第3回将棋電王戦 第4局 森下卓 九段 vs ツツカナ


第3回将棋電王戦第4局、森下卓九段対ツツカナのPVです。
PVでは森下九段の師匠の花村元司九段にも触れられていますが、
花村九段は升田幸三実力制第四代名人と同じ学年の棋士で、
60歳でA級に返り咲いた時はB級1組から同じく昇級した棋士が大内延介八段で36歳、
B級1組では内藤國雄九段が38歳、A級では加藤一二三九段が38歳、
米長邦雄八段が34歳、大山康晴棋聖が55歳、中原誠名人が30歳という時代でした。
55歳でタイトルホルダーだと…。
大山十五世名人は63歳で名人挑戦、66歳で棋王挑戦という化け物でしたが。
花村九段の60歳で順位戦昇級というのは、全クラスを含めても最高年齢昇級記録です。
真剣師から棋士になったというのも時代を感じさせます。

米長邦雄著「将棋の天才たち」より

人生の辛酸を数多くなめているだけに、さすがと思わせる語録が数多くある。
ある年の棋士総会のことだ。
一人の棋士の不祥事があり、その棋士の除名や退会を主張する棋士も多くいたなかで、
花村九段は次のように仲間をかばった。
「世の中には世間に出すのが恥ずかしい人もいる。
将棋界ばかりではなくとの世界にもそういう人間がいるのだ。いいか。
19人の仲間がその一人を取り囲んで、世間に将棋界の恥をさらけ出さないようにして、
その一人を助けるのが人の道というものだ」


そんな花村九段が手塩にかけて育てたのが森下九段で、
森下九段が49歳年下ですからおじいちゃんと孫くらいの年齢差ですね。

鈴木輝彦著「神の領域に挑む者 ~棋士それぞれの地平~」より

森下
6級で入って直ぐに2勝8敗でBに落ちました。
父には帰って来いと言われるし、奨励会を甘く見ていました。
花村先生が「これからだ」と言ってくださって。

鈴木
厳しい目に遭っているんだね(笑)。
そこから、有名な花村先生のレッスンが始まるんだね。

森下
学校から帰ると、1日に3番から5番、月に10日は教えてもらいました。

鈴木
月に40番として、年に500番ですか。それはいつまで?

森下
三段になるまで、4年続きました。先生がまだA級の頃です。

鈴木
恵まれたというか、この世界ではめずらしいですね。
磨けば光るのを見たのと、本気で弟子を育てたかったんでしょうね。
<中略>
---
森下君は花村先生が手塩にかけた秘蔵っ子である。
しかし、そこに着眼した花村先生の慧眼もさることながら、
千数百局の労力を向かわしめた森下君の人間性も見逃すことは出来ない。
棋界では稀有の師弟関係に粛然たる気持ちになるのは私一人ではないだろう。


森下卓九段は電王戦出場が決まった2013年度は18勝13敗の勝率5割8分、
また王位戦予選では屋敷伸之九段や松尾歩七段に勝利して、
12年ぶりに挑戦者決定リーグ入りを決めました。
2012年度が14勝14敗、2011年度が18勝16敗、2010年度が16勝18敗、
勝率5割8分よりも高かった成績は2005年度まで遡らないといけないので、
ツツカナをトレーニングに取り入れた成果がはっきり出ています。
いきなり結果を出していますから、PV中で話した50歳までにA級、50過ぎでタイトル、
というのは律儀先生のことですから本気で狙っていると思います。
豊島七段はコンピュータは中盤が強いと言いましたが、
手厚い将棋が身上の森下九段がどのような将棋を指すのか、
コンピュータとトレーニングをする時はコンピュータの力を十分に引き出すことが大切だ、
と述べる森下九段がどのような将棋を目指すのかも注目です。

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