棋士はカワイイ!

将棋と棋士の魅力を伝えたい!そんなブログです。 なんか難しそう、古くてださそう、そんな印象を吹っ飛ばす!
指すのではなく観戦ならば簡単で面白い!

加藤一二三

第73期名人戦七番勝負第4局初日が終わる

羽生善治名人に行方尚史八段が挑む第73期名人戦七番勝負第4局初日は、
羽生名人の封じ手で初日が終わりました。

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朝の様子。暑そう。
立会人が大内九段、副立会いがはっしーこと橋本八段と菅井六段ということで、
解説の加藤一二三九段との共演なるか期待が高まります。

羽生名人の初手は▲7六歩。

加藤九段「私の感じでは羽生名人の矢倉と思うのですけど、
なかなか羽生名人の作戦難しいですよねえ。同じ難しいなら矢倉かなと」

行方八段は△8四歩。矢倉か角換わりかを羽生名人が選択することに。

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おはようございます。ひふみん巨大化したような。

加藤九段「羽生さんは私との対局でも振り飛車の対局が2局あります。
羽生名人が3勝するのと行方さんが2勝するのとでは大変な違いがありますよね。
私は最初に2連敗してタイトルを取ったことはありますけど、
できればリードしている方がいいですよね。
先ほど連想したのが名人73期で私が40期の名人戦なんですけど、
立会いの大内九段と中原名人との名人戦を立会いしてたんですよ。
この手を指していれば大内さんが名人だったという手がありまして、
名人になっていると存在感が相当違うし、
伝統もありますし、名人になることは極めて困難なんですよ。
いっぺん名人になってるとね、50年くらい使えるの。
私も名人になってるから元名人と呼ばれます。
私は20の時、大山名人に1勝4敗で負けてるんですけど、
立会いにもたくさん出ていて、多分名人戦の歴史を身を持って知っています。
気持ちを込めて、見て、調べています。名人戦は解説しやすいんですよ。
基本的に対局場というのはいい気持ちで対局したいので、
あ、話している間に矢倉になりましたね。
羽生名人も矢倉でしっかりと指して勝ちたいということですね」

その後羽生名人が加藤流の▲7七銀ではなく▲6六歩を指して、
加藤九段「人間って好き嫌いありますよね。
僕は将棋も闘志満々で意気揚々とやるんだけど、
他の棋士は分かってるんだけど指さないというのは、気が乗らないということで、
気が乗らないというのは理屈じゃないよね。
(行方八段が加藤流の△6四歩ではなく△5四歩を指して)ほらやっぱり指さないでしょ。
僕は攻め将棋なので、後手番で攻勢できる△6四歩と指したいんですよ。
勝率控えめに言っても6割です。でも玉が薄いところがありますよね。
その辺があまり好まれない理由なんですけど、でも攻めても勝てるんです。
行方さんといいますと私も思い出はありまして、タイトル戦を立会いしたときもあるし、
将棋まつりのイベントで一緒に食事をしたこともあります。
大変精進して、名人戦の挑戦者で非常に素晴らしいことだと思います。
もともと早くから活躍されていた棋士ですが、
行方さんが八段になりたての頃に話したのですが、
私名人になった将棋の最後の将棋は、
ここで中原さんがこう指していたら負けていたという手があって、
それに最近気づいたんです。5ヶ月くらい前かな?
名人になった将棋は嬉しいから何回も並べて研究して、
それで30年たってようやく見つけました。
将棋っていうのはね、お互いが最善手をつくしてゴール近くまで行くと、
どちらかにいい手があるかという場合がでてくるの。人知を超えているんです。
最後になったら、日本人的表現だと運なんだけれども、
行方さんがじゃあ将棋っていうのは運ですかって聞かれたの。
運の要素は否定できない。
絶妙手があるかどうかは、原因はわからないけど現にあるので、
他に言葉がないから運といってるんだけど、最後の最後にどちらかにいい手がある。
僕は絶好調で持ち時間9時間で、残り1分で浮かんだの。というのは運なんですよ。
お互いに読みきれるものではないから」

リレー質問
中村六段から加藤九段へ
名人戦というのはどのような舞台ですか。
やっぱり大変に極めて魅力のあるもので、
どの棋士も名人を目指して指しているんですね。
昭和10年に実力制名人ができて、将棋界の発展の礎なんですよ。
たくさんの棋士が棋士が名局、大熱戦をはさんできました。
極めて大きな魅力のある舞台です。
木村名人と第1期名人から、塚田先生、大山名人、升田名人、
中原さんがくるんですよね。それで途中に私がくるんですよね。
なんと翌年谷川さんが登場して負けたんですけど、歴史ですよね名人戦って。

井道女流から山田女流へ
山田女流はおしゃれですが、よく行くお店を教えてください。
また、鞄は何個もってますか。
山田女流「地方に仕事にでかけたときにふらっとお店に寄って買うのが好きです。
バッグは何十個って持ってます。
加藤先生はこだわりのものとかありますか」
加藤九段「もちろん対局のときに鞄とかネクタイとか決めてますよね。
ネクタイ長いんですけど、たまたまそうなっちゃったんですね。
フジテレビのアウトデラックスで私に目をつけたのが、
何故かというと私がネクタイが長いということに着目したんですって。
ネクタイが長くて元名人がいるって。
結構気に入っちゃってこれがしっくりするなと。
ネクタイでもこれですから、人生何が起こるかわかんないですよ」

17歳の増田四段との対局の話になり、
加藤九段「棋士っていうのはいい職業だと心底思ったの。
この歳で17歳の新鋭棋士と指せるんですよ。
17歳の四段と戦えるなんて将棋の棋士って本当にいいなと思ったですね。
今奨励会に若くて有望な人いますよね。
公式戦で戦うためにも頑張らなきゃなと思いますね。
一般的にいうとね、若手棋士が勝つと思っている人が多い。でもそれは間違ってるの。
将棋っていうのはある程度理詰め、経験が生きるの。
理屈からいったら負かされるのがおかしいの。だから改善しないといけない。
まだタイトル戦に出たことも無い若手、
そういう人達に負けると思われる人の方が多いです。
現に負けてるから先生なんとかしてくださいって言われるんですけど。
中原名人が、将棋っていうのは形では大先輩がいいね、でも将棋は負けるよね、
と言ってました。それはそれで真実なのね。
できれば2勝1敗に持って行きたいですよね。
丸田祐三九段が勝負とは1勝1敗だと言ってました。
1勝2敗だときついですけどね、現役を5割で終われればいいことですよね。
谷川先生は私は常々2勝1敗を目指してきましたと言ってました。
私はそんなこと考えてもみなかったんだけど、谷川流ですごくいいなーと思いました」
山田女流「先生ここでお水を一杯飲みましょう」

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休憩のコントロールもばっちりな姐さんである。

加藤九段「名人戦は高橋道雄九段も挑戦していて、3勝1敗まで行ったんですよ。
高橋さんは矢倉が得意で、あと1勝というところまで行ったんですけど、
そこから中原さんが横歩取りの将棋を指してきまして防衛されてしまったんですけど。
だから僕の判断で名人を逃した人は大内さんと高橋九段。
未だに僕は惜しがってるんですよ」
矢倉の加藤流は早めに▲2六歩と突くが、
これは▲2五歩に△3三銀なら後手の角道が止まって急戦を牽制できるから、
との解説で、
山田女流「私の弟弟子の藤井九段が、
早めに▲2五歩と▲7七銀を決めるのはやってましたけどね」
加藤九段「藤井九段は振り飛車党から矢倉に、よく研究しましたよね。
四間飛車の達人なのに、僕は感心していることの一つで、
気持ちの切り替えがなされて、よく研究されて、独特の藤井流の矢倉ですよね」
山田女流「加藤先生は振り飛車をやってみようという気持ちになったことはありますか」
加藤九段「それはないですね。振り飛車というのはどうしても守勢なんですよね。
相手にうまく攻められたら勝てないというのが私の大局観なんです。
それが指さない理由なんですけど、振り飛車は面白い戦法で、
捌きの戦法で捌けると嬉しいんですよ。
なので振り飛車が好きな人の気持ちは分かります。
嬉しいですよね居飛車が汗水たらして攻めてきたのを、どこ吹く風で捌いて王様が固くて。
大山先生は69歳で亡くなられたんですけど、A級だったんですよね。
これは空前絶後の大記録で、僕は60歳でA級だったんですけど、
60歳でA級にいるっていうのもなかなか大変なんですけど、
66歳でタイトル戦にも出てるんですよね。
大山先生が書いてるんですけど、中原さんがいなければもっと勝ったのにって、
すごく正直に書かれてるんですよね。
僕は色紙に直感精読って書いてたのを見て、
感ていう字を大山先生が書き順が違うって言うの。
あの人はまめな人でね、書き順まで覚えてるんだ。
後で辞書で調べてたら間違ってたの。あの先生は字もこだわりがあるの。
大山先生は字もこだわっていて、忍耐の忍、これは恥ずかしくないと書いてあったの。
さすが大山語録だなと思ってたんだけど、
実際の大山先生って受けの達人なんですけど、そこまで渋くないんですよね。
実際忍じゃないよね、もっと明るいよね。大山先生は元々陽性で多念で。
対大山戦で面白かったのが、ラジオ体操ありますよね。
小学校のとき福岡の田舎でやったことがあるんだけど、
王将戦のタイトル戦の終盤で、
僕が秒に追われて指そうかどうかためらって手が動いてたんだけど、
そこで大山先生がラジオ体操一二三って言ったの。いやー僕はうまいなーと思ったの。
秒読みが1、2、3って読むんだけど、それに合わせてね。
とっさによくあんなの出るなと思って。その対局は僕負かされたんだけど」

