森内俊之名人に羽生善治三冠が挑戦する第72期名人戦第3局は羽生三冠が勝利し、
3勝0敗と名人位奪取に王手をかけました。

注目の封じ手は▲5七銀で、前日のニコニコ生放送アンケートでは9.0%の支持率、
昨日解説した田丸昇九段が推奨した手でした。
羽生三冠はうんうんとうなずき、両者の読みは合っていたのでしょうか。
しかし羽生さんは今日もすごい寝癖だ。

ニコニコ生放送では解説が加藤一二三九段、聞き手が安食総子女流初段でした。
加藤九段「うなずくんだから自信があるんじゃないか」
お互いが自信を持っている局面なので、この対局を勝つことは非常に大きいらしいです。
羽生マニア?の加藤九段によれば、
羽生三冠は頭を下げて一見教わっているように見えたり、
扇子を数十分ほど扇いだり、体を揺すったり、
大きく分けて3パターンのモーションがある、とのこと。
羽生三冠は加藤九段の予想通り△3二金寄。
加藤九段は現在の局面は極めて難解でどちらも戦えるとのこと。
視聴者アンケートは森内名人22.8%、羽生三冠49.3%、わかりません27.8%。

リレー質問は加藤九段が自転車に乗っている姿をよく見かけるが、
行きつけの店や喫茶店などはあるのか。
吉祥寺の商店街、本屋さん、デパート、文房具屋、などに行き、
小説や将棋の本を買うらしいです。

今日の名人戦は新品の駒ですが、
以前加藤九段は王将戦の対局で現地で用意した駒で漆かぶれになったそうです。
加藤九段は若いからかぶれて大山さんは年寄りだからかぶれない、
というのが丸田祐三九段説とのこと。
駒は16の工程があるが、1つでも未熟な職人がやると未完成な駒になる。
森けい二さんは手が腫れ上がったことがある。
漆かぶれで頬に斑点がでたこともあった。
自宅で使う駒は漆を使う駒は使用しない。ということです。
使い込まれた駒の方がいいということでしょうか。

安食女流へはストレスを感じることや発散法はありますかとの質問。
普段そんなにストレスを感じない。
趣味は温泉に行くこと。テレビはたまに見る。
バラエティ番組は加藤先生の見ますよ。
母から加藤先生が出ているよとメールが来る。
おいしいものを食べたり、ぬいぐるみがすき。
熊のぷーさん、りらっくまなど熊系が好き。
今日の加藤九段と安食女流は相性が良かったですが、
加藤九段が熊っぽいのも理由の一つかもしれません。

アンケート昨日のアウトデラックス見た20.7%、録画した6.5%、見逃したー72.7%。
加藤九段は小学生と指すとやっぱり強いと言われるらしいです。
番組でドンキホーテに行き、DVDや将棋盤と駒などを買ったそうで、
原稿を書くときに小さい盤駒があると便利らしいです。
将棋の大会に出演したり指導をしたりしても、
アウトデラックスの話題が出ないのが寂しいと言ってましたので、
テレビの話題もどんどんしてみるといいかもしれません。
加藤九段は中原誠名人から名人位を奪取した時に叫んだという話が有名ですが、
「うひょー」ではなくて「あ、そうか!」だったそうです。
詰みが見つかっただけでなく、このタイミングで名人になるのかといった、
万感の思いがこめられた「あ、そうか!」だったとのこと。
1時間たっていないのに加藤九段はしゃべりっぱなしの全開モードで、
コメントでは安食女流は最後までもつのだろうかと心配する声もありました。
名人になった対局のときは冷夏だったので、30%くらいはそのおかげらしいです。
結構な割合である。
また、加藤九段のムック本は永久保存版だと自画自賛していました。

盤上では羽生三冠の△4四歩に加藤九段「誰にも予想できない手」
戦いが起こりそうな状況からお互い歩を突きあって手を渡す状態になります。

ヒフミンアイについて
研究の時もヒフミンアイを使う。
そこまでなりふりかまわない所にひらめきが舞い降りる。
加藤一二三九段のブロマガは1回2500字くらいのエッセイ。
NHKの人にエンターテイナーと言われた。

