渡辺明棋王に羽生善治名人が挑む第40期棋王戦五番勝負第2局は、
渡辺棋王が勝利して防衛に王手をかけました。

ニコニコ生放送では9時から、解説に中座真七段、
聞き手に山田久美女流四段で大盤解説会が始まりました。

羽生名人の初手は▲7六歩。
後手の渡辺棋王は△8四歩とどの戦法でも受けてたつよと意思表示しました。
中座七段「予想が外れました。
予想は相掛かりで、もしかしたら振り飛車もあるかなと思っていたのですが」
羽生名人は▲6八銀と矢倉を選択。
山田女流「相掛かりを予想されたのはどのような理由からでしょうか」
中座七段「1番は私が見たかったんです」

質問メール
屋敷九段から中座七段へ
今回のタイトル戦の展開を教えてください。
1局目は結果的には渡辺棋王が快勝だったと思いますね。
戦型も最新の戦型で非常に興味深い、あ、今解説しちゃいましょうか。
ということで山田女流への質問の後に解説することになりました。

井道女流から山田女流へ
おすすめのチョコの店を教えてください。
山田女流「チョコレートだけのお店ってことですよね。売り場しか知らないんですけど」
中座七段「ゴディバですか?」
山田女流「そうですね」

ということで1局目の横歩取りの将棋の解説に。
分からない時は先手なら▲5四角、
後手なら△5六角と指すといい手になるかもしれないらしい。
こうして解説を聞きながら見ていると、
渡辺棋王が将棋は飛車取ればだいたい勝ちだからとか、
金が4段目に行くのは好形なんだけど2枚しかないから、
王様を守らないといけないので行かないとか、
考え方が存分に出た将棋なような気がします。
渡辺棋王が飛車を取りに行く▲7六桂は羽生名人が見えてなかったみたいですし、
王様が広くなって守る必要が無くなったら金が4段目に出ましたし。
今日はどんな展開になるでしょうか。

盤上では矢倉の王道の駒組みになりました。
この2人の矢倉はJT杯の決勝戦で、先手羽生名人、後手渡辺棋王の対局があり、
後手の渡辺棋王が新趣向を見せて快勝しています。
同じ局面にして羽生名人がリベンジするのか、手を変えるのか。

アンケート居飛車党か振り飛車党か
居飛車34.7%、振り飛車17.1%、オールラウンダー15.8%、見専32.3%。

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おやつをがん見する記録係り。
渡辺王将は午前中におやつを食べることにしたのだろうか。

中座七段「以前加藤先生と対局したときに、
ゴディバのチョコレートを一瞬でばーーっと食べてしまわれて、
もったいないなーと思ったことがあります」
山田女流は羽生名人の師匠の二上九段が会長だった頃、
ゴディバのチョコを職員に配っている姿を見たことがあるらしい。
会長ぱねぇ。
中座七段「山田さん対局のときはバナナなんですよね」
山田女流「お昼はバナナですね。
子供の頃からお昼ご飯を食べた後は勝った事が無いというジンクス持ちなんですよ」
棋士は注文派、外食派、コンビニ派、愛妻弁当派といるらしい。
中座七段「みんなが注文してて自分だけ弁当だとちょっと恥ずかしい」

この後中座七段の奥様の話題(中倉彰子女流初段)で攻勢に出る山田女流と、
原宿将棋通り(山田女流も参加した女流棋士4人のボーカルユニット)の話題で
カウンターに出る中座七段の攻めあいに。

ここで記録係りが身を乗り出しておやつに注目していた理由が判明。
kiou2-2
これ朝10時に食べたのか…。
体重計を持ち歩いている渡辺棋王がこれだけ食べるということは、
王将戦と棋王戦の同時期タイトル戦は食べないとやつれるんだろうか。

