされていたのかなとか。
コンピュータはフル稼働できますけど人間はそうはいきませんから、
どういう風に休まれるのかも我々は聞きたいですよね」
鈴木女流「A級順位戦のラス前のときに、
糸谷竜王とご一緒させていただく機会がありまして、
その時にどうしてあんなに席を立ったんですかと聞いたんですけれども、
糸谷竜王は緊張するとじっとしてられなくなる、
落ち着くために自分のリズムで席を立つようにしていたと言ってました」

一旦休憩後10:34再開。

鈴木女流「いや皆様お待たせしました。まだ進んでいません」
森下九段「進みませんねえ」

初手から解説に。

森下九段「私あまり記憶に無かったんですけれども、
結構藤井矢倉に最初厳しい批評をしたらいいんですよね。
これで勝てるとは思えないとか、藤井さんに言われたことがあります。
今ならそこまで言わないんですけど、
当時はどう見ても藤井矢倉で勝てると思えなかったですね。
藤井さんの矢倉は▲3六歩▲3七銀からこの銀を足早に活用させようということで、
これは将棋に無いとか思っていました。
今はそんなことは思っていないですけれど、これはコンピューターの影響が強いです。
先日の電王戦でもコンピュータの指し手に私も佐藤康光さんも絶句しまして、
将棋に無いような構想だったんです。
非常に感心したんですけれど、これは将棋の理屈にあってないとか、
そういう考え方は狭いんじゃないかなと思うようになりました。
しかもコンピュータは正統派でも強いんです。
ツツカナを相手にしますとね、ごく普通の四間飛車でも強いんです。
私は居飛車穴熊にするんですけれど勝てないんです。
将棋はこういった手を指すべきだとか、とらわれるのもいいと思うんですけれど、
とらわれすぎるのもよくないと思うようになりました。
コンピュータはベテランの救世主だと思います。
若い頃はアナログで鍛えて、年を取ってから新しい発想の将棋に触れられて、
私は非常に恵まれた年代だと思います。
若い頃からコンピュータ将棋を骨格としてしまうと、
将棋の基本的な形とか私もあると思いますので。
弟子の増田四段には、25歳まではアナログで鍛えて、
それからデジタルを取り入れるのがいいんじゃないかと言っています。
例えば100年後だとコンピュータが強いに決まっていますが、
人間の強さも格段に上がっていると思います。
うまくコンピュータを活用することがベテランの課題だと思います。
実はまだまだ将棋そのものの可能性が眠っていますから、
それをうまく掘り起こしてくれるものです。
私も数年前は不遜にも藤井矢倉を否定することを言ったのですが、
今はそんなことは全然考えていないです」

ここまでの消費事は行方八段が5時間53分、羽生名人が3時間54分とのこと。
持ち時間は9時間でここまで2時間の差。

森下九段「どれだけ勝ちたいと思っているのかが2番から最下位までの差、
一番は勝てると思っている、
何かでこれを読んでなるほどなと思いました。
そのことを塚田正夫先生が自信を持てと言っているんですね。
大山先生がそれを聞かれて自信を持たせちゃダメなんだよねと答えたそうです。
いかにも大山先生らしい言葉ですよね。
羽生さんは勝てると思ってるんでしょうし、挑戦者は勝ちたいと思ってるんでしょうし、
勝ちたいと一番思っているから挑戦者になっているんですけれども、
勝てると思っているのが羽生さんなんじゃないかと。
人間って勝てるかどうか微妙に相手との距離を測っていますよね。
羽生さんが手が震えると言いますけど、それだけ真剣なんですよね。
普通震えませんもん。
私も羽生さんと研究会したことがありましたけど、研究会では震えませんから。
私はC級2組で何年もいましたけど、最後の年は前の晩に眠れたことが1回もないです。
前の日と当日は2日間一睡もできませんでした。
そこまで追い込まれて一番きつかったです。
5期目は人生で一番きつかったです。
手が震えたかはわかりませんけど、前日と当日は眠れませんでした。
昇級が決まった時は嬉しかったというよりやれやれと思いました。
それから眠れなかったことは1回もないです。
勝ちたいっていうのも大変ですけど、
負けたらどうしようっていうのは相当きつかったです。
去年の電王戦は久々に負けたらどうしようと思ってきつかったです。
今の阿久津さんは相当きついんじゃないでしょうか。
自分が負けて負け越しってきついじゃないですか。
しかも2勝2敗で大将ですよね。FINALでファイナルなわけです。
最後もし阿久津さん勝ちましたら、
今回順位戦不調ですけど、それらがすべて帳消しになるんじゃないでしょうか」

質問メール
今朝のお話で囲碁は中国韓国の若手が強いと言う話がありました。
これは初期から英才教育をするのが強いということだと思います。
そこで将棋の英才教育はどうでしょうか。
森下九段「私は賛成じゃないんですよね。
あのーそこまでやるのはどうかなと思っています。
もう10年以上前なんですけど、韓国の若い棋士の自戦記を読んだんですけれども、
4、5歳の頃から負けるような奴は死んでしまえ、自分にとって囲碁は勝つか死ぬかだ、
と考えていたと書かれてたんです。
日本の囲碁棋士もこんな人とやるのは大変だと思ったんですけれども、
そこまでやっていいのかという思いがあります。
私も自分の子供にそんなことをさせたくないですし。
例えばイ・チャンホさんという方が16歳で世界選手権で優勝されて、
囲碁はレーティングがきっちり出てて、イ・チャンホさんが今60位くらいなんですよ。
でもイ・チャンホさんより上のランクに入っている囲碁の先生は、
日本では井山さんしかいなかったはずです。
何ヶ月か前に私が見たランキングでは入ってなかったですね。
やっぱり凄い世界ですけどそこまでやっていいのかなあと思います。
増田四段が入門する時も、そこまでやった方がいいとはとても言えなかったです。
でも何としても、将棋の世界戦が例えばありまして、
毎日が特別強化合宿だとなったらそれは強くなると思います。
しかし犠牲者がたくさん出ますから、それがいいとは私は思わないです。
ただやればそれは強くなると思います。私は指導者としては絶対やりたくないです。
環那さんはどう思いますか」
鈴木女流「そうですね、何が幸せかというのがすごい難しいなと思います」

アンケートどちらの形勢がよいと思いますか?
行方八段14.5%、羽生名人52.8%、ニャンとも(何とも)言えない32.7%。
圧倒的羽生名人。

質問メール
将棋界で一番影響を受けた人物は師匠という方が多いと思いますが、
将棋界以外で一番影響を受けた方はだれですか。
森下九段「将棋界以外でですか。うーん」
鈴木女流「ずっと将棋界に子供の頃から居ますからね」
森下九段「趙治勲先生がですね、私が四段になって間もない頃だと思うんですけど、
だから勝つのだという本を熟読しました。
とにかく囲碁一本にひたすら打ち込めという、当たり前と言えば当たり前なんですけど、
だんだん難しくなっていきますよね。
その本を読んだのは20歳になってなかったと思うんですけどね、
なるほどこういう風に考えるものなんだと思いました。
野球でも王監督が大好きなので、潔く生きたいとかもありました。
でもやっぱり将棋界の人になりますかねどうしてもね」
鈴木女流「私王監督の名言集みたいなのを買ったことがありまして、
その中の言葉を色紙で書いたこともありました。
今ある中でベストを尽くせとか、この言葉いいなと思って」
森下九段「よく歩がもう一枚あればいいのになとか思いますけどね、
なるほど今ある中でですか。王監督の潔さが好きですね」
鈴木女流「私は将棋界以外では難しいんですけど、
プロフェッショナルという番組が大好きで録画して何回も見ています。
いろいろな業種の方が見えられて、清掃のプロの方とかも、
影響を一番受けている番組はそれですかね」
森下九段「番組といいますとテレビ説法極意なりという番組があったんですけど、
いろんな道の人が極意を語るという番組でして、
お坊さんが何で出家しなければいけないのかという話で、
在家でやっているといくら一生懸命にやっているつもりでも、
やりくり上手になってしまう、出家してしまうとそれしかないんだとおっしゃっていて、
年を取るごとになるほどと思いました。
その昔佐々木慎君が四段になったときなんですけど、
奨励会の時は月2回の例会のためだけに生きてきたと書いていて、
なるほどそうなんだろうなと思いました。
それをずっと持ち続けるというのが難しいのだろうなと思いました。
羽生さんが持続することが才能と言ってましたけど、それが一番大変なんだろうなと」

