第3回将棋電王戦 第3局 豊島将之 七段 vs YSS


豊島将之七段は将来を期待されている若手棋士で、
YSSは第2回のコンピュータ将棋選手権から参加している古豪として知られています。
豊島七段が1990年生まれ、YSSが初めて参加した第2回の選手権が1991年ですから、
少なくとも将棋歴はYSSが上ですね。
コンピュータの方が先輩という面白い対決になりました。

豊島七段は9歳で将棋連盟道場六段、その歳で奨励会に6級で入会した天才です。
少年時代に各地の将棋大会で優勝し、恐怖の赤ヘルと呼ばれていた羽生さんが12歳、
その羽生さんは先崎さんがいなかったから優勝できたと言っていますが、
その先崎学八段も11歳で入会(ただし5級)で、
同じく11歳の時の豊島七段は奨励会1級ですから、将来の霊獣候補ですな。
中学2年生の4月に奨励会三段に昇段しましたが、
三段リーグを突破するのに2年半かかり、中学生棋士は逃してしまいました。

YSSは第6回のコンピュータ将棋選手権から連続18回決勝トーナメント入りしており、
着実に強くなってきたソフトです。

第3回将棋電王戦公式ガイドブックより山下宏さんの話

---YSSというと、こだわりの強い職人的なイメージがありましたが、
それは今後も変わりませんか。

そうですね。ドロドロした作業は好きですね。
手を読む時も、全幅探索でドカッと読むのではなく、
香車が何も取らずに動く手は深く読まないとか。
実際、将棋を指していて香車が何も取らずに移動するケースってあまり多くないでしょう。
そういう細かい工夫を試して、ちょっとだけ強くなる。
そういった地道な作業が私は好きなんですよ。


豊島七段の年齢と同じくらいの年月をかけて、
細かい工夫を積み重ねられ続けてきたのがYSSです。
将棋電王トーナメントの3位決定戦でも、
やねうら王のやね裏定跡や3倍頑張るファーファ作戦にかからないように、
5手目で定跡を外し、対局後に磯崎さんがずるいんですよとぼやいていました。
ガイドブックで東大将棋の棚瀬さんも、
何か特別な仕掛けをしてくれているとしたら山下さんと述べています。
プログラムの職人山下さんが、
20年以上積み重ねて作り上げたYSSがどのような将棋を指すのか、
序盤中盤終盤隙の無い豊島七段がどのような対応を見せるのか、
土曜日がとても楽しみです。

ブログランキング・にほんブログ村へブログランキングならblogram

将棋指し57人の日常
週間将棋編集
¥1,617