渡辺棋王はJT杯のときの趣向とは違い、△4五歩を△4四銀と支えに行きました。
角交換になると先手の▲1六歩が優位に働きそうとのこと。端歩は難しい。

質問メール
棋王戦は毎年北陸で開催されますが、
今年は田んぼの雪もすっかり溶けてしまいました。
中座先生は北海道稚内の出身ですが雪は降りますか。
雪で遊んだ思い出や苦労したことなどを教えてください。
よく降りますね。降るんですけど、海が近くて風が強いのであまり積もらないです。
雪かきはよくやりました。
よくスキーを履いて学校に行くと言われますが、私の小学校では禁止されてました。
雪の中に石を入れて投げたら、自分の家の窓ガラスを割ってしまって、
父親からものすごく怒られたことがあります。
風が強い日は前を向いて歩けないので、背中を向けて歩いていました。
夏は師匠のところに合宿に行きました。山田さんもいっしょでしたね。
※中座七段の師匠は佐瀬勇次九段、
山田女流の師匠は佐瀬九段の弟子の西村一義九段という間柄です。
山田女流「将棋指した記憶より遊んでた記憶が多いんですけど」
中座七段「海で泳いだりしましたね」
山田女流「少し怖いおねえさんだった?」
中座七段「すご…い…やさし…いおねえ…さんで」
急に挙動不審になる中座七段。

私の将棋はいつも不安定で、例えば穴熊に組もうとか、押さえ込もうと思っていても、
相手が指すとついつい咎めたくなって動いてしまいます。
大山先生は1回目のチャンスは見送ると言っていましたし、
方針はぶれないほうがいいと言いますが、正しい方針の立て方を伝授してください。
相手の悪手を咎めに行くということではぶれてないと思いますよ。
棋士も千差万別ですから、相手の手を咎めに行くぶれまくってる人もいますよ。
私もどちらかと言うと咎めに行くタイプですね。
咎めに言っていいと私は思いますけどね。
大山先生くらい強ければということかもしれないですね。

北國新聞の記事に、気になる記事がありました。
北國新聞のビルの中に、焼肉の叙々苑がオープンするらしく、
来年から対局場にものすごくおいしそうな匂いが漂ってしまうかもしれません。
棋士の方は音や動作は気にならない印象がありますが、匂いはどうでしょうか。
中座七段「音や動作も意外と気になりますよね。
タイプにもよりますが、全然気にならない人もいます。
匂いは対局場までは無いと思いますが、
記録係りがいつも揺れていたり、いびきをかいていたりすると気になります。
それで結構がつんと注意してしまって、負けて変なこと言っちゃったかなと後悔したり。
体調が悪いとささいなことが気になります。山田女流はどうですか」
山田女流「気にしない方ですけど、気になる音はあります。
対局前になると、普段は気にならないのに、ガムをかむ音が気になったり、
音楽を聴いててしゃかしゃか音が漏れてきたりすると、
気になって注意したこともありました。
自分も音楽を聴けばいいじゃんということで、それは解決しました。
山田さん何聴いてるんですかってコメントがありましたけど、当然ジュリーです。
勝手にしやがれとか、TOKIOとかは皆様もご存知かと思いますが、
そのキスが欲しいという曲がお勧めです。

私には小さな娘がいまして、将来女流棋士になったらと妄想することがあります。
そこで質問ですが、女流棋士に共通する性格や特徴はありますか。
中座先生は女流棋士と話す機会も多いと思いますのでよろしくお願いします。
山田女流「どんな性格の女流棋士が多いですか?」
中座七段「山田さんお願いしますよ」
山田女流「基本的に負けず嫌いな人は多いと思うんですよ。
おっとりした感じの子だなーという子でも負けず嫌い。
気が強いと負けず嫌いはちょっと違うと思います。
あじちゃんだって負けず嫌いですよ」
中座七段「うちの娘も将棋ちょっとやるんですけど
負けるのが嫌で強い人とあまりやらないとかはありますね」

アマチュアから編入試験を経てプロ棋士になった今泉さんについて質問します。
同時期に奨励会を過ごした中座先生に今泉さんの印象をお聞かせください。
中座七段「三段リーグで、最後の対局も今泉さんだったので印象に残ってますね。
関東と関西で別れてるので直接話したことは少ないんですけど、
実力は本当にプロになれる実力だったと思います。最後の対局は完敗でした。
私が奨励会幹事のときに、三段リーグ編入試験を受けて4期いたんですけれども、
ものすごく若い人達に混じって将棋に一生懸命打ち込んでました。
本当に素晴らしいと思います。
アマチュア時代も長く過ごされて、各大会で優勝されたり、今回こうなって、
アマチュア棋界とプロの架け橋になってこれから活躍されると思います」
山田女流「凄く明るい人です。
関西の人達って関東からきた棋士をご飯に誘ってくれるんですけど、
その中に今泉さんもいました」

