室谷由紀女流初段 vs 竹俣紅女流2級(解説:深浦康市九段)【東急百貨店将棋まつり】

今年の7月31日から8月3日にかけて行われた第48回東急百貨店将棋まつりから、
白瀧あゆみ杯1回戦、室谷由紀女流初段対竹俣紅女流2級の対局を、
深浦康市九段が解説する動画です。
将棋まつりの様子はニコニコ動画でも生放送されていました。
席上対局では通常千日手は棋士が避けるものなのですが、
この時は非公式戦ながら賞金のでるトーナメントということで、
ものすごい勢いで千日手になりました。
将棋は8月がシーズンオフで、将棋祭りが全国各地で開催されます。
ただしタイトル戦のスケジュールが消化できないということで、
8月にもタイトル戦が指されるようになりました。
今日は1勝1敗1持将棋出迎えた王位戦第4局、
羽生善治王位対木村一基八段の二日目が指されています。

動画の千日手指しなおし局は、秒読みになってから二転三転の大熱戦で、
見ていて面白い将棋になりました。
深浦九段が指運(ゆびうん)の勝負と言っていますが、
振り飛車党で居飛車対振り飛車の勝負に慣れている室谷女流が、
最後に笑うことになりました。

羽生善治、白石康次郎著 勝負師と冒険家―常識にとらわれない「問題解決」のヒントより

羽生
将棋ってけっこう不確定要素が少ないんですが、
逆に、運によって大きく局面が変わるということがあります。
たとえば、指運という言葉があるんですけど。
最後、時間がなくなってきて秒を読まれて、
そのときに手がいいとことに行くかどうか、というのを指運っていうんですよ。

白石
それ、指し手を決めてないの?その場で指すの?

羽生
最後、時間がなくなるから、何か指さなきゃいけないときに、
いいところに指せるかどうかということなんです。

白石
それは初めて聞きました。

羽生
タイトル戦で戦う相手は、ほとんど力が拮抗しているんで必ず際どくなるんですよね。
デットヒートで、どっちが先にゴールに着くかというようなときは、
最後やっぱりその指運頼みなんですね。
だから、季節のサイクルによっての運というのもあるし、
本当に手がいいところに行くかどうかということがあります。
さらに、指し手の流行みたいなものがあって、それと自分がマッチしているかどうか、
つまり風向きと自分のスタイルがマッチしているかどうかということになります。

<中略>

白石
でも、おもしろいですね、今の指運の話。初めて聞きました(笑)。
それ、反射神経ですよね。

羽生
そういうのもあります。

白石
縁台将棋なんか、勢いでやってる感じだもんね。エイヤッってなもんで。

羽生
最後の、時間がなくなったところは、すごいそういう反射神経が大事なんです。
スプリントの大詰め、お互いに一分とか三十秒になったときはとくにね。


お互い意地を張っての千日手から秒に追われて反射神経の勝負になるまで、
将棋まつりの席上対局でたくさんの人が見ている中での大熱戦になりました。
最後は室谷女流と竹俣女流のツーショット撮影会ということで、
深浦九段の敏腕マネージャーっぷりもお見事でした。

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