渡辺明棋王に羽生善治名人が挑む第40期棋王戦五番勝負第3局は、
渡辺棋王が勝利して、見事に3連勝での防衛となりました。

ニコニコ生放送では9時から、解説に深浦康市九段、
聞き手に藤田綾女流初段で大盤解説会が始まりました。

藤田女流「戦型予想はいかがでしょうか」
深浦九段「まあ藤井さん立会いですから、羽生さんの振り飛車も見てみたいですけど、
ただカド番なんですよね。角換わりを予想します」
そして羽生名人は△8四歩と居飛車を選択。
 
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深浦九段「ちょっと藤井さん集中力欠いてますね」

kiou3-2
藤田女流「ここまで渡辺棋王の2連勝ですが、見所をお願いします」
深浦九段「ちょっと羽生さんのペースが上がってないと感じますね。
らしくないというか。これまでほぼ渡辺さんの圧勝といってもいい内容です。
1日制の対局に強いのは羽生さんの特徴なので、どんな戦いをするのかが見所です」

kiou3-3
3手目に時間を使う渡辺棋王。

深浦九段「羽生さんの意図、どの局面に持って行きたいのかな、
ということを考えてるんだと思います」
渡辺棋王は角換わりを選択。

深浦九段「渡辺棋王は先日順位戦で久保九段と戦っていますので、
振り飛車対策は万全だと思います。なので羽生名人は居飛車にしたのかなと」

深浦九段「ちょっとブログを見たんですけど、
今日渡辺棋王は新潟で棋王戦なんですけど、その後の王将戦が佐渡なので、
新潟に滞在して佐渡に行くスケジュールを組んでたらしいんですけど、
プレーオフが入ったので東京に戻るみたいです」
渡辺棋王のブログもチェックして予習する深浦九段。

羽生名人も横歩ではなく角換わりを選択。

リレー質問
中座七段から深浦九段へ
深浦先生にはお子様がいらっしゃるようですが、普段はどのように遊んでいるのですか。
深浦九段「えーっとそうですねー…ゲームとかやってますね」
藤田女流「何のゲームですか?」
深浦九段「わかんない。
上の子は 中学生高校生なんですけど、スマホのゲームなんか楽しいらしいですね。
なので最近口きいてないです。
将棋もしますね。今受験終わって、友だちと遊んだりしてるのがいいみたいで。
下の子は女の子なんですけど、妖怪ウオッチをやっています。
ボスが倒せなくていらいらしてるんですよ。お父さんはレベル上げしてくれって言われて。
なのでお父さんこつこつやって、はいやったよっと。
藤田さんはどんなゲームをされていますか?」
藤田女流「ちょっとまえはドラクエを、レベル上げもしました」
深浦九段「黙々とやるタイプですか」
藤田女流「黙々とやってます」
深浦九段「僕はうわとかあいたーとか言うんですけど、
黙々とやるのが藤田流ですか」
藤田女流「マリオカートとかは曲がる時とか体が曲がっちゃいますけどね」
※中学生と書いていたんですけれども、高校生の間違いでした。
コメントでのご指摘ありがとうございました。訂正2015/3/12 

緊急アンケートゲームで声を出しますか
声を出してやる46.6%、無言で黙々53.4%。
意外と多い声を出す派。
深浦九段「黙々とやるとストレスたまらないですか?」

山田女流から藤田女流へ
バレンタインに綾ちゃんは本命チョコをあげましたか。
藤田女流「これ姉弟子…本当に…(メールの紙を見て)すごいですね…。
前回の放送でチーズケーキ作ったって言ったんですけど…」
深浦九段「それは?」
藤田女流「それはあげました。あげて私が食べました」
深浦九段「どういうこと!?」
藤田女流「大丈夫ですかこれ。
何か変な誤解が…一応作ったということで大丈夫ですか?」
そして
藤田女流「いつもなんか…みんな無難な質問なのに…」
深浦九段「僕ちょっと去年のバレンタインが残念なことがあって、
娘に好きな男の子にチョコレートあげるって言われたんですよ。
娘去年は9歳だったんですけど、ついてったんですよ。
日向君の家に行って、渡すってシチュエーションを父親が見守るっていう。
電信柱の陰ですよ。凄い現場。ちょっともうむなしいというか。
今年は日向君にチョコレートあげないのって聞いたら、もうあきたって言われて、
僕は心の中でガッツポーズしましたね。
今年は宅急便のおじさんにあげようかなとか言ってました。
ですから今年は父親にも手作りで作ってもらえました。
去年は娘を嫁に出す父親の心境が味わえました。
日向君もはにかみながらもらうんですね。どうしていいか、ちくしょう」