※第18回奨励会三段リーグ最終日、
中座七段と今泉四段は11勝5敗で最終日を迎えていました。
今泉四段は最初の対局で木村一基八段に敗れ、昇段の夢が断たれます。
中座七段は最初の対局には勝ちましたが、2局目で今泉四段に敗れ、
ともに12勝6敗でしたが、競争相手が全員敗れ、順位の差で中座七段がプロになりました。
この時今泉四段は中座七段に、おめでとうございますと声をかけ、
中座七段は気が動転して座り込んでしまったそうです。
なお、同じくプロ編入試験からプロに入った瀬川晶司五段は、
この時の奨励会を最後に年齢で退会しています。
この後中座七段は△8五飛戦法、
今泉四段は2手目△3二飛戦法で升田幸三賞を受賞することになりました。
中座七段や瀬川五段は羽生世代、今泉四段は羽生さんより3つ下で、
この辺りの世代は才能のある人が多すぎです。

最近矢倉が減って先手は角換わりが増えています。
原因は△4五歩に対する先手の対策が難しいことにあると思います。
少し前の定跡書には後手の△4五歩は無理筋とかいてありますが、
プロの見解をお願いします。
やっぱり有力だと思いますね。
JT杯の決勝の渡辺さんの構想や、△5五歩とついていく手もありますし、
かなり有力だと思います。
受けだけだとやりたくない棋士もいますが、
反発できるのでやってみようという棋士も増えると思います。
しばらくはいろんな実戦で、一つ一つの変化を実証していくことになると思います。

羽生名人は端歩を▲1五歩と伸ばし、渡辺棋王は△5二飛と中央に飛車をまわりました。
後手から攻めることで、端の2手を甘くさせようという意味とのこと。
そこで羽生名人は▲4六歩と開戦しました。

解説で激しい手順を並べ
山田女流「ここは銀をどこかに打つんでしょうか」
中座七段「これはセンスが問われますね」
山田女流「どうぞ」
中座七段「どうぞ」
ハードルを上げていく中座流。

盤上でも激しい順になりました。
中座七段「これは休憩とれなくなりましたね。
ちょっと渡辺棋王の表情が面白かったですね。こんなに早くとってくるのと。
天下の羽生さんがこの早さですから、ちょっと不安になってると思いますね」
後手が△8五歩、△5二飛型だから踏み込んだと思うと中座七段。
△8五歩を咎めに行ったんですな。
午前中から解説大忙しの展開になりました。

アンケートどちらを持ってさしてみたいか
後手・渡辺棋王22.3%、先手・羽生名人45.3%、ニャンとも言えない32.3%
山田女流「ちなみに中座七段は」
中座七段「3ですかね(キリッ」
羽生名人人気と、羽生名人がら動いて先攻できそうだということですかね。
一旦休憩に。

休憩があけてまだ指さない渡辺棋王。
どうも羽生名人の▲1五歩が新手だったらしいです。
ということは渡辺棋王としては直後の△5二飛の前に考えたいところだったでしょうか。
現地解説の稲葉七段も驚いたという激しい順に踏み込んだ羽生名人の手に、
中座七段「あの攻めっ気の強い稲葉七段が驚くということはねえ。
長考してこれならいいんですけど、すぐぽーんって指してきましたからねえ」
渡辺棋王が長考のまま昼食休憩になりました。

昼食アンケート
パスタ系30.0%、どんぶり系35.7%、中華系13.8%、ファーストフード系20.5%。

昼食休憩明けの渡辺棋王の手は、シンプルに香車を取る△1九角成り。
両者すいすい手が進んで「早いんですよ」と怪訝な表情の中座七段。
お互い自分がいいと思ってるんだろうか。

