棋士はカワイイ!

将棋と棋士の魅力を伝えたい!そんなブログです。 なんか難しそう、古くてださそう、そんな印象を吹っ飛ばす!
指すのではなく観戦ならば簡単で面白い!

伊藤英紀

電王戦の反響と新しい問いかけ

第3回将棋電王戦記者発表会[対戦カード・対局日程・対局会場]PV


第1回と第2回の電王戦でヒール役ポジションにいたPuella αの開発者、
伊藤英紀さんが、自身のブログで電王戦の舞台裏について執筆中です。
この中で居酒屋での故米長邦雄会長の話として、
電王戦を興行として成功させたいと話していたと書かれています。
そこで第2回からはドワンゴと組むことになったのですが、
第2回は一般のニュースにも取り上げられるような反響を呼び、
興行的には大成功だったと思います。
私のブログでも、例えば電王戦前の2月で一番PVがあった日で126PVだったのですが、
3月の佐藤慎一四段がponanzaに負けた翌日の31日には2640PVと20倍以上になり、
4月の塚田泰明九段が引き分けになった日には5000PVを超えました。
電王戦によって新たに将棋に興味を持たれた方が、将棋と電王戦のキーワードから、
どんどんネットサーフィンしていたことの証左だと思います。
第3回は対局場にまで趣向が凝らされ、特別スポンサーとして3社が名乗りを上げるなど、
ますます大きなイベントとなりました。

伊藤さんとは別に、第3回電王戦に出場するやねうら王の磯崎元洋さんも、
自身のブログにてコンピューター将棋のことを書いています。
コンピューター将棋で同系のソフト同士の対戦は、
持ち時間がわずかに多い側が大きく勝ち越す、
という事象から、プロ棋士を同系ソフトとみなせば、
実力的な差はわずかなのに勝率に開きが出るということを説明できると掘り下げています。
ここからさらにコンピュータ将棋開発者からの意見で掘り下げて書かれていますので、
興味のある方はそちらを読んでいただくとして、
観る将棋ファンの私はプロ棋士が同系ソフトとは言えないかなーと思います。

コンピュータ将棋の場合、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→自分の評価関数で考える
ということが言えると思います。
そのため同系ソフトの場合は読みが一致してしまい、
ちょっとでも強いソフトにじわーっと押し負ける、勝率に開きがでてしまう、
ということだと思います。
それではプロ棋士はどうでしょうか。
昔からトップのプロ棋士はその特徴から、中原誠十六世名人の「自然流」、
谷川浩司十七世名人の「光速流」、森内俊之十八世名人の「鉄板流」、
といったように呼ばれます。
これはプロ棋士の評価関数の特徴と言え、
「光速流」と「鉄板流」が同じ系統のソフトとは思えないというのが私の意見です。
ただし勝率に差がでる現象というのは確かにあります。
それが「○○流」と呼ばれることのないトッププロの棋士、羽生善治三冠です。
例えば羽生三冠と深浦康市九段は、羽生28-27深浦とほぼ互角の成績だったのですが、
そこから急に深浦九段の10連敗になりました。
三浦弘行九段は6-6の後は1-21と大きく負け越していますし、
藤井猛九段は13-14の後に2-23とこれまた大きく負け越しています。
羽生さんはこだわりを持たないということにこだわっている棋士でもありますが、
そんな羽生さんが思考方法を述べているのを本から抜粋します。

梅田望夫著どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語より

木村さんはそういう展開にするよりも、攻めるぞと見せて、
受けにまわるというのが好きなタイプなので、本譜のように▲6八角でしたが、
<中略>
▲6八角の展開になると思っていました。
控え室では、木村の▲6八角にみな驚いていたわけだが、
羽生は木村の個性を見切ったうえで、▲6八角を予測していたというのだ。

-----------------

棋譜を見れば木村さんが指したものとすぐわかります。

-----------------

かつて、ある若手棋士が、
「羽生さんって、人の特徴をとらえるのが本当に上手だからなあ」と感嘆していた。
羽生の強さの秘訣に、戦う相手の棋士としての本質を、
極めて抽象度の高いところで掌握していることがあるのではないだろうか。


先ほど私はコンピュータ将棋の場合、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→自分の評価関数で考える
と書きましたが、少なくとも▲6八角を予想した時の羽生さんは、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→相手の評価関数で考える
というアプローチを取っていると考えられます。
そのため同系ソフトの場合と同様に相手の指し手が読みと一致し、
読みが少しでも上回ると勝率に開きが出るのではないかと思います。