タイトル戦の朝の様子について
深浦九段「加藤先生とか朝のバイキングですごい食べてるのをよく見ます。
ほんと皿の底が見えないくらいてんこ盛りなんですよ。
今の棋士に聞いたら食べるほうがおかしいと言われて、
何であんなに食べられるんだろうって言ってました。
ツイッターで書かれてた棋士もいますね」

盤上では角換わりの定跡型になりました。

アンケートあなたのタイプは?
居飛車32.6%、振り飛車17.5%、オールラウンダー12.6%、見る側37.3%。
ニコニコでは振り飛車党は少数派。観る将が最大派。

質問メール
私は長崎県の佐世保出身で、深浦九段と同郷です。
将棋が盛んな都市があるのは何故でしょうか。
例えば加古川市は何人も棋士を輩出しています。
確かに稲葉さん井上さん神吉さん船江さんもそうですね。
今回の対局場の新潟も多いですね。
まあひとつは指導者の方に熱心なかたがいらっしゃる地域は多いですね。
加古川市はいの井上さんが道場をしているので、
その生徒達が棋士になるということがありますね。

深浦先生の最前線物語と言う本を知りました。
そろそろ3が出る頃かなと思っているのですが、もうでないのでしょうか。
トレンドの移り変わりが早いので、書籍にするのは難しいのでしょうか。
結構いろんな場所で読みましたよとか言われます。
この前阿部健次郎五段に言われました。ぼろぼろになるまで読んだって。
結構嬉しかったです。
ちょっと3は考えてないんですけど、今かなり優秀な若手がでてきて、
もう彼らに任せてもまったく問題ないです。
村山七段や、村田顕弘君、
豊島さんとかも書いてますし、やっぱり勉強になりますね。欠かさず買ってます。
私の本には、森下システムの経緯とかも、
森下先生や淡路先生に聞いたりもしたので、ちょっとした物語も書いてたんですけど、
彼らもいい年になったらちょっとしたエピソードも書いて欲しいなと思います。
河口先生がなくなられて、そういったことを書かれる方がいなくなったので。

私は気になる対局が平日にあると仕事に集中できません。
深浦先生はサッカーのワールドカップと、
大和証券杯の時間がほぼ同じだったのに勝利されていました。
どうすれば集中できますか。
細かい日時指定ですね(笑)。
大和証券杯は夜8時で、サッカーの時間も確かその時間でしたね。
サッカーだとね、リアルタイムで見ないと、
録画で見ようとしても情報って入ってきてしまうんですよね。
うーんまあしょうがないですよね。趣味の方は。仕事をしないとあれですからね。
まあ切り替えてやってます。
でも確かにその時は大和証券杯を勝って、
家に何も見ないで何も聞かないで帰って録画を見ました。

深浦先生と佐藤先生とのA級順位戦は、
午前2時過ぎに相手玉を自陣で詰ますというすごい将棋でした。
点数で勝利確実だと思っていたのですが、深浦先生は佐藤玉を寄せにいきました。
安全な点数勝ちは狙わなかったのでしょうか。
藤田女流「他にもメールが来ています」
先週のA級順位戦での、深浦先生の対局は見所満載でしたが、
是非とも深浦先生ご本人に振り返っていただきたいです。
藤田女流「まずは安全勝ちについてお願いします」
深浦九段「そうですね。点数で5点以上入っても点数で勝ってたんですけど、
前局の行方さんとは270手くらいで、逆にこちらが5点くらい足りなくて、
今回は決着をつけたかった。3連敗中だったんですね終盤。
最後いい形で締めたいなと思って。
ただ佐藤さんも苦しいところとは実感していまして、
佐藤さんもいうなれば男らしかったといいますか、
お互い勝負に行ったということで、ぎりぎり詰み上げることができました。
でも展開によっては点数勝負にいかないといけないなと思ってもいました。
ちょっと佐藤さんの点数が足りなくなってきてから、
自分の入玉と両方を考えていました。
1分将棋の中で必死を発見するとうれしいというか、ちょっといいですか」
と言ってちょっと紹介に。
 