10時で一旦休憩に。ここまでしゃべりっぱなしの75歳である。

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将棋の観戦記者に美人さんがきてコメントがざわつく。
芥川賞作家の朝吹真理子さんらしい。

質問メール
最近のことですが、うなぎ風味のなまずの蒲焼が話題になっています。
僕は10年くらい前からなまずを食べていますが、
なまずはから揚げが一番おいしいと思います。加藤先生は食べたいと思いますか。
加藤九段「僕はなまずは食べたことはないんですけど、
どじょうは食べたことがあるんですけど、どうなんでしょうかねえ」
山田女流「私実家の近くになまずのお店があって、から揚げおいしいですよ」

私は加藤先生の大ファンで実際にお会いしたいなと思っていましたが、
今週の日曜日に特別講演をされる予定ですがそちらに伺う予定です。
名古屋はひつまぶしで有名です。加藤先生にあやかりひつまぶしを食べてから受講します。
5月の24日に中日新聞の文化センターで、中日新聞は王位戦の主催紙で、
王位戦の大山先生とのタイトル戦で愛知に行った事もあるんですけれども、
まあいろんなこと話す予定ですけど、
元々昨年からこの話があったんですけど、ありがたいことに今年実現ということで。
私はうなぎを食べる機会がだんだん減ってきたんですけど、
じゃあうなぎの変わりに何を食べるのときかれると決めてないんですよ。
何がいいですかね?

対局に気分が影響するとのお話非常に興味深いです。
対局に向かう際の精神状態を保つこつを教えてください。
なかなか本当に大変だと思いますね。
加藤九段「戦う相手が意図的に何か作戦を考えると、意表を突かれることがあります。
気をつけてることは当たり前だけど遅刻をしないようにとか、
長年遅刻をしたことは無いと思います。
余裕を持って家を出たり、何事が起こっても対局中は大騒ぎしない、冷静さを失わない。
対局中に地震は数回経験がありますけど、
電車で行く場合はトラブルがあっても20分くらいあれば再開できるので、
20分くらいの余裕を持って対局場に向かいます」
山田女流「九州での仕事の時に地震で新幹線が止まってしまって、
大量の食料を加藤先生が買ってきたという話を聞いたことがあります」
加藤九段「北九州の仕事で新幹線で行って、地震で止まってまず思ったのは、
これは長期戦になる、それなら何か食べなくちゃいけない、ということだったんです。
弁当を買いに行ったら、気づいたら神吉さんがいてびっくりしたんですけど」
山田女流「神吉先生が、加藤先生が両手にいっぱいもってて、自分は何も持ってなくて、
もみじまんじゅうをもらった時は嬉しかったと言ってました」
加藤九段「アウトデラックスで神吉さんと共演して、
森内さんの行動が魅力的だったんですけど、神吉さんが森内さんに勝ったんですよ。
ああいう話があるとテレビは盛り上がるんですよ。
神谷八段との話も極めて大好評で、棋士の話って個性的で珍しい経験で、
傍から見てると何かおかしく感じて受けるんです。
神吉さんが勝った時に森内さんが放心状態になったんですね。
僕はなったことが無いんで森内さんはユニークな人だなと思うんだけど、
森内さんからすると負けるのが意外だったというのはありますよね。
負けて悔しいとは思うけど、それだけだと放心とまではいかないから。
森内さんは素朴なところがあって、
僕と森内さんと戦ってまして、残り何分って僕が繰り返し聞いたら、
森内さんが噴出したんですよ。噴出したのは森内さんだけですね。
僕は切羽詰って真剣に聞いてるんですけど、森内さんからしたら面白かったんですね。
僕の記録をとったことがある佐藤紳哉さんなんかに、
その時噴出しそうになったことはなかった?って聞いたら、
分かってたので大丈夫ですって言われました」

加藤九段によると、矢倉は昔は千日手模様になって、
千日手になると次の日に指すことになっていたらしい。
名人になったときも千日手があって(1持将棋2千日手)、
千日手の経験が私も家族もあったのがよかったとのこと。

加藤先生は最近テレビのバラエティーに出演されていますが、
芸能人の方で感心することがあれば教えてください。
共演してわかったことは、芸能人の方は勉強してるんですね。
将棋の棋士はまったくの独学。でも芸能人の方は養成所出身です。
そこで勉強していろんな芸を覚えるということをされています。
テレビに出るまではそういうことが分からなかったんですけど、
養成所で勉強し、いろんなことを訓練し、大変努力されている世界、
ということを知ったのが収穫です。
それと将棋界よりも先輩後輩の意識が強いです。
将棋界は盤を前にしたら先輩後輩は関係ないですが、
芸能人の方が先輩を尊重する意識が強いと感じました。
失礼なことがあったらいけないという意識が強いです。

先生はローマ法王様と握手なさったことがありますが、
その時の様子を教えてください。
また、勝負師にとって信仰心はどのような影響があるのでしょうか。
昭和55年に私ヴァチカンに行きまして、ローマ法王が姿を見せるセレモニーがありまして、
そこで私が最も感動した出来事がありました。
法王様と握手したあと2時間くらいセレモニーがありまして、
スピーチのときに私は写真をとって手を振っていたら、
かれこれ10万人いるなかで私に手をふってくださったことが感動した出来事でした。
聖シルベストロ教皇騎士団勲章を、
僕は将棋のチャンピオンとしていただきました。
私の信仰というのは、30歳くらいで将棋に息詰まったので洗礼を受けたんですね。
大山先生や升田先生と戦ってて、将棋は理詰めだけじゃないんだけど、
人生の中にも理詰めの部分があって、それが宗教だと思って洗礼を受けました。
信仰は人生を飛躍させてくれるものという認識です。

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加藤九段「僕は米長永世棋聖とのNHK杯の決勝戦でこの形になったことがありますね。
ここ2、3年では5局くらい経験がありまして、先手後手どちらもあります。
先ほど脇システムと言いましたけど、一番経験があるのは三浦さんでしょ?
三浦さん研究すごいですよね。1日8時間とか10時間とかでしょ?
僕なんか10時間もしたことないもんなあ。
羽生名人はレパートリーが広くて、
羽生さんが、加藤九段は不思議な人である。
加藤九段のやってくる作戦はわかってるから、と言ってました。
神谷八段が加藤九段は相手がチョキで待ってるのにパーで来るって。
僕は振り飛車に対して棒銀で戦ってますけど、
新しいアイディアもあって自信を持ってるんですけど、
若手棋士も自信を持ってるらしくて振り飛車指してくるみたい。ふふふ。
居飛車は振り飛車の飛車と角を目標に攻めていく、
そこでリードすると勝てると思うんですけど、棒銀をもっと徹底的に研究してれば、
大山先生の振り飛車にもっと勝てたと思うんですけど、
さっきも言ったように好みがあるみたいで、
棒銀を指す棋士はあまりいないんですよね」

私は小さな頃からテレビゲームを楽しんできましたが、
今は将棋の神ゲーっぷりに感動して将棋が趣味になってしまいました。
私は居飛車党で四間飛車に棒銀で挑むのですが、なかなか勝てません。
棒銀講座をお願いします。
ということで対振り飛車の棒銀講座に。

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基本形。

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加藤流。先手が▲2四歩と突いたところ。
△同角▲4五歩△同歩▲1五銀△同角▲2三飛成り。
銀を捨てて飛車を成って先手がいいらしい。

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飯島七段は9筋の端歩の付き合いを入れてから決行して快勝したらしい。
桂香を拾ってから端攻めが入るのが大きいとのこと。

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▲2四歩に同歩ならこの進行。▲3三歩と叩いたところ。
△同桂▲同銀△同角と進んで、

