テニスの錦織圭選手がバルセロナ・オープン・バンコ・サバデルで優勝したということで、
将棋とテニスの駆け引きについて少し書こうと思います。

将棋は対戦相手と戦力が同じという珍しい?ゲームです。
例えば日本のプロ野球の場合、去年セ・リーグで優勝した巨人と、
最下位だったヤクルトではそりゃー戦力が違うよね、と思われるかもしれませんが、
勝率でいうと巨人が.613、ヤクルトが.407となっていて、最下位とは言え4割勝っています。
パ・リーグの場合はもっと戦力が拮抗していて、
優勝した楽天が勝率.582、最下位の日本ハムが.451でした。
サッカーの場合は、去年優勝したサンフレッチェ広島が勝率.760と野球より格差が大きく、
最下位の大分トリニータは勝率.077と1割切ってしまいました。
チーム数が多い分、戦力に差が出るんですね。
将棋はどうかというと、
例えば私の飛車は縦横にしか動かないのに羽生さんの飛車は縦横斜めに動く、
といったような戦力差は存在せず、まったく対等な戦力で戦うことになります。
ところが2013年度の勝率1位は村山慈明七段で勝率.767、
森内竜王名人が.700、羽生三冠が.677となっていて、
戦力が対等な割には勝率が高いことがわかります。
しかしタイトルを持ったり順位戦で上に行くと対戦相手も強くなるので、
去年の渡辺二冠は勝率.528と苦戦していますので、
森内竜王名人や羽生三冠はおっさんになっても元気だなーということがわかります。
というわけで、将棋は戦力が同じなのに勝率にすごく差が出るゲームで、
駆け引きがとても重要ということになります。

そこでテニスと将棋ですが、共通点はどこでしょうか。
私はターン制のゲームであるというところが、テニスと将棋の共通点だと思います。
テニスはバレーのように3回触ってもいいというわけではありませんから、
来た球に対して瞬時に返さなければなりません。
羽生三冠は将棋について、
最強の手は最善の手ではない、何故なら最強のカウンターが返って来てしまうから、
制限をかけて手を渡すのが有効だ、と述べています。
これは言い替えると制限をかけて手を渡す、
強い手には強いカウンターを返す、強い手を指していいのはそれで決まる時となります。
私はこの考え方はターン制のゲームであれば
それほど他の競技にローカライズせずに当てはめることのできる、
セオリーのようなものではないかと考えています。

テニス錦織圭vsナダル 全豪オープンテニス2014 R4 長編HD


錦織圭選手とナダル選手が打ち合った凄い試合のハイライトですが、
決めに行った最強の手に凄いカウンターが返ってきたり、
角度をつけたボールに更に角度をつけてカウンターを返したり、
上記のことがあるために、
意外にもコートの左右の隅ではなく真ん中の方が制限をかけられる、
という場合もあったり、技術やフィジカルだけでなく、
何でこのプレーを選択したのだろうかというところも楽しめると思います。

錦織選手が優勝したバルセロナオープン決勝戦のハイライトはこちら
バルセロナオープン優勝者はプールに飛び込むという習慣があるようで、
動画の最後に錦織選手がプールに落とされ、プールの中から声援に答えています。

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