羽生善治名人に行方尚史八段が挑む第73期名人戦七番勝負第2局初日は、
羽生名人の封じ手で初日が終わりました。

ニコニコ生放送では9時から、解説に中村修九段、
聞き手に山口恵梨子女流初段で大盤解説会が始まりました。

羽生名人の初手は▲2六歩。
山口女流「修先生今日は角換わりの予想でしたけど」
中村九段「参ったな、相掛かりになりますねこれは。でも意外と考えますよ。
初手76歩のイメージで角換わり矢倉をイメージしてきてますから」
行方八段は目を閉じて1分ほど置いてから△8四歩と指して、
相掛かりを受けて立ちました。

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おはようございます。
山口女流「注目のポイントを教えてください」
中村九段「この二人なんで多分矢倉か角換わりだと思ってたんです。
90%くらい▲7六歩だと。▲2六歩が9%、1%が▲5六歩かなと。
9%出ちゃいましたね。
行方さんは▲5六歩にたいしては△3四歩かもしれませんけど、
相手が居飛車の場合は大抵△8四歩です
あ、▲2五歩突いちゃいましたね。完全に相掛かりになりました。
矢倉や角換わりはみんなで研究されていますので、
1日目から終盤近くまで行くんですけれども、
相掛かりは手探りなので今日はそんなに進まないんじゃないかと思いますね。
考えていることは10手20手30手先のことです。
考えすぎちゃって1手目じゃなくて3手目を指して負けちゃう人もいますけど」

中村九段「羽生さんの着物高そうだなあ。
私も立会いで和服なので草履を履くじゃないですか。
男性の草履って見た目があまり変わらないんですよね。
でも間違えちゃいけないから分かりやすいところに置いておくんですよ。
でも出る時に綺麗に並びかえられちゃって、
ひょっとしたら家に羽生さんのぞうり3足くらいあるんじゃないかな?
間違えてるんじゃないかという不安がね」

相掛かりで飛車先が交換できる戦型になったので、
中村九段「▲3六歩、▲3七桂を入れてから飛車先を交換できれば、
飛車を▲2九まで一手で引けるのになあ」
山口女流「先生序盤から工夫をされますよね」
中村九段「それでずいぶんね…。
神谷広志がよく言うんですよ。あんたは序盤が下手くそなのに得をしようとするって」

アンケート目が悪いですか

目のよさだけが自慢です23.8%、メガネです61.5%、コンタクトです(ソフト)8.7%、
コンタクトです(ハード)2.6%、レーシックです3.4%。
中村九段「目のよさが自慢ってすごいことですよ。大事にしてください」
山口女流「メガネ3月のライオンモデルとかありますよね。
先生はデザインにこだわりとかありますか」
中村九段「メガネの淵の上は黒いのにしてるんですよ。眉毛が薄いから。
眉毛描く自信もないし。
行方君は昔かわいかったんですよ。
師匠の大山先生に連れられて船の旅とか。伊豆の方だったような気がするけど。
団先生よりもっと前なんですけど、学生でお手伝いで、
黒ぶちメガネで一生懸命手伝ってましたよ。
大山先生は誰よりも働いててね、
みんな船酔いでダウンしているところで麻雀卓を直したりとか、大好きでしたよ」
山口女流「すごい体力ってイメージですけど」
中村九段「トップになる人は考えられないくらい体力ありますね。
大山先生、中原先生、羽生さん。
谷川先生はあまりイメージ無いとか言うと怒られちゃうかな?」

その後対局中にシップや針とかやったことがある人がいるという話になり、

山口女流「マッサージとかはどうなんですかね?」
中村九段「1回やったことありますよ。失敗しました。
夕食休憩のときにあまりおなかがすかなくて、
30分くらいすっきりしたら勝てるかなと思って。
やっぱりね気持ちよかったんだけどね、
対局中に普通マッサージとか受けないでしょ」
山口女流「先生受けてるじゃないですか」
中村九段「外に出て歩いている時に、
気がつかない良い手が思いついたっていう印象が残ってるんで、
刺激を受けた方がいいのかな」

初日の午前中のゆるいトーク

中村九段「対局のときに佐藤康光さんがメガネのスペアを持ってきてるんですよ。
私も新人王戦の立会いの時だったと思いますけど、
メガネのレンズが落ちたんですね。
その時は千駄ヶ谷だったので休憩時間中にメガネ屋さんで直してもらったんですけど、
その後しばらくは私もメガネのスペア持参してました」