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ここで▲2四桂で先手がいいらしい。

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今は▲1五銀を消す△1四歩が本命。

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若手はすべてこうくる。
振り飛車はいい形。原則として単なる飛車交換は居飛車は避けた方がいい。

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ひとつの案はここで▲9八香。
居飛車は角を成りたいので▲4五歩と突きたいが、
後に△4四角から△9九角成りで香車を拾う狙いを消している。

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それでも△9九角成りには▲9七香。最初に▲9七香だと別の変化で困る。

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これは相当難しい変化で難解。△3三桂でなく△3三金も難解。
ただし△3三金は相手もそんなに指したくない手、軽く捌きたいので。
基本的に相手は頑張って守っているだけなので居飛車は怖くない。
加藤九段「僕は銀と角が好きなのね。銀が出てるだけで嬉しいの。
将棋は勝ったり負けたりもするし、勝負はスポーツと一緒なんですね」

この後加藤九段が指したことのある類型を例として並べる解説。
NHK杯決勝の米長永世棋聖や、塚田正夫先生との対局など、相変わらずの記憶力。

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行方八段は△5三銀、△7三桂という趣向。初めて見たと加藤九段。

5月23日発売の婦人雑誌に、
教えてひふみん、ひふみんの人生相談というコーナーがあるらしい。

加藤九段「囲碁の趙治勲さん、人生相談をこなしてるんですね。
先日のニコニコ超会議で、趙治勲さんに囲碁を僕が教えてもらって、将棋を僕が教えて、
面白い人で話も魅力的で明るい先生で。
趙治勲さんが人生相談の質問を受けてね、
私将棋の対局のときに時間に追われてるんですけど、
考慮時間を考えて序盤は早めに指した方がいいのかなって聞いたら、
明快な解答を頂きました。
囲碁の林海峰さんは僕と同じように時間に追われていて、
大橋拓文さんは早く打って勝ってて、
趙治勲さんは時間は残した方がいいでしょう、というごもっともな結論でした」

加藤九段「同じことを言うにしてもやわらかく言うとか、
直球で言うとかカーブで言うとか、
人生っていろいろありますから絶対というのはなかなか無いです。
人生でピンチのときに、旧約聖書でダビデっていう英雄がいるのね。
絶体絶命のピンチのときが2、3回あって、
捕らえられたダビデは出された食事を食べてよだれをたらしたの。
敵の王様は、かつて偉大な英雄だったがよだれを垂らすような人間を、
俺が倒しても手柄にならない、ということで逃がしちゃったの。
見事作戦成功で脱出成功するわけ。
将棋の局面で必死がかかっても、何か手があるんじゃないかと思う方がいいんじゃないか、
と答えることにしてるの。
聖書の世界ではありますよと言ってるの。
なりふりかまわず助かるのがいいと思う。日本人って格好つけるでしょ。
格好つけるのはいいと思うけど、
惨めになった時にいかに生き残るのかが重要だと思うの」

加藤九段「2年がかりで棒銀をテーマにした本を書いていましたが、
6月に発売が決まりました。
振り飛車破りの棒銀の本で超大作で、たくさんの名局を入れています。
その本をお読みになると対振り飛車に自信がつくと思います」

ずっとひふみんのターン!
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銀矢倉の形を絶賛する加藤九段。金矢倉より美しいらしい。

昼食アンケート、今回は出前を取ってあるとのこと。
うな重71.5%、天麩羅定食16.9%、カツ丼6.6%、親子丼4.9%。
山田女流「4番はえーと何にしようかな、それじゃ親子丼」
加藤九段「大山先生を相手に十段と取った時の夕食休憩の食事はうな重でしたね」
こんな振りで4番だったら相当策士なんですがさてはて。

タイトル戦ではおいしい食事が出るという話で、
加藤九段「僕はねタイトル取るようになってから太っちゃったの。
それまで70キロ切ってたから。
昭和50年から毎年ひとつはタイトルとってましたから。
1ヶ月に15局指してましたから、食べた方が指せるからそれで太っちゃった。
食べない努力はしたんだけど風邪ひいちゃうの。
僕は中学、高校、大学、学会、企業、なんかで講演してるんだけど、
大学の学園祭で講演をするのが嬉しいの。
大学っていうところは真理を追究するところであり、
真理を追究するところで僕の人生観を話すというのは嬉しいの。
将棋というのは日本の伝統文化でもありますし、面白くて楽しくて深くて、
勝ち負けと真理の探究、ミスもでる、いろんな要素が含まれてるから、
知ってた方がいい分野だと思います。
将棋は実力制名人が昭和10年にできまして、
囲碁もそうですけどものすごく文化的、技術的に高まってると思います。
勝負をしていて結果がすぐ出る世界で精進してるから、レベルアップが早いと思うの。
是非世に訴えたいの」
山田女流「今はこれにてこちらが良しなんて言葉がなくなって、
本当に先まで解説されてますよね」
加藤九段「それだけ追求できるわけですよ。それが大事なことだと思ってます」

昼食休憩に。

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昼食アンケートの答えはふじもとのうな重(多分みんな知ってた。
加藤九段「とてもおいしかったです」

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羽生名人と行方八段は松花堂弁当(氷見うどん付き)

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対局会場は静岡県の浮月楼

加藤九段「確かね静岡はね、米長さんと対局してまして、
多分米長さんが七段くらいの時だったと思うんですけど、負かされています。
JTのときは中原名人と指して勝ってるんですけど、天王戦だったかな?
非常に盛んなところで廣津先生が本当にまめに普及に尽くされていました」

昼休みの詰め将棋の解答
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加藤九段「ほうほう、分かりました」流石に秒殺だった。
9月までには5手詰めの本が出せるとのこと。

加藤九段「僕も小学校2年くらいで詰め将棋を読んで、将棋って面白いなと思ったんです。
将棋っていい手を指すといいんだっていうのが分かるの。
詰め将棋は初級、中級にはもってこい、
アマチュアの2段3段になると次の一手や棋譜並べがいいと思います。
プロ棋士でも詰め将棋の大家、内藤さん谷川さん浦野さん伊藤さんがいます。
実戦では25手くらいの詰め将棋になることはあります。
流石に50手の詰め将棋は実戦では出てこないよね。
詰め将棋にこだわる大家たちは創る喜びなんですよね」
山田女流「浦野先生は目の前で一瞬にして創っちゃって、
何手詰めなんですかって聞いたら35手詰めだって言われたことがあります」
加藤九段「ぴゃー↑。頭の中どうなってるんだろう」
山田女流「形のパターンを何個も覚えていて組み合わせるだけだって言ってました」
加藤九段「1手詰めも難しいよ?自分も創ってやってみたら5手詰めだって難しいよ?」

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プレゼント色紙。これが書道の大家が真似できないと言っていた字。
加藤九段「意味は僕の将棋なんですけど、
ぱっと見た瞬間浮かんだ手を直感と言ってます。
ある棋士で私には直感がないって本に書いている一流棋士もいるんですよ。
最近読んでいやー、どうやってるんだろうと驚きました。
多分その棋士の言いたいところは、
その後に素晴らしい読みをしているということなんだと思うんですけど。
先ほど大山先生に書き順を言われたのは感の字なの。
僕は横から書く方が書きやすいんだけど、正しくは縦から書くんだよね。
書き順までこだわってるってすごいよね」

初手から解説に。

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長考する行方八段。
羽生名人は▲6八角と引く手を狙っているということで、引いた後の展開、
引かせないように動く順を解説。

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様々な検討の結果後手が端攻めを狙うと面白いのではないかとのこと。
というところでヒフミンアイ。

加藤九段「時は昭和54年の2月の7日8日の王将戦の第5局、相手は中原王将。
私が3勝1敗で、中原名人が中飛車でうまい構想を見せて、
休憩中に中原さんの方の席に回って5分くらいたったときに、
思っても見なかった▲5五歩がひらめいた。
いい手だと確信して指したんです。
ヒフミンアイ誕生の一局で、勝って王将になったんだけれども、
その後はひらめいたことがなくて、500局に1局くらいの幸運だったの。
趙治勲さんとの超会議で話したんだけれども、
囲碁の棋士も休み中に相手のほうに回って考えてるって言ってました。
プロ棋士っていうのは相手のほうに回らなくて考えられるんだけれども、
意欲が幸運に結びつくと思ってるんです。
何か無いかと考えるのが幸運に結びつくというのが人生観なの」
この将棋の37手目と思われます。

次の一手アンケート

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△2二玉44.7%、△4三金右24.5%、△4二銀右9.9%、その他20.8%。
加藤九段「趙治勲さんが面白いことを言っててね、
多分今までで1万局くらい将棋指してて少し勝ち越しくらいなんですけど、
やればやるほど弱くなるって言うの。そういうことってありえますよね」
山田女流「将棋が分かってきたってことかもしれないですね」
加藤九段「なるほどそういうことかもしれないですね。
将棋は駒を落とすんだけど、囲碁は石を置くんですね。
囲碁は花を持たせてもらって、将棋は実力で負かされたんですけど、
広い盤面に8つ置いても全然勝てないんですよね。
それに将棋は上手は攻め駒が無いんだけど、碁は上手が攻めてくるんだ」

そしておやつタイム。

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羽生名人はフルーツ盛り合わせかな?