kiou3-4
ここから▲2七飛、△同歩成り、▲同飛成りで必死ということを、
深夜の1分将棋で読みきったんですな。

深浦九段「2時に終わって感想戦が4時前に終わって、帰ったのが5時くらいで、
6時くらいに床に就いたんですけど、8時か9時に起きちゃいました」

そして休憩になりましたが、NHK杯の放送が始まりました。

藤田女流「見てました。激辛坦々麺」
深浦九段「木村さんの受け答えもよかったですね」
盤上では開戦間近、午前中に駒がぶつかると深浦九段。

渡辺棋王の▲2五歩は、今のところ後手から仕掛ける手段があるので、
先手が悪いと見られているらしく、
あえて選んだと言うことは研究手が見られるのではないかとのこと。

kiou3-5
深浦九段「寝てるわけじゃないですよ。
考える時は盤面を見たほうがいいんですけど、
何か思い出すといったときは見ない方がいいそうです。
▲2五歩はある手だなと思って洗ってたんですけど、先にやられちゃいましたね。
渡辺さん忙しいスケジュールの中で新しい形を出すっていうのは素晴らしいですね」
そして羽生名人は研究手見せてみろとばかりに△6五歩と仕掛け、
深浦九段「これ渡辺さんのテンションはかなり上がってると思いますよ」
渡辺棋王は即座に▲6六角と打ち込んでいきました。

深浦九段は同じような局面で、
先手の歩が6四にある場合は先手がやれるとされているのに、
6五だとダメと言うのは本当かなということで▲2五歩から先を洗っていたとのこと。
その後の研究を披露し、
▲4五桂馬なら僕と一緒、▲4五銀なら激しい順で何か見つけたということですね、
と言ったところで渡辺棋王は▲4五桂。
藤田女流「先に指されると悔しいとかありますか」
深浦九段「悔しいのも半分ありますね。
でも半分はこの順でいいのかなというのもあります」
その後の羽生名人の手を見て、
深浦九段「あ、同じだ。やられたなあ」

ここでティロフォン遠山五段から。
遠山五段「そうですね今ちょうど検討を始めようかと。
大盤解説会が11時から始まって、そっちは豊川七段と鈴木女流で、
すごい大盛況で会場はもう立ち見の方がいらっしゃいます。昨日も大盛況でした。
今日はタブレットでも記録をとっていて、記録係りが梶浦君なんですけど、
何度もタブレットで記録やってますのでそういった意味では心配ないです。
昨日は割りと二人とも穏やかでしたけど、あまり目を合わせないというか。
今回解説が豊川七段で会場自体はすごくなごやかです。
角換わりは昨日の棋士全員が本命でした。
渡辺さんの構想に控え室は驚いています。
なかなか面白い作戦ではないかとみてるんですけど深浦さんはどうですか」
深浦九段「僕も研究してたんですけど、先にやられてしまって、
次僕が指しても渡辺流だって言われちゃうんです」
これは悔しい成分が半分よりはありそうだ。
遠山五段「この対局は前例が3局あるみたいです」
深浦九段「遠山さんも新潟のお酒いっぱい飲んでるのに冷静な仕事しますね」
遠山五段「朝はふらふらしてました」
そして電話の最中に羽生名人が△7五歩。これが新手らしい。

ここで裏番組のNHK杯で、橋本八段が2歩で負けとコメントが大量に流れて、
深浦九段「そっちも解説したいですけど(笑)」
新手を指されたということで渡辺棋王は長考に入りました。

次の一手アンケート
▲7五同歩32.6%、▲2四歩20.7%、▲3五歩12.7%、▲1五歩3.3%、
▲7五同角13.3%、その他17.4%。
深浦九段「その他当たったら強いですね」

昼食アンケート
激辛坦々麺70.2%、それ以外の中華7.2%、そば5.9%、
うどん2.7%、とんかつ6.6%、カレー7.3%。
深浦九段「羽生さんの勝率くらいありますね」
といったところで昼食休憩になりました。