リレー質問
森下九段から中村九段へ
中村先生は50歳になってさらに強くなられ、将棋にも迫力を感じます。
年齢を重ねてなお強くなる秘訣、情熱を持ち続ける秘訣を教えてください。
中村九段「こういうこと聞くかねえ。森下さんらしいですけどね。
強くなってる?強くはならないですよねえ。
打ちのめされることが多くてね、コンピュータなんかで練習しても勝てないですよ。
今まで私が30年40年やってきたのが何だったっていうのが辛いんですけどね。
この年になって教わることが多いというのは辛いですね」
山口女流「先生もコンピュータで研究されるんですか」
中村九段「うーんやっぱりあのね、勉強になりますからね。
この年になってこんな手があるんだっていうのが分かると嬉しいんですよね。
知らなかったことを教われるというのは、
コンピュータだろうがなんだろうが嬉しいですね。
昔は強くなりたいだけで、
あの時もっと詰め将棋といとけばよかったなとか思うこともありますけど」
山口女流「森下先生も詰め将棋言ってました」
中村九段「お互い終盤逆転負けが多いからかな?
やっぱりプロで残る人は終盤が強い人ですね。
行方さんもイメージとして、
終盤時間がなくなったときに乱れないというのがありますからね。
今回1局目はなりませんでしたけど、羽生さんと終盤競り合う展開になれば、
強さが出ると思います。
イメージとしては郷田さんのイメージ、長考派で終盤しっかりしているというのがね。
行方さんは羽生さんとは3勝13敗という感じなんですが、
勝ったのがJT杯、銀河戦、タイトルに挑戦した王位戦で、
本人としては王位戦は防衛されて早指しで勝っただけですから、
羽生さんに勝ってるっていう印象がないとおもうんですよね。
だから早く結果が欲しいんじゃないかと思います」

鈴木女流から山口女流へ
山口女流は振り飛車党でいらっしゃいましたが、最近は居飛車党になられました。
有吉先生の棋譜で勉強されているとのことですが、
今まで何局くらい並べましたか。
山口女流「データベースで33局しかなくて、有吉先生の全集で、
33、4局並べましたけどそのくらいしか。
順位戦の有吉加藤戦を持ってきました。なんか300手とかいうのもありましたよ」
中村九段「記録係り本間4級ってすごい時代ですね。二段佐藤紳哉!?」

ということで有吉加藤戦を並べることに。
山口女流「森下先生に濃厚な矢倉を勉強しなさいと言われたので」
中村九段「平成7年ですね。私にとっては最近に思いますけどね。
20年前の名人って誰だか知ってる?竜王戦の挑戦者決定戦に新四段が出たんですよ。
それが行方さんで、決定戦に勝ったのが羽生さんだったんですよ。
それから頑張ってね、ここまで来たんです。
弘前は大変なことになってるんですよ。
青森の新聞は青森出身の相撲の序二段の成績とか、
行方さんの予選の成績とかも出るんです。
力が入ってしまうのはわかるんですけどね」

有吉九段の矢倉早囲いに、加藤九段も矢倉早囲い、のような手順から普通囲いに。
それを見て有吉九段が攻撃態勢を着々と整えてると、
平凡に指すと作戦負けになると見た加藤九段が、
居玉ながら矢倉の囲いの銀を前進させて、△1五歩から戦いになりました。
矢倉らしいあちこちで戦いが起こっている大乱戦でした。

山口女流「そして現局面ですが一手も進んでないと」
中村九段「飛車先くらい交換したんでしょ?え?してないの?」
相変わらず行方八段はマイペース。1時間の長考中。

中村九段「さっき神谷の話がでたから言うけどね、
彼が長考する時に、美濃囲いを銀冠にするじゃないですか。
銀を王様の頭に上がった瞬間に長考するらしいんですよ。
嫌でしょこのタイミングで仕掛けられると。
将棋は長くて消耗戦なので、お互いストレスをかけあうんですよ。
序盤の指し手にでてこないところにお互い神経を使って、
優勢になったっていうところで間違えちゃうんですよ」

詰め将棋コーナー

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駒の形詰め将棋
▲2一金△同玉▲1一飛成り△同玉▲1三飛成り△1二駒合▲2二金

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▲1一飛成り△同角▲1二飛成り△同玉▲2三桂成り△2一玉▲3二金

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山口女流の自作詰め将棋(伊藤果先生に手直ししてもらった)
山口女流「最初27手詰めだったんですけど、伊藤果先生に手直ししてもらって、
31手詰めになりました」
中村九段「27手詰めなら1分でいけるかなと思ってたんですけど、
伊藤果先生の手直しって聞いて並べるのやめようかなと思っちゃいました」
山口女流「10分で何段ですかね?」
中村九段「まだ解けてない」
伊藤先生に6三歩が汚いと言われたらしい。そこに追うのがばれちゃうからとのこと。
山口女流「これ合い駒問題なんですよ」
中村九段「うっそー。(あーなってこーなってもにゃもにゃ)
4二に何合い駒するかだけなんでしょ?どうせ」
▲2三歩成り△1四玉▲2四と△同玉▲3五馬△同玉▲45飛成り△2四玉
▲2五竜△1三玉▲1二と△同玉▲2四桂△1三玉▲1四歩△2二玉▲3二桂成り
△同玉▲2三竜△4一玉▲4三竜△4二角▲3二銀△5一玉▲4二竜△同玉
▲4三銀上成り△5一玉▲7三角△6一玉▲6二角成り
まで31手詰め。
中村九段はぼやきつつあっさり解いてしまいました。プロぱねぇ。

