第83期棋聖戦を振返る


羽生善治棋聖に中村太地六段が挑戦した第83期棋聖戦の、
ニコニコ生放送でのシーンを振り返る動画です。
最初は広瀬章人八段と藤田綾女流初段の同世代解説、
2番目は高橋道雄九段と中村桃子女流初段の師弟解説ですが、
3番目に登場する忍者屋敷こと屋敷伸之九段のエピソードをひとつ。

屋敷伸之棋聖が南芳一王将を挑戦者に迎えた第58期棋聖戦5番勝負の第5局、
前夜祭から小説家の団鬼六先生、お酒ギャンブル何でもござれの森けい二九段、
立会人の高柳敏夫八段と真部一男八段を交えて大盛り上がりでした。
この時は二十数人が中広間を囲むように座って、仲居さんが次から次へとビール、お酒、
水割りセットを持ってくる普通の宴会みたいだったようです。
ゲストの団先生は屋敷棋聖から電話で応援に来て欲しいと言われたそうで、
前夜祭では「ところで、芸者は何時頃、来るのでしょうか」と言って大爆笑だったとか。
他にも南王将と高柳八段の、
UFOいるいない大論争や(南王将が大阪の岸和田で野球をしていたら見たと言った)、
大山康晴先生の棋聖戦での昔話で花を咲かせていたようですが、
屋敷棋聖はそれを横で聞きながらオーオーと笑っていたようです。

後藤元気編「将棋エッセイコレクション (ちくま文庫)」より

「まさか、あの時間から屋敷さんを連れて飲みに行ったのじゃないでしょうね」
というと団先生、アホ吐かせ、俺は痛風だぞ、と、いばるようにいった。
「屋敷君と二人でラーメン、喰いに行ったんや」「ラーメン?」
ラーメンだけというのも何やから、ビール二本ばかり飲んだけど、というので私は呆れた。
「あんな時間からラーメン喰べに行く事、ないじゃありませんか、
屋敷さんにとってはラーメンより睡眠の方が大事なんですよ」
「そんな事いうたかて、屋敷がラーメン喰いたい、といいよるから仕様がないやんけ」
あの時、ラーメン喰えなかったから、次の日将棋に負けたといわれると困るやろ、
そやから連れて行った、と、いうのである。
そして、チラと周囲を見廻るようにして団先生は私にいった。
「驚いたなあ。屋敷、ラーメン、二杯、喰いよった」「ええ?二杯も」
「うん、ラーメンと冷やし中華、二杯ぺろりと平らげよった」
そして、明日は矢倉でもやるのか、振飛車でやる気か、ここだけの話、教えろ、
なんて下らない事、先生、しゃべったようだが、それでも十二時にはその店を出て、
屋敷さんを部屋まで送りとどけ、
俺は野天風呂へまた入りに行ったというので私はまずまず安心した。
すると団先生、また、驚いたなあ、と、いうのだ。
熱海の湯は痛風に効くというので長時間、一人で湯に入ったり、
出たりをくり返していたら、
うしろでガラガラと戸が開いて屋敷さんが野天風呂に入って来たというのだ。
「痛風はまだ痛みますか、といって裸の屋敷がひょっこり入って来よった。
あら、ほんまに寝ない子やねえ、明日の対局の事なんか全然、考えとらんみたいや。
頼むから寝てくれといいたくなった」


屋敷九段は、動画では将棋をやっていると順位戦とかで遅くなり、
生活が不規則になると言っていますが、
上記を見ると自分から進んで夜更かしに行っているじゃないかと突っ込みたくなります。
また、結婚して生活が変わった、普通の人になった方がだいぶいいというのがわかった、
言っていますが、2000年の11月に結婚した後の成績は、
2001年度は勝率.604、2002年度は勝率.681、2003年度は.743と、
C級1組で14年も足止めされた棋士には思えない成績をあげました。
馴れ初めを聞かれて言葉を濁す屋敷九段ですが、インターネットは広いもので。

屋敷師範ご結婚~~~いざ 豊饒の海へ bon voyage~~~より

【速攻忍者流】
夏合宿がおわり、今度は屋敷師範のまっしぐら攻撃が始まった。
棒銀一直線という感じで、食事に誘う。・・・ボートに誘う。
笠井ママの証言によれば、
ハイテクと一番遠くにいるはずの屋敷師範が携帯電話を持ち歩き始めたという。

初めは屋敷師範のことをよく知らず、適当におつきあいしていた順子さんだが、
だんだん屋敷師範の包容力に惹かれていくようになった。
「ええ、・・・・・・・・まあ・・・・・」しか言わない屋敷師範が、
順子さんには、言葉を尽くし、手順を尽くし最善の寄せにでた。

今年になってからは、一緒に住むようになった。
順子さんは、専属のスタイリストにもなった。
しかし、将棋は、他の人に教わっている。
まだまだ師範に教えてもらうには早いと思っているのかもしれない。

育成会で、負けた時、自分の将棋の情けなさに、順子さんは涙が出てくる。
山手線を何周回っても、涙は枯れない。
屋敷師範は棋譜を並べて、最後に、「順子、よく頑張ったね」という。
順子さんの悔し涙は、突然うれし涙に変わる。
ノブちゃんの大きな人柄に、この人を選んで良かったと思う。
この人に選ばれて良かったと思う。


このイケメン忍者である。

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