羽生善治棋聖に豊島将之七段が挑戦する第86期棋聖戦五番勝負第2局は、
後手番の豊島七段が勝利して1勝1敗としました。

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朝の様子。瞑想中?

ニコニコ生放送では9時から、解説に松尾歩七段、
聞き手に藤田綾女流初段で大盤解説会が始まりました。

藤田女流「注目の戦型予想はいかがでしょうか」
松尾七段「そうですねえまあうーんと、
なんとなく矢倉になるんじゃないかなと思うんですけど、どうなんですかねえ」

羽生棋聖の初手は▲7六歩でした。
松尾七段「多分△8四歩なんじゃないかと思うんですけど」
豊島七段は即座に△8四歩。
松尾七段「以前は初手を指した後に撮影用で何回か指したこともあったんですけど、
今はそういうことはないですね。朝から結構緊迫した空気ですね」
藤田女流「今回は記録がタブレットになっています」
松尾七段「最近導入されて、ネットで見るにあたって、
1手指すごとに消費時間も分かって便利ですね」

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おはようございます
藤田女流「松尾先生はニコニコ生放送は将棋界の一番長い日以来ですかね」
松尾七段「かなり久しぶりに出させていただくことになりました」
藤田女流「こちらのスタジオはどのくらいぶりですか」
松尾七段「3年くらいですかね。
生放送ってこと自体にあまり慣れてないので緊張気味です」

羽生名人は▲6八銀と矢倉を選択しました。

藤田女流「1局目はいかがでしたか」
松尾七段「結構激しい将棋になりましたよね。
序盤から豊島さんが工夫をして最近ではやや珍しい将棋になって、
そこからすぐに戦いが起こって目が離せない面白い将棋になりました。
この2人だと終盤までくっついていって、
競り合いになる面白い終盤戦になることが多い気がしますね。
最近のプロ将棋の傾向として、
序盤を早く飛ばして中終盤に時間を残すスタイルが増えてきてるかなと思います。
私が奨励会の頃、20年前ですかね、結構序盤でもかなりゆっくり、
タイトル戦の時ですと定跡型でも改めて1から考えてると言うか」
藤田女流「今回持ち時間が4時間ですが」
松尾七段「対局してる立場だとそう多い時間でもないかなと思います」
藤田女流「この両者のタイトル戦ですと前回は王座戦で持ち時間が5時間でした」
松尾七段「早指し棋戦を除くと3時間が一番短いんですけど、
それだと1時間で序盤は乗り切ってというペース配分なんです。
4時間ですと序盤で1時間半から2時間くらいで中終盤に残すんですかねえ」
藤田女流「先生はどのくらいの時間がいいですか」
松尾七段「一応どの時間でも対応できたらいいなと思っていますけど、
得意不得意作りたくないかなという意識はありますね」

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松尾七段「午前中なのに緊迫してますねえ。
僕が将棋覚えたとかそれよりさらに前のことかもしれないですけど、
午前中は雑談していて、本腰を入れて考えるのは午後に入ってからと聞きました。
今は序盤から勝負というか、これ多分矢倉になると思うんですけど、
いくつかの形をイメージして、
定跡形だったりした場合ですと先まで突き詰められている場合があるので、
午前中にも終盤の変化を思い出すというか、普段研究していることを整理している、
ということがあると思います」

プレミアム会員は感想戦も見れるという話で、
藤田女流「ちなみに私プレミアム会員なので感想戦見れるんですよ」
松尾七段「僕もそうですよ」
藤田女流「先生プレミアム会員ということは普段番組を見られるんですか」
松尾七段「一度ポーカーを見て面白いと思いました。基本将棋ばかりなんですけど。
藤田さんはどんな番組を見るんですか」
藤田女流「私はゲームのアプリにはまってて、動画とか生放送とかを見ています。
黒猫のウィズというゲームなんですけど、生放送もやってたりするんですよ。
クイズのアプリですね」