31手詰め将棋の最中に行方八段は△7二銀。
後手番なので追随していく方針に決めたということらしい。

次の一手アンケート
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 中村九段「▲2六飛車指されたら私帰りますよ。
まあ私も角道開けられないまま7六飛車って回って、
9六歩9七角とかやったことありますよ。
ひどい飛車角だって言われてね。まあ勝ちましたけど。
だから何でもあり得ないって言うのはだめかな?」
コメントで中村高橋戦が見たいと流れて
中村九段「高橋さんは同期ですけど一番指しててきつかったです。
将棋が重たいんですよね。攻め自体はすごく軽くてすごく参考になる将棋なんですけど。
矢倉がねえ恐ろしく強かったですからね。
なになに戦高橋道雄って書かれてるの見るだけで重たい気持ちになってね」

休憩中に羽生名人は▲9六歩。

中村九段「まだまだ作戦がわかんないですねお互いにね。
なんか▲9六歩突くとひねり飛車かなとも思いますけどね」

初日午前中のゆるいトーク

中村九段「振り飛車から居飛車党になると覚えることいっぱいで大変でしょ」
山口女流「前期の成績がひどいです」
中村九段「振り飛車でも居飛車の感覚で指す人も増えてますし、
横歩取りとか激しい将棋もっされました?
私はついに指さなくなりました。先手の時ですけど。
先手で横歩取った時にちゃんと角上がってくれればいいんですけどね。
いろいろ変化があってさらに相手が若手だと常に研究してますからね。
朝からコーヒーをゆるりと飲んでるような将棋が指したいんですけど、
飲ませてくれないんです。余裕が無いんですよ朝から。
昔は朝ゆっくり指してさあこれからだったんですけど、
今はさあこれからも許してくれないですからね。
もう瞬きしてる間に戦いになっちゃう」

質問メール
中村先生は2009年度のB級1組昇級の時に、
一番嬉しかったことを聞かれてNHK杯にシードされることと答えていましたが、
NHK杯に出れるということはどれくらい嬉しいのですか。
中村九段「今だと3回勝たないといけないんです、予選で。
当時だと先崎君とか屋敷君とかそういう人がごろごろいるんですよ。
なので嬉しかったですけどね。
NHK杯は1発勝負ですし勝つ可能性も高いですけど、
若手も結構震える棋士もいますから、
度胸据わってるベテランが勝つことも多いですけどね。
攻め将棋って多少間違えても玉に影響ないことも多いじゃないですか。
受け将棋だと間違うと玉に直結するので、まあ言い訳ですけどね。
たまに出てもねえ粉々になっちゃうんであれが辛くてねえ。
解説しててもこんな将棋指したら辛いなと思っちゃって、
将棋の内容が悪いとテンション上げるのがね、大変です」
山口女流「嬉しいですか?テレビにでるのは。
私師匠が予選抜けたときにメールが来ました」
中村九段「堀口さんは奨励会同期なんですよ。
詰め将棋が鋭くて駒をたくさん渡すとすぐに寄せられるんです」
山口女流「修先生なんで受ける青春なんですか」
中村九段「奨励会時代に、飯田先生が柔道が強かったんですよね。
それで受けるんです。攻めきれないんです。
なんだかよくわからなくて、将棋って攻めちゃいかんのかなと思って。
奨励会では下手の攻めを受ける、それから反撃するという将棋が多かったんで、
丁寧に面倒見るのが好きだったんですね」
山口女流「青春はどこから」
中村九段「青春は知りません」