羽生名人の昼食休憩明けの一手は▲7五同角。
そして深浦九段と藤田女流の昼食はもちろんこれ。

kiou3-6
藤田女流「激辛坦々麺トレンド入りしてたみたいです」
深浦九段「すごいねー橋本君ってやっぱすごいんだ」

そして午後の指し手の解説に。
羽生名人の△4三金上が力強い受けだったらしく、
深浦九段「この局面で何か先手からいい攻め方があればいいんですけど、
難しいならば▲7五同角はどうだったか。
難しいならばこの局面僕は後手を持ちたいです」

ティロフォン豊川七段から
藤田女流「豊川先生ですね」
豊川七段「はいマンモス!
今ちょうどあの青野とるいち先生と、
朝は藤井さんと大盤解説をやっらせていただきました。
藤井さんの渡辺さん論が大盛り上がりで、柏崎のファン熱いです」
深浦九段「よく聞かれるんですけど、マンモスってどういう意味なんですか?」
豊川七段「いや、聞かないでください。挨拶です」
藤田女流「柏崎はどうですか」
豊川七段「日本海が目の前で、山に雪が残ってて、夏は目の前海水浴場で、
お寺もあって歴史のある土地で」
藤田女流「ここまでの局面はどちら持ちでしょうか」
豊川七段「藤井さんがこの局面を渡辺さんの想定内の局面なんじゃないか、
予想通りなんじゃないかと言ってました。僕は後手持ちです」
深浦九段「豊川さんは同期なんです」
豊川七段「僕が棋士番号200番で深浦さんが201番で、
関係ないですけど森とりじ先生が100番で」
深浦九段「三段リーグで豊川さんと角換わりの入玉模様の将棋指したと思うんですけど」
豊川七段「覚えてますよ。書かれてたのも読みました。
奨励会の時にこれは読みなさいって言ってましたよ。
今日の昼食は幕の内で、青野先生が鶏肉苦手なのでから揚げいただいちゃいました。
なので青野とりいちって言っちゃだめですよ」
藤田女流「NHK杯みましたか」
豊川七段「見てないんですけど、今日の対局はだれですか」
深浦九段「行方橋本戦です」
豊川七段「あ、噂は聞いてます。
僕は2歩でトリビアとか出ましたけど橋本さんがうったんですよね今日」
豊川先生が最後までノンストップで喋り倒してました。
この豊川七段を黙らせた加藤先生とは一体…。

コメントで反則はありますかと流れて、
深浦九段「公式戦は無いんですよ。
練習と言うか指導対局で、10面指しくらいやってて、
小学校2年生くらいの子がいて、指した後に先生2歩ですって言われて、
あれやっちゃうと頭が真っ白になりますね。
僕やらない人だと思ってたので、何が起こったのかわからなくなりました」
指導対局では深浦九段は2手指しくらいなら見逃してあげる時もあるらしい。
たまに子供が順番回ってくるまで待ちきれなくて、
子供同士で駒を動かして検討して、戻らなくなってる時があるとのこと。

そして渡辺棋王はじっと▲4七金。
深浦九段「ほー」
5八にいた金を、4七、4六、3五と攻めに使っていく手が狙いとのこと。
その後解説を進めて、
手数がかかるので後手に動いてもらおうという手なのかもしれない、と深浦九段。
そして初手から解説に。

どちらを持って指してみたいかアンケート
先手・渡辺棋王16.3%、後手・羽生名人32.9%、なんともマンモス50.8%
圧倒的マンモス。
深浦九段「なんともマンモスが正解なんじゃないですかねえ」

羽生名人は渡辺棋王の玉頭へ△8六歩。
この手は後の変化だと入らないと見ているからと深浦九段。
ということは激しい順に踏み込むつもりなんだろうか。
先手は歩を3枚持っているので、
取りたい歩ではないが取っても取らなくても形を乱される、
絶妙のタイミングの歩とのこと。
渡辺棋王は▲同歩。大きい利かしが入ったか。
そして2分後におやつ休憩ですが…。