自分は先生の解説が好きでいつも感心しております。そこで2つ質問があります。
解説のときに気をつけていることはありますか。
どうしてもプロ向けの解説になりがちなんですよね。
だいたいアマチュアの3級くらいの方から3段くらいの方が、
わかってくれるような解説を目指しています。
そのくらいの方が一番層が厚いですので気をつけています。
大分前なんですけど初めてお会いしたファンの方から、
森下先生って傲慢な方なんだと思ったんですけど穏やかで驚きましたと言われて、
何でですかと聞きましたら、
こんな手は将棋に無いとか悪手というより将棋になってないとか、
そう言っているからとのことで。
確かにその時はそうだったのかなと思ったんですけれども、
先輩の島九段からも、
森下君は将棋に無いが得意だからなとか、
悪手と言われるよりよっぽどこたえると言われました。
指し手ではなくてセオリーでわかってもらえるように注意しているつもりです。
自分なりに考える解説四天王は、木村先生、鈴木大介先生、藤井先生、
森下先生だと思うのですがいかがでしょうか。
あんまり他の方の解説をこうだと思ったことは無いんですけれども、プ
ロの目で見てしまうかもしれないですね。
囲碁の先生の解説でわかりやすくて好きな棋士はいます。
羽根直樹先生とか、宋光復先生とか、中根直行先生とか、
わかりやすくて面白いんですよね。
解説が難しいと全然わからないじゃないですか、本当に絶品ですね。
将棋の先生の解説だと、
確かに木村さんの解説はアマチュアの方にとってわかりやすいと思います。
鈴木大介八段にお世話になった方はずいぶん多いと思いますよ。
永瀬さんもそう言ってましたよね。
鈴木先生のお弟子さんの梶浦さんが三段のときに、
森下先生は梶浦君をなかせたことがあるらしいですね、
と誰かに言われて、そんなことないはずなんだけどなと思ったんですけど、
1回だけあったんです。
もう5年位前だと思うんですけど、梶浦君当時1級だったんです。
練習将棋を指していましたら、指すたびに駒損をしていくんです。
僕がその時に、粘っているのと指しているのとの区別はつけないといかん、
と言ったんです。
その後鈴木さんすいませんと言いましたら、
そんなこと言ってくれていいんですと答えてくれました。
粘り強く頑張るというのは大事なんですよ。
でも奨励会1級ですからね。
粘ってるというのと指してるだけというのの区別はつけないと。
その時涙ぐんでたなと思い出して、後から鈴木大介先生にすみませんと言いました。
真面目な青年なんですよ。これからぐんと伸びていく棋士だと思います。

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羽生名人はじっと△5三金。
激しく行く手だと将棋が一本調子になってしまうかららしい。

昼食アンケート
おそば47.0%、お寿司15.8%、和食バイキング18.0%、うなぎ19.1%。
森下九段がお蕎麦と言ったのでその効果か。
森下九段「鈴木さんはお昼軽くてもいいんですか?」
鈴木女流「私今日朝からお肉だったのでお昼はさっぱりで」
森下九段「朝からお肉ですか。若いですね」
肉食系女子。

昼食休憩があけて30分。まだ手が進まないまま解説再開になりました。

森下九段「お昼はちょっとしたハプニングがありました。
松永さんに行ったんですけど」

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ガーン。

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ということで和食のお魚屋さんに行きました。

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ブリ丼800円!小盛り100円引き大盛り100円増し!
正解は和食なんですけどバイキングではなかった、
ということでまさかのどれでもないになりました。

現地写真

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盗撮風?

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羽生名人の昼食は昨日の解説の田丸九段の予想通り。

森下九段「何か若いですね名人やっぱり。
ピザと言えば昔から行きつけのイタリアンのお店にピザがないんですね。
それでずっと考えていたんですけれども、
聞いたほうが早いかなと思って聞いてみたんです。
そしたら料亭にお好み焼きがないようなものですって言われました。なるほどですね」

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行方八段は昨日と同じくビーフカレー。
前の日と同じ昼食にする傾向は一緒ですが、
田丸先生の予想は少しひねってポークカレーかハヤシライスだったので、
ひねった分外れました。

鈴木女流「私こっちの方が身近です」

羽生名人がこれまで食べた昼食一覧に松花堂弁当があって、
森下九段「今松花堂弁当で思い出したんですけれども、
berryz工房ってあるじゃないですか。アイドルの。
そのメンバーに熊井さんという方がいまして、熊井語録というのがあるんですよ。
その中に非常に感心した言葉がありまして、幕の内弁当はおいしいけれども、
心に残る幕の内弁当はあまり無いっていう言葉なんですけれども、
確かにその時はおいしいんですけど、
もう1回食べに行きたいってあまり無いじゃないですか。
やっぱりイカ飯とかそういうほうが残るじゃないですか。なるほどなと思いました」

再開後1時間たちましたが、行方八段はまだ指しません。
羽生名人の△5三金寄がいい手だったのかなと思っていたら、
長考の末行方八段は▲4六銀と指しました。

森下九段「ほー。思い切りましたねこれは。でも大丈夫なんでしょうか」
すぐに後手から△4五歩と銀取りにする手があって、
この時に戻るのは変だし手抜きもどうなんだろうとのこと。

森下九段「森下の矢倉は名著なんですけれども、
何で文庫本にならないのか不思議でしょうがないです(キリッ」

質問メール
先日の聞き手の貞升女流はどうぶつ将棋トーナメントで優勝されましたが、
環那女流や森下先生はどうぶつ将棋は指さないのでしょうか。
森下九段「私は見たことはあるんですけどやったことはないですね。
連盟に置いてあるのは見たことがあるんですけれども」
鈴木女流「あります何度も。ものすごい面白いです。
ゴロゴロ将棋というのもあってそちらも面白いです。
どうぶつ将棋と違ってゴロゴロ将棋は本将棋と同じ動き方の駒なので。
家族みんなで集まった時に、
私がスポンサーで賞金を出して、みんなで指しました。
甥っ子に勝たれちゃったり。
あとありましたよね狼の、人狼!」
森下九段「私人狼って最初何だろうと思いました。
トランプのゲームか何かかと思いました。今度囲碁の方とやるんですよね」
出演棋士に伊奈川女流の名前があって、
森下九段「私こないだ初めて伊奈川さんを見ました。
グラビアで見たことはあったんですけど、
あ、この人が伊奈川さんだと思いました。寡黙な印象でしたね」
鈴木女流「私伊奈川さんが小学生だったときに道場が一緒で、
私がずっと女の子一人で通ってたんですけど、後から伊奈川さんが来られて、
たまに対局が同じ時に控え室で一緒にご飯を食べたりもしました。
小さいときからとても頭が良かったので、
女医でもあり女流棋士でもあるという方が出たらとても話題になりますよね」
おしゃべりな人のテンパリ方ではなかったですな。