中村先生はバニラというかわいらしい犬を飼っていますが、
中村太地先生もバニラという犬を飼われていて同じ名前です。
犬談義をすることはありますか。
また、羽生名人は挨拶で長く棋士を続けるには猫を飼うことと述べていましたが、
棋士界では犬派猫派どちらが多いですか。
中村九段「太地君は犬の名前も同じで苗字も同じで、まあそれはいいんですけど。
僕も名人戦の前夜祭行ってまして、
加藤先生と内藤先生が猫を飼っているのでそう言ってましたね。
羽生さんは犬と兎だったかな?」
山口女流「神谷先生も猫派じゃないですか」
中村九段「すごいですよ。加藤先生を尊敬してますよその点に関しては。
犬飼うようになってその気持ちが分かりました。家族と一緒ですよね。
猫ってあんまり従順じゃないですよね、自分勝手というか。
そういうのがいい人もいるし犬がいい人もいるし。
昔はインコ、兎、どじょう、長く生きてるといろんなもん飼ってますね。
どじょうは縁日で子供が買ってきて飼うことになりました」
山口女流「なんて名前だったんですか」
中村九段「ないない」
山口女流「絶対ありますよね」
中村九段「みんな亡くなっちゃうからね。それが寂しいですね。
どじょうって水がすぐ汚くなっちゃうんですよね。
一時避難させてから水を換えて、その後つかまえるのが大変でね」

伝説の星のあるない論争について、
中村先生に真相を語っていただければと思います。
中村九段「しゃべればしゃべるほど私は恥ずかしいんですけどね、
だからしゃべらない。
まあお酒飲んでの話ですから、郷田なんかも飲んでて、
郷田はねえ変な奴なんですよ王将になったから言うけど。
事の発端は函館で酒飲んでて酔っ払ってたんですよ。
将棋盤には星がないって、ないじゃないですか、ないんですよ、っていう話をね。
100円かけようが100万円かけようが羽生さんまで巻き込んで、
大変な話になっちゃったんですよ」
山口女流「それで深夜の3時くらいに羽生さんに電話を」
中村九段「流石にそんなことはして無いと思いますが。
昔棋聖戦ロサンゼルスでやるって話になって、挑戦者になるつもりだったんで、
もし負けたら記録係りで行きますって言ったら負けて記録係りになった、
ということもありました。
酔っ払って多分谷川さんに電話かけて、しかも私は何話したか覚えてないんですよ。
星のある無い論争?しゃべれない!以上!」

中村九段対南九段のタイトル戦、不思議流体地蔵流を並べることに。
先手が中村修王将、後手が南芳一棋聖。
中村九段「南さんは昔から全然変わらないですよね。
胡坐かかないし、いや正座の方が楽なんですふふふとか言って」
山口女流「南先生言ってましたけど前傾姿勢にしているのがいいらしいですよ。
腰が楽みたいで」
ということで相掛かりの将棋になりました。

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中村九段「あまりにひどい感じなんでひどい言われ方しましたけど」
確かに歩が7七にいて飛車が7六にいますね。これが不思議流全盛期?の将棋か。

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山口女流「先生ここで封じ手ですけど覚えてますか?」
中村九段「覚えてないなあ忘れちゃうんですよね。今なら▲1五歩かなあ。」
山口女流「先生それです」

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中村九段「ここで決め手っぽい手が出るのかな?
昔はこういうところで手が見えたんだけどねえ」
と言いつつ▲1二歩の決め手をあっさり見つけてしまいました。

山口女流「それで指し手のほうはまだ動いてないと」
と言うことで中村九段が準備してきたクイズタイムに。

中村九段
現在の王将は郷田王将ですが、
羽生さんの王将はどこまで動いたことがあるでしょうか。
3段目のなかに1箇所だけ旅をして無い箇所があります。
3択にしましょう。
1三、2三、3三、この3つのうち羽生さんが旅してない場所があります。
どこでしょう。

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山口女流「個人的には3番だと思います」

正解は3番。3三玉に入られたこともある。
森下さんは入って勝った。木村さんは入ったけどつかまった。
2段目は5二玉がない、2二玉もない、あと1箇所だけないがどこでしょう。

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この出し方で1番だったら策士すぐる。
正解は7二玉。
中村九段「もしこの将棋が入玉形になったら、
3三に入らないかなーということも楽しみにしておいてください」

昼食アンケート
中村九段「前回ウナギっていってウナギ食べましたからね。
特に食べたいものはないけどなあ」

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中村九段「コンビニは無いでしょ普通」

昼食休憩明けに羽生名人は▲7六歩。
中村九段「初手がこれだと思ってました。やっと来ましたね」

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がらりというお店

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かつおのたたき
中村九段「対局のときに来たときもあるんですけどね、
ご飯おかわりタダだと思うとついつい頼んじゃうんですよ」

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壁が気になる。

詰め将棋の正解者プレゼントは不思議流受けのヒント。
山口女流「この本のタイトルは」
中村九段「昔羽生さんの本でなんとかのヒントっていうのがあって、
それをヒントにね。フフフ」

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そしてプレゼントじゃないけど新商品の糸谷竜王のスイーツハンカチ!