加藤九段は座って話していても、テンションがあがると立ち上がって解説します。
安食女流も合わせて立つけど体力は持つんだろうか。
猫の話題になると、猫は音楽もわかる、バッハとか聞かせると涙を流す、
ひとつも欠点がなく逞しく、仲間と助け合う、かわいい、音楽もわかる、
神が御創りになったものだから。
神谷さんも浦野さんも猫好き。
浦野さんは死に掛けた猫を見つけて家に連れて帰り、
病院に連れて行って世話をしている。
安食女流は神谷先生から猫の写真を見せてもらったことがあるそうで、
神谷さんも世話をしています。
安食女流も外で拾ってきた猫を2匹育てているらしい。
浦野さんとは浦野真彦八段のことで、神谷さんとは神谷広志八段のことです。
NHK杯に出場した神谷八段は、対局前のインタビューで、
「実は二日後の5月22日は、
私が非常に可愛がっていた「とらにゃん」の三回忌になりますので、
天国で見ているとらにゃんのためにも、恥ずかしい将棋は指せないと思っております」
という「とらにゃん新手」を繰り出したことでも有名です。

盤上では羽生三冠が歩をぶつけてようやく開戦しました。
▲同歩と歩を釣り上げた後、裏に歩を打ってと金を作るのが狙いです。
羽生三冠が攻めて森内名人が受ける展開で、
加藤九段は攻める手がほいほい見えるせいか
森内名人側の手を考えるとちょっと止まる傾向でした。

渡辺二冠は本筋の手、裏切りの手、奇想天外の手と3手読んで指すということで、
3種類の手を解説することになりました。
森内名人は▲2七飛と指したがこれは本筋の手、
▲7五歩は裏切りの手、▲2四歩は奇想天外の手。
その後羽生玉が詰みあがる変化を一直線に並べてしまい、
羽生さんの手を違う手に変えて解説進行。
▲6六歩で森内名人が一手勝っているのではないかとのこと。
その他シンプルに飛車を取っても森内名人がよさそうとのことでしたが、
そこから奇想天外な手、
桂馬と交換できる銀をあえて角と交換する手を見つけて、
その変化では羽生三冠が一手勝ちになりました。
加藤九段は冷やしトマトはやはりスタミナが不足するので鰻に戻したとのこと。
昼食アンケート
うなぎ18.7%、鰻43.0%、UNAGI30.4%、ウナギ7.9%
昼は流石に2匹、夜は場合によっては3匹になるらしい。2匹は軽めのうな重らしい。
2匹入ったうな重を軽いと表現する74歳である。

次の一手アンケート
▲6四馬25.2%、▲6六歩44.1%、▲2四歩12.8%、▲その他17.9%。

森内名人は▲6四馬。△同歩に▲8一飛だと銀を角で取る手が厳しいが、
▲8二飛とずらして打つことで、銀を角で取った場合先手がよくなるとのこと。
羽生三冠はと金を作りましたが、
加藤九段が一直線に攻め合う変化を並べると森内名人の勝ちになりました。

昼食は森内名人がハンバーグカレー。羽生三冠が極上カルビ焼肉弁当。
加藤九段がうな重。安食女流がとんかつ。肉食しかいない…
加藤九段は対局の前日は30年ほど肉食らしく、
うな重を食べる前はラーメンの時代が続いたらしいです。
加藤九段「ラーメンはどちらかというとライト級。
みかんは対局中にぱっと食べられる。ぶどうもそう。りんごは難しい」

その後加藤九段の読みに無かった、
森内名人の竜を捕獲する手順を羽生三冠が指しましたが、
検討を進めてみると互角とのこと。
その後検討を進めると、加藤九段は森内名人よりに。
形勢判断アンケート
羽生三冠40.5%、森内名人28.4%、お手上げ31.2%。
午前中より森内名人が増えたけど羽生人気ぱねえ。
その後おやつを食べて
羽生三冠33.9%、森内名人15.0%、ニャンとも言えない51.1%。
おやつで変わったのかニャンともで変わったのか。
森内名人を持つ人の方が猫派が多いのかもしれない。
名人戦の中で、森内名人は中原名人と加藤九段の名人戦が一番感動したと、
加藤九段に言ったらしく、加藤九段「うれしい☆」
4勝3敗、1持将棋、2千日手という死闘の末の「あ、そうか!」でしたからねえ。