森下九段に質問します。
先日電王戦FINALで、稲葉七段が楽をして勝とうと思ってしまったと言ったのを聞いて、
森下先生が師匠の花村九段に、
楽をして勝とうと思ってはいけないと言われたと言っていたのを思い出しました。
当時谷川先生が四段か五段で、横歩取り4五角戦法で何番か勝ってたんですよね。
これはいいと思ったんですよ。
こんなに勝てるんだったらと思って研究してたんです。
それを師匠に言ったときに、研究するのはすごくいいことなんだけれども、
楽をして勝とうと思ってはいかんと言われたんです。
自分としてはそういう意識はなかったんですけれども、やはりどこか出てたんでしょうね。
研究に甘えて嵌めて勝とうというのはやっぱり邪道なんでしょうね。
花村九段には私が思ったことより深い意味があるのかなと思いました。
今現在どういったことをお感じになりますか。
当時は子供でしたけど楽して勝ちたいというのはあったんでしょうね。
師匠に見事に見抜かれてまして、研究して勝とうというのはいいけれども、
楽をして勝とうと思ってはいかんぞと、名言ですよね。
花村先生は私より50歳くらい上で、おじいさんと孫と言う年齢差なんですけど、
怒られたことはなかったですね。注意をされたことはあります。
師匠が色紙をかいておられたんです。
そこでお茶をもってこいと言われまして、文机にお茶を置いたんです。
そしたら師匠が、このお茶がひっくり返ったら色紙が全滅するだろう、
こういうときは下に置くものだと、その1回だけ怒られました。
色紙に関してはもう1回ありまして、師匠が後援会で話していて、
後援会の方に、1枚1枚丁寧にかかれてますねと言われまして、
書くほうは何十枚でももらう方は1枚だからと師匠が答えられて、
なるほどなと思いました。
3年位前に将棋のイベントで、
金井五段が名前からから書いていたのを渡辺竜王が見ていて、
金井君、色紙は右から書くものだと言っていました。
それを私も見てまして、私も実は名前から書いていまして、
すいません私もと言ったら渡辺さんは渋い顔されてましたね。
佐藤康光さんも、私も名前からって言ってました。
私は手が汚れちゃうから名前から書いてたんですけど、
佐藤さんがおっしゃるには、我々将棋指しが書く色紙は名前に価値がある、
だから名前から書くんだと言われて、さすが佐藤康光だと感心しました。
名前こそが我々将棋指しの価値でしょと。
その話を先日マイナビオープンで谷川会長が来られた時にしたんです。
会長はもちろん右から書くんですよ。
そしたら会長はうーんちょっとその話は無理がありませんかって。
会長はドライだなと、そう言われたら無理そうなのかな?と思いました。
でも名前に価値があるっていうのは気がつきませんでした。
花村先生から怒られたことはないんですけど、
細かくさりげなく言われたことはよく覚えていますね。
年取るごとにだんだんと、なるほどなと思うことがあります。
花村先生はご苦労された方なので、人の気持ちを理解されているんですね。

コメントで増田四段に怒ったことはありますか?と聞かれて、
森下九段「私の弟弟子に深浦康市九段がいるんですよね。
深浦九段の根性を見習って頑張った方がいいぞと言ったことはあります。
深浦君のような何が何でも勝つんだという根性がちょっと欠けるんじゃないかな、
と思ったことがあったんでその時に少し言いました」

おやつだ!
ニコナマのおやつは椿山荘オリジナルクッキー

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森下九段「結構さっきのお昼がまだこたえてるんですよ」

お茶がおいしいということで、
森下九段「私も奨励会の時お茶の煎れ方結構学びましたよ。
花村会というのが当時ありまして、おじいさんがいっぱい、
あ、おじいさんと言うと怒られちゃいますね。その時に習いました。
浅草の濱清さんという料亭で習ったんですけれども、
まず急須に茶葉を入れまして、湯飲みにお湯を注ぐんです。
その後湯飲みのお湯を急須に注ぐんですね。
いろいろご年配の方仕込みですね。その時のことだけで今やっています。
不思議なもので子供の頃に覚えたのは忘れないんですけど、
最近のことはすぐに忘れるんです。
奨励会のときに読んだ本は未だに覚えています。
米長の将棋ですとか、中原誠実戦集、大山中原激闘123番、中原米長百番指し、
でも昨日並べた棋譜はあれなんだっけって。
やっぱり若い人と戦うには若い人より勉強しないといけないんですね。
若い人が1時間でできることをこちらは3時間やらないと覚えられないのに、
10分とかでごまかしちゃうのはいけないんですね。
私が弟子を取った時に勝又教授とお話しまして、
幼い頃に将棋を覚えて、いい指導者、いいご家族、
周りの方々にめぐまれたらどんな子でも強くなりますよねって言ったら、
勝又さんがいえ違います、将棋はまず才能ですって言われました。
その時はそうなのかなーうーんと思ったのですが、
深浦さんを見ていると根性と才能だと思います。
先日亡くなられた河口先生が、将棋界は才能の墓場だと言われていました。
才能を活かしきったものはなかなかいないと」

休憩中に行方八段は銀取りに手抜きで▲5六歩と金取りに当てました。

行方八段にいい変化が見つからず、羽生名人がいいのではないかと森下九段。
持ち時間も行方八段は1時間になってしまいました。
鈴木女流「先生からみて形勢はどのくらいですか」
森下九段「7分3分くらいですかねえ」
結構離れてしまったか。

ここでティロフォン田村七段から
田村七段「もしもし田村です」
鈴木女流「現地の様子はいかがでしょうか」
田村七段「現地も形勢判断に困っているようで、どうなんでしょうかこれ。
なんとなく私は行方さんが上手く指しているようなきがしているんですけど。
羽生さんのほうが評判がいいんですか」
森下九段「へー△7五歩も激痛、△3三歩でも自信が無いと思うのですが、
結構先手も忙しいですか」
田村七段「△3三歩は全くこちらでは見えてなかったんですけど、
行方さんの駒の方がすごい勢いがあっていいと思ってたんですけど」
森下九段「勢いが止まってしまうと痛い手があるので先手が忙しいと思っていました」
田村七段「私の感性だと勢い重視で先手だったんですけど、
現地でも後手よしの棋士がいて分かれています」
鈴木女流「現地にはどんな棋士がいらっしゃいますか」
田村七段「現地は深浦九段、野月七段、あと若手がたくさんいますね」
森下九段「田村七段の棋風からいくと先手持ちですか」
田村七段「いやー△3三歩がまったく見えてなかったんで」
森下九段「先手の駒に勢いがあると言う見方はきがつきませんでした」
田村七段「目一杯駒を使っているような気がします」
森下九段「取られる直前ですけど取られる直前が一番働いているとも言いますから。
うーんそうなんですねえなるほど」
田村七段「優勢というよりなんとなくという感じですね私の場合は」
鈴木女流「田村七段は今回副立会人ですが、両対局者の様子はいかがでしたでしょうか」
田村七段「羽生さんは慣れているというか普段通りというか、
行方さんはやや緊張してるかなと。
でも将棋は堂々としたもので、
私なんかだと時間が減ってくると怖いんですけど全然気にしないですもんね。
単純な攻めあいだと行方さんいけると思うんですけど、
△3三歩だと確かに何指していいかわかんないんで」
鈴木女流「そう聞くと先手の駒の勢いがあるのかなと思ってしまいますね」
森下九段「正直言って73くらいで後手がいいと思ってたんですけど」
田村七段「私年が近いんで応援してる面もあるかもしれませんけど」
鈴木女流「ここ数手がかなり注目ですね。
現地で多数決していただきたいくらいですよね」
田村七段「軽く聞いてみますね。
(電話の向こうから)先手がいいとおもうひとー。後手がいいとおもうひとー。
後手の5勝0敗でしたね(泣)。挙げて無い人もいますけど」
やはり応援補正が入ったか。