昼食アンケートの答えはアンフォラ。
お客さんに「お疲れ様です。たった今ニコ生見てました」と声をかけられたらしいです。

渡辺棋王は羽生名人の飛車取りに△2四角と打ち、
解説の中座七段が4七、4八、4九どこに逃げてもいまいちと解説して、
羽生名人も△3五歩。
渡辺棋王はノータイムで△同角ととり、▲3六飛、△6九銀と両者ノータイム。
中座七段「これは渡辺さんいいと思ってると思いますよ」
しかし羽生名人が席を外したところで渡辺棋王は「はぁ」とため息。そして
中座七段「山田さん先手の攻める手を」
山田女流「先手からですか。はぁ(ため息」
解説陣はどうも後手持ちのようです。

手順は違いますが、羽生名人の▲1五歩の局面は、
大晦日の森下ツツカナ戦と同じ形だったようです。
森下九段はそこから△5五歩▲同歩△5二飛でしたが、
渡辺棋王は単に△5二飛としたのが工夫の一着だったのかもしれないとのこと。
などと解説していたら渡辺棋王がじっと歩を垂らす手を指して、
中座七段・山田女流「お」
これで勝てれば話が早いと解説していた手でした。
この手に対して攻め合う手順を解説し、山田女流がぐいぐい攻める順を指摘します。
中座七段「そんな強い手でいいんですかー」
山田女流「いえいえ並べなおせるのが大盤の強みですので」
中座七段「なるほど第一感の手ではなくてということですね」
山田女流「だい…いっ…かん…え…」
これは第一感だ。攻めっ気たっぷりな姐さんである。
しかしどうもだめかなあというところで、羽生名人も受けました。
中座七段「一見つらいんですけどね」
しかしここでヒフミンアイを使うと
中座七段「意外に攻め方が難しいですね。
なんかこうお互いに攻めさせたいような感じですね」

形勢判断アンケート
後手・渡辺棋王40.6%、先手・羽生名人21.7%、ニャン!37.6%。
渡辺棋王持ちの視聴者が多くなりました。
山田女流「両者苦戦っていうのもありましたよね」
中座七段「そうですね。師匠がよく使ってました」
渡辺棋王は飛車取りに△4七銀。ごりごり攻めていきました。
中座七段は飛車切りを誘発しそうだからやりにくいと言ってましたが、
羽生名人はノータイムで飛車を逃げる△1六飛。
飛車を切る攻めは無理筋というのが両者の統一見解のようです。
そして渡辺棋王はじっと△3八銀不成り。
中座七段「将棋は攻めた方がダメなゲームなんですかね?
両者攻めさせようとしているんですけど」

山田女流「最近は北海道よりも寒いところに行かれたそうですね」
中座七段「ロシアのウラジオストクというところにですね、
普及活動ということでですね、日露チェスの交流ということで行ってきました。
現地の方に将棋を教えました。
雪は全然降ってなくて、あまり降らないって言ってましたね。
凄く寒かったですね。雪はないんで恐ろしく寒かったです。
飛行機2時間で着いてびっくりしました。
シベリア鉄道を一週間、9000キロの道のりでモスクワに着いて、
飛行機で帰ってくるというツアーもありますね。
観光も少しさせてもらいまして、領事館の方に案内してもらいました。

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一箇所目は日本センターというところで、
日本語を話せる方もいて、私の代わりにずいぶん説明してもらいました。
通訳の方も今回のために一生懸命将棋用語を覚えていらしたらしくて。
それとすごく女性が多かったですね。

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こちらは二箇所目でチェスができる人が多かったです。
私が作戦負けになった対局も1局ありました。
地元のテレビ局の方が取材に来ていただいて、夜に放送されてすごく嬉しかったです。

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これが三箇所目で第51番学校というところです。
ここは日本の文化に非常に積極的で、日本語の先生が6人います。
子供たちに挨拶とかもされました。普通にこんにちはーとか言われて。
やっぱり漢字が大変なんですけど、みなさん表を見ながら頑張ってました。

と言っている間に羽生さんの手番でおやつタイムに。
渡辺棋王は食べそうな雰囲気ですが…。

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中座七段「羽生さんが食べたから食べたということですかね」

山田女流「中座七段は記録は取ったことはありますか」
中座七段「とりましたねー楽しい思い出ばかりですねー。
失敗は一応なかったですね。失敗する夢はみました。
寝坊してとか、棋譜が抜けててどうしようとか」