盤上の解説に戻り
松尾七段「まだ急戦矢倉の可能性もありますけど」
豊島七段「△5二金」
松尾七段「あ、なくなりました」
藤田女流「いいタイミングでしたね」

リレー質問
田村七段から松尾七段へ
新宿でいいお店を教えてください。
松尾七段「これ飲み屋ってことですよね。
田村さんの方が多分知ってるんじゃないかと思うんですけど。
まあ一時期新宿でよく飲んでるときはありましたけどねえ」
藤田女流「料理は何系ですか」
松尾七段「嫌いなもの無いんですよ」
藤田女流「オールラウンダーなんですね」
松尾七段「将棋もそうなりたいんですけどねえ。
ぱっと思い浮かんだのはワインバーでいいところがあるんですけど、
田村さんと1回行ったような記憶があります。
新宿3丁目ですね、2丁目ではないですね名前出しちゃっていいんですか?
マルゴーっていう新宿に何店舗かあるんですけど」
藤田女流「特定班急げとかコメントが」
松尾七段「あの変で飲んでる人は知ってると思うんですけどね。
日本酒はきついというか自分の体だと残っちゃうので、ワインの方が飲みますね。
田村さんと藤森君と3人で、2軒目くらいに行ったと思いますね」
藤田女流「松尾先生はお酒が強いというイメージがあります」
松尾七段「強いかどうかは分からないですけど好きではありますね。
まあ弱くは無いと思いますけど」
藤田女流「どれくらい飲んだら足に来るというか、ふらふらしますか」
松尾七段「店出る時に気づくというときはありますね」
藤田女流「飲んでるときは全然大丈夫なんですか」
松尾七段「結構大丈夫ですね。
まあ酒なんか強くならなくていいっす。将棋強くなりたいです。
えっとこれ朝からお酒の話ばかりしてて大丈夫なんですか?」

山口女流から藤田女流へ
飛車対角の将棋で必勝法を教えてください。
松尾七段「これは片方が飛車飛車で片方が角角なんですよね。必勝法があるんですか」
藤田女流「もう忘れちゃいました。
あのちょっと前に山口さんがニコ生で野月先生と出演した時に、
大盤で勝負をしてました。
元の動画はニコ生の動画再生数で1位とったらしいんですけど、
野月先生と山口さんと会った時にそんな話になって、1ヶ月前なんで忘れちゃいました。
飛車飛車で先手だったら必勝じゃないかという結論だったんですけど」
松尾七段「飛車が先手だったら後手相当辛そうだと思いますけどねえ」

ということでちょっとだけやることに

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藤田女流「あ、左右はんた…一緒だ」
天才とはどこか抜けているものか。

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藤田女流「ここまでしか覚えてないです」

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藤田女流「銀出るんだったかな、1歩取っていくんだったかな。
並べたら思い出すと思ってたんですけど。
一応私も対局したんですよ。阿久津先生に教えてもらって」
他にも中飛車から▲5六飛、▲5八飛と並べる作戦も有力とのことでした。

解説に戻って、コメントを読んで
松尾七段「矢倉って今後手有利なんでしょって質問がありますけど、
最近後手が押してるというか、
今までの矢倉の歴史の中では結構後手が頑張っているというか」

羽生名人は早々と▲3五歩。13年ぶりらしい。

松尾七段「これは最近は珍しいですね。
突かないで囲っていくのが圧倒的に多いんですけど、
欲張ったというか、少し得をして駒組みをしていこうという手なんですけど、
軽い手でもあるんですね、銀もまだ下で。
矢倉の中での予想の手としては無いですね」
藤田女流「先生は予想通りになるというのはどのくらいの割合ですか」
松尾七段「最近横歩になるかなとか大まかな戦法は、
だいたい事前に思った通りになるというか、そういうことが増えてきました。
最近は得意形を持っている人が多いので。
でもいきなり思ってもいない、
例えば最近振り飛車指してないのに指してきたなとかありますけど、
でもそれはそれで驚くとかはないですねえ。
でもこの▲3五歩は予想はしにくいですね。
ただこれは歩がぶつかりましたけど、ジャブを放ったくらいですね。
これから駒組みが続くと思います。
矢倉の中では少ない方なので、力戦とまでは言えないですけど、
そういう要素がありますね」