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一発逆転ハンカチ!
タイトルホルダーになるといろいろありますね。

といったところでクイズの続き。
羽生名人の王様が1段目で行った事があるマスはどこか。
9一に行った事はある。あと2箇所。
7一にもある。あと1箇所はどこでしょう。

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正解は3一。
中村九段「すいませんねこんなくだらないことに皆さんアンケート答えていただいて」

今年の名人戦初日雪降ったじゃないですか。その後4月16日に雹が降ったんです。

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ここでも羽生人気。正解は行方市。
中村九段「中村市は今無いんです。
西土佐村と合併しましてね、四万十市になってるんです」

ということで初手から解説に。

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山口女流「終了っと」

ここでティロフォン杉本七段から
杉本七段「もしもしこんにちは」
中村九段「これは杉本先生ですね」
山口女流「現地はどうですか」
杉本七段「あまりにも指し手が進まなくて」
中村九段「何してました」
杉本七段「のんびり見学してました」
中村九段「私も立会いでこういう展開になると、
コーヒー5杯くらい飲んじゃうんですよね」
杉本七段「私も3杯目になりました。
意表の展開だと思いますがいかがでしょうか」
中村九段「一手一手慎重でさぐりあってるような感じですね。
1局目は早かったので2局目はお互いじっくり指そうとか思っているのか」
山口女流「現地で印象に残ったことはありますか。
行方先生や羽生先生のようすなども教えてください」
杉本七段「前夜祭で行方さんの挨拶も気合が入っているような気がしましたね。
羽生さんはいつも通りというか」
山口女流「鮎の塩焼きおいしそうだったんですけど」
杉本七段「久しぶりに食べましたけどたくさん食べ過ぎました」
山口女流「トイレかなり高級だと聞いたんですけど」
杉本七段「エアコンもついてますし1日過ごせそうだなとか」
中村九段「すごいですねそれは」
山口女流「わざわざ栃木県から取り寄せたんですよね」
杉本七段「釣り上げて取り寄せたみたいです。
大盤解説はホテルのほうでやっておりまして、
これから大盤解説のゲストにも出る予定です」
山口女流「控え室の様子はどうでしょうか」
杉本七段「新聞社の方や関係者の方がたくさんきています」
中村九段「行方さんは前日飲みすぎてませんでした?大丈夫でした?」
杉本七段「前夜祭ではかなりセーブされてた感じでしたけど、
その後は見てないので」
山口女流「杉本先生は?」
杉本七段「意味もなくセーブしてました」
山口女流「谷川先生の紫綬褒章祝賀会に出られたと伺っていますが」
杉本七段「350名以上の方、棋士も60名くらいいたと思います」
山口女流「中村先生と杉本先生はお弟子さんが女流棋士という共通点がありますけど、
どういう感じに接しようとかありましたか?」
杉本七段「私ですか?基本的には弟子に取らないんですけど、
室田の場合も断ったんですけど、本人の熱意に負けたというか。
中村先生はいかがですか」
中村九段「いやー熱意?近所に住んでたっていうのもあったんですけど。
男の子と女の子では違うところがあって、
男性は四段になるまでかなり時間かかりますから。
女性は早くに女流棋士になってしまうのがだいたい分かってるんで、
長い付き合いになるかもしれないなという感じはするんで、
ただ好みが合いそうかなと思ったんで。
言うこと気かなさそ…見てなければいいんですけど」
山口女流「杉本先生は藤井君というお弟子さんがいると」
杉本七段「今中学一年で奨励会二段です」
中村九段「北浜君が恐れてましたよ」
山口女流「藤井先生も恐れてましたね。
僕のあだ名がシステムになるとおっしゃってました」
杉本七段「噂には聞いたことがあったんですけど、
藤井先生本当にそんなことおっしゃってましたか」
中村九段「いろんなところから噂を聞くじゃないですか。
詰め将棋作る方も凄いって」
杉本七段「今は作らさせないようにしてるんですけど、
本人に聞くとわりと短時間に作れるらしいんで、
さまたげにならないのかもしれないですけど」
山口女流「入門されたときはどうでしたか」
杉本七段「入門というか小学校1年の頃から知ってるんですけど、
その頃から数十年に一人の逸材だなと思いました。
将棋以外に関しては寡黙なんですけど、感想戦になるとプロ感覚だなあと思いました。
プロじゃないと分からないようなことをひとりごとでつぶやいていたので。
私あまり将棋の技術を教えたことが無いですね。教えることもないんで。
詰め将棋がもともと好きだったみたいですね」
中村九段「中学生で四段になった人が4人いますけど、本当に合致します」
杉本七段「まだまだこれからどうなるかわかりませんから。
何もしなくても勝手に成長してくれるのでそういう意味では安心です」
中村九段「阿部光瑠もね、たまに奨励会の成績を見て、
36勝6敗で何だコレと思ったことがあります。
確かにあれもいつのまにか強くなったですね」
山口女流「先生確か最近本を出されたという」
杉本七段「今週の金曜日に発売になります。
相振り飛車の絶対手筋という本です。
香川女流王将との将棋も書かせていただきました」
中村九段「いやいやいや。結構プロも買うんですよ勉強のために」
※中村九段は弟子に阿部光瑠五段、上村亘四段、香川愛生女流王将、
杉本七段は弟子に室田伊緒女流二段がいます。

電話が終わるとそこは

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おやつタイムだった!