質問メール
私は小学生の頃将棋のルールを覚えたのですが続きませんでした。
しかし電王戦で森下先生が真摯に対応されていたのを見て、
忘れていた情熱を呼び覚まして40を前にして将棋を勉強しなおしたところです。
森下先生にあこがれて矢倉を得意戦法にしたいのですが、
相手もいることなのでなかなか矢倉になりません。
私のような初心者が矢倉を最初に学ぶ戦法とする場合、どのようなプロセスで、
どのようなことを意識するとよいでしょうか。
森下九段「矢倉戦はですね、相手もそれに応じてくれないと成り立たない、
というのが大きな欠点なんですね。
振り飛車は自分が振ればなるんです。
なので双方の合意が必要というのがポイントです。
矢倉戦は手筋の宝庫なんです。なのでいろんな局面で応用が利きます。
いろんな意味で応用範囲が広いですね。
矢倉を学んでおくと言うことは後々大きいと思います。
相居飛車自体が成り立たない欠点があるんですね、相手が振るとだめですから。
矢倉の指し方を基礎として、応用の効く指し方を目指したいですね。
居飛車党でしたら相居飛車と対振り飛車。
そういったので徐々に覚えていくといいと思います。
矢倉戦は思いも寄らない手筋がたくさんあるんですよ。
このまま是非是非覚えていただきたいですね。
他の戦法を全く知らないというのは厳しいんですけれども、
矢倉を基本とするのは立派なことですね」
鈴木女流「いずれ指導対局を受けてみたいと書いてあります」
森下九段「指導対局で時々緩めてるんじゃないですかと言われるんです。
下手の人がどうすればヒットやホームランを打てるのか、
というのが上手の力量なんです。
その人が一番力が出るようにするというのがプロなんです。
初段の人が初段の力を上手く引き出して、いい将棋にするのが上手の力量ですから、
ただ打ち負かせばいいのではなく、緩めればいいのではなく、
8級の人もいれば5級の人もいる、初段の人もいるという中で、
その人の力を引き出すのが上手の力量です」
鈴木女流「その考えになったのはいつ頃ですか」
森下九段「昔は違ったらしいんですね。
らしいというのは、島先生に、
森下君も五段六段の頃は相手が角落ちでと言われたら不愉快な顔をしてたよね、
と言われたことがあります。
囲碁で指導を受けた時に、下手の力が全然出せなくて、
どんどん石を取られて負けた時がありまして、その時に思ったんですね。
指導対局ですから、どうしたらその人が力がつくのかというのがメインですから、
その人の長所を引き出して、短所が少なくなるような指導をするべきじゃないかな、
と私は思うんですね」

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羽生名人は無慈悲な△3三歩。辛い。
森下九段「本当に3三歩打ちましたね」

△4六歩と銀を取る手と△7五歩で金を取る手の2つの狙いがあって、
先手は▲5五銀から暴れて勝負にいくしかないのではないかとのこと。
といったところでGPSが▲5五角を示したとのコメントが流れて、
森下九段「はーなるほど、これはいい手ですねー。ただ△6三歩でどうかなあ」
といったところで行方八段は▲5五銀。

次の一手アンケート
△4三銀48.6%、△6六歩17.3%、その他34.1%。

森下九段「私東京に来た時ついたあだ名がかっぺでした。
最初自分が呼ばれてると思ってなくて、無視すんなかっぺとか怒られて。
東京ってえぐいなーと思いました」
鈴木女流「子供って残酷ですよね。
私みんなから、将棋やってるから王手って言われてました」

などと雑談していたらコメントが投了とざわつきました。

森下九段「え!?投了されたんですか?
行方さんらしくないですねこの投了は。うーん…。
行方さんってこういう将棋をたくさんひっくり返してこられた方ですからね。
これはびっくりしました。
こういう将棋をずっと頑張ってこられた方ですからね。うーん…」

ここからずっと律儀先生のターン!

私が後手持って先手がponanzaだったら全然自信ないです。
行方さんはこういう局面で逆転されたことはいっぱいあります。
私はこの局面じゃ投げないです。
これはまだ将棋としてもひと山ふた山あるんじゃないかというところですから。
いや、これが島先生とか藤井さんだったら投了もあるかもしれませんけど、
最後の最後まで指すのが行方流ですから、この投了はびっくりしました。
行方さんトコトン頑張ってますよいつもは。
羽生さんだから諦めたということがあるんじゃないですかねえ。
ここで投了してると後きついですよね。七番勝負の最初ですから。
例えば相手がponanzaやAwakeならやるだけ無駄だというのがあると思います。
しかし相手が生身の人間ですし勝負ですから、このぐらい頑張らなきゃと、
しかも行方さんですからね。
恐らく1日目から悪かったという意識があったと思います。
そういったことがもろもろあって、負けましたってことになったと思いますけど、
名人戦続きますからね。行方さん根性で勝ってきた方ですから。
私が言うのもなんですが、
羽生さんと戦う棋士は、羽生さんと戦う前に羽生神話に勝たないといけないんです。
正直言いますと周りの人に、羽生さんに勝って欲しいというのがあるんです。
でも一人で戦わないといけませんから。
周りもこの人が勝つと思ってますから、戦う前に羽生神話に勝たないといけないんです。
まず神話に勝たないといけないのが挑戦者きついですね。
これが相手がコンピュータになるとさらにきついです。
今の阿久津さんのプレッシャーたるや凄いんだろうなと思います。
私もツツカナとずいぶん指しましたけど、逆転はまずないです。
将棋は相手が間違えてくれるだろうと思えるから頑張れるんです。
しかしびっくりしましたね60手というのは。ちょっと驚きましたねこれは。
でもまあそれだけ羽生さんの迫力というかオーラが凄かったんでしょうね。
1日目からちょっと行方さんがらしくない動きしてますよね。
力が発揮できそうにない展開だと思いました。
でも羽生さんがそういう重圧をかけてるんじゃないですかね。
将棋って不思議なもので相手が弱いと思っているとミスが出なくなるんです。
強いと思っているとむちゃくちゃになってしまうんです。
ですから行方さんもそういう状態なのでしょうね。
プレーオフで久保さんとやった将棋とか、順位戦で深浦さんとやった将棋とか、
力を出して逆転されてましたから。

ということで初手から解説に。
行方流が出る将棋のつくりじゃないということで、その点も解説になりました。
森下九段「行方さんは序盤早々から策を凝らすと言うよりは、
中盤過ぎから本領を発揮するタイプなので、
矢倉の早囲いを見せたあたりから違和感を感じていました。
行方さんの将棋として、相手についていってから行方流を出すというのが、
将棋に合っていると思います。
また、王様を動かす前に▲3六歩から▲3七銀と攻め駒の陣形を先に整えたことも、
何かいつもより違和感がありましたね。
△6四歩から△8五歩は流石名人だと思いました。
先手は2六の歩が中途半端で、2五にいるか2七にいるのがいいので、
行方さんも長考して2筋にいる飛車を△6八飛と指したんですけれども。
羽生名人の△5五歩に対してすぐに▲同歩と取った手も、
3七の銀を▲3六銀と指した方が、銀の顔が立つのではないかと思いました。
△5三金はいい手でした。流石羽生名人という手ですね。
▲4六銀は行方さんとしてはもう悲観されていたと思います。
また言葉が悪くて傲慢だと思われてしまうかもしれませんけど、
この手は首を差し出した、に近い手ですよね。
ならばこの▲5五同歩の時に考えるべきですよね」

どうも60手で投了は名人戦最短記録とのこと。

森下九段
行方さんはこういう将棋をひっくり返したことが山ほどありますから、
ここで投了とは驚きました。 
もうひと山ふた山くらいあると思ったのですが。
悲観した局面が長く続いていて苦しかったというのもあると思います。 
羽生さんの貫禄もあったのかもしれません。 
2局目以降は頑張ってというか、本来の将棋を指してもらいたいですね。

ということで行方八段が名人に初挑戦となった第73期名人戦七番勝負第1局は、
羽生名人が貫禄を見せて60手で勝利となりました。
最後の森下九段の森下節で、
突然流れ弾が島九段と藤井九段に飛んでいったのは笑ってしまいました。
行方八段は以前ボロ負けした後に泥酔いして、
「先崎のような手を指してしまった」と言い、
先崎九段がもう一度言ったら灰皿を投げつけるぞと返したら本当に言って、
もちろん灰皿も飛んだというエピソードなんかもありますが、
今日は泥酔いコースかな?
第2局は森下九段も言っていましたが、本来の将棋を指して欲しいですね。