豊島七段は△6四角▲1八飛に△4三金右と指して席を外しました。
△4三金右は珍しい手とのことで、既に前例が無いらしい。

10時のおやつが届いて、
松尾七段「おやつはいいですね。
将棋を指しているとしんどい時があるのでいい気分転換になるというか。
豊島さんは食べるんですかね?細いからあまり食べない印象があるんですけど」
藤田女流「先生対局のときは何か食べますか」
松尾七段「食べないですねおやつの類は。あんまり必要としないというか。
一時期3時くらいになったらおやつ食べてたんですけど、
効果として実感できないので、特におなか空くわけでもないので」
藤田女流「ブドウ糖の塊みたいなの売ってますよね」
松尾七段「それを置いてる人もいますけどね。
お菓子の類は食べないんですけど、コーヒー僕ブラックで飲むのが好きなんですけど、
そこを砂糖を入れるというのはありますね。喉は渇きますね。何か飲みたくなるんです。
500ミリリットルのやつをずらっと並べてる人もいますよね。
何で1リットルのやつとかにしないんだろう?」

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松尾七段「羽生さんはゆったり構えている感じですね」

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10時のおやつはバウムクーヘン

矢倉囲いを完成させた羽生名人の手に対して、
松尾七段は3筋から軽く動いた反動に備えたいところなので、
金は5八に置いておきたいというのが第一感なので、
どういう構想なのか分からないとの解説。
豊島七段は△4五歩、△4四銀の2手で十分の体勢になるので、
その間先手がどんな2手を指すのか注目とのこと。
といったところで一旦休憩に。

休憩中に羽生名人は▲6五歩から▲6六銀と、左辺を盛り上げていきました。

アンケートどちらを持って指してみたいか。
羽生棋聖68.3%、豊島七段31.7%。
松尾七段「うーんどっちかなあ。
本当に突き詰めて考えた場合どちらかがいいかもしれないんですけど、
藤田さんどっち持ってみたいですか」
藤田女流「後手番から見たときに気がかりな事が2つあったので、
先手を持ってみたいです。先生はどちら持ちですか」
松尾七段「僕はなんとなく後手を持ってみたいんですよね。
左の銀で角を狙っていくのは僕はあまり好きじゃないんですよ。
まとめるのが難しいというか。
後手の方がわりと自然に指しているかなというか、
玉形がしっかりしているというか、
後手を持って考えてみたい局面かなと思いますね私は」

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先手は▲3七銀から後手の3五にいる歩を狙う指し方と、
▲7五歩から角頭を狙いつつ左辺を制圧しにいく指し方があり、
後手がどう対応するのかといったところ。

羽生名人との研究会の話になり、
松尾七段「あのー将棋挟んでる時は将棋の話なんですけど、
食事の時は将棋そのものの話じゃなくて将棋界についてとか、
そういう感じが多いですね。
話題が豊富というか、引き出しが多いイメージがあります」
藤田女流「タイトル戦でも関係者の方と談笑されているイメージがあります」
松尾七段「誰とでもその人に対応して話してるんですかね。
話題がどういう話題でも対応できると言うか、将棋と通じるものがあるのかな」
藤田女流「研究会は月に何回くらいですか」
松尾七段「月に1回できればいいかなというくらいですね」