渡辺明著勝負心より

私は公式戦を600局以上戦い、7割近い勝率を残してきた。
そのうち約200局もの敗局があるが、そのほとんどは、
自分のミスによるものと認識している。
しかし、こちらが一手のミスもなく指しているというのに、気づいたら負けていた、
ということが、ごく希にある。
敗因がわからず、「どう指しても無理だったな」と感じる、その唯一の相手こそ、羽生さんだ。
これだけ完璧に指されたらお手上げだ、と思わされたのが対局のひとつが、
先に述べた2008年の竜王戦フランス対局だったのである。


やねうら王の磯崎さんは、同系の強いソフトにはじわーっと押し負けると述べました。
上記の渡辺二冠の話も、ミスをしていないのに気づいたら負けていたということは、
じわーっと押し負けたということなのではないでしょうか。
渡辺二冠は羽生さんが最も読み筋が合う、
予想外の手もあるが、後で考えるとおおむね理解できる手であるとも述べています。
逆に佐藤康光九段はなぜか根幹から読みが違う、
説明されても納得できないことが多いと述べていますから、
少なくとも渡辺二冠と佐藤九段が同系ソフトというのは間違っていそうです。

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どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?
―現代将棋と進化の物語
梅田望夫著
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第2回電王戦を終えて

【第2回電王戦】三浦弘行xGPS将棋の局後の記者会見の様子【将棋】


【第2回電王戦】全体を通しての記者会見の様子【将棋】


三浦八段がどこが悪かったのかわからないと言ったのは驚きですね。
将棋には400年以上に及ぶ歴史があり、
様々な発見があり、格言として後世に残ってきました。
例えば攻めは飛角銀桂、4枚の攻めは切れないといった格言がありますが、
電王戦ではコンピュータが薄い攻めを決行することが多かったです。
本局では、コンピュータが40手目に歩をぶつけて開戦しました。
このとき飛車や角は長い距離を動けるので後方にいても大丈夫ですが、
銀が三段目、桂馬や香車はまだ一段目にいるという状態でしたので、
銀が参加できても3枚の攻めということになります。
そこで攻めが薄いと判断して、
力強い受けの手を選択するというのは自然なことだと思います。
ところが3枚の攻めのまま、桂馬や香車は援軍に行くこともなく取られるという展開で、
受けつぶしを狙った三浦八段を相手に攻め切ってしまいました。
下記は渡辺明三冠のブログからです。

A級棋士の三浦八段も負け、ですか。
△GPSの△75歩▲同歩△84銀はこの形では新手法の仕掛けですか、
これで決定的に悪くならないのならば新定跡誕生です。
以下▲77銀と埋めるまでは相場ですが、
△64角と引いて特に狙いはないけど先手に価値が高い手がない、と。
この△64角と引くところまで△75歩と仕掛けた段階で見通しているんですね。

電王戦が創設されて、昨年は米長先生が負けた。
今年は現役棋士が出るとは言え、
自分のところに回ってくるのは当分は先だと思っていました。
来年以降のことはもちろん何も決まっていませんが、その見解は甘過ぎたようです。
再び今日の将棋。66手目△74歩▲同歩△64歩って、
そんなんで手になるの?って感じですが、えらく細い攻めを繋ぐんですね。驚きました。


渡辺三冠は細い攻めを繋ぐ技術の高さに強みがあるとされている棋士ですが、
その渡辺さんをしてそんなんで手になるの?という手を通したというのはすごいですね。
思いもよらないところから攻めの糸口を作るのが得意なのが羽生三冠、
細い攻めを繋ぐのが得意なのが渡辺三冠、
攻めをぶち切る、繋がりを絶つのが得意なのが森内名人というのも面白い構図です。

さて、第2回電王戦はこれで終わりましたが、
皆様は将棋に、棋士に、コンピューターに、どのような考えを持ったでしょうか。
400年以上にわたって当代一と呼ばれた人達が人生をかけて挑み、
それでいて今もなお新発見があり続ける将棋の奥の深さ。
将棋に没頭し、研鑽を積まなければ生き残れない世界にあえて身を置いた棋士達の純粋さ。
とにかく手を広く読み、新たな鉱脈を探し続けるコンピュータとそれを支える開発者達。
私は日本の伝統の中の美しい世界を見れたことが嬉しいです。
電王戦で初めて将棋の番組を見たという方の中から、
これを機に将棋ファンになってくれる人が少しでも増えるといいなあと思います。