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中村九段「ほらきた!」
もごもご説明する山口女流に
中村九段「早く食べようよ。
さっき健康診断の表もらってね、昨年しぼうかんだし石かなんかもあったりして、
今は大丈夫なんで」

休憩中に羽生名人は▲1六歩。
羽生名人は▲9六歩と端に手をかけているので、
後手の行方八段は△8三銀と棒銀を見せたのですが、そこで悠然と1筋の端歩。
山口女流「端歩は心の余裕と言いますけど」
中村九段「その言葉にずいぶんだまされました」

羽生さんのところに残っているロールケーキは、
頼んだプリンだけじゃ寂しいだろうということで現地の方がつけたらしい。

質問メール
タイトル戦の第1局は振り駒で先後を決めますが、
将棋は先手の勝率が若干高いので、第1局に先手がいいのか、
はっきり先手だと分かっている第2局がいいのか、
中村先生は第1局はどっちがいいですか。
そういう状況忘れちゃいましたけど、今もしそうなったらどっちでもいいですけど。
タイトル戦はあの立会いが多いでしょ。
そうするとね、指してるわけじゃないですけど参加してるわけで、
この前終わったからいいますけど王将戦第3局目、郷田さんが電車に遅刻してきたんです。
困ってね。電話したら寝坊してますって。
前夜祭には間に合ったんですけど盤の検分には間に合わなかったんで、
申し訳ないですけど渡辺王将の前に座りまして、
久しぶりにタイトル者の席に座って、嬉しいもんでしたね。
タイトル戦ってやっぱり真剣勝負だし、
普段の対局とは違って多くの人が係わる一種のお祭りみたいな感じで、
中心にいるんだなというのと責任感を強く感じます。
このお祭りを楽しくするのもつまらなくするのも自分次第だって。
今は立会人だから無難に終わって欲しいと思ってますけど、
扇子がうるさいとかそういうこともなくね。
主役だけど何だろう、その二人の将棋で周りが盛り上がるというのがあるんで、
みんな腫れ物に触るような感じで、若いときは申し訳ないなと思ってたんですけど、
何の話だっけ?振り駒?どっちでもいいです。
どっちかというと先手の方が一手得だからいいかな。

A級プレーオフで解説された、
野月先生と山口女流との角厨対飛車厨の対局が面白かったので、
是非お願いします。
どっちが勝つかっての?分からない。飛車だと思うけど。
普通に指してればそんな強い方が勝つんじゃないですかね。
ということで山口女流が飛車2枚、先手でやることに。

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山口女流の初手は野月七段に指された▲5六歩。

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飛車を並べる山口女流。これはちょっと勉強してきたか。
中村九段「なんかチェスみたいだね」
ここから怒涛の攻める大和撫子タイム。

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▲3七桂!
中村九段「ひえー恐れを知らない」

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▲4五桂!
中村九段「ひえーこれが噂の。このタイミングで飛ぶ?」

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▲4五銀、▲5五銀、▲4三金で悩む山口女流に、
中村九段「私の第1感は違うけど」
何故か中村九段が▲3六歩からの展開を指導する展開になり、
▲3六歩以外で指す羽目に。
※後手の3五にいる銀が働いている守り駒なので、それを攻めるということらしい。

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山口女流「何で私こんな駒少ないんだろう」
攻めダルマモード発動か。

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△5九飛
山口女流「詰めろですか?」
中村九段「さあー?」
山口女流「教えてくれないんですか?」
※実は詰めろ

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山口女流「参りました」ということで感想戦になりました。

盤上では羽生名人が▲2四歩。
中村九段「これもねえ朝10時台に突くチャンスもあったんですけどねえ。
現地の大盤解説の杉本さんもどうやって時間を潰しているのか」
山口女流「クイズありますよ先生」
中村九段「まだもう少し先までとっときたかったんですけど」

質問メール
中村先生が現地からのティロフォンで出演したときに、
中村先生の娘さんがかわいらしいので会ってみたいと山口女流が話していましたが、
その後会いましたか。
山口女流「ずばり無いです。お写真でしか拝見したことがないので是非」
中村九段「いえいえ別に、是非、はい」
山口女流「将棋会館いかがでしょうか」
中村九段「将棋指さないので…」