珍しく前傾姿勢で考え込む豊島七段に、
松尾七段「傍から見てるとあの姿勢結構疲れそうだなあ」

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羽生名人はおなじみのポーズ。
松尾七段「あのポーズたまに見るんですけど、
ずっとメガネかけてると疲れるんですかねえ。寝てるわけじゃないと思うんですけど。
自分も変な体勢で考えている時がありますけど、
何でそうしているのかはよくわからないです。無意識なんじゃないかな。
知らない方が見てると寝てるんじゃないかなと思うかもしれないですけど、
流石に寝てるわけじゃないです」

羽生名人は構想通り▲7五歩と左辺を盛り上げていきました。

昼食アンケート
うなぎ35.0%、そば28.6%、カレー14.1%、パスタ22.3%。
藤田女流「普段の対局は外に行かれる事が多いですか?」
松尾七段「対局のときは出前ばかりで、外に行くのが面倒くさいんで」
コメントを読んで
松尾七段「フォアグラいいなあ。でもどこで食べればいいのかなあ」

昼食休憩に。

昼食休憩中の詰め将棋

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▲1四金△同金▲2三金△同玉▲3三竜までの5手詰め。

正解者の中から抽選でこの場で書く色紙をプレゼント。
藤田女流「どうですか見られながら書くのは」
松尾七段「すごいやりにくい」

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松尾七段「一歩(いっぽ)ですね。(コメントで二歩と流れて)二歩じゃないです」
藤田女流「(コメントで画伯と流れて)コメントが来てますが全部スルーして」
松尾七段「見てると動揺しますね」

昼食アンケートの答えは

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松尾七段「ここだけ見て分かったらすごいですね」
松永と流れて
松尾七段「え?何で分かるんですか?」

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藤田女流のとろろそば

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松尾七段のおろしそば

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いい笑顔
松尾七段「これ恥ずかしいなあ」

解説に戻って、羽生名人がぶつけた▲5五歩を取ってしまうと、
先手の大駒の働きがよくなる展開になるとのこと。
松尾七段「先ほどは後手持ちたいと思ってたんですけどねえ。
休憩中に△3三桂を見たときはなるほどなと思ったんですけど、
ちょっとこの▲5五歩の動きに対するいい対応が今のところ浮かばないので、
先手を持ちたくなってきたという気持ちがあるんですけど、
ここでうまく対応できるかどうかで勝敗に影響してもおかしくないです。
先のことを見てうまく後手の駒が働いてくるならいいんですけど、
私には見えないですね」

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豊島七段はこの表情。この後すぐに△4二角。

質問メール
ドワンゴ主催新棋戦の名前がユーザー投票中です。
お気に入りの棋戦名はありますか。また松尾先生はエントリーされましたか。
藤田女流「エントリーはちょっとまだということで。
いろいろな情報は18日に発表されますのでそちらで。
新棋戦の名前は先生何がいいですか」
松尾七段「ああなるほど。結構ありますね。
(メールを見ながら)覇王戦とかかっこいいかな」
藤田女流「私も実は投票したんですけど、どれもよくて迷いました。
まだ投票していない方は是非投票してみてください」

松尾先生は羽生棋聖や、木村一基八段、村山慈明七段と研究会をされていますが、
どのような雰囲気なんですか。
また面白いエピソードなどあれば教えてください。
松尾七段「頻度は月一できればいいかなというくらいです。
でもやっぱり羽生さんですとか木村さんですとか、忙しい時がありますので」
藤田女流「これはどれくらい続いているんですか」
松尾七段「最初村山さんの変わりに森下さんが入っていて、
理事になられて忙しいので村山さんに変わりました。
村山さんの前のときからあわせると、
僕が四段になってからすぐのことなので、10年以上になりますね」
藤田女流「どのような雰囲気なのでしょうか」
松尾七段「実戦形式で将棋を指して、感想戦で意見交換という形なんですけど、
羽生さんはタイトル戦だと厳しい雰囲気で感想戦されてますけど、
一瞬ちょっとやわらかい雰囲気になるというか、
冗談が飛び出たり公式戦と違ってやわらかい雰囲気です」
藤田女流「終わったあとは食事には行かれますか」
松尾七段「基本的には行かないですね。お昼だけです」