第73期名人戦七番勝負第1局初日が終わる

羽生善治名人に行方尚史八段が挑む第73期名人戦七番勝負第1局初日は、
羽生名人の封じ手で初日が終わりました。
行方八段といえば新四段になった時のインタビューで、
「羽生さんに勝っていい女を抱きたい」と語ったことでも有名ですね。

振り駒の結果行方八段が先手となりました。

ニコニコ生放送では9時から、解説に田丸昇九段、
聞き手に貞升南女流初段で大盤解説会が始まりました。

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おはようございます。

注目の初手は▲7六歩。
田村九段「私は△8四歩を予想しますが、仮にそうなったとしても、
まだ矢倉になるか角換わりの将棋になるかはわかりませんね」
羽生名人は△8四歩。

田村九段「振り駒は誰がやったのかな?
3年前は徳川宗家18代目の方とか、他には時の文部科学大臣とか、
ゲストが振り駒をする時があります。
羽生名人は名人戦8年連続でね、振り駒は前回までは表が3回で裏が4回、
でも羽生名人の先手は1回だけでね、今回も後手で7回後手というのは偏ってるよね」
行方八段は▲6八銀で矢倉模様に。

羽生行方戦は過去15局。羽生名人の12勝3敗で全部相居飛車の将棋とのこと。

田丸九段「大山先生なんかはね、
1局目四間飛車、2局目中飛車、3局目三間飛車みたいに変えてきてね、
今は横歩とかでも、同じ局面で先手と後手両方持つ人がいて、不思議な感じがするよね。
昨日前夜祭ちょっと顔を出して、200人くらいいたのかな。
7時半くらいに会場を後にしたんですけど、
最後に両対局者が挨拶というか豊富を語ったんですけどね。
挑戦者ね、今までいつも会場の奥のほうで見てて、
今ここにいるのが不思議だとか言ってましたよ。いつも後方で酒ばかり飲んでたとか。
来年もこの場にいたいって、会場じゃなくてステージの方に。勝利宣言。
勝ちたいって言ったのは確かなんですよ。
普通は胸を借りたいとかね、それが普通だけどね。
羽生名人はいつも通りね、淡々と、この場に立てるのは名誉ですとかおっしゃって。
今年の3月に引退された内藤九段がこられて乾杯の音頭をとって、
あと羽生名人は挨拶で内藤九段と加藤一二三九段のことに触れられてね、
お二人の共通点は猫が好きだって。
名人戦の挨拶で猫の話っていう昨日の前夜祭で。
内藤九段すごく元気良さそうでかっこよかったですよ」

ここで振り駒は大和証券グループの社長さんらしいとの情報が。
日比野隆司執行役社長とのこと。

田丸九段「2011年に突然米長会長が、
文部科学大臣に突然どうぞって言って、振り駒をしたんです。
翌年には名人400年ということで徳川宗家18代目の方がされました。
行方さんはタイトル初挑戦が38歳五ヶ月で、3番目に遅いんですね。
一番遅いのが本間爽悦八段で44歳で棋聖戦、
二番目が加藤博二九段の42歳で王将戦、
ふたつとも50年くらい前の記録なんですね。
41歳3ヶ月での名人戦初挑戦は2番目の年長記録で、
45年前に灘蓮照九段が43歳で大山名人に挑戦したのが一番遅い記録です。
名人戦は過去50年で初挑戦した棋士が18人。第1局の戦績は9勝9敗です。
勝った棋士は有吉九段、中原九段、大内九段、森けい二九段。
有名な坊主で来た対局で、その時の記録が私だったんですよ。
特別立会人が大山先生で立会人が花村九段で、
大山先生は一瞬ぎょっとした感じだったけど坊主が3人いるなととっさに言いました。
あと谷川九段、高橋九段、羽生さん、丸山九段、郷田九段。
第1局は結構初挑戦者が頑張ってるんですね」

ここで行方八段がプロデビューした翌年、
竜王戦挑戦者決定戦まで勝ち上がった時の写真を大公開。相手は羽生名人でした。

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田丸九段「これ行方さん19歳だよ?羽生さんが24歳で。羽生さんあんまり変わらない?」

貞升女流「先生は記録係りで印象に残っていることはありますか」
田丸九段「僕はやっぱり中原名人に大内八段が挑戦した名人戦で、
3勝3敗の後の局面で、
大内さんが必勝になったのに、もつれにもつれて持将棋になった時のことかな。
終わった瞬間対局者どたっと倒れるようになりました。
8局目まであると思ってなくて、対局日程が決まってないから、
翌週か翌々週かで両対局者でもめてね。
記録係りの私が振り駒で決めることになりました。結局翌々週になりました。
初めて記録をとった対局は私が中学生の時で終局が午前2時半で、
今なら問題になるよね。
途中で眠くなっちゃってね、対局者に『君指したよ』って起こされてね。
入りたての子がね、そろそろ終電に間に合わないって言ったという笑い話もあります」

質問メール
田丸先生は升田先生と和服で対局されてましたよね。
升田先生との逸話などを教えてください。
1975年だからちょうと40年前に、王位戦の2回戦で当たったんです。私五段時代で。
真正面だとやっぱりオーラがありましたね。
升田先生の向かい飛車で私が急戦で、一方的に攻められてたんだけど、
私が粘ってたら升田先生が攻め疲れて短気になっちゃって、
そのうち形勢が逆転して勝っちゃったんですけど。
とても向き合って会話するという機会はなかったね。
感想戦もしたのかなあ?あんまり覚えて無いですね。夢中でやってたせいか。
升田先生はそれからしばらくして休場しちゃったんですよね。
その後は10局くらいしか指してないんじゃないかな。だからいい時に指せました。
対局中はいろんな雑談をされて、ちょっとエッチな話もしてました。
中原名人と対局したときなんか中原名人も笑いだしちゃって、
そのうちポカもでて作戦だったのかもしれない(笑)。
升田先生のお宅にも2回くらい行った時があって、
鷺ノ宮駅から南にいくと左に米長宅、その向かいに升田宅、すぐ近くに囲碁の藤沢秀行宅、
あの近くにすごい豪傑が3人も集結してました。
升田先生はお湯で割った焼酎をちびちびなめながらいつも囲碁を打ってましたね。

最初の駒を並べるところから見ていましたが、とてもよい音を鳴らしていました。
いい音をたてるコツとかはありますか。
行方さんの方かな。ぱしっとね。ぺちゃっじゃなくてね。
サウスポーでかっこいいですよね。
行方さんは確かにいい音でね、加藤九段はびしっばしっ。
将棋が上手くなると手つきも上手くなるのか、
手つきが上手くなると将棋もうまくなるのか。
連盟道場で子供たちが指しているとね、みんないい手つきでびっくりしちゃうの。

先日先生のお弟子さんが小池重明さんと指したことがある、五番勝負で3勝1敗だった、
とニコニコ生放送で聴きました。当時のエピソードを教えてください。
櫛田六段と、伝説的な真剣師と言われた小池重明さん、
本名はしげあきさんだったかな、我々はじゅうめいさんって呼んでました。
まあ小池さんは普通に強かったんだけど、だんだんそっちの方の世界にね、
真剣師ってようは賭け将棋で、でもちょっと違うんですよ。
30年ほど前に新宿将棋センターで私が指導していたら、横に小池さんがきて、
そうそうたるアマチュア四段五段の人と指してるんですよ。
でもそれが真剣だったんですね。
でも本人がお金持って無いんで、応援してる人がお金出して、
負けたら払うかわりに勝ったら半分もらうみたいな、競馬のオーナーみたいなもんですね。
見てると四段五段クラス相手で飛車落ちなの。
普通の人で2枚落ち。そうしないと相手も相手に来ないんだけど、見てると勝っちゃうの。
弟子の櫛田もね、小池さんのような人生に憧れた時もあったんだけど、
早く奨励会に入りなさいって言って、そういういきさつがありました。