深浦九段「アイスって溶けるからいけないんですよね。
何で頼んだんだって思いますよね」
定番の羽生名人のアイスがぶ飲み事件。

質問メール
羽生先生がおやつにブラックモンブランを頼まれたと聞いた深浦先生が、
「ええ!?ブラックモンブラン?アイスを頼んだんですか?」とおっしゃったと聞いて、
九州出身の私は爆笑しました。
はい、九州ではよく売られているアイスクリームです。
中がバニラで外がチョコクランチみたいな。
僕もすごい小学生の時に食べて、当たり棒つきなんですけど。
中がバニラだから溶けるとそれこそ大変なことになりますよね。
でも最近東京でも買えることがわかって、家の冷凍庫にも入っています。
竹下製菓株式会社 ブラックモンブラン

対局場はおやつタイムに。

kiou3-7
深浦九段「今渡辺さんがよく見えるようにどかしてくれたのかな」

渡辺棋王は相手の手番のときは基本おやつを食べないが、
相手が食べ始めたら食べるらしい、と聞いた深浦九段。
深浦九段「相手が食べ始めたらいいんですね」
そして羽生名人が食べ始めると…

kiou3-8
深浦九段「ほんとだー」

ニコ生のおさんじはペイストリースナッフルス チーズオムレット

kiou3-9
深浦九段「今日は坦々麺とチーズケーキの日なのかな」

一旦休憩に。
休憩中に羽生名人は△7三桂と桂馬の活用。
渡辺棋王は深浦九段が解説した狙い筋通りに▲4六金。
羽生名人は渡辺棋王の角筋を避ける△3二玉でしたが、
深浦九段「この形は僕は先手持ち、先手がいいと思います」
その後変化を掘り下げましたが、やっぱり先手が少しいいとのところで、
羽生名人は解説にない△8七歩。

ティロフォン
藤井九段「あ、あ、うん、うん、あ、あ、もしもーし。
藤井と申しまーすはいはーいきこえますかーおつかれさまでーす」
藤田女流「先ほど大盤解説会にでていらっしゃると聞きましたが、いかがでしたか」
藤井九段「すごい人人人で疲れました。本当にあのー盛り上がりが凄かったですよ」
藤田女流「柏崎はどうですか」
藤井九段「海がみえますよー海が綺麗ですよー綾ちゃんもどうですかー?」
藤田女流「ここまでご覧になっていかがですか」
藤井九段「それで電話したんですよ。
豊川さんが大盤解説で、遠山君と僕しかいないんですよ。
振り飛車党2人で角換わり検討するわけにはいかないでしょ?」
深浦九段「ここ数手羽生さんの指し手がぎこちなくて先手持ちです」
藤井九段「先ほどの局面で△3八馬はどうですか?」
深浦九段「それは▲4八飛車で」
藤井九段「僕もそう思ってたんだけど、遠山さんが▲7九飛車って言うんですよ。
その局面で後手はどう指すんですかーって。
でも▲4七金は、今日予定として▲4七金と指そうと思って来ないじゃないですか。
どこまでが予定なのかなーと。
遠山五段は先手良しといってます。私はよくわからない。豊川さんは後手も指せるって。
正確には私にはわかりませーん」
深浦九段「振り飛車はあると思ってました?」
藤井九段「いやいやいやないと思ってました。
でも候補としてはあげておかないとね。もしかしたら当たることがあるわけだから」
などと話していると現地映像が流れて、
藤田女流「藤井先生対局部屋に日が入ってきちゃいましたけど大丈夫ですか?」
藤井九段「あ、これはちょっと立会人出番ですね。
あ、これ電話してる場合じゃないよこれ。それでは失礼しまーす」

kiou3-10
日差しが入ってきて将棋盤が見えにくい状態に。
そして立会人登場。

kiou3-11
深浦九段「おおかっこいいなあ。素早い対応で」

羽生名人は▲2四歩に手抜きで△8七歩。
深浦九段「お互いきわどい手を選んでるんで、局面が難しいと思ってるんですね」
手抜きで攻め合う発想がなかなか無いとのこと。
渡辺棋王は桂取りに▲2二歩。
深浦九段「細かい攻めを繋いで、来るべき時に▲3五金と。
怯まないのがやっぱり渡辺さんですね」
そして羽生名人の△4八歩にさらっと▲2九飛。
金は取られますがその間に飛車を使って2筋から攻めようという狙い。
深浦九段「▲8七金が渡辺流でしたね。飛車さえ渡さなければ怖いとこないよという」
なんだかまとめに入っている?