私は愛知県に住んでいるのですが、
松尾先生も豊島先生も愛知出身という事で応援しています。
松尾先生は愛知県にはいつごろまでお住まいだったのでしょうか。
松尾七段「愛知県は16歳のころまでですね。
当時奨励会1級で、
高校に行っていたんですけど中退して将棋一本でということで東京に来ました」
藤田女流「名古屋などにある将棋道場には通われていたのでしょうか」
松尾七段「通っていましたねアマチュアの時に。
名古屋で一番有名な将棋教室がありまして、
そこに日曜日2、3週間に1回くらい通っていました。
私の出身は日進市ってとこなんですけど、中心地まで1時間くらいかかるので」
藤田女流「私も道場に興味があるのですが、なかなかふみこめないので、
と書かれています。初めて行かれた時の様子なども教えてください」
松尾七段「有段者の強い方がいれば、
将棋を始められたばかりの方でも教えてもらえます。
手合いを付けてくれる方がいますから、ちょうどいい相手と対局させてもらえます。
行けば自然と将棋が指せますので」
藤田女流「一番初めに行った時というのはどういう感じでしたか」
松尾七段「もうあんまり前なんで、小学校4年生くらいのときで、
親に連れてってもらったような気がしますね。
子供だったんでおじさんがかわいがってくれたというか、
将棋教えてやるよという感じで周りの人が良くしてくれたと今となっては思います。
当時は一生懸命将棋を指していただけですけど」
藤田女流「私は小学校2、3年くらいなんですけど、
周りの人が温かく迎え入れてくれたので、
最初は勇気が要りますけど1回行けば大丈夫だと思います」

将棋では駒の動きを把握するのに空間認識能力が必要になる、
というのを聞いた事があります。
ということは棋士の方には方向音痴がいないのでしょうか。
松尾七段「すごく難しい質問が飛んでくるのかと思ったら」
藤田女流「空間認識能力というのはどのような能力なんですか」
松尾七段「分からないですけど、ひとつ言える事は私は方向音痴です」
藤田女流「私も方向音痴です。でも方向音痴が多い気がします。
女流棋士は地図が読める人いないんじゃないですか?
地図を見ていてもまず現在地が把握できなくて、どんどん迷っていきます」
松尾七段「相当たどり着けないやつですね」
藤田女流「今はグーグルマップがあるんで助かってます。現在地教えてくれるんで。
地図をくるくる回すのが悪いと聞きました。
とは言っても方向音痴治ってないんで説得力ないんですけど」

お二人は何か懸賞などで当てた事はありますか。
僕は巨人戦のチケットが当たりました。
藤田女流「先生は懸賞とか応募されたことありますか」
松尾七段「1回も無いくらいのレベルなんですけど」
藤田女流「懸賞だと何だろう、クロスワードとか?
くじとかも懸賞ですね。先生はありますか」
松尾七段「宝くじを子供の頃に親が1回買った事があって、
印象に残っているくらい無いですね」
藤田女流「私は花火大会でゴルフバッグが当たったことがあります。
何で花火大会でなんだろう。ゴルフやらないので物置に入ってます」

私は将棋ウォーズで毎日対局していますが、
先手の時に矢倉を避けて角換わりか横歩に誘導したいのですが、
△4四歩と角道を止めて無理やり矢倉にされてしまいます。
どのように咎めればいいのでしょうか。
何かいきなり難しい質問になりましたね。さっきは懸賞の話だったんですけど。
全然プロ間でも時々出てくるんで、咎めるにはと言われると難しいですね。
でもいろいろ自由にお指しになる方がいいと思います。
仮に僕がこう指した方がいいですよと言っても、出だしも出だしじゃないですか。
咎めようとかっていう感じよりは、自分が好きな形に持って行こうとか、
そういう感じにするといいと思います