昔の名人戦は緊迫感がありましたが、
最近は自由な雰囲気になっているように思います。
対局室での規制などあるのでしょうか。
自由というわけじゃないんですけど。
音声入ってるんですよね。観戦者の席に普通の人が入ったら5分持たないですよ。
緊迫感はすごいですね。解説者は緊迫感が無いのが多いので申し訳ないんですけど。
昔はそういうのが無かったのでより際立ってたのかもしれないですし、
立会いの先生も迫力ありました。
私みたいにふにゃふにゃなのはあまりいませんでしたし、
丸田先生とかすごかったです。
羽生さんが名人戦の挑戦者プレーオフで将棋連盟でやったときに、
ちょっと明らかに変な手が出ちゃったときに、
控え室に30人とかいて歓声とか上がっちゃったんですよ。
それを丸太先生が一喝しましてね。何て言ったか忘れちゃいましたけど。
まあオープンになったから自由というのもあるのかもしれないし、
将棋界に詳しくない人も見れるようになったので。
奨励会の幹事のときに取材でテレビとか来られたときもあったんですけど、
やっぱりわからないですからね。
負けたら退会かもしれないようなピリピリやってるところで、
後ろでパシャパシャやられたり、
奨励会の魅力を外に発信できるようにはなったんですけど、
何だか分からないといったものが薄らいできたというのはあるかもしれないですね。
ニコ生とか電王戦とか、車将棋って何ですかあれ。
車がどんどんひっくり返ってトランスフォームになるのかと思ったんですけど。

スーパー雑談タイム
中村九段が毎年出演している京急将棋祭りについて
中村九段「先崎君と井道千尋さんが出演した時で、
神谷広志と屋敷君か櫛田くんが対局で、
千と千尋の神隠しってやろうとしたらね、かみさんに古いって言われちゃって」

中村九段「郷田君の記念グッズを作ろうかなと。
郷田が角を使った合格グッズとか。
棋士で角のつく人が二人いるんです。兄弟なんですよ。
なかくらさん。分からなかったでしょ?」
「パチッ」
中村九段「くだらないことばっかりやってるうちに▲5八玉って」

盤上の解説に戻り、
中村九段「ひねり飛車ではないですね、バランスを取った手ですね。
こうなると▲4八金とかも入るかもしれないですね。
ここでまた考えますね。だって狙いがなんとも」
コメントで弟子勝ったよと流れて、
中村九段「王位リーグ3連敗しててね、ひとつ勝ってまあよかったかな。
相手が広瀬さんで勝ったのはまあ自信につながるかな」

そこで中村九段のクイズタイム!
私この将棋矢倉か角換わりかと思ってまして、
桂馬が2五に跳ぶか4五に跳ぶか、当然二人の将棋たくさんあるんです。
羽生さん行方さんの1年間と4ヶ月の勝敗を調べて、くだらないでしょ?
羽生さんが4五か6五に跳んだときは11局あって、10勝1敗。
相手に跳ばれたときは7局あって、4勝3敗。
10勝1敗の1敗は誰でしょう。
あれ?NHK跳んで負けてた?それじゃそれは置いといて、忘れてください。
12局あって10勝2敗、もう一つの負けは誰でしょう。

佐藤康光九段13.4%、渡辺明棋王58.4%、豊島将之七段28.2%。

渡辺君は跳ぶのが多いんだよね。跳ばせないんだけど。
実は豊島君が王座戦で勝ってます。

それでは次の問題です。
行方さんが4五桂か6五桂跳ばれた方は2勝3敗。
跳んだほうが9局なんですけど、7勝2敗、ひとつは羽生さんなんですよ。負けたのが。
もう一人は誰でしょう。

佐藤康光九段20.9%、森内俊之九段39.5%、渡辺明棋王16.5%、豊島将之七段23.0%。

森内さんが正解でした。
もうひとつだけね、2五桂もやりたいんです。
これ結構羽生行方で差があるんですよ。
2五か8五桂は羽生さんが跳んだ将棋が5局で4勝1敗。
毎回やるのあれですけど負けた相手やりますか。

深浦康市九段36.6%、阿久津主税八段11.0%、
佐藤康光九段30.6%、屋敷伸之九段21.8%。

阿久津屋敷ってのはあんまり勝ったの見たことなんですよね。
屋敷君って勝ったっけ?正解は深浦さん。

羽生さんが2五か8五に跳ばれた将棋は7勝1敗。
角換わりで桂馬が跳ぶときとかに言いたかったんですけどねえ。
負けた人は誰でしょう。

森内俊之九段21.7%、渡辺明棋王46.9%、佐藤康光九段18.7%、豊島将之七段12.6%。

正解です。おめでとう。彼はやっぱ攻め将棋ですからね。跳んだときは強いです。

それで次行方さん。
行方さんが自分で2五桂跳んだのは4局指して0勝4敗。
だから4五に跳ぶように誘導しないと。
逆に相手に跳ばれた将棋は3勝1敗。
だから今日羽生さんが桂馬飛んだら、羽生ファンは4五に跳ぶように祈って、
行方ファンは2五に跳んでもらうように祈って、
ってやろうとしたら相掛かりだったんですけど。