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電王戦第4局、Puella α対塚田泰明九段戦を終えて

【第2回電王戦】Puella αx塚田泰明の局後の記者会見の様子【将棋】


戦型予想は横歩取りといっていたのですが、
事前の準備で横歩取りで戦いになるとすごい強いとおっしゃったことが驚きました。
塚田九段が横歩取りを褒めるということは相当すごいです。
という本の中で、
羽生棋聖と木村八段のタイトル戦の、横歩取りの将棋をGPS将棋に読ませているのですが、
2009年当時のGPS将棋は横歩取りは苦手でした。
4年で苦手から塚田九段が強いと言うレベルまで伸びたことは、
機械学習が相当進んだのだと思います。

さて塚田九段が会見で泣いてましたが、
戦前のインタビューで2勝1敗で回ってきて欲しいと言った意味が少しわかったような気がします。
将棋は究極の個人競技です。コーチすらいません。
自分で自分を分析し、トレーニングメニューを決め、
対局の場でも監督もおらず、自分ですべて進めます。
そういう意味では、後悔の無いように普段どおりの将棋を指す、
というのは個人競技の選手であれば正しいでしょう。
しかし今回は団体競技です。
2勝1敗で回ってきたら普段どおりに将棋が指せたと思いますが、
自身が副将であり、負ければ負け越しが決まるという状況で対局が回ってきました。
塚田九段も普段どおり、攻め100%の将棋を指したかったでしょう。
美しい将棋を指して、負けても美しく散りたかったでしょう。
しかし副将をまかされた塚田九段は、この状況で美しく散るということを許せませんでした。
相手の王様は全然手付かずだし、自分の王様は入玉できそうだけど点数がまるで足りない、
それでも自分で負けを認めるわけにはいきませんでした。
何時間も辛い戦いを自分に強いて、ようやく引き分けをもぎとりました。
私はそこに塚田九段の壮絶な覚悟を感じ、感動しました。
 
シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代」より羽生さんの話

結局、今の二十代の人と、三十代の人の、将棋の作り方の違いって、
そこにあるんじゃないかなと思うんです。
たとえば佐藤さんも、スタイルやパターンを意識して将棋を作り上げていくというより、
どんな展開になろうが、ものすごく読んで(笑)、ちゃんとまとめあげる。
自分の中で一つのシステムなりパターンを作り上げていくというのは、
渡辺さんに限らず、若手の将棋の傾向だと思います。
でも、私自身も二十代前半のときって、
「こういうやり方、指し方が本筋で、これを続けていればいいんだろう」
というような感じを抱いていたことはあります。
それが、だんだん変わってくるのかもしれません。

ベテランの棋士に副将をまかせたというのは、正解だったと思います。
棋譜の美しさ、潔さをよしとする若手の棋士では、この壮絶な将棋は指せないでしょう。
自身で何十年も積み上げてきた将棋の美意識を捨てて勝負に徹する、
すごい将棋、すごい勝負でした。

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電王戦第4局、Puella α対塚田泰明九段は引き分けに終わる

第2回電王戦の第4局、Puella α対塚田泰明九段の対局は、
持将棋で引き分けに終わりました。

放送開始18,759人
対局開始38,387人
朝からすごい人数だ。

塚田泰明九段、Puella αの開発者伊藤英紀さん共にスーツで来ました。
電王戦は和服で対局された棋士が連敗してるので験担ぎかもしれません。
伊藤さんは前日からTwitterでつぶやいていて、将棋会館に泊まったそうです。
アウェー感を満喫とおっしゃっていました。
電王戦2回目ですから余裕がありますね。

塚田九段は攻め100%、と振られて解説の木村一基八段が私は受け100%と答えてました。
流石は千駄ヶ谷の受け師。
聞き手の安食総子女流はひたすらほんわかしてました。

対局が始まり、4手目に後手が角道を止めて矢倉に誘導するという、
いわゆる無理やり矢倉という戦型になりました。
矢倉戦では通常は後手だけが飛車先の歩を突いていますが、
この対局は先手だけが飛車先の歩を突いているというのがポイントになります。
下記は渡辺明三冠の言葉です。

梅田望夫著「シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代」より

そもそも私の感覚では、新矢倉24手組の局面は、
後手が後手番の上に飛先を一つ突いていて、
先手だけ突いていない分だけ可能性が広い、
それが▲4六銀▲3七桂の好陣形に繋がるわけですから、
突き詰めれば早くも先手が得している局面なのです。
では、後手のどこがおかしいのか、ということになると、どんどんさかのぼって、
5手目に▲7七銀なり▲6六歩と
先に角道を止めたやや違和感がある手をどうとがめるのか、
というところに行き着くような気もしています。