水戸の天才先崎九段エピソード
田丸九段「昔先崎さんが子供だったときに、
君は初段になるまでどのくらいかかったのって聞いたら、
先崎君は2時間くらいかなとか答えてた。フフフ」

以前野月先生が、行方八段は思いのほか遅刻が少ないと言ってました。
地元民としては、イベントを二日酔いで遅刻等やらかしてましたが、
棋士の中にも酔うと明るくなる人や暗くなる人いますか。
田丸九段「昔の雑誌でね、その時の奨励会幹事が、
行方さんは遅刻や不戦敗ばかりで困った奴だとか書いていました」
貞升女流「青森での仕事のときに、
行方先生と新幹線が同じのに乗れなかったことがあって、
行方先生から連絡があったんですけど、
『東京のが無理そうだから大宮に向かってます』とか意味不明なことを言ってて、
でも地元の方は『いつものことです。多分遅刻って意味です』っていってました」
田丸九段「普段は大人しいのにお酒を飲むと威張りだすっていう先輩はいましたね。
誰とは言いませんけど」
貞升女流「先生コメントでヒントって流れてますけど」
田丸九段「まあ本人も認めてるからいいかな?森内さんの師匠」
貞升女流「大丈夫なんですか?」
田丸九段「でもその後昨日は言いすぎたごめんとかフォローするから。
升田先生?升田先生はお酒はあまり飲んでなかったですよ。
でもタバコをね、ハイライトを1日200本くらい吸ってました。
ただ1本一口か二口くらいで捨てちゃうんですけどね」

昔から将棋界はかぶき者が盛り上げていると思っています。
現在では橋本先生などがその立場ですが、
棋士の出で立ちや立ち振る舞いについてどうお考えでしょうか。
みんな優等生ってわけじゃつまらないから、そういう人がいてもいいと思うけどねえ。
橋本さんはまあ根暗な世界じゃないよというアピールの意味もあるんじゃないかな。
暗いというか真面目というか。中には変わった人がいるんだよってね。
まあそういう私も一番最初に長髪にしたのは私だったから人のこと言えないんですけど。
だからライオン丸ってね。師匠に切れ切れ小言言われてました。
私も将棋界にもいろんなタイプがいるんだっていう主張をしたかったんじゃないかな。
全体的にはみんな真面目というかね。
昔伊藤果七段がジーンズ調のジャケットで行ったら先輩に怒られたとか。
もうちょっとラフでもいいんじゃないかと思うけどねえ。
僕自身若い頃勝手なことやってたから人のこと言えないけど、
若い子はみんな優等生で同じに見えちゃうんだよね。
だから何人かは変わった子がいてもいいんじゃないかと思うけどね。
でもこの世界は成績がよくないと変わってるだけが目立っちゃうんで。
そういう意味じゃハッシーはね、上位棋士でね、続けて欲しいよね。

盤上では行方八段が矢倉の早囲いへ。藤井流とコメントが流れて
田丸九段「一時期藤井九段が得意にしてたんでね」

どちらを応援していますか?
田丸九段「1局目だから行方さんが6:4くらいで多いんじゃないかな。
羽生さんが多いのは分かってるんだけど、最初は盛り上げてくれみたいな」
羽生名人63.1%、行方八段36.9%。
貞升女流「私も何度かアンケート見てますけど、
羽生名人に勝った方っていらっしゃるんですかね?」
コメントによると達人戦で加藤一二三九段が羽生名人にアンケートで勝ったらしい。

そんなことを話していたら羽生名人がいきなり△7五歩と歩をぶつけました。

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田丸九段「あれ?のんびり構えてたらちょっと」

そして田丸九段の資料コーナー。

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羽生名人の昼食はピザやサンドイッチといった軽めが多い。

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行方八段の昼食は初日と二日目で連投する傾向がある。

貞升女流「ちなみに先生は羽生名人の昼食は何と予想しますか」
田丸九段「やっぱりピザじゃないですか?」
貞升女流「行方先生は?」
田丸九段「ビーフカレー」
ビーフカレーは直感らしい。

昼食アンケート
田丸九段「最近はCHACOでステーキを食べてるんですけど、
今回は貞升さんのお好みに合わせますから」
ステーキ53.4%、けんぽ15.2%、陳記(中華)18.4%、その他12.9%。

昼食休憩明けの行方八段の手は▲3五歩。激しい展開になるか。

昼食アンケートの正解はステーキ。

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田丸九段「僕はチャコは30年前から行ってますけどね、ヒレ専門です」

羽生名人はクラブハウスサンドイッチで行方八段はビーフカレー。
田丸九段「お!当たった!」
行方八段の明日の昼食は、
少しひねってポークカレーとかハヤシライスと予想してました。

詰め将棋の解答の後初手から解説に。

質問メール
私の父親は行方先生のご実家で仕立てた服を、
30年以上前に作った服なのですがまだ着ています。
将棋指しにならなかったらご実家継いでたんですかね?でも似合わないな。
確か大内九段の実家も服屋なんじゃないかな。

僕は最近将棋を始めた初心者です。
棋士の名言集という本を読んで、山田道美先生にひかれました。
どのような人だったのかエピソードを教えてください。
一口じゃ語りきれないですけど、そうですねえ。
非常に理論派、山田道美九段はついに大山棋聖に3勝1敗で勝ったんです。
3度目の挑戦で。
そのときの有名な言葉が、たどり来て未だ山麓。
山田先生は死ぬまで勉強の日々であると自分に言い聞かせて。
でもその言葉は前に升田先生が言ってた言葉なの。
升田先生が大山名人を破って三冠王をとったときに使った言葉らしいんだけど、
それをあえて拝借したと。
私が17歳だから山田先生が32歳で、当時の奨励会の幹事になったことがありました。
A級でタイトル戦に出てる棋士なのに、何故か奨励会の幹事になった。
今で言うと誰になるんでしょうね。すごいでしょう。
補佐に大内九段がついたんですけど、
山田先生は若い頃骨格か何かの病気で休場したことがあって、
若い人たちの健康が心配なんでという理由で幹事に立候補して、
奨励会の幹事に就任した日に、健康状態はどうかとアンケートをとったんです。
そのぐらい後輩思いでした。
将棋指すだけじゃダメなんで、山登ったりテニスやったり、そういうこともしていました。

将棋界は礼儀作法しきたりを重んじると思いますが、
昼食後に両対局者が戻らない時もあるのは何故ですか。
これはタイトル戦のときということですよね。
まあ気持ちを整理するとかね、それぞれ個室がありますから、
対局室よりその方がしやすいというのがあるんじゃないですかね。
どっかの竜王は一手ごとに席を外すんですけど、自分独自のリズムでね。
休憩終わったら対局盤の前にいるというのは正しい姿ですけどね。
食事終わった後は結構だるいからね。
今はこうやって最初から最後まで放送されてるからわかっちゃうけど、
無かった時代は適当に席についていました。

王将戦第7局で、
記録係りが眠ってしまい起こされたシーンが生中継されたのは驚きでした。
貞升おやつ名人は生中継で記録や読み上げをされていますが、
寝てしまったことがあるかこっそり教えてください
貞升女流「ここで言っちゃうとこっそりじゃなくなっちゃうんですけど、
流石に無いですね。
ただ年末年始のリベンジマッチで、朝10時から元旦の5時半までしたときは、
ちょっと寝そうになりましたけど、おせんべい食べて頑張りました。
それぐらいですかね。先生もありますか?」
田丸九段「むしろ対局者のときのほうが(笑)、1時半とか眠いんでね。
ただ対局者は席を外して控え室でごろんとできるから。
最初から飛ばしちゃうともたないから、多少のんびりしてた方がいいんですよ」