盤上では羽生三冠が△6七銀と放り込み、
加藤九段が攻めを繋げる変化を検討すると森内名人の王様が詰む順を発見し、
森内名人は切り合いを選択。
その後加藤九段は切り合う変化を並べると羽生三冠の勝ちになりましたが、
森内名人の角を攻防に働かせる手を見つけてその変化は森内名人が勝ち。
つまり優劣不明の大熱戦ですな。
加藤九段はその後も詰むや詰まざるやを並べに並べて、
冷やしトマトからうな重に戻した成果がでているのかもしれません。
その後少し羽生さん持ちに。
▲2四歩△同歩が入っていると、明らかに森内名人が勝ちなんだけどなーとのこと。

質問メール
うちの猫はどっしりとしたたたずまいからひふみんと名づけたのですが、
お二人は何かペットがいるか。
加藤九段が飼っていた猫の名前はゆりちゃん。
猫を世話していて思うのは表現が率直で、久しぶりに会っても挨拶をしてくれる。
猫は気まぐれではない。行動に根拠があり間違った行動はしない。

弟子を取らないのは何故か。
実際に弟子をとるという話はなかった。
現役でいる以外に考えたことがない人間なので弟子をとっていない。

雑談。
昔は封じ手をかいたあとに立会人に渡し、
それを相手に渡して相手も封筒にサインをしたというように立会人が仲介した。
現代は立会人が仲介することはなく、立会人が手を出すのは余計なこと。

安食女流は夫婦喧嘩で怒ることがあるのか。また夫婦円満の秘訣。
安食女流は夫婦喧嘩をすることはまったくない。
相手が喜ぶようなことをするといったことを普段は考えている。
二上九段の妻と加藤九段の妻がテレビに出演したときに、
加藤九段の妻は加藤九段を共感者と表現した。
加藤九段「夫婦喧嘩は小さいうちに矛を収めるのがよい」

将棋界の昔と今で変わったこと
共同研究が主流になった。昔は無かった。自分だけでやるという意識だった。
ただし感想戦は2時間でも3時間でもやった。
対局姿が盤を挟んで離れて座るようになった。
昔はあと10cmは盤の近くに座っていた。
昔はお互い好きに駒を並べた。今は2人交互に並べる。
加藤九段は羽生さんや森内さんと対局するときは昔風に好きに並べる。
理由は加藤九段は好きに並べるのが根拠だし、
羽生さんや森内さんは交互に並べるのが根拠なので、
今風に並べると気合負けするから。
竜王戦と名人戦は記録係りも和服だが、加藤九段は名人戦には洋服で挑んだ。

神武以来の天才というニックネームをどう思うか。
嬉しくないらしい。
30歳で洗礼を受けて数々の名局を指してきたが、
神武以来の天才と言われるとそれで自分の評価が終わってしまう。

今注目の戦法。
角換わり腰掛け銀はまだ結論が出ていない。
角交換振り飛車、一手損角換わり、相掛かり後手5二玉型、
一手損角換わりはされると残念ながら2勝8敗くらいの勝率で悩ましい。
名人になったときより研究をしているが、
レパートリーが増えているしなかなか答えが出ない。
質問者がアマチュア三段と聞くと、
アマチュア三段は加藤九段に2枚落ちで勝ったら堂々と胸を張って三段と言っていい。

将棋の初型には意味があると思い、飛車は右で使うのがいいと思うがどうか。
四間飛車は△4五歩とつけば飛車と角がいっぺんに働くから四間飛車が最強だ、
振り飛車の王は戦場から遠く、居飛車の王は戦場から近い、
と大山先生が言っていた。
その後自身の対局の話になり、加藤九段「(自分の対局のうち)750局は名局」
天才は言うことが大きいですな。

詰むかどうか考える加藤九段「かきくけこでこうやってこうやってこやってこやって」
詰むはずなんだけどなあと考える加藤九段と、
ソフトが33手詰めだと言っているとコメントするリスナー。
詰むはずと即座に判断できるのは将棋の才能ですが、
並べられるかは計算能力ですか。