次の一手アンケート

meijin2-30
中村九段「封じ手多いですねえ」
山口女流「先生1局教えてください。3六歩で」
中村九段「3六歩ねえ」
その後先手の攻めを後手が受け止めて、
中村九段「私が攻めるとうまくいかないねえ」

meijin2-31
今日の封じ手圧力団体は控えめ。
森九段「6時半になりましたので羽生名人の封じ手となります」
羽生名人「それでは封じます」
ということで27手目を羽生名人が封じて初日が終わりました。

meijin2-32
先手番で封じ手

いやー力戦で序盤から考えることが多い相掛かりですが、27手目に封じ手ですよ。
むちゃくちゃゆっくりした進行でしたが、
解説の中村九段がいろいろ準備してくれて、楽しく解説を聞くことが出来ました。
おかげで画像が32枚とかいう大変なことに。
最後に中村九段がしゃべれない!以上!と言っていた、
星のあるなし論争について。

将棋世界1998年6月号より

舞台は海の幸をたらふく食べた後に入ったスナック。
女の子に囲碁と将棋の違いを説明している時のことだった。
酔った(多分)中村さんがいった。
「囲碁の盤の上にはところどころ目印がついているんだ。将棋盤の上にはそれがない」
なかなかに気がつかない、中村さんらしい説である。
たしかに碁盤には九つ、漆が盛り上がった点がある。そこを星といえ。これは間違いない。
だが将棋盤になかったかなあ。
先崎、郷田はしばらく沈黙した。なにせ一週間以上将棋盤を見ていない。
将棋のことなど一瞬も考えていない。自信がもてない。
やがて、おずおずと郷田が切り出した。
「そうでしたっけ、中村さん。
将棋盤にも星みたいな飾りが付いていたんじゃあなかったっすか」
中村さんが「あのねえ」といった。「付いてないって」。
先輩である。その話はいったん終わった。
しばらくくだらない話をした後、郷田がぶつぶつ呟きだした。
「やっぱり付いているっすよ中村さん。そう付いている。四つついている」
「はあー、付いていないって、そんな点なんかあるわけない」
ある、ない、ある、ない。我々はもめた。両者とも一歩も譲らない。
酔っ払いがくだらないことでアツくなるのは世の常である。
それに、二人とも頑固なんだ、これが。
「ある、ある、ある。あるといったらある。大丈夫ですか中村さん」
「ない、ないに決まっている。だいたい郷田も何年将棋をやっているんだ、ないものはない」
「中村さんこそ本当にタイトルを取った男ですか、ある、あ、り、ま、す」
「いや、絶対にない」
この絶対という一言が郷田の闘志に火を付けた。郷田軍の進撃がはじまる。
「中村さん、今、絶対といいましたね。ぜえったい、ですね」
「ああ絶対だ」
「絶対ってことは100%ないってことですね、じゃあ僕が百円ここに出します。
百円と百万円で賭けましょう」
「あのなあ、お前、そういう極論……」
「極論は中村さんじゃないすか。万が一つも間違いないなら、百円貰い得でしょう」
「……」
「ほら中村さん、百円、あげますよ」
僕は正直いってあるともないとも確信が持てなかった。横で女の子が呆れだした。
「二人とも、本当に将棋指しなの」
このままでは埒があかないので、誰かに電話して聞いてみようということになった。
当時飛ぶ鳥を落とす勢いの羽生の家にジーコンジーコン。
「ねえねえ先崎だけど」
「なんですか、こんな夜中に」
「いや、実は(中略)で、あるかないか分かる、できれば見てくれない」
羽生も呆れたのだろう。
「悪いけどもう寝てるんで、そんなのいちいち見る気しないよ、けど、あるんじゃない」
席に戻って二人に、羽生がたしかあるんじゃないかといっていたと伝えた。
その時の中村さんの台詞はカッコ良かった。
「羽生時代もこれで終わった」
その後の羽生の活躍はご存知の通り。あるかないかは皆さんの盤で確かめて頂きたい。
そう、市販されている九割の盤の上には、ひっそりと、存在を恥ずかしがるかのように……。

この6年後、羽生さんは七冠を達成しました。
「羽生時代もこれで終わった」はすごいフラグでしたね…。