奨励会について質問があります。
現在三段リーグが40人くらいいますが、
プロになる確率は前と比べて厳しくなってるんでしょうか。
今の制度が出来てから28年くらいなんですね。
同じ制度でも次点は昇段点1とか、多少制度が緩和されてるけど、
上位2人に入らないと基本だめですからね。
奨励会は昨年度末で7人の方が辞めていきましたからね。
15年前くらいかなんか結構意外な確率で棋士になってきましたよ。
奨励会6級で入った人を含めると2割3割だけど、
三段までくるともうちょっと確率があがると思います。
昔は三段以下は12勝4敗以上で上がれたんです。
ただいっぱいになっちゃって、それでリーグができたんです。
東西でリーグを作って、決勝で勝った方があがる。年2人。
そのうち負けたもの同士も戦って勝った方も棋士になれる。年3人。
でもまた年2人になって、
僕はその時優勝して東西決戦で負けて棋士になれなかったことがあります。
でもその後12勝4敗でいいようになって、羽生さん森内さんはそれで上がったの。
1987年度から今の三段リーグができて、
途中でいい成績を残しているのに年齢制限で退会というのはおかしいとなって、
勝ち越しなら制限が伸びるようになって。
でも三枚堂さんみたいに一期で上がっちゃう人もいますから。
私の弟子も一人いるんですけどもう10期目くらいかな。

田丸先生は今年度で引退されると伺っております。そのことでメッセージを。
田丸九段「引退メッセージ?
今年で棋士になって44年目なんで、まあ44年現役でもったんで自分としてはもう満足です。
本当はもう負けてばっかりいるから潔くやめても良かったんですけど、
個人的な理由でまだ現役ですけど。
ただフリークラスなんで、会社員でいうと嘱託なんです」
貞升女流「最後に指したい人は誰ですかってコメント流れてきましたけど」
田丸九段「粘らない人がいいです」

ここで参考として羽生王位対行方八段の王位戦の将棋の紹介に。

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この局面で羽生さんは▲9一とと香車を取りましたが、
記録の鈴木三段が打ち上げの席でぼそっと言った手で、
実は羽生さんの勝ちだったらしいです。
打ち上げの時に▲6五桂という手はどうだったんでしょうかと言われて、
普通の手なのに両対局者が気がつかず、控え室でも気がつかず、
感想戦でも気がつかず、結果は後手の行方八段が勝ちました。

田丸九段「昔対局者が大山升田で記録が米長三段で、升田さんが勝ったんだけど、
最後ぎりぎり詰みそうなところで両対局者わからなくて、
終わった後に大山先生が『米長君詰んでたかね』と言って、
米長さんがこうすれば詰みですと言って、
大山先生が『あ、そうか』と言ったということがありました。
いきなり対局者が聞いたっていうのがね、いかに将来を嘱望されていたかというね」

おやつトーク
田丸九段「私が奨励会の頃はおやつはイチゴショート、
おせんべい、みかん、夏はスイカ、これが定番でした。
対局者は食べない人もいるんで、君食べていいよと言われるのが楽しみでしたね。
こないだ加藤一二三九段、ひふみんと久しぶりに対局したんですよ。
どんな様子かなと思ってたんですけど、よく食べるんですよ。
カマンベールチーズ、みかんのゼリーみたいなの、そば茶、コーラ、
なんかずっと口動かしてました」

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おやつの時間だ!

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二人とも同じおやつ。

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ニコ生はドラ焼き。

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空手の角田さんや、将棋の中川八段に似ている人がきたとコメントがざわつきました。

田丸九段「この方は去年の直木賞作家の黒川博行さんですね。
将棋界とは昔からかかわりが深くて、
例えば糸谷竜王の師匠森信雄七段先生の仲人をつとめています」

ここから怒涛の田丸九段の持ち込み資料のターン

将棋年鑑

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田丸九段「羽生さん犬年だから犬はわかるんだけど、イルカって何だろうねえ」
貞升女流「父親ハンドブックって何ですかね」
田丸九段「ちょうど子供が産まれた時なんじゃないのかな」

行方八段の紹介

★小学校4年生で将棋を覚える
僕は野球少年でしたが、故郷の青森では冬はできない。
それで将棋を始めると、すぐにプロになろうと思った。

★1986年10月。大山康晴十五世名人の門下で奨励会6級で入会。
12歳の時に上京して独り暮らしをした。
青森の中学で坊主頭にさせられるのが嫌だった。

★1991年11月三段に昇段。
奨励会時代の思い出はろくなもんじゃない。
競馬やプロレスとか、他愛もないことに情熱を傾けた。
対局で負けたら相手を呪い殺し、自分も死ぬ。そんな覚悟で指した。

★1993年10月19歳で四段に昇段。
これからしたいことは、まずは将棋の勉強。
それからこの先、何十年も将棋を指すので体づくり。

★1994年9月竜王戦挑戦者決定戦に進出して羽生善治名人と対戦
羽生さんとの三番勝負は、間違いなく面白くなります。

★1998年
ロックは大好きです。あと4歳若かったら、絶対ミュージシャンになりますよ。

★1999年
大事な対局の前には、必ずミッシェルガンエレファントの『GEAR BLUES』を聴く。

★2001年3月順位戦でB級2組に昇級。
255手もかけて負けた。午前3時まで戦うって一体なんだろう。
自分の将棋で泣いたのはいつ以来か思い出せなかった。
※00年9月C級1組順位戦で杉本昌隆六段との対局で敗れた。
3時過ぎに終わって外に出ると真っ暗で、千駄ヶ谷駅が開いてなかった。
東京体育館のベンチで泣いた。翌日も翌々日も泣いた。
何故かバーテンダーになろうと思った。すぐにあきらめた。

★2007年4月順位戦でA級棋士に。
升田幸三先生や囲碁の藤沢秀行先生の自由で破天荒な人生に感化された。

★2013年7月39歳。王位戦でタイトル戦初挑戦。
若い世代の棋士たちは自分の将棋を持っている。
自分はいい年こいて寝業ばかりでダサイ。
彼らといい勝負がしたいと思い、将棋をシビアに考えるようになり、
一手ずつ自分の意志を持った。

★2015年4月41歳。名人戦初挑戦。

おまけ
★2011年
若島正さんの詰将棋の素晴らしさを熱心に説明してくれ、
『君にもこの美しさをわかってほしかったんだ』と言われたことがあります。
普段の生活がどれだけ適当でも、自分の仕事に美を見いだし、
本能的に惹かれている人なら間違いないと思いました。
by行方夫人

次の一手アンケート

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▲6八金上30.1%、▲2五歩23.1%、▲7六金11.2%、その他35.6%。

質問メール
田丸先生を見ると未だに藤森女流との将棋講座を思い出します。
当時のエピソードを教えてください。
ずいぶん古い話ですね。1983年ですから32年前です。
今のNHK講座は半年単位でしょ?当時は1年だったの。
一応定跡講座なんだけど、真面目な講座じゃなくて変わった戦法のね、
石田流三間飛車の超急戦、初級者向きの中飛車、筋違い角戦法、
1年間で6個の戦法を解説しました。
今コメントにでたけど3手目にいきなり角交換してね、▲4五角とか。
でも未だにあの講座を見ましたよってずいぶん古い話を覚えているなと。
藤森さんかわいらしくてね、
ちょうど講座の1年後くらいかな?息子さんが産まれてね、それが藤森哲也四段です。
単に解説するだけじゃなくて、2月単位なので後半の月は質問を受けて答えたりね、
テキストは講座の前に作らないといけないので、
質問の内容は作ったのもあります(笑)。しょうがないよね間に合わないから(笑)。

ということで筋違い角の解説に。

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作った手順なんで先手に都合よくなりますけどね。

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こんな感じで飛車角銀桂で玉頭を睨んで行くことを目指すといいです。
基本線を解説して、後半質問に答えると。
相手が振り飛車が得意な人にやるといいですよと言いました。