松尾先生が師匠と出会ったきっかけを教えてください。
また、松尾一門は今後何人になる予定ですか。
松尾七段「松尾一門は今のところ0ですね。
師匠とは小6か中1くらいに研修会に通っていたんですけど、
奨励会を受験するという話になったときに、
研修会の幹事の方に師匠を紹介してもらえるということがありまして、
先に所司門下に入っていた先輩にどうかと言われて入りました」
藤田女流「所司門下多いですよね」
松尾七段「もう多すぎて何人いるのか。
師匠には奨励会に入る前から教えてもらっていました。
駒落ちではなくて平手で教わってたんですけど
どういう考えがあったのか分からないんですけど、
たくさん指すのではなくて行った時には1局教わるという感じでした」
藤田女流「お弟子さんは取られる予定はありますか」
松尾七段「今のところ考えてないですね。
ゆくゆくは考えなきゃなとは思うんですけど、人の人生を預かるという面もあるので。
自分としてはトーナメントプロとしてやっていきたいと思っているので、
そこまでは考えられないという段階ですね」

将棋の解説を見ると、時々この形は水面下で研究されていますという解説を聞きます。
水面下の研究手を指すのは発見した人が最初に指すのでしょうか。
何か暗黙のルールがあるのでしょうか。それとも誰でもいいのでしょうか。
一言で言ってしまうと無いですね。
研究会で指された新しい手というのが公式戦でどう現れるか、
ということだと思うんですけど、それを見ていいなあと思った人が、
言ってしまえば早い者勝ちで公式戦で指されます。
どういった形で現れるのかは運とかもあるので、
誰が最初にやるのかはわからないですね。
僕も横歩取りで5五飛車とか指す松尾流というのがあったんですけど、
練習将棋で橋本さんに指されて面白い手だなと思って指しました。
先に僕が指したんで松尾流になったということなんですけど、
橋本さんも当時三段だったのかな、東京に移籍してきたばかりで、
関西の浦野西川戦の感想戦で出た手らしいんですけど、
それを練習将棋で僕相手に指して、それを僕が公式戦で指したという、
関西からやってきたみたいな手なんです。
元をたどると全然違う人の名前が出てくると言うのは時々あるんじゃないですかねえ。

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羽生棋聖は天もりそばとリンゴジュース

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豊島七段はうなぎ丼ぶりとフルーツ
松尾七段「豊島さんこれ食べきれるんですかねえ。
私こういうので出てくると困るんですよ残したくないので」

昼食は豊島七段が優勢か。

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羽生名人は▲7四銀。
松尾七段「予想が当たらなくて申し訳ないんですが…」
銀が単騎で突っ込んでいく手は流石に当たらない。
その後解説を進めて
松尾七段「羽生棋聖も自信を持って銀を出たわけでもないのかなあ」

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羽生棋聖はおやつタイム
藤田女流「対局室に大内先生も来られましたね」
松尾七段「おやつ?」
藤田女流「おやつじゃないです」

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羽生棋聖は左のおやつ。
中にチーズムースとブルーベリーのゼリーが入っているらしい。
石川県が和菓子で有名なので和菓子風になっているとのこと。

豊島七段は右の蜂蜜ババロアとシャルロット。
シャルロットが女性の帽子をイメージ。
山形県産のさくらんぼ使用。
蜂蜜は通常のものより20%ほどカロリー控えめらしい。

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もちもちした表面に苦戦する松尾七段。
松尾七段「いやおいしいっす」

豊島七段のおやつの方はやわらかいらしい。

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松尾七段「お菓子自体食べなれてないのにすごい撮られてて、
今まで生きてきて多分一番緊張してる」
藤田女流「そんなに甘すぎなくてしっとりしていておいしいです」
松尾七段「いやほんとおいしいです。
誰も居ないところで一人でじっくり味わいたい」