質問メール
深浦先生の息子さんが、飯塚先生の教室に通っていると伺いました。
私には5歳の息子がいて、どうぶつ将棋をすすめようと思っているのですが、
深浦先生の息子さんがどのように将棋に興味を持ったのか教えてください。
深浦九段「やっぱり幼稚園のときに教えたんですね。
最初はやっぱり遊びから教えたような気がしますね。山崩しとか回り将棋とか。
興味持ってくれましたし、高校3年までやってくれてます」
藤田女流「どうぶつ将棋とありますが」
深浦九段「これはいいきっかけなんです。藤田さんは将棋はどうして?」
藤田女流「私は父親が将棋が好きで、家で対戦相手が欲しいということで覚えました。
本将棋からでした。
勝つことが楽しくて続いたので、負けてあげるのがいいのかなと思います」

先日のNHK杯で、終盤の終盤まで深浦先生の勝ちだと思ってました。
一度頬を叩いて気合を入れなおすシーンはぐっときました。
形勢はすごく難しくて、感想戦でもあったんですけど、揺れ動いてました。
最後の最後になって初めて勝ちになったと思いました。
とどめの金を1五金と打ってしまったのが敗因で、
打たなければ2、3通り勝ちがあったようです。
頬はたまに叩くんですが、今回はテレビということを忘れていたので、
脳細胞動いてくれーと言う感じでぱちんとやりました。

私にはよくわからない将棋用語があります。
感触の良い手、感触の悪い手、というのがそれで、
似たような将棋用語の味のいい手、味の悪い手というのとの違いを教えてください。
ここだと飛車成りを防ぐために直接的に△2三金と金を打つ手が感触の悪い手。
と言っているときに羽生名人が△5六銀。
深浦九段・藤田女流「え?」
飛車成り放置の強手でした。ということで解説に。
▲4四角に対する△3三銀はどうかというコメントの順を解説して、
先手から攻めてもなかなかうまくいかずに、
深浦九段「なるほど、へー」
しかし一旦落ち着いて引き上げる順を検討すると先手が良さそうということになり、
藤田女流「押してだめなら引くと」

kiou3-12
深浦九段「なんか読みに没頭してるというよりは…」
藤田女流「振り返ってる?」

羽生さんが席を立っている間に渡辺棋王は▲4四角を避けて▲2二飛成り。
そして苦い顔をして、
深浦九段「やっぱり対局者がいなくなると顔に出るんですかねえ。
羽生さんが戻るとぴたっと止まると思います」

kiou3-13
ぴたっ

そして長考する渡辺棋王に、
深浦九段「渡辺さんのこの時間の使い方は珍しいですねえ。
思ったより難しいんですかねえ。
やっぱり対局者と比べると解説者は目分量にどうしてもなってしまいますけど、
この調子だと秒読みまで行きそうですけどねえ」

そして渡辺棋王は▲5八桂馬。羽生名人の馬を攻める手。
深浦九段「うわーこれは読めないですねえ」
飛車が成ったんだから王様を攻めると思いますよねえ。
激辛坦々麺のコメントが大量でした。
藤田女流も大盤で2歩してましたし今日はそういう日なのか。
解説を進めて、
深浦九段「でも優勢側の手とも思えないですけどね。
辛いという感じも無いわけでは無いんですが」
羽生名人は駒音高く△4五馬。
先手が攻める順を解説するも、
深浦九段「なかなか寄らないもんですねえ」
そして盤上も大盤解説も泥試合に。
深浦九段「もう混戦ですねえはっきり先手がいいとは言えません。
いやいや楽しくなってきました」
おかしいなちょっと前は感想戦になるまでの流れとか説明してたのに。
深浦九段は、「すごい可能性が広がってきましたねえ」
と言いながら楽しそうにたくさんの手を並べます。
先手が攻める順を並べると、後手からカウンターが飛んできて、
藤田女流「詰んじゃいましたねえ」
深浦九段「あれー?さっきまで手の幅が狭かったんですけど、
なんだか急に広がってきました。
ということは優勢だった方が失敗したんですかねえ」
と言っていろいろ解説手順を進めていると深浦九段まで2歩。
深浦九段「あややややだめだめだめなしなしなし」
今日は橋本八段と深浦九段と藤田女流が2歩をしました。

