船江恒平さんが渡辺・羽生戦での記録係の体験について語る


船江恒平五段が大勝負での記録係りの体験について語る動画です。
渡辺明竜王と佐藤康光棋聖のすごい将棋というのは、
2006年11月14日~11月15日に行われた第19期竜王戦の第3局で、
渡辺竜王の△7九角というのは▲同玉と取られるただ捨ての手だったのですが、
これで逆転勝ちというすごい将棋でした。
渡辺竜王と羽生善治名人が初代永世竜王をかけて争った第21期竜王戦の第4局は、
羽生名人が3連勝でタイトル奪取に王手をかけていた対局で、
渡辺竜王自信も著書「勝負心」の最初にこの対局について書いているくらい、
印象に残る勝負でした。

渡辺明著「勝負心」より

さすがにこのときは、負けを覚悟するしかなかった。
対局中だというのに、盤面に集中するわけでもなく、ふと
「取材陣がいっぱい入ってくるんだろうなあ。
背中越しにフラッシュを浴びるのはイヤだなあ」などと、
余計なことが頭に浮かんできたほど。
それはもう絶望的な局面だったのである。
<中略>
「羽生さんがあと一手指したら投了しよう」そう思ったときだった。
羽生さんがコップに水を注いで、それをゆっくりと口に運んだ。
取材に来ていた毎日放送「情熱大陸」取材クルーによると、
羽生さんが水を飲んで次の一手を指すまでの時間は、一分三三秒だったという。
たったの一分三三秒。しかし、このわずかな時間のうちに、
奇跡的にも私に光明が差したのだった。


船江五段が言うちょっと羽生さんが考えられたというのは、
この瞬間だったのだと思います。
また、両者の雰囲気が変わったとも述べていますが、
この一分三三秒の間に、渡辺竜王の王様が打ち歩詰めの筋で逃れている、
ということに両者気がついたのでしょう。
羽生名人にとってはこれに勝つと初代永世竜王、かつ永世七冠達成という大勝負で、
打ち歩詰めというルールを作った人は罪作りですね。

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