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ニコなまのおさんじはカマンベールチーズケーキほわり
加藤九段「うん、うん、うん、うんうん、うん、うんうん、うん、うん」
噴出す山田女流。

加藤九段「改めて言いますと、
40歳前後の頃におやつにカマンベールチーズを食べてたんですよ。
大学の発表でカマンベールチーズが体に良いとありまして、
カロリーが高いので採りすぎると僕はもう75歳だからまずいんですけど、
チョコレートも体に良いという話なんですけど、
40歳の頃は板チョコ8枚食べてたんですけど」
山田女流「先生体に良いって話を知らなくて8枚食べられてたんですよね。
知ってたらもっと食べてましたよね」
加藤九段「そうですよねいいことですよね。
それとホットミルク飲んでたの。ホットミルクいける。
多い時は5杯くらい飲んでてほとんど勝ってたの。
でもホットミルクはカロリー200くらいあるの。
昔は牛乳はおなかこわしてたんだけど、今は大丈夫だから牛乳飲んでるの」
山田女流「多分カマンベールとかチョコレートは体にいいんですけど、
先生が強いから勝ったんじゃないですか?」
加藤九段「恐らくね、残り何分て聞くのも冷静に考えるとおかしいと思ってるけれども、
あえて真剣勝負の中でそこまでなりふりかまわずやることで、
幸運が来るんじゃないかというのが私の人生観。
僕は基本的に人がやってることをダメと思ったことはないんです。
自分が思いついてこだわってやっていることはすべて良しだと思う。
何とかいい事に出会う、生まれてくると思ってやってるわけね。
そこに希望があって、希望のあるところに幸運が来るというのが人生観なの。
はなはだ大きな迷惑をかけるのならやめて欲しいけれど、それ以外は自由だと思います。
良かれと思ってやってるから、いい事が発生するかもしれないです」
山田女流「昔大山先生が将棋によくないからタバコをやてたっていうのは本当ですか」
加藤九段「それは本当。僕直接聞いた。
大山先生がタバコ呑んでるのは見たことないんだけどそうなんだって。
タバコ呑んでて風邪ひいて、
午前中はタバコ呑んでても関係ないんだけど、午後頭がすっきりした、
だから対局中はやめた、というのを直接聞きました」
山田女流「加藤先生もタバコ吸ってる写真を見たことがあるんですけど」
加藤九段「タバコ少し呑んだことがあってね、二十歳頃にね。
大山先生がおやつの時間にぜんざいを注文して、
僕はぜんざいをおいしそうに食べてたそうです。
ホットミルクも飲めばチョコレートも食べて、ぜんざいもおいしかったんだけど、
大山先生はぜんざいを食べなかった。
その話をマツコデラックスさんに言ったら、
それは大山先生が食べさせたかったんですよと答えて、
マツコさんはすごく好意的な人だと思いました。
大山先生がおにぎりをひらいて、どうぞと言われたこともあって、
おなかいっぱいだったんだけどいりませんと言えなくて食べたんですけど、
人生で唯一、大山先生にもらったのはおにぎり1個だよ。ふふふ。
僕はそのとき38歳くらいのときで、
自分だったら弁当にするんだけどなと思ったんですけど」
山田女流「それは先生がおなかいっぱいだって分かってて、
おにぎりだったのかもしれませんね」
加藤九段「なるほどそれが正解ですね。
僕はタイトル戦の相手に渡すことはしないと思います。相手も気を使うと思って。
中原名人は本の中で、加藤さんがおやつの時間でないのにケーキ3個って頼んだ、
加藤さんは優しい人だ、1個は加藤さん、1個は私、1個は記録係りに渡すんだ、
と思ってたら、加藤さんが3つすぐに食べてしまった、
って書いてました。僕も対局中だからそんなにお人よしじゃないの。ふふふ」

行方八段は△2二玉。1番人気の手。

加藤九段「羽生名人とも私よく話したんですけど、
羽生名人がタイトル戦で旅館に行くとね」

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滝を止める話を先読みして爆笑してしまう山田女流。

加藤九段「滝を止める話は本当でね、ここで加藤先生が滝を止めましたって、
羽生名人は5、6箇所で言われたって言ってました。
将棋を指す時は注意深く、意欲的に、気がつかないのがおかしい、
気がついたら実行しないとおかしい、
3回やって3勝なんですけど、不思議なことに最善を尽くして3戦3敗なことがあるの。
ストーブ事件というのがありまして、
ストーブを持ってきて、相手と私に等距離に置いたら、
神谷さんがやめてくださいと言ってやめました。
羽生さんもやめてくださいと言いました。
青野九段もやめてくださいと言いました。それは3戦3敗なの。
何でだと思います?」
山田女流「それは相手が自分のいい環境を作るために、
意を決して先生に言ったからなのではないでしょうか」
加藤九段「未だに謎なんだけれど、不思議なんだよねこれが。
それなりに気を使ったつもりなんだけどね」
山田女流「それは先生が対局相手に気を使いすぎたんですよ」
加藤九段「仮に僕だけストーブで温まって僕が勝ってたら、
相手はなんだあいつはって言いますよ。
私がこういうエピソードを紹介してるのは、
いい将棋を指そう、いい勝負を指そうと努力してる、
ということなので言ってるんですけれど」

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羽生名人、行方八段のおやつフルーツ盛り合わせ。

コンピュータ将棋について、
加藤九段「私も研究してみたいんですけど、
同じように研究したい棋士がたくさんおりまして、今順番待ちです。
コンピュータに関しては私は肯定派です。
ローマ法王もツイッターやってる時代ですから。
文明の発展というのは神の賜物という捉え方です」
私にはとても思えない。
造物主が我々に知性を与えておきながら、それを使わぬようお望みになるなどとは。
byガリレオってやつですな。

加藤九段は2日に1回くらい取材、出演、執筆依頼なんかが来るらしい。
今執筆を5本かかえてるとか。売れっ子ひふみん。

加藤九段「テレビ局の面白いところは毎回毎回趣向を変えるところですね。
将棋は棒銀でうまくいったら普通棒銀棒銀でいきますよね。
ドンキホーテで買い物したのが面白かったの。
将棋盤も売ってるんですよ。原稿書くときに持ってない時に助かります。
NHKで宗教の時間に出て、キリスト教入門の番組をしたいの。
ヴァチカンにいって勲章をもらって、エルサレムにも3回行ってるし、
出来ると思うんですね。
30歳を前に将棋で息詰まったと思って、洗礼を受けたんですけど、
大山先生升田先生、彼らは100点の手をずっと指す達人だ、
だから人生においても100点の手を指すにはどうすればいいかと思って」
ここからキリスト教の話をマシンガントーク。止まらない75歳。
結局おやつから1時間15分ほど話しっぱなしになった後一旦休憩に。

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先手神谷八段、後手中村九段の対局でこの局面になったことがあるらしい。
加藤九段「僕神谷さんとは1勝7敗なんですけれども、
28連勝という記録は破れないですよねー。
神谷さんも中村さんも今は振り飛車を指してますよね?
なるほど△6二飛車はいい構想だと思います。
午前中は銀が4二に下がる変化を解説していたんですけれども、
それでは上部に薄いんですね。
歩が伸びていけば攻めに迫力があります」
しばらく解説の後
加藤九段「神谷さん先手で指してたんだ。へー」