この対局では塚田九段が先に角道を止めましたが、これは
コンピュータは序盤が苦手だから角道を止めた手をとがめられないでしょう?
と言っています。
このまま漫然と駒組みをして持久戦にすると、
後手だけ飛先を突いていない分だけ可能性が広い、
という局面に誘導されてしまいます。
横歩取りという選択肢もあったので角道を止めた時は驚きましたが、
とがめられないでしょうと言ったのはコンピュータと指しての研究でしょう。

木村八段はニコニコ生放送のアンケートを押したことがある、家で見たりする、
とおっしゃっていました。
棋力アンケートで名人が18%もいましたけど
もしかしたら1人くらい名人がいるかもしれませんね。

対局は攻めの形を築きにいった後手を先手が角を使って牽制する展開になりました。
その後Puella αが端歩の位を取りましたが、大雑把に言いますと、
矢倉の端歩は相手が棒銀で攻めてくる可能性があるうちは受けないほうがいい、
ということになってます。
端歩を取りに行った局面では、先手の右銀が4八にいるので、
3七、2五と進軍ルートがありますから受けない方がいいと思います。
後手の銀は6二にいますが、
こちらは7三に後手の桂馬がいるので進軍ルートが塞がっています。
このため後手が端歩を突いた場合は受ける可能性があります。

さて、塚田九段のとがめられないでしょうという問いかけに対し、
Puella αは後手玉の端歩を桂馬で取って攻撃を開始しました。

ここで昼食休憩に入り、両対局者ともうな重(松)にされたとのことです。
後ほど伊藤さんがTwitterで
昼はうな重(松)でした。ごはんが見えないくらいうなぎが一面覆っていました
とつぶやいていました。うらやましい…

また、桂馬を捨てて攻め始めたところを
ところでこの攻め大丈夫なのか…
とつぶやいていました。

桂馬を端に捨てて攻めるという方法は、
最近では 南芳一 vs 島朗 2012-01-13 順位戦とか、
局面が近い対局ですと、
南芳一 vs 青野照市 1996-02-29 銀河戦を先後反転すると近いかと思います。
ただ局面が近い下の対局はこの対局と違い、桂馬を捨てた側がより攻撃態勢を築いていて、
桂馬を得した側もより反撃体勢を整えています。
この対局ではお互い不十分な体勢のまま戦いになりました。
相手が反撃体勢を整える前に攻める、というのが、
塚田九段の問いかけに対するPuella αが出した答えになりました。
ここまで電王戦は4局ともコンピュータが攻める展開になりましたが、
先攻ということに対する評価がものすごく高いんだなあと思いました。

ゲストで立会人の神谷広志七段と観戦記を書かれる河口俊彦七段が登場。
神崎七段といえばNHK杯でのトラにゃん新手が話題になりました。

第62回NHK杯1回戦第7局 ▲永瀬拓矢五段対△神谷広志七段にて

-今期NHK杯戦の抱負をお願いします。

実は二日後の5月22日は、
私が非常に可愛がっていた「とらにゃん」の三回忌になりますので、
天国で見ているとらにゃんのためにも、恥ずかしい将棋は指せないと思っております。


河口俊彦七段は月下の棋士の監修や、
30年近く観戦記を書かれるなど著者として有名ですので、
観戦記が楽しみですね。

その後Ponanzaの開発者の山本一成さんが登場。
コンピュータは王様が堅くて自分が攻めてれば評価が高い、
攻めが切れても後は知らないっ、という感じだと述べてました。

中盤でPuella αが銀を打つ→金で取られる→馬で取り返す、
という指し手を選んだのですが、何故か馬で取り返すところで考え込み、
伊藤さんがTwitterでそこはすぐ指せよ…とぼやいていました。
この辺は不思議ですね。
銀を打った以上取り返さないと銀損だけ残るので、
人間だと何も考えずに取り返すところなのですが、
このあたりは線でなく点で読むコンピュータの特徴がでてました。
ただし序盤の塚田九段の問いかけに対する答えの手順は、
線になっているように感じました。

解説の木村八段と聞き手の安食女流のおやつはモンブランとシュークリーム。
安食女流はおやつめがけて走っていったということで、
とてもおいしそうな写真でした。

さて、弱点があるのならば突きます。勝たなければいけない対局なので。
と述べていた塚田九段は、作ったと金を5段目まで戻してから、
露骨に入玉を目指しました。
かなり駒損しながらの入玉なので点数が足りなくなりそうなのですが、
弱点とされる入玉将棋でどうPuella αが指すのかがポイントになりました。