ティロフォンショッキングで豊川七段登場。
豊川七段「詰むんですけど意外と難解ホークスで」
難解ホークスから野球の話になり、
杉浦監督との対談を加藤九段が話し始めて詰む手順が言えない豊川七段。
その後竜を切る手順で豊川七段「キリマンジャロで」
そしたら詰め将棋ほったらかしでキリマンジャロトークになる加藤九段。
加藤九段はおやじギャグを広げていくスタイルでした。
かなり難しい詰め将棋だったです。
神武以来の天才とおやじギャグと妖精さんを混ぜるとカオスになる、
という当たり前の結論になりましたが、こんなに面白くなるとは思わなかったです。

盤上では森内名人は粘りに行く手をさしましたが、これでは勝負ありといったところ。
▲2四歩△同歩が入っていなかったのが明暗を分けたとの結論になりました。

加藤九段「ビートたけしさんは将棋が強い。
ものすごく魅力的な将棋を指す。つるの剛さんも強い。
スピーディな迫力のある将棋を指すのでテレビ向きだし面白い」

詰み手順が見事だったせいもあり、
羽生三冠の勝ちだろうということで初手から解説になりましたが、
羽生三冠は「そうかー」とぶやいて難しそうな表情。ここで夕食休憩に。

休憩後の解説で大勢決しているとの結論になります。
しかし検討を重ねると森内名人の▲5五角で勝負形になることがわかり、
加藤九段「おっおっおっ」
しかし森内名人はひとつずらして▲5四角。これは相当難しい、最強の一手とのこと。
流石に疲れたのか加藤九段は椅子に座って解説し、
安食女流がせっせと駒を動かしました。

ティロフォンショッキングで佐藤天彦七段が出演。
しかし直ぐに羽生三冠が△8五歩と指し、
佐藤七段ほったらかしで検討を始める加藤九段。無敵である。
△8五歩は詰めろだと見抜いてから佐藤七段に話を振る加藤九段。
佐藤七段指摘の難解な変化で、先手玉が詰むかどうかを考え、
加藤九段「えーとこうなってああなってこうきてああきてむにゃむにゃ」
むにゃむにゃって実際に言っていたとは。
現地の検討はまだ後手がいいのではないかとのこと。

電話が終わり、森内名人は手抜きで▲3二金。
これは詰むんじゃないの?とコメントがざわつきました。
森内名人は表情が変わらないから、
首を差し出したのかうっかりなのかわからないですが、
羽生三冠は手が震えたし、森内名人はいつも通りだったので、
うっかりではなく首を差し出したのでしょう。
加藤九段は詰みを見つけられずに羽生さんがまちがっちゃったのかな?
と言っていましたが、悲鳴を上げながら詰むかどうか考えていました。
アンケート詰んでいる84.3%、詰んでいない15.7%。
そして加藤九段が気がつかなかった△8七飛が飛び出し、
羽生三冠の勝ちになりました。

加藤九段
「大変な大熱戦で好局だった。両者が力を発揮した。
森内名人としては、羽生三冠の研究範囲に入っていたように思う」

これで封じ手をした方が10連敗というなんだか凄いジンクスになりました。
封じ手をする方が1手余計にわかっているんだから有利そうなもんですけどね。

第4局戦型予想アンケート
矢倉38.1%、相掛かり21.9%、角換わり13.9%、振り飛車14.4%、その他11.6%。
加藤九段は相掛かりを予想。

これで羽生三冠が相掛かりで往復びんたをした後に、矢倉でも勝利し、
3勝0敗で名人位奪取に王手をかけました。
名人戦第4局は5月20日と21日、ニコニコ生放送では、
初日がおやじギャグで有名になった?豊川孝弘七段と藤田綾女流初段、
二日目が三浦弘行九段と中村桃子女流初段です。
森内名人が待望の1勝をあげるのか、羽生三冠が一気に名人位を取ってしまうのか、
豊川七段のおやじギャグを藤田女流がどういなすのかも注目です。

ブログランキング・にほんブログ村へブログランキングならblogram

負けて強くなる ~通算1100敗から学んだ直感精読の心得
加藤一二三著
¥840