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棋聖戦限定パッケージのお菓子。ガトー・ボワイヤージュ
銀座本店とネットのみの販売らしい。
パッケージの詰め将棋は正解者の中から抽選で新棋聖の色紙プレゼント。
その他3000円分のお菓子も当たるよとのこと。

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ブールミッシュ ガトー・スフレに目を輝かせる藤田女流。

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おやつを食べてる間に急に戦いが激しくなり、おやつキープで解説に。
▲6四角からの角交換は後手玉がしっかりしていて、
先手は玉飛接近している形なので先手は選びにくく、
▲2八角は普通だが△4六歩で角道が止まってしまう、
▲7七角も玉と接近していて攻められやすく、
先手はどの手も怖いので、どの怖いを選択するか、
なんだかどの手もありそうな気がしてきましたとのこと。

次の一手アンケート
▲2八角23.9%、▲6四角40.5%、▲7七角18.9%、その他16.6%。
松尾七段「強気な方が多い」
羽生棋聖は▲2八角。豊島七段は即座に△4六歩。
そして解説通りに羽生棋聖が銀損ながらと金を作る展開になり一旦休憩に。

休憩明け、松尾七段は先手としてはあんまり自信がなく、
後手は角が使いにくいので、
変な手だが△2五桂と桂馬をどかす手はあるかなとのこと。
また、△4五銀左から▲同銀△同桂とどかす順もあり、
豊島七段もここは良くできる手があるはずと思って長考しているのではないか、
先手としては不安で後手は角を使う事を含みに指したいらしい。

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松尾七段「羽生棋聖すごい体勢で考えてますね」

アンケートどちらを持って指してみたいですか
松尾七段「僕は2番ですけどね豊島さんが、ええ」
先手:羽生棋聖43.2%、後手:豊島七段22.9%、ニャンとも言えない33.9%。
松尾七段「私が2番と何回も言ってるのにあまり聞いてくれない(笑。
なんかちょっと羽生さんの人気というか信用というか。銀得ですけどねえ」
藤田女流「2、30%のブランド力があるらしいです」
残り32分まで考えて豊島七段は△4五銀左。
やっぱり後手がいいと思うんだけどなあと松尾七段。

豊島七段の△4五桂に、
松尾七段「ずいぶん強気な手できましたね。
いろいろ選択肢がありそうな局面の中では一番玉が薄い形なので」
羽生棋聖はううーんと唸ってました。

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豊島七段は△6六歩の垂れ歩。松尾七段は盤上この一手と太鼓判。
羽生棋聖は持ち駒の銀を使って▲6八銀と受けました。
受けているようじゃ辛い気がしますが、と言って受けない順も検討しましたが、
やっぱり受けた方がいいんですねとの結論になりました。
そして羽生棋聖は残り1時間に。
羽生棋聖は直線的な斬り合いの展開になる、
と解説していた▲5三とを選択したところで一旦休憩になりました。

休憩を明けると一手を争う叩きあい。
豊島七段が飛車金両取りをかけましたが、羽生棋聖はかまわず▲3三歩と放り込みます。
詰むや詰まざるやまで変化手順を進めて
松尾七段「うーん…微妙ですね」
その後様々な変化を並べて
松尾七段「羽生棋聖が苦し目な感じですけど、どの変化もはっきりしないですね」

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ここから羽生棋聖は▲9八玉。どちらが勝っているか。
△7六桂に▲2六桂の攻め合いは先手玉に必死がかかって後手の勝ち、
▲7七銀とかわしても後手の勝ち、
という解説で、羽生棋聖は▲4四歩と角道を止めました。
豊島七段は残り12分に。