質問メール
加藤先生のお若い頃のお話で、山田道美先生の印象やエピソードを教えてください。
彼はですね、音楽も好きだったし、高橋健二先生といって、
ドイツ文学の大家でヘルマンヘッセとかの翻訳で有名だった方がいるんですけど、
高橋先生にドイツ語を習って、かわりに将棋を教えるということをしていました。
音楽は私も今でこそ40を過ぎてからモーツァルトを聴くようになりましたが、
将棋以外に文化芸術とかに強い関心を示した棋士としてユニークです。
バッハの演奏家で宗教家でアフリカの人達に尽くした有名な方で、
シュバイツァー博士という方がいて、よく彼が語っていました。
将棋は変な言い方するけれども大変な努力家で、A級になり、
名人挑戦にもなり、大山名人に棋聖戦で勝って念願達成で、
A級になって将棋が非常に柔軟になって、
見事に花開いて、名人戦や王将戦にも出た。
私は朝日新聞の将棋欄の解説もしてたし、立会いもしていたので、
同じ車両で移動したこともあって、名人戦では山田さんを応援してたんだけれども、
名人戦では残念ながら大山さんに勝てなかった。
山田さんは確か36歳で亡くなられたんですけれども、
私も大変驚きまして残念な思いをしたんですけれども、
お葬式に弔辞をよませていただきました。
若い頃から付き合いがあり、将棋の天分を語れるのは私しかいないということで、
弔辞を読みました。
ある意味異色の棋士。研究会の走りですよね。
田丸さんとか青野さんとかが共同研究者だったと思うんですけれども、
研究部屋を借りて、時間割も決めてやってたですね。
山田さんは文章を書けたので観戦記も書いたし、うまかったんですね。
若い頃にね、升田先生に理事になりなさいと言われて、
升田先生票持ってるんだと思って出たら落選したの。
それを言ったらなんだ加藤さん理事になりたかったんかって言われたんです。
升田大山というのは巨匠で、存在感もあって、当時私は25歳ですよ。
僕は元々書くことが好きで、普及が好きだったんですよ。
もう1回は将棋界の事情で、A級の棋士が理事をやりなさいということで、
一応選挙に出るにあたって、役職を聞いたら経理だというの。
それでやめた。相手も加藤は断るだろうという読みなのね。
加藤一二三に経理させようなんて読みはないよねえ。
加藤に理事やられたら困るっていうことなんですよ。
理事選は升田先生に言われて落ちて、流石に恥ずかしかったよ?
ちょーはずかしいの。理事選の落選ですよ。
選挙に出るというのは極めてまずい、選挙は厳しいよ。
経理を加藤一二三にやらせようって人事は無いよねえ。
お前理事になったら困るって言ってるの。それは僕くらいでも読める。
将棋の戦いは真理追究ですよね、選挙はしがらみがありますもんねえ」

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加藤九段によると、ここで先手は▲8六銀が当然の一手だが、
その後△4二銀に▲6五歩や▲1六歩など有力な手があるので、
ここで封じ手時刻まで考えて一晩考えるのが有力、
逆に指したら良いと思っているとのこと。

加藤九段「僕は大山さんとのタイトル戦で、初日に70手くらい進んだことがあるの。
3時くらいで、大山さんから指しかけにしませんかって言われて、
でも主催紙の毎日新聞さんが、1日で終わっても何ら問題はありませんって言って、
それで否決されたんですけれども。
ちなみにその将棋は次の日の夜9時に終わりました。ははははは」

加藤九段「新鋭の増田四段とこの歳で真剣勝負ができるというのは、
とても将棋というのはいい世界だなと思います。
幸いに私がA級順位戦で先崎九段に勝った将棋と同一局面に進んだので、
経験が生きて勝つことができました。
また、今泉さんが新四段になりましたが、40歳にして、他に職に就いているのに、
棋士になりたいというのは、将棋に魅力がある証左だと思います。
これは近年で私がもっとも嬉しい2つの出来事です」

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スポーツの話に花を咲かせる加藤九段。
朝9時から解説してて18時でこの状態である。元気すぐる。

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ひふみん絶口調のまま羽生名人が定刻通りに封じ手をしました。
加藤九段「だから僕もなかなか話題が尽きなくて」
山田女流「話題が尽きないので、
封じ手の方も大内九段が何やら上のほうを見ていますけど」
加藤九段「大内九段も気遣いが出来る方でねえ(ここからマシンガントーク)」
朝9時から話しっぱなしでまだ元気な加藤九段でした。

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封じ手を渡すシーンを写す取材陣のポジション争いと打ち合わせ。

ということで名人戦第4局初日が終わりました。
矢倉は現在は後手の△4五歩に先手の対応が難しいのではないか、
という考えがあるのですが、
後手の△4五歩を避ける脇システムを羽生名人は採用しました。
それに対して行方八段も△7三桂△5三銀という珍しい形で対抗して、
さあそろそろ戦いというところで封じ手になりました。

今日は加藤一二三九段が私の人生観という言葉を何度も使っていたんですけれども、
以前丸山九段のことを書いた記事にも書いたのですが、
戦略の階層という話で、英レディング大学院で地政学や戦略論を学び、
博士号をとられた奥山真司さんという方のブログに、次のように書いてあります。

宇宙観(死生観、哲学・宗教観、魂、アイデンティティー)

世界観(人生観、歴史観、地理感覚、心、ヴィジョン)

政策(生き方、政治方針、意志、ポリシー)

大戦略(人間関係、兵站・資源配分、身体、グランドストラテジー)

軍事戦略(仕事の種類、戦争の勝ち方、ミリタリーストラテジー)

作戦(仕事の仕方、会戦の勝ち方、オペレーション)

戦術(ツールやテクの使い方、戦闘の勝ち方、タクティクス)

技術(ツールやテクの獲得、敵兵の殺し方、テクニック&テクノロジー)


加藤九段はクリスチャンということで、宗教が上位の階層を埋めています。
放送では30歳を前に洗礼を受けたと言ってましたが、
十段のタイトルを大山先生にとられ、山田道美先生に先立たれ、
将棋に息詰まりを感じて上位の階層に打開を求めた、というのも面白い話です。
藤井九段の藤井流矢倉をほめる時でも、 気持ちの切り替えがなされていてとか、
技術より上の階層で感心するのが加藤流です。
大山先生に書き順の間違いを指摘された話も、将棋と関係ない書き順のような、
細部にわたって正確性を求めるという生き方に感心してるんですね。 
今日の加藤九段はしゃべりっぱなしで、
会話の内容も上位の階層と下位の階層をぽんぽん飛びまくる絶口調だったのですが、
凡人の私には神武以来の天才の会話を追いかけるだけで疲れました。ははは。

というわけで名人戦第4局の初日が終わりました。
明日のニコニコ生放送では9時から、解説に渡辺明棋王、
聞き手に室谷由紀女流初段で大盤解説会が放送されます。
現役屈指の理論派である渡辺棋王の解説楽しみです。

第27期竜王戦第5局初日が終わる

森内俊之竜王に糸谷哲郎七段が挑む第27期竜王戦七番勝負第5局は、
森内竜王の封じ手で初日が終了しました。

ここを勝てば竜王になる糸谷七段の初手は▲7六歩。
加藤九段「初手は▲7六歩だと思っていました。矢倉はないと思います。
森内さんは矢倉も得意なんですけれど、糸谷さんはどうなんでしょうか。
多分腰掛け銀だと思います」

加藤九段はスーツではなくカジュアルなスタイル。
普通のおじいちゃんじゃねえかとコメントで突っ込まれてました。

加藤九段「七番勝負で3勝は勝っている方は大分気が楽ですよねー」

第4局は金沢のかなや青巒荘と聞いて、青巒荘のエピソードを語る加藤九段。
中原さんとのタイトル戦で4勝2敗で防衛した時の第1局がこの場所だったらしい。
また、米長さんとの対局もあり、加藤九段がチーズを頼んで食べていたらいい手が指せて、
米長さんも負けじとチーズを頼んだら違うチーズが出てきて、加藤九段が勝ったらしい。
昔の十段戦(竜王戦の前身)は7人くらいで、関東の各地を廻ったらしい。
加藤九段「第1局ハワイ行ったんでしょ?うんうんハワイ、ハワイねえ」
棋王戦の第1回が最初のハワイ対局らしい。この記憶力は何なのか。
渡辺六段と森内竜王の竜王戦で、一緒に焼肉食べたらしい。
加藤九段「僕の将棋結構知ってる↑」嬉しそう。
昭和54年の中原さんとのタイトル戦も研究しているらしい。
郷田九段も加藤九段の将棋を研究しているらしい。
加藤九段「彼も長考する。長考すると普通意表の手を指すが、
僕も郷田さんも普通の手がいいと思ったらそれを指すところが一緒。
先輩では升田先生も将棋を観ていてくれて、感想も言ってくれたり、激も飛ばしてくれた。
升田先生は感想戦も熱心で、朝の7時くらいまで感想戦もやって、
その後にこんないい将棋をを指せた、見てくれ、と言われて並べてもらったりもした。
本気で感想戦をやった棋士は大山名人。
二上さんとの感想戦は後日第二次感想戦が始まる。
今は研究会の時代だから、気のあった仲間とやればいいやという感じ。
昔は感想戦が研究会のようなものだった」
※渡辺明著「明日対局」に、加藤先生に「渡辺さんは僕の▲6二歩は知っていますか」
と聞かれ、大山全集を並べていたので「もちろんです」と胸を張って答えることが出来た、
と書いてあります。
韓国での竜王戦第1局のことで、焼肉も韓国で食べたのでしょう。