奨励会入会に男女差別はないと思いますが、何故将棋界で男女差があるのでしょうか。
女性でも決して男性に劣ることはないと思いますが。
うっかり言って男女差別って言われちゃうとね。しっかり答えないとね。
去年で女流棋士会40周年で、実際は蛸島さんがいたんですけど、
それでもたかだか50年なんですよ。男性は江戸時代からありますから。
実力で競うとなるとでも100年以上かな。
よく比較されるのは囲碁界との比較がありますよね。囲碁界は女性棋士なんです。
囲碁は女性棋士の歴史があるんです。江戸時代からいっぱいいたんです。
大御所として坂田栄男さん、本因坊もとった棋士ですけど、
大御所の棋士も師匠は女性棋士なんです。
将棋界でいえば升田幸三の師匠が女性棋士と考えれば、歴史の違いがわかるでしょ?
だから違うのは仕方ないんです。
でも今は優秀な棋士がいっぱいでてますから、
今後女性棋士が出るかもしれないですね。
ただ根本的に頭脳とか違うのかと言われると私はわかりませんけどね。
里見さんが一番近い場所にいますけど、早く体調を整えて頑張って欲しいですね。
西山さんも奨励会二段ですけど、お姉さんは囲碁棋士なんですよ。珍しいですよね。
次回連勝で昇段?そんなとこまで上がってたんだ。すごいねえ。

先生は珍しい戦型の講座をされていましたが、
プロでは何故みなさん指さないのでしょうか。
相手の研究を外して自分の土俵に持ち込めると思いますが。
私はたまに指しますけど、まあ結果がね。
前は結構個性的な戦法を指す棋士がいましたけど、それで勝てればいいんです。
でもなかなかね。
羽生さんも2手目△6二銀とかそういう将棋指してたよね。
でも変わった戦法は大変なんだよね。
あ、そうだ変わった戦法といえばこないだ奨励会やめちゃったけど小泉君っていう、
ああいうタイプの人こそ棋士になったら面白いなと思ってたんですけど。
▲5七玉とかさ。本人はそういうの楽しみにしてる人が多いんでやってますって。
初手▲1八香とかね、それで▲9八香とか両方上がったり。
他は誰だろう、引退されたけど児玉さんね。カニカニ銀とか。
A級にもいる?ああ佐藤康光九段ね。
一時期みんなに変わってるって言われて、自分としては普通なんだって反論してましたね。
ただこの世界はそれなりの実績を上げないと、ただ風変わりだで終わっちゃうからね。
女流棋士でも一時期竹部さんが面白い将棋指して感心してたけどね。

自分は41歳で医療関係の仕事をしていますが、
後輩からベテランと言われて動揺しています。
田丸九段「バリバリじゃないですか!
ベテランっていうのは褒めてるのか年寄りと言われてるのか微妙ですね。
でも41っていったらベテランというよりは壮年というか、
私もその頃は将棋頑張ってた時期だったけど、
41歳でA級棋士になったんですからね。
指し盛りが少し過ぎてはいるけどまだまだっていう感じだったけどなあ。
行方さんも41歳で名人初挑戦ですからね」
貞升女流「私も20代前半のときに結構後輩が入ってきて、
中堅って言われてびっくりしましたけど、自分では気がつかないもんですね」
田丸九段「僕31で若手って言われてたよ」

対局者はホテルに泊まるのは勿論ですが、
立会人報道関係者もただで泊まれるのでしょうか。
ただで泊まれませんから立会人も記録も。
報道陣も近い人は帰る可能性がありますけどね、地方へ行けば泊まりますね。
1局あたりこれこれって金額で契約するんです。
だから何人泊まっても関係者なら一緒なんです。

といったところで塚田九段からティロフォン
塚田九段「こんにちは塚田です」
貞升女流「今指し手が止まっていますが、先生予想は」
塚田九段「▲6八金上、▲2五歩、▲4六角とかその3つかなと。
変わった手としては▲6三歩成りがあります。同銀は取りにくいので。
ただ同金と取られたらわからないです」
田丸九段「塚田さん田丸です。
今日午前中に紹介したエピソードなんですけど、
新四段になってお祝いの会開きましたよね。
同じ塚田のよしみで塚田正夫先生の着物を奥様から送られたと聞いているんですが」
塚田九段「袴を記念としていただきました。
袴に合わせた着物を買って着ましたよ」
田丸九段「どうしても塚田さんというと娘さんの話が」
塚田九段「そういう質問多いです。不安と楽しみですね」
貞升女流「いつごろからプロを目指されたんですか?」
塚田九段「こっちはその気が無かったんですけど、本人がその気になったので」
貞升女流「急に強くなられましたよね」
塚田九段「まだ弱いですけどね」
小学校5年生のときに駒姫のために勉強するとかいって、
そのあたりから急に勉強するようになりました。
5年生なので早くはないんですけど」
田丸九段「塚田さんといえば、
塚田スペシャル升田幸三賞特別賞受賞おめでとうございます」
塚田九段「ありがとうございます」
田丸九段「当時はたくさん勝たれてましたよねえ」
塚田九段「22連勝の原動力になった戦法です」
貞升女流「現地はどんな棋士の方がいらしてますか」
塚田九段「飯島栄治七段や、藤森哲也四段がきてます」
田丸九段「塚田さんも確かサウスポーでしたよね。他にいますかね」
塚田九段「ああ、大内一門は多いですよ。
左じゃないといけないってことなのかな?」
行方八段が大長考をしていて、
田丸九段「塚田さんは最高でどのくらい考えました?」
塚田九段「85分とかですかね。1時間くらいがいいと思うんですよね長考はね。
迷ってる感じもあるので」

田丸九段「2011年のね、羽生王将対豊島七段かな、
東日本大震災の翌週の月火が王将戦で、陣屋でした。
日曜日に移動したんだけど、まだ小田急線が運転してたんで行けたんだけど、
その時点でもこういう時勢に対局をしていいのかと関係者で話していて、
私は立会人といってもそういうのに意見を言う立場じゃなかったんでね。
ただ計画停電っていってね、もし夜になって電気が落ちたらどうしようかとか、
そういうことは話しましたね。
1日目封じ手終わった後に、1回電源を落としてどうなるか試して、
その時は自家発電の盤側を3つならべてやろうってことになって、でも暗いよね。
あ!」

meijin1-16
行方八段は▲6八飛車!
田丸九段「6八飛車指すなら考えますよ。2時間考えるわけがあります。
これは羽生さんの長考返しがあるんじゃないですか」

meijin1-17
羽生名人はこの態度。

次の一手アンケート

meijin1-18
△6四角(普通の手)31.9%、△5三金(田丸九段)12.4%、
△3四歩(貞升女流)16.1%、その他39.5%。
田丸九段「放送中に指してくれるとね、答えが出るんだけど」

アンケートどちらを持って指してみたいですか?
先手・行方八段20.4%、羽生名人35.8%、ニャンとも(何とも)言えない43.8%。

meijin1-19
封じ手時刻直前の圧力団体?の皆様。
名人挑戦者決定プレーオフで敗れた広瀬八段はどんな心境か。

羽生名人は定刻を2分ほど過ぎた時に戻ってきて、すぐに封じました。

最後に対局室が眼鏡率100%空間だったとのことで、緊急アンケート。
眼鏡かけてますか?
かけてます62.1%、かけてません30.2%、コンタクト7.7%。
眼鏡率高し。

ということで名人戦の初日が終わりました。
田丸九段は流石に手を読むのは大変そうでしたが、
裏話とたくさんの資料で楽しませてくれました。
行方八段が優等生とは違ったタイプの魅力溢れる棋士なので、余計に面白かったです。
今日は語られませんでしたが、
行方八段が2008年の朝日杯将棋オープン戦で優勝した時は、
決勝戦の前夜眠れずに朝5時まで焼酎を飲んでしまい、
眠くて仕方ない状態で優勝して一千万円ゲットしてしまった、
なんでエピソードもあります。
明日は無事に起きてこれるかから注目?かもしれません。
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