ただ駒損しながらで、傍目から見てもつらい局面です。
木村八段がやけくそ気味に解説していて場を持たせていましたが、
解説名人でもこれはつらいか。
ただ、いつもと違って点数を稼ぐための手の解説になり、
そこでもプロはやっぱり違うんだなあと思いました。

ここで窪田義行六段が前回に引き続き登場。
エレガントな駒運びにコメントが湧いていました。
また、コンピュータがどのタイミングで入玉を目指すのか、
ということがポイントであると述べられていました。
相手の王様を詰ますゲームから自分の王様を逃がすゲームに切り替わる瞬間を、
Puella αがどう判断するのかということが焦点になりました。
この状況は普通だと会場も放送もお通夜ですが、
笑いが起きているのはさすが木村八段ですね。
現役のベテラン棋士が、勝つためとはいえこういう将棋を指せるというのは、
すごいなあと思いました。
これを勝つとタイトルだとか、トーナメントで上にいけるとか、
そういうわけではないですからねえ。 

ここで持将棋について説明しますと、
王様が0点、飛車と角が5点、他の駒が1点で、
この対局では双方が24点以上あると引き分け、無ければ負けです。
塚田九段が入玉を目指してからは、最大で24点までに9点ほど足りない状態でした。
そのために塚田九段がPuella αに入玉させないように曲線的に迫っていきましたが、
Puella αが入玉を目指して勝負あり。
と思いきや他の駒を逃がすという発想は無かったようで、
入玉後に目標を失ったPuella αがと金製造機になり、
その間に塚田九段が駒を回収して点差を狭め、会場も生放送も大盛り上がり。
とうとう根性で24点まで点数を回復し、持将棋が成立しました。
持将棋の提案のときに双方が駒を数える姿がすごい絵柄だったです。

対局後のインタビューで、 「投了は考えなかったのか?」との質問に、
塚田九段が泣いていたのが印象的でした。
疲れを知らないコンピュータに根性で引き分けまでもっていきましたから。
途中で飛車も角も取られた状況から指し続けるのは、
とても辛い時間だったと思います。
ただコンピュータを昔の谷川浩司みたいだと塚田九段が述べたことは、
最大級の賛辞じゃないでしょうか。コンピュータは本当に強い。

ニコニコ生放送
来場者:372,759
コメント:633,566

解説名人の木村八段につられてコメントされる方も多かったと思います。

▲76歩 △34歩 ▲26歩 △44歩 ▲48銀 △42銀 ▲56歩 △52金右▲68銀 △62銀
▲78金 △54歩 ▲69玉 △32金 ▲77銀 △41玉 ▲79角 △33銀 ▲58金 △31角
▲66歩 △74歩 ▲36歩 △43金右▲67金右△72飛 ▲46角 △73桂 ▲79玉 △42角
▲88玉 △31玉 ▲16歩 △22玉 ▲15歩 △53銀 ▲37桂 △64銀 ▲25桂 △24銀
▲13桂不成△同銀▲25歩 △45歩 ▲37角 △84歩 ▲14歩 △同銀 ▲同香 △同香
▲83銀 △71飛 ▲26角 △31飛 ▲74銀成△16歩 ▲29飛 △17歩成▲46歩 △16と
▲62角成△85桂 ▲64成銀△同歩 ▲44銀 △同金 ▲同馬 △33銀 ▲54馬 △43銀
▲63馬 △26香 ▲59飛 △15と ▲41金 △13玉 ▲31金 △同金 ▲71飛 △25と
▲91飛成△24玉 ▲86銀 △17香成▲55香 △15玉 ▲53香成△32銀 ▲93龍 △27香成
▲84龍 △24銀 ▲42成香△同金 ▲85龍 △33桂 ▲45歩 △46香 ▲57銀 △47香成
▲64馬 △41金 ▲44桂 △36と ▲54角 △25桂 ▲32桂成△26玉 ▲41成桂△46歩
▲68銀 △37桂成▲63角成△48成桂▲62馬 △35歩 ▲79飛 △58成桂▲14銀 △69金
▲23銀成△25銀 ▲24成銀△16銀 ▲77玉 △28成香直▲95銀△79金 ▲同金 △39飛
▲86玉 △68成桂▲同金上△89飛成▲75玉 △57歩 ▲84玉 △58歩成▲93玉 △99龍
▲78金 △57と ▲82玉 △67と ▲同金 △27玉 ▲91玉 △69龍 ▲68金打△49龍
▲34歩 △58成香▲13歩 △47歩成▲33歩成△68成香▲同金 △59龍 ▲67金 △57と
▲86馬 △58龍 ▲77金 △67と ▲12歩成△77と ▲同馬 △56龍 ▲44歩 △52金
▲71馬 △62銀 ▲82馬 △71金 ▲92馬 △81金打▲同馬 △同金 ▲同龍 △47龍
▲86馬 △44龍 ▲34成銀△46龍 ▲64桂 △63金 ▲72桂成△66龍 ▲64歩 △同金
▲68香 △57龍 ▲64香 △53銀 ▲63香成△54銀 ▲64成香△45銀 ▲43歩 △77歩
▲75馬 △68龍 ▲42歩成△46銀 ▲86馬 △47と ▲44歩 △36歩 ▲22歩 △67龍
▲63歩 △78歩成▲43歩成△77と ▲85龍 △88歩 ▲21歩成△89歩成▲62歩成△88と引
▲54歩 △87と引▲75馬 △37歩成▲82歩 △18玉 ▲26金 △27銀成▲同金 △同と
まで230手で持将棋