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松尾七段「大内先生結構いますね。
きわどい終盤戦であそこで見てると面白いんだなと思いますね」
羽生棋聖は残り30分。手番の豊島七段は残り3分に。
松尾七段「自分が勝つんじゃないかってところで、
よさそうな手が3通りあったら時間使いますよね」
豊島七段は残り3分まで考えて、解説の3通りの手ではなく△6六歩。
松尾七段「これは羽生棋聖も状況を把握するのに時間を必要とするかなと思います」
▲7七金△7九成銀としたところで羽生棋聖は席を外しました。

羽生棋聖は後手の攻撃の根元の角取りに▲2五桂。
角取りを放置して迫る手になるんですが、一番厳しい手は△8九成銀かなあ、
と言っている間に豊島七段は△8九成銀。
松尾七段「相当きわどいですねえ。きわどすぎて見入っちゃいますねえ」

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残り時間がなくなるまで考える羽生棋聖。そして解説になかった▲5一角。
松尾七段「見えにくい手が来ましたね。多分詰めろなんでしょうね。
受けるか一旦王手をして、でも▲7八歩でいいのかな…うーん…。
現状だと詰みなんですけど、1枚使った状態で詰むかどうか」
豊島七段は一旦王手。羽生棋聖は急に前後に揺れ始めました。
持ち駒を使わない▲7八歩に豊島七段は△4四銀と受けました。
松尾七段「今の手つきは読みきっている雰囲気ではないですね」
しかし豊島七段が羽生棋聖の追撃を振り切り、大激戦を勝利で飾りました。

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投了直後の様子。
最後に豊島七段が羽生棋聖の王様を詰ましに行く時には、
立会人の大内九段の体まで左右に揺れていました。興奮しすぎである。

松尾七段「羽生棋聖がずっと苦し目の流れできてたと思うんですけど、
△4四銀と受けたところはもしかしたら先手にいい手があるのかなと思いましたが、
▲4二とに△同飛ととったところで見切っていたのかなと。
捻り合いで珍しい形から、銀得対と金の戦いで、
判断のつきにくい将棋だったと思いますけど、
豊島さんの方が強気に戦って、難しいところを一歩出たのかなと。
終盤羽生棋聖の追い上げがすごくて、元々どの程度離れていたのか。
ぎりぎりの展開でずっと着いていったのが流石羽生棋聖で、
最後ぎりぎりの終盤戦になりました。
多分▲4二とに△同飛で大丈夫と豊島さんが見切っていたと思います」
藤田女流「次の対局はどんなところが見所でしょうか」
松尾七段「これを見ているとどんな将棋になっても面白い展開になるのかなと思います。
豊島さんが先手番で、なんとなくですけど第1局2局と矢倉でしたので、
そろそろ角換わりが出るのかなと思います」

ということで、棋聖戦第2局は豊島七段が大激戦を制しました。
松尾七段というと升田幸三賞を受賞した横歩取り△5二玉型や、
松尾流穴熊、横歩から▲5五飛と活用する松尾流など、
序盤の研究が深い理論派のイメージでしたが、
解説では案外感覚重視だったのが印象的でした。
とはいえ感触が悪いと言いつつ先の変化を並べてくれるので楽しく見れました。
また、得意不得意作りたくないという考え方や、
自身の事をトーナメントプロと表現するところは同じ所司門下の渡辺棋王みたいで、
渡辺棋王の合理的な考え方は案外所司門下の周辺の価値観なのかなーとか思いました。
対局は終盤まで白熱していて、豊島七段は102手目の△6六歩を、
分からなくて相手に下駄を預けるような指し方、もっといい寄せがあれば、
と語っていましたので、プロレベルでも最後まで難解な大熱戦だった事が伺えます。

これで棋聖戦は1勝1敗の五分、五番勝負ですのであと2勝した方が棋聖となります。
第3局は7月4日、ニコニコ生放送では解説に飯島栄治七段、
聞き手に竹部さゆり女流三段で大盤解説会が放送されます。
どちらがタイトルにリーチをかけるのか、
竹部女流の暴走を飯島七段がどういなすのか、注目です。