ニコ生のおやつは土左日記

おやつを食べ終えてすぐに羽生名人は△4六金。
中座七段「これはおやつを食べる前に指し手は決めてたんですね」
渡辺棋王もノータイムで応戦し、どうも攻めさせたいとのこと。
その後解説を進めて
中座七段「ちょっと後手がいいのかもしれませんね」

対局者のおやつ

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中座七段「これは凄い。加藤先生しか食べられない」

kiou2-8
中座七段「いやーいいですねえ」

休憩中に控え室のコメントが届いて、
『石田九段の問いかけに「4時台には間違いなく終わる」と関六段。
慌しくなってきました。』
とのこと。羽生名人の攻めが瓦解したか。

kiou2-9
これが渡辺棋王の姿勢評価関数。勝勢?

質問メール
中座先生に質問です。高橋先生との研究会を長期間にわたってされていますが、
昔の高橋先生は今と雰囲気がちがいましたか。
アニメの話をしている時は生き生きとしていますが、普段はどうですか。
中座七段「高橋先生とは兄弟弟子で、プロになってすぐに研究会を始めました。
以前はそうでもなかったんですけど、ブログを始められてから、
オープンにいろんな話をされるようになって、私も距離が近づいた気がします。
昔はすごく威厳があって、いや今もあるんですけど、距離が近づいたというか」
山田女流「一緒にお仕事に行ったんですけれども、
アマチュアの方と指すんですけど全部勝たれるんですね。
それですごいですね先生っていったら、
アマチュアにもプロにも勝つのがプロなんですっておっしゃってました」
中座七段「結構前ですか」
山田女流「若い頃です」
中座七段「今はずいぶん変わって、結構負けてあげることもあります」

ここで羽生名人が指して解説に。角を投入して守る手に、
中座七段「これはー粘りに行きましたねえ」
そして羽生名人の底歩に、
中座七段「うわーこれは根性ですねー」
控え室のコメントがフラグだったか。

質問メール
郷田先生のファンなのですが、将棋世界のイメージと読みの将棋観2で、
矢倉や対振り飛車急戦は押し引きが長くて、将棋の力がつくと言っていました。
お二人はどう思いますか。指したりすると強くなる戦法があれば教えてください。
中座七段「確かに力がつくと思います。私も小学生の頃は急戦を指していました。
銀の使い方が身につくんですね。
矢倉もそうですけど金銀の使い方が非常に勉強になります。私もその考え方に賛成です」
山田女流「私も穴熊だと攻めの手ばかり考えればいいですが、
急戦は受けたり攻めたりのバランスを考えないといけないので賛成です」
中座七段「居飛車党でしたら矢倉が大事ですかね。
今は少ないですけど角道を止めた振り飛車も大事だと思いますね」

以前から気になっているのですが、
将棋関連の方は「そうですね」が口癖になってると思います。
中座七段・山田女流「そうですね」
多くの先生がそうですねを頻繁に使っています。何故でしょうか。
山田女流「私も思ってたんですけど、
他の人がそうですねと言ってると気になりませんか?」
中座七段「これは将棋界の伝統かもしれないですね。
先輩がテレビとかで解説しているのを聞いていて、それで覚えたのかもしれません。
ちょっと言わないように気をつけます…はい。
棋士は挨拶とかも、『えー』っていうのが多いですね。私もそうなんですけど。
挨拶の前に『えー』が入る人が多いです。これ将棋界だけですかね?」
山田女流「以前女流棋士で講習会をしていて、
話し方講座をアナウンサーの方を招いて教えてもらったことがあるんですけど、
その時指摘されたのが『えー』ですね。
この文章読んでくださいって言われて、
文章と文章のつながりのところで『えー』って言っちゃってるんですね」
中座七段「将棋の棋士も研修とか受けた方がいいのかもしれませんね」

解説に戻って、渡辺棋王の受ける手を解説した後に、
中座七段「渡辺棋王は突然寄せに行くこともありますので油断はできないですけど」
いろんな手を解説しましたが、渡辺棋王はこういうところが上手いので、
もうちょっとセンスのある手を指すと思うんですけどと言ってました。