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塚田泰明九段インタビュー

塚田泰明九段インタビュー 第2回将棋電王戦


将棋世界2013年4月号より

終盤はかなり強く、序盤は、たまに「え?」という手があります。
<中略>
昨年10月より、月1回のペースで研究会を行っています。
私が指したソフトはボンクラーズとツツカナです。あと激指12を購入しました。
<中略>
狙うはもちろん5戦全勝です。
が、現実的には3勝2敗でも勝ちなので、これがスコア予想です。
<中略>
対局まで2ヶ月少しですが、しっかりと準備して挑みたいと思います。
そして勝ちたいと思います。


塚田泰明九段は「塚田スペシャル」と呼ばれる戦法で、
1986年に公式戦22連勝した実力者です。
翌年には当時の中原誠名人・王座から王座のタイトルを奪取し、
順位戦でもB級1組を10勝2敗で1位となり、A級に昇級しました。

2勝1敗くらいで来てくれると嬉しいですね、
とはすごい正直なコメントですが、正直な塚田九段といえば南の島事件でしょう。

先崎学八段著「フフフの歩」より

南の島事件というのは、二人が付き合い真っ盛りの頃、
沖縄に行って、台風にあって帰れなくなってしまった事件のことである。
二人は、テレビ対局の対局者と記録係として、収録を控えていた。
だが飛行機は飛ばない。
二人の行動は、初期の恋人達がおおむねそうするように、隠密であった。
進退窮まった二人は、仕方なく別々に将棋連盟に電話をした。
「高群ですけど、実は沖縄に来ていましてこれこれしかじか」
「塚田です。実は南の島にいましてこれこれしかじか」
バレたら困るというので言葉を考えたわけだが、二人とも嘘が得意な性格ではない。
すぐバレるよ。これでは。
二人の熱愛は、親しい仲間内は感づいていた。帰って来た塚田さんに訊いた。
「一緒だったんですか?」
「いや実は・・・・・・(汗をふきふき)友達と二人で沖縄に行ったら、
偶然同じ飛行機に彼女がいて、(またふきふき)向こうも女の子の友達と来ていて・・・・・・」
「泊まったホテルが同じだったと聞いていますが」
「そうなんだ、偶然同じホテルで」
そんなに偶然が重なってたまるか。それにしても南の島というフレーズは見事だった。
同行を認めるわけにはいかない男の苦悩と、
嘘がつけない善良な性格とを見事に表わしている。
婚約してからの二人のアツアツぶりはとどまることがない。
高群さん曰く、「最近、たまに喧嘩するの」。勝手にしやがれ。

さて1勝2敗で回ってきてしまい、
勝ち越しを目指すには負けられない戦いになってしまった塚田九段ですが、
大舞台の経験もありますし、普段どおりの実力を見せてくれると思います。
戦型予想は横歩取りですが、
横歩取りは局面によっては詰みまで研究されているような戦型ですので、
Puella αの開発者伊藤英紀さんが乗ってくるかどうかですね。
第2、第3局共に開発者の方が力戦にするようにコンピュータに指示していましたが、
伊藤さんがそうしなければ、
コンピュータは恐れをしらないですから乗ってくると思います。

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