12月3日はひふみのひ。とのコメントで12月3日のエピソードを語る加藤九段。
昭和43年の12月3日から4日にかけて、大山十段と十段戦第4局を指した。
▲4四銀に7時間考えて指して、それがいい手で勝った。
直感でこの先に何かあると思ったから、どう考えても▲4四銀なんだけど先を考えていた。
加藤九段「これ負けてたらしゃべらないけどね」
谷川さんは負けてもいい将棋なら評価するが、自分は負けたら評価しないとのこと。
腰掛け銀は加藤九段が奨励会に入ったくらい、終戦直後に大流行した。
ただし短期決戦型なので、研究の量で勝とうという将棋で、
研究が進んだ後は一時廃れて矢倉が大流行した。
その後角換わり腰掛け銀の定跡の歴史講座に。
最初は後手が△7三桂馬と指していたが、△4三金が発見されて千日手模様になり、
先手から打開が難しく、後手は戦えるということで、
数年くらいほとんど腰掛け銀が指されない時期があったらしい。
※すぐ上の渡辺二冠がもちろんですと答えた▲6二歩というのが、
▲4四銀の先にあった妙手です。
大山十段の封じ手が△5二歩であろうと予想した加藤九段が、
初日が終わって19時から0時まで5時間考え、
さらに封じ手開封後に2時間考え、そして見つけた手でした。

そして独演会のまま50分が過ぎ、質問メールに行こうとする藤田女流でしたが、
加藤九段はかまわず話を続けて藤田女流の仕掛け失敗。
囲碁の先生と話すのも魅力的らしい。
例えば感想戦は、囲碁の場合はご飯を食べて、お風呂に入って、
それから時間をとってじっくりとやる、ということもあるらしい。
58分過ぎにようやく現地の写真に。
10時過ぎ、斜めになっていた2三歩を森内竜王が直しました。
角を交換した際に糸谷七段が触って曲げてしまったらしいのですが、
糸谷七段が席を立った後に直す気配りの竜王。
ponanzaも後手の森内竜王の+197。
ponanza予想手の△6五歩の仕掛けは加藤九段も解説していたので、
やっぱり仕掛けたいよねとご満悦。
そして質問メールの回答がないまま休憩に。怒涛の1時間でした。
森内竜王は△6五歩を選択。初日の午前中から早くも戦いに。

加藤九段曰く
森内竜王の将棋は、柔よく剛を制すとあるが、森内竜王は剛、羽生さんは柔。
若い頃の森内さんと指したが、居玉で指されて負かされて、森内竜王の剛が分かった。
大山先生は柔、升田さんは剛、自分は剛、郷田さんも剛、渡辺二冠も剛、
こうしてみると将棋の棋士はだいたい剛なんだ、柔で勝つのは大変ですよ。
局面は糸谷七段の手番ですが、加藤九段は指したい手は▲2五桂とのこと。
後手としては仕掛けたところなので、ずっと守っていてくれる方がいいらしい。
それが突如私は私と攻めてこられると困る、と解説していると糸谷七段も▲2五桂。
加藤九段「ああ▲2五桂ね。当たった当たった。
僕は一目で言ったわけだけど、糸谷さんは研究範囲なんだここまで」
研究の手を一目で言い当ててご満悦の加藤九段。
藤田女流「それではここでヒフミンアイを…」
加藤九段「ヒフミンアイね。うふふふふ」
その後はこう進めば糸谷さんがいい、こう進めば森内さんがいいと、
解説も止まらない加藤九段。駒を動かすのは藤田女流ですが。
糸谷七段の10時のおやつはゆずジュースと練りきり(椿)。
加藤九段「いいですねーいい色してますねー」
11時にようやくリレー質問に。

リレー質問
佐藤九段から加藤九段へ
私は現在40代ですが、40代50台の将棋の勉強の仕方を教えてください。
元々佐藤さんは棋士の中でも研究量は1、2を争う。意欲的に研究している。
意欲的というのは、ものすごく新しいことに挑戦している。なのでリスクは高い。
そんなことまで考えてるのかというとこまで研究している。
私の実体験でいいますと、ライバル棋士の実戦集、
大山升田の100番指しなんかを読んで勉強した。
中原米長の100番指しも読んで勉強したが、図面が入っているものがいい。
マイナビから出ている本は大山先生が率直明快に書いていて、
将棋に対する哲学や取り組み方も書いてあって面白かった。
大山先生が晩年病気を直して順位戦に復帰した時に、
ファンが大山先生に大変ですねと言って、大山先生も大変ですよと答えた。
ファンは落ちる可能性があるから大変だと言っているが、
大山先生は全部勝てば名人挑戦だという意味で大変だと答えている。
そういうのがいっぱい出てくる。あと「意地」という言葉もいっぱい出てくる。
気持ちの持ち方が大きい。抽象的になるんだけれども。
私は30歳のときに将棋に行き詰まりを感じて、
33歳のときに中原名人と名人戦を戦って4連敗で負けたが、
今回は負けたがいずれ名人になれると神様からメッセージを頂いた。
限界は突破できるものだと思っている。
突破するには人生観で考えてみると言う必要は絶対にあると思う。

※英レディング大学院で地政学や戦略論を学び、
博士号をとられた奥山真司さんのブログより、戦略の階層。

宇宙観(死生観、哲学・宗教観、魂、アイデンティティー)
世界観(人生観、歴史観、地理感覚、心、ヴィジョン)
政策(生き方、政治方針、意志、ポリシー)
大戦略(人間関係、兵站・資源配分、身体、グランドストラテジー)
軍事戦略(仕事の種類、戦争の勝ち方、ミリタリーストラテジー)
作戦(仕事の仕方、会戦の勝ち方、オペレーション)
戦術(ツールやテクの使い方、戦闘の勝ち方、タクティクス)
技術(ツールやテクの獲得、敵兵の殺し方、テクニック&テクノロジー)

加藤九段は行き詰まりを感じたという30歳の時にキリスト教の洗礼を受けています。
宗教観は宇宙観の階層になりますが、
限界を突破するにはより上の階層で考えてみることが重要だとのことでしょう。

糸谷七段の早指しについて、
加藤九段「糸谷七段の早指しは将棋の歴史上ナンバーワン」

その後藤田女流へのリレー質問の紙をもらったが、
しゃべりたいのでと突っぱねる加藤九段。無敵すぎである。
旅行は気分転換に行くもの。
私はタイトル戦の前に御祈りの旅に行ったこともある。エルサレムにも行った。
人間は楽しいことが先にあると原動力になるので、そういうのを持っているといい。
当時は30代だけど今は74歳になって、
旅行に行くというよりは内面を引き締める時期かなと思っている。

室谷女流から藤田女流へ
旅行好きと言ってましたが、予定の場所はありますか。
加藤九段「どこいったの?」
藤田女流「ヨーロッパにも行きました。
イタリア、フランス、スウェーデン、フィンランド」
9月にシンガポールに行ってきたのでしばらく予定は無いとのこと。
その後加藤九段は、
旅行の話→旅行の記事を書いた話→記事といえばキリスト教の記事を書いたよ→
アウト×デラックスは打ち合わせ15分→ハヤブサ打ち上げ成功するといいね、
という怒涛の進行でした。
ハヤブサは理系的な興味ではなく、
宗教家なので神様が御創りになった神秘的な意味で興味があるらしい。

盤上では糸谷七段は穴熊のハッチを閉める▲8八銀。
加藤九段「いやー渋いですね。関心した。よく将棋知っているな。
驚きました。相当これ研究してるんだ。冷静な人だな。こんな冷静な人なんだっけ?」

第1局の前夜祭で糸谷七段が哲学の話をからませて挨拶をしたと聞き、
加藤九段「彼は哲学の話がしたいんだ。若い若い。うふふふふ」
そして哲学トークに。
ひふみんニーチェとかも読んでいるらしい(ただしニーチェはばっさり斬られる)。

加藤九段は森内さんと対局したときに、
森内さんの和服の色のモスグリーンは平和の色なので、闘志が失せて負けたらしい。
昔は紺色が主流だったのこと。そして2回目の休憩に。
ponanzaは早くも森内竜王の+312。
初日の午前中なのにもう中盤になっています。

休憩後直感で30手くらい進める加藤九段。そして「一目森内竜王の方が良さそうですね」
違うパターンを30手くらい進めて「これだと糸谷さんが良さそうですね」
とにかく手を進めて変化をつぶしていくスタイル。そして
加藤九段「次の対局はどこの場所だっけ?」
神武以来の天才の中では森内竜王の勝ちになっているらしい。