質問メール
私は将棋の練習を朝の通勤時間にしています。
電車の中で、詰め将棋や対戦をしています。
プロ棋士の先生は練習方法や時間はどうしているのですか。
それは珍しいと聞いた練習方法があればそれも教えてください。
中座七段「私は研究会をやって、その将棋を家で検討することが多いですね。
それは週に2回か3回か。後は棋譜並べ。
詰め将棋も解きますけど、他の棋士より私は少ないかもしれないですね。
珍しい練習はあまり浮かばないですね。
詰め将棋の研究会は昔やってましたけどね。
藤井さんと行方さんと私で、早解き大会みたいなのをやってました」
山田女流「私は秒読みの時計をばしっと押して、
時間内に詰め将棋を解くというのをやってました。
一人で黙々というのも煮詰まるので。
対局のときは秒読みになるので、1分以内に解かないといけないとか」

そして渡辺棋王は△5五桂馬と相手の歩の頭に打ちました。これがセンスのある手か。
中座七段「何かいい手を指すと思ったんですけど、こういうことですか」
局面をぱっと見て、
何かいい手がありそうな局面だと思う感性もプロの実力のうちということか。
といったところで羽生名人の投了となりました。

中座七段
最後の△5五桂が最速の寄せでした。
銀がぶつかったところは今後の課題局面だと思いますけど、
本局を見た限りでは後手の方がよかったのかなと思います。
本当に渡辺棋王の読みの正確さといいますか、それが出たと思います。
ちょっとこの1、2局は羽生名人らしくない将棋だったかもしれないですね。

山田女流「今回は振り返り解説ということで、
先生が思った勝敗を分けた一手というのを解説してもらおうと思います」
中座七段「勝敗を分けた一手ですか」
kiou2-10
中座七段「勝敗を分けたかどうかは分からないですけど、
歩を垂らして、ここから銀を打って入るというのがすごい発想でしたね」
ここから歩成りを防ぐ▲5七金に対して、△4七銀▲1六飛、
△3八銀不成り~△2七銀不成り~△1六銀不成りと、
飛車を取る手が間に合ってしまいました。

感想戦
△5二飛は他の手だと冴えないかなと思って指したが、予定外の変化になったらしい。
▲4五銀と取られて固まっているようじゃおかしかったですけど、
と渡辺棋王が言ってました。
羽生名人は、
駒損してるんですけどゆっくりした展開にしたいという変な将棋なんです、
端歩を▲1五歩と突いて▲4六銀の組み合わせは欲張りすぎてよくないのかもしれない、
という感想でした。
渡辺棋王は端歩と▲4六銀の組み合わせは珍しい形で、
知らない定跡にはまり込んでいるのかもしれないと思ったが
しょうがないしょうがないという感じで指していた、という感想でした。

今日は渡辺棋王の完勝といった内容になりました。
香得からじっくり歩を垂らして飛車を取りに行く手順で勝ってしまうのと見ると、
子供への指導対局で言った、
「将棋はね、相手の飛車を取ったらほとんど勝ちのゲームだから」という言葉が、
プロレベルでもそうなんだよという本音なんだなと思いました。
第1局も飛車を取りに行って勝ってましたね。

ということで第2局も渡辺棋王の完勝となりました。
棋王戦は五番勝負ですので、渡辺棋王は防衛まで後1勝となります。
棋王戦第3局は3月8日とちょっと間があるので、羽生名人の立て直しにも期待です。
同時進行中の王将戦も3月12、13日ですので、
渡辺二冠はつかの間の休息といったところでしょうか。
今日はおやつ大食い合戦みたいでもありましたが、
間があくのでOKってことだったのかもしれません。
棋王戦第3局は、ニコニコ生放送では解説に深浦康市九段、
聞き手に藤田女流初段で大盤解説会が放送されます。
深浦九段にとって渡辺二冠は、質問三羽烏と揶揄された因縁の相手ですが、
どんな解説になるか楽しみです。

関連リンク
今の将棋界では珍しい?スーパー遺恨試合
渡辺二冠が深浦九段、丸山九段、三浦九段を質問三羽烏と酷評した事件と、
三羽烏の丸山九段とのNHK杯決勝戦の対局動画があります。