渡辺明竜王に森内俊之名人が挑戦している第26期竜王戦七番勝負第5局は、
森内名人がが渡辺竜王を下し、4勝1敗で竜王位を奪取しました。
渡辺竜王は十連覇がかかっていましたが、
春に羽生三冠の名人挑戦を退け、
2日制のタイトル戦では最強とも言われる森内名人が強さを発揮しました。

戦型は相矢倉になりました。
第4局で渡辺竜王が見せた趣向を森内名人が見せて、
第1局と第2局で後手急戦矢倉で往復びんたした時と同様に、
この形は先手でも後手でもあなたに勝てますよ、
というえげつないメッセージを投げかけました。
渡辺竜王も時間を使わずに一気に手を進め、1日目で72手進み、
73手目を森内名人が封じるという意地と意地のぶつかり合いになりました。
特に封じ手直前の渡辺竜王が指した△6九銀が強気の一手で、
ニコニコ生放送や検討している棋士からは後手がいいのではという見方でした。

初日のニコニコ生放送は解説が飯塚祐紀七段、聞き手が本田小百合女流三段でした。
普通は初日ですとのんびりしていて、雑談多めでもいいのですが、
今日は初日の午前中に62手進むという意地の張り合いで、
定跡講座や変化手順の解説に大忙しといったところでした。
昼食明け直後の63手目に森内名人が趣向の新手を指し、
渡辺竜王も時間をたくさん残したまま踏み込んでいきます。
流石にそこからは指し手がゆっくりになり、73手目が封じ手となりました。
封じ手の局面では、検討している棋士やニコニコ生放送で解説している飯塚七段が、
踏み込んだ渡辺竜王を評価して後手持ちの見解を示し、
視聴者も6割が後手持ちという結果になりました。

二日目のニコニコ生放送は解説が藤井猛九段、
聞き手が藤田綾女流初段の兄妹弟子コンビでした。
藤井九段がさっそく先手の方がいい要素があるというと、
とたんに視聴者も名人49.1%、竜王50.9%とほぼ互角になりました。
形勢判断ではよく駒の損得、王様の堅さ、手番と言われますが、
藤井九段はその他に形によるマイナスポイントがあるのでそう簡単ではないと言い、
通常は先手がいいけどマイナスポイントがあるのでそれがどこまで響くか、
という解説でした。
具体的には1九にいるはずの香車が1八にいるのがマイナス、
端歩が△9五歩、▲9七歩と詰められているのもマイナス、と言ってました。
どんな形がプラスだったりマイナスだったりするのか本出して欲しいなあ。
さて昨日のリレー質問では、本田女流が藤田女流に何か絵を描いてという、
質問ですらない無茶振りでしたが、
話の流れで自転車に乗る桐谷七段の絵を描くという難易度高めの題材になります。
女流棋士のイベントで升田先生の絵を描いて好評だったと言う藤田女流でしたが、
多分後で画伯として動画があがるな、という素晴らしい絵になりました。
途中で藤井九段に、先生自転車ってタイヤ何個でしたっけ、
と聞いていたので怪しいぞこれはと思ったのですが…。
藤井九段も絵は苦手なようで、小学校のとき隣の人の絵を描くという授業があり、
隣の女の子を泣かせたことがあると言ってました。それは先生がひどいかな。
藤田画伯の絵はその後、藤井九段のサイン入り本と共にプレゼントとなりました。
テレフォンショッキングで上田初美女流三段が電話してきた時の、
藤田女流の「絵、見たの?」がとても怖かったです。
局面は渡辺竜王が細い攻めを繋げられるか、森内名人がいつカウンターに行くのか、
という今シリーズではおなじみの展開になりました。
16:20の形勢アンケートでは森内名人49.8%、渡辺竜王50.2%とほぼ互角、
107手目でもponanzaの評価値が0になるという、
前回羽生さんが解説したときのような大熱戦になります。
しかし森内名人のカウンターの攻めが繋がり始めると形勢も差がつき始め、
視聴者アンケートでも森内名人71.2%、渡辺竜王28.8%と、
森内名人持ちの意見が多くなります。
最後は入玉含みで粘りに来る渡辺竜王の王様を包囲し、
森内名人が磐石の態勢で寄せきりました。
これで森内名人は2004年に渡辺明六段(当時)から取られ、
2009年に0勝4敗で跳ね返された竜王位を奪い返し、竜王と名人の2冠になりました。

それにしても春に渡辺竜王が三冠になり、いよいよ世代交代かと思ったのですが、
森内名人は持ち時間が長い将棋で異様な強さを見せてますし、
羽生三冠は王将戦の挑戦者決定リーグで5勝0敗と、
最終戦を待たずに渡辺王将への挑戦を決定していますし、
A級順位戦も5勝0敗とトップを走っていて、
結局は羽生世代と一人対抗する渡辺二冠という図式に収まってしまうんですね。
2月からの棋王戦で渡辺棋王の防衛戦になりますが、
挑戦者として勝ち残っている4人のうち羽生三冠と郷田九段がこれまた羽生世代です。
残りの三浦弘行九段と永瀬拓矢六段が挑戦となればフレッシュな顔ぶれ?
(三浦九段がフレッシュなのかと言われると疑問ですが)になりますが、
永瀬六段にはぜひともおっさん世代の壁を破って挑戦して欲しいですね。
とはいえ竜王戦のPVで森内名人が言っていた、
四十代に入って棋士としては難しい時期に入っていると思うが、
どんな年代でも活躍できるということを証明できればと思っているという言葉を、
渡辺三冠相手に4勝1敗という形で証明してしまったのは圧巻でした。
将棋の内容もあの手この手で崩そうとする渡辺竜王の手を強い受けで跳ね返す、
という森内名人らしい勝ち方で、鉄板流がさらに固くなったように思います。
加藤一二三九段が著書の中で、森内名人を剛の将棋だと言っていますが、
鉄板流よりもっと硬い金属にした方がいいんじゃないのかと思うくらい、
今年の名人戦、竜王戦の森内名人は磐石でした。

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