アンケートどちらを持って指したいか
森内竜王50.3%、糸谷七段11.6%、ニャンとも言えない38.1%。

後から読む手はこんなバカに上手くいく?っていう手が多くなってしまうらしい。
直感は無心で後から読む手は都合の良いように考えてしまうからとのこと。

昼食アンケート
うなぎ79.8%、それ以外20.2%。
25歳前後はラーメンだった。
ふじもとさんは将棋会館から歩いて5分なので、よく食べていた。
天ぷら定食もたまに食べるらしい。
加藤九段「うなぎはご飯と食べるといい。うな重が一番。
NHKのためしてガッテンで言ってた」

昼食休憩中にponanzaの評価値は森内竜王の+518に。
まだ初日の午後の解説が始まってないんですがそれは。

再開直後に森内竜王が▲4八角成りと指し、
加藤九段「なるほどなるほど、これはいい手だと思います」
その後検討を進めて
加藤九段「感動しました」

昼食アンケートの答えはもちろんふじもとのうな重。
うなぎはスタミナがつくし、一年中安定しておいしいとのこと。
対局の日は昼と夜と食べるが、それ以外の日ではあまり食べないらしい。

森内竜王と糸谷七段の昼食の写真を載せている間に、森内竜王が眼鏡に。
と思ったらすぐに外す。森内竜王の眼鏡はレアシーンですね。

将棋史上の謎。
羽生さんと渡辺さんの竜王戦で、ここでこう指せば羽生さんが勝っていたのに、
指せないで負けたというのがある。具体的には▲6二銀成りと指せなかった。
私が名人になったときに、
私の必敗の将棋だったのに中原さんが間違って勝ったのも不思議。
羽生さんも渡辺さんも▲6二銀成りに気づいていなかったのが不思議、
と渡辺二冠に言ったら、将棋というのはそういうものです、
と言われて終わってしまった。
加藤九段が森内竜王に、
持将棋は苦手だから持将棋を打開してほとんど負けているといったら、
そんなことありませんよ、○○○手で負かされていますよと返されて、
驚いて後日調べたら手数まで合っていたらしい。森内竜王も謎記憶力。
加藤九段と違って負けた将棋を覚えているのも森内竜王らしいか。

質問メールに行こうとしたらトイレか何かで席を立つ加藤九段。フリーダムはここにある。

質問メール
藤田さんに質問です。カスパロフさん対羽生さんのチェスについて。
チェス対局の聞き手はもちろん初めてで、本当にカスパロフさんの緊張感がすごくて、
空気がぴりぴりしていた。
チェスアプリダウンロードして結構やっています。
そして戻ってくる加藤九段。

加藤先生に質問です。
将棋の天才達に米長先生が加藤先生に仕掛けたいたずらについて書いてありました。
当時はどんな気持ちでしたか。
そうですねー覚えてるよーな覚えてないよーな話なんですけど。
うーんとですね、えーとですね、
タイトル戦になると真面目に考えてくれるんですよ。
真面目になってしまった米長さんだと勝ちやすいの。
タイトル戦の米長さんは与し易かった。
普段はいい意味でふざけている部分があるからやりにくかった。
タイトル戦はほとんど五分になる。タイトル戦以外は負け越している。
予選の将棋は彼にとっては軽く指せるの。
※ある対局で夕食休憩に入ったときに、
米長先生が加藤九段が入ってくる部屋に先に入り、
明かりを消して座禅を組んでじっとしていた。
入ってきてスイッチを入れた加藤九段は米長先生を見て、
すぐに電気を消して隣の部屋に入り、お祈りを始めた。
驚いてうな重を落とすことを期待していた米長先生は、
これでは張り合いが無いとがっかり。 

盤上では加藤九段が終盤の入り口と表現するような局面に。
まだ初日のおやつ前なんですが。

森内竜王の将棋を並べて研究してみると、
羽生さんを相手に寄せ付けずに勝つ将棋もあるが、
その一方で全然頑張らないで負けてしまう将棋もある、とのこと。

加藤九段「40歳前後の頃のタイトル戦ではチョコレートを食べていたので、
NHKの番組にチョコレート派で出たことがある。
チョコレートは今でも食べるし太らない。
洋菓子はモンブランとかイチゴショート、エクレア、シュークリームも好き」

おやつ休憩を明けると何故か加藤九段に変わって片上大輔六段が解説に。
片上理事は糸谷七段の兄弟子でもあります。

片上六段「糸谷七段なんかこうねー、独特なんですよね。
どこで将棋を覚えたんだというか。
インターネット将棋で強くなってプロになった初めての世代なのも影響してると思う。
目の前に座っていると伝わるものが普通はあるが、
その予想と全然違う手が飛んでくる。
普通指すなっていうのは空気でわかるが、指すなと思ったのに指さなかったり、
油断しているとぱっと指したり」
初手から解説に。
片上六段「これは必修手筋、いわゆる味付け海苔ですね」

糸谷七段が▲2九飛と逃げた局面について
片上六段「こういうところって考え甲斐のあるところなんですよね。
そういうところで早いというのは決断が早いというのか勝負に辛いというのか」
その後も変化の解説でたらちゃんもでてきました。
将棋界には豊川先生のおやじギャグが伝播しているのか。
そして森内竜王の△7六銀に、
片上六段「怒ってるんですかね?負けじと早指しで」
糸谷七段はすかさず▲3五歩。「彼は何時間の持ち時間を持って帰る気なのかな?」
森内竜王の語録で時間は持って帰れないというのがある。
もう詰みのような局面でもすごい慎重で、
石橋を叩いて渡るみたいなところがあると言われた時の言葉らしい。
ニコニコ動画は普段どのくらい見ているのかについては、
片上六段「発表会とかちゃんと失言が無かったか見てるんですけど」
糸谷七段とは竜王戦についてはそれほど話していない。
挑戦者決定戦が羽生名人だったので、それほど勝つとも思ってなかった。
ただ1番勝ったんでもしかしたらと思った。
3局目見ていて、本当に勝っちゃうんだーと思った。
次の日に頑張ってねとか簡単に話した。
彼は彼なりに緊張するところがあって、西遊棋イベントで挨拶で緊張して、
豊島七段に緊張しすぎやと突っ込まれたこともあるとのこと。
藤田女流「今後はどういった展開になるんでしょうか」
片上六段「最近話す方はアドリブでなんとかなるんですけど将棋の話は難しいんですよ」
理事職は挨拶大変ですからねえ。

単純に先手の攻める手を3手進め、後手の攻める手も3手進め、
これなら後手の方が早いんじゃないですかね、ざっくりですけどと片上六段。
こんな考え方もあるのか。片上六段は若干後手持ちらしい。
片上六段「糸谷七段は残り6時間半?5時間残して負けたら前代未聞ですけどね」
解説が終わると片上六段の出番終了ということで休憩に。

現地カメラでは森内竜王が眼鏡をかけ、すぐに外すパターン。
今日は眼鏡の日なんだろうか。

再び加藤九段の解説に。
糸谷七段の▲8七銀打はなかなか指せない、頑張っている手らしい。
次の一手で当てられるプロ棋士はほとんどいない、指されてみればうーんという手らしい。
森内竜王は金銀を攻める直接手ではなく△7四桂と力をためる。
次の9六歩が厳しいので攻め合いは先手負けとのこと。
その後も違う変化を並べますが、どうも森内竜王がいい変化が多いようです。

現地の色紙の映像になり、長谷川女流が夢で井上九段が溢。
photo_42
加藤九段「溢れるいいなあ…。僕も使わせてもらおう。
希望があるから人間は生きていけるんだ、なんちゃって。ははははは」

現地の写真で写っていた高野六段について、
高野六段は子供のときにお父さんが加藤九段の本を買ってきて、
それを読んで勉強したって言ってた、偉いと加藤九段。
加藤九段お気に入りリストに入っていると思われます。
本と言えば、2年がかりで書いた振り飛車破りの棒銀の本が近々出版らしい。
加藤一二三棋士生活60周年盤と言ってもいいくらいの本にできたとご満悦でした。
実戦集で初手から終わりまで書いてある局が多いらしい。
例えば加藤九段が森内竜王とタイトル戦をやる、となったら、
1局8時間くらいかけて研究するらしい。プロの研究ってどこまで掘るんだろうか。

そして局面の解説を始めたと思ったらまた席を立つ加藤九段。
トイレかな?自由な加藤九段である。

局面の解説というところで手を渡された藤田女流は、奥義アンケートどちらを持ちたいか。
森内竜王50.6%、糸谷七段12.3%、ニャンとも言えない37.1%。
さっきとあまり変わらない割合でした。
ponanzaの評価値は森内竜王の+393。