盤上では羽生名人がコメントで流れた▲7八銀を逃すと、
みるみる形勢が渡辺棋王に傾きました。
深浦九段「最初は渡辺さんが少し良くて、
▲5八桂と打ったあたりから難しかったと思います。
羽生さんがややよくなって最後▲7八銀だったら勝ちだったかもしれませんけど、
この局面は渡辺さん勝ちになりましたかねえ」
といったところで、
コメントで流れたソフトが探した決め手?と思われる▲8二香を渡辺棋王も選択。
深浦九段はまだ△7九角を決めてから、
△5八銀と勝負する手があると解説していましたが、
羽生名人はまさかの△同飛。
▲同竜となったところで羽生名人の投了となりました。

深浦九段
中盤の渡辺さんのやりたい手は▲6五歩で、△7五歩の羽生さんの新手がでましたが、
渡辺さんもやりたい順になったと思います。
羽生さんも馬を作って少し羽生さんがよくなったかもしれませんが、
お互い力強い手が続きましたし、終盤もわからなくなって、
持ち味が出た将棋だったと思います。
1局目と2局目は渡辺さんのペースで進んでました。
第3局は水面下の読みあいがあって、どっちが勝つかわからない終盤になりましたが、
これを勝ちきるのは渡辺さんも強いなと思いました。

藤田女流「最後△7八銀の解説をとコメントがありますが」
深浦九段「そうですねこれ気になって帰っても寝れませんよ」
ということでいろいろ検討を進めましたが、
 
kiou3-14
深浦九段「あれやっぱ寝れないや」

感想戦より
▲5八桂馬は、銀を取る手だと△6五桂馬が2手空きくらいの手なので、
先手は詰めろで迫る必要があるが手が見えなかったとのこと。
馬がそれれば3手空きくらいなので、
先手も2手空きで迫ればよいので条件がいいと判断したらしい。
そして藤井九段から△7八銀が指摘され、
渡辺棋王「あ、そーっすね△7八銀ちょっと読みきれてなかったんですけど」
羽生名人は驚いていたので見えてなかったかなあ。
その後手順を進めて、
渡辺棋王「竜に当たってるんで手の戻しどころが難しいですね。
銀のときに▲6八香とか考えてたんですけどなんか負けそう。
でも今のも負けそうなんで」
さらに並べて
渡辺棋王「歩成って腹くくるべきでしたかねえ」
歩成りからの手順はなんだか先手に勝ちがありそうとのことでしたが、
実際に並べてみると、
渡辺棋王「しかしですねえこれどうしましょう」
ということで▲5二歩の局面で他に手が無かったかという感想戦になりました。
△7八銀に▲6八香は先手負けっぽいもよう。
渡辺棋王「歩成り以上にスピーディな手があるかなと思って探していたんですけど、
無かったですね」
歩成りに△7八銀で先の長い将棋だったとの結論でした。

今日は深浦九段の解説や、
現地からの豊川七段や藤井九段の電話出演にも大満足でしたが、
ちょっと羽生名人の調子が気になる対局でもありました。
感想戦の様子からも、
渡辺棋王が難しいと思っている局面を羽生名人が悲観的に判断していて、
その局面の画像を振り返るとちょっと集中を欠いているようにも見えました。
これで渡辺棋王はタイトルをひとつ防衛、しかも3連勝ということで、
もうひとつの防衛戦である王将戦のスケジュールにも、
少し余裕が出てきたのは大きいと思います。
渡辺棋王は明後日の10日に名人挑戦者決定戦プレーオフ、12日から王将戦となります。
新潟に滞在してカニを食べ倒して温泉に入りまくって王将戦の佐渡に行く、
というブログで書かれていた豪華プランはお流れとなりましたが、
変わりに来たのが名人挑戦をかけたトーナメントですから、こっちも十分豪華です。
スケジュールは詰まっていますが、どんな将棋を見せてくれるか注目です。

ニコニコ生放送では3月10日の15時から、
解説に佐藤紳哉六段、聞き手に鈴木環那女流二段で大盤解説会が放送されます。
アドリブに弱い佐藤六段が鈴木女流にいじり倒される未来が見えますが、
どうなりますか。楽しみです。