△7四桂をさりげに指せるあたりは森内竜王が好調で、
表情からも自信が溢れているとのこと。
加藤九段「いやぁいい手だぁ(ため息)」
ため息をついている間にponanzaの計算が進み、森内竜王の+432に。
ponanzaもいい手だとため息をついたんだろうか。
しかし加藤九段が▲5五角という手を見つけて、
加藤九段「いやーいい手だなー▲5五角は。盤上この一手」
自分の手をこのべた褒めである。
しかし▲5五角に飛車を捨てて攻め合う順を並べてうっかり詰まされる加藤九段。
その後も検討を進めて、
加藤九段「どうも加藤流▲5五角は不成立ですね↓」
加藤九段の飲み物がお茶からポンジュースにチェンジ。

藤田女流「ここで一旦休憩に入りたいと思います」
加藤九段「はい、はい、将棋としてはとてもいい将棋で…」
無敵である。

休憩中に糸谷七段は▲9八桂。
これは守るだけの手なのでと加藤九段がさっき言ってた手でした。

盤上では糸谷七段の囲いが金金銀銀桂桂香飛というなんだかすごい穴熊に。
しかし進めると糸谷七段がやはり悪いらしい。
加藤九段「腰掛け銀は攻め合いの将棋。しかも先手番なのに攻められてる。
腰掛け銀の攻めはなかなか途切れない。
腰掛け銀と言えば廣津久雄先生との将棋で、腰掛け銀で僕が負けたんだけど、
廣津先生はその将棋に勝って九段になったの」
ひふみん独演会である。

藤田女流「これだけ進んでいると初日の夜はどうするんでしょうか」
加藤九段「初日の夜は戦いに入っているのが一番いい。戦いに入っていれば読める。
序盤の作戦段階はどうでも指せる状態だから。
相手がどうくるか分からないからやきもきして、時間かけて考えても仕方が無い。
駒がぶつかっていれば気楽でいい」

加藤九段の一番好きな駒は銀か角。
ただし金が3枚横に並んだ将棋が自身の名局集にあり、4枚並んだ将棋もあって、
そういう将棋は負け無しらしい。

加藤九段「例えば羽生さんや谷川さんに、
将棋で強くなるにはどうすればいいか子供たちが聞いたら、
勝つ努力をしましょうと言うと思う。
でも僕はそうは言わない。
将棋というものはいい手を指せば勝てるという哲学があるので、
いい手を指しましょうと言います」
※多分羽生さんや谷川さんは、
将棋は最後に悪い手を指した方が負けるという哲学があるためと思われる。

そして森内竜王の封じ手になりました。
75_2
封じ手アンケート
△6七歩43.9%、△9五香20.7%、△6六桂10.7%、その他24.6%。

加藤九段「とにかく森内竜王の将棋はね、良くなったら逃さないの」
前局は終盤に大逆転負けでしたが、
そんな展開に持っていっているということが復調の兆しだったのでしょう。
後は着地を決めるだけですな。

加藤九段
ずいぶん大いに張り切って、将棋の面白さを解説することができて、
この将棋面白いですよねー、一手指した方が良く見えますもんね。
ここまで来ればかなり読めるので、明日は大きな波乱もなく、
森内竜王が押し切りなんじゃないかと思います。

最後にリアル車将棋について話が及び、
加藤九段は将棋界は新世紀に入ったと大喜びでした。柔軟な74歳である。

明日はニコニコ生放送では解説に高橋道雄九段、
聞き手に飯野愛女流一級で大盤解説会があります。
森内竜王が踏ん張るのか、糸谷七段が一気にタイトルを取ってしまうのか、
加藤九段のコメントがフラグになるのかならないのか、
ニコ生スタッフへのおすそ分け(御坂美琴のヤシの実サイダー)まで準備している、
高橋九段の解説も含めて見所満載です。とても楽しみですね。

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小藪千豊「加藤九段は本当にえげつない」

伝説の老兵ひふみん 初の対アマ平手対局


加藤一二三九段と言えば駒落ちの指導対局で手を抜かない棋士でもあり、
金銀の使い方が上手くて下手泣かせとも言われています。
つるの剛士さん加藤九段は、つるの将棋七番勝負という本の中で、
角落ちで対局しており、動画同様つるのさんが中飛車に構えますが、
加藤九段が棒銀を炸裂させて圧勝しています。
この動画では平手ですが、実力に差がある人同士での平手は珍しく、
加藤九段はつるのさんがどんな将棋を指すのかも分かっていますから、
上手い人がえげつない将棋を指すとどうなるかが良く分かる動画です。
つるのさんは角落ちの将棋もそうでしたが、
不利な局面では我慢してジリ貧になることを避けて前に行くタイプです。
加藤九段はそれを見越して自分の玉頭に無理攻めするように誘導して、
カウンターで綺麗に即詰みにしました。

ハイライト
つるのさんの▲5八金(1分14秒
飛車が向かい合った状態から加藤九段が中飛車にしました。
飛車先の歩を切れるチャンスですが、つるのさんは5秒くらいで見送ります。
つるのさんは角落ちで加藤九段と対局したときも棒銀に震えて受け損ねていて、
負けて元々なのは分かっているはずですが、
それが開き直りになっていないなあと見ていて思いました。
加藤九段も「あれ?」という感じで画面に顔を近づけていますね。

加藤九段の△8五桂(1分45秒
高美濃囲いから銀冠に組み替えるには▲2七銀、▲3八金の2手かかります。
しかし最初の▲2七銀は、金銀の連結を外すマイナスの手で、
2手セットで初めてプラスになるという手です。
そこでマイナスの手を指した瞬間に加藤九段が機敏に動いて開戦しました。
加藤九段は駒得で角も捌いてにこにこしていますね。

加藤九段の△5九角(3分4秒
指された瞬間のつるのさんのリアクションが面白いです。
普通は飛車金両取りに銀を打ったのですから、飛車が逃げたら金を取りそうなものですが、
加藤九段はさらに追撃していきました。
こういった手は次の一手の問題として図面が出ていたらわかりますけど、
実戦では取らない手は読みから省いてしまいがちです。

つるのさんの▲3四歩(3分57秒
なんとか攻め合う形までは持っていきたいつるのさんの決断の手です。
加藤九段の玉頭を攻めて何とか形にという意図ですが、
ここから加藤九段は守りに利いている自分の馬筋を止める△5五桂で攻めを誘い、
つるのさんの攻め駒である飛車に▲2四金と働きかけて無謀な玉砕特攻を急かします。
ここまでされたらやるしか手段が残っておらず、
つるのさんの攻め駒を手に入れた加藤九段がさくっとカウンターで決めました。
これが1300勝棋士の勝ち方ってやつですか。

つるのさんのぼやき(7分2秒
「いやーなんだろう。わけわかんなくなったなあ」とぼやくつるのさんですが、
角落ちで加藤九段に負けたときは
「自分の将棋がまったくできなくて。悔しいなあ」でした。
この対局も自分の将棋はまったくできなかったですが、
実力を出させてもらえるかどうかは上手い人次第なんですねえ。
小藪さんに「加藤九段は本当にえげつない」と言われてにこにこ顔のひふみんでした。

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藤井九段が語る封じ手エピソード

藤井猛先生の大盤演芸会


2012年に行われた第25期竜王戦第4局、
滋賀県近江市の「ホテルニューオウミ」で行われた現地大盤解説会の動画です。
封じ手から解説すると思ったら、封じ手エピソードを話しているうちに、
解説の藤井猛九段の出演時間が終わってしまったという動画です。
福崎文吾九段の、封じ手開封の時にはさみではなく扇子を持って行ってしまった、
というエピソードはいつの時か分かりませんでしたが、
渡辺明竜王の書いた封じ手を、立会人の某棋士がわからなくて固まってしまった、
というのは竜王戦中継ブログに残っています。

封じ手が分からず固まる某九段と動揺する渡辺竜王
dsc_0210

封じ手を説明する渡辺竜王
dsc_0209_2

ポーカーフェイスの丸山九段も少し動揺?
dsc_0219

問題の封じ手
dsc_0226

某棋士予想が当たってしまった…。

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森内名人「余計なお世話ですよねー」

第25期竜王戦を振返る


2012年の第25期竜王戦、ニコニコ生放送の解説を振り返る動画です。
動画は雑談がメインで、三浦弘行九段が当時の人気テレビ番組「進め!電波少年」で、
松本明子さんに結婚を迫られた話や、
安食総子女流初段が子供の頃に妖精を見たことがあると話して、
解説の富岡英作八段が反応に困るシーン、
中村修九段の誕生日おめでとうということでケーキを出すシーン、
中村桃子女流初段に、モヒカン等ころころ変える兄の髪型についてどう思うかなど、
将棋以外の部分で困ったり喜んだり見所満載です。
個人的には中村女流に料理ができないって言われたと不満を述べる藤田綾女流初段に、
森内名人が「余計なお世話ですよねー」と辛辣なフォローをするシーンが面白かったです。

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