渡辺明竜王に森内俊之名人が挑戦している第26期竜王戦七番勝負第2局は、
森内名人が渡辺竜王を下しました。
森内名人は第1局も勝利しているので、七番勝負を2-0とリードしたことになります。
戦型は森内名人の主導で急戦矢倉になりました。
第1局で渡辺竜王が急戦矢倉を仕掛けて森内名人が跳ね返していますので、
急戦矢倉をしてもされても勝利という往復びんたになりました。
森内名人の趣向は40手目の△7五歩で、
水面下では研究されていましたが公式戦では初登場とのことです。
この手に対して渡辺竜王は金を盛り上げて相手の飛車を圧迫に行きましたが、
森内名人が飛車をかわしたところで渡辺竜王の封じ手となりました。
時間通り18時に封じ手をしたので、常識的な手と予想されたのですが、
いざ封を開けてみると誰も当たらなかった▲1八飛でした。
渡辺竜王は封じ手はする方が有利との考えを持っていますが、
考慮時間18分で誰も予想できなかった手を封じるところに勝負師らしさを感じます。
ところがこの手に森内名人もたいした時間を使わずに対応し、
渡辺竜王が暴れるしかない展開になってしまいました。
そうして暴れている相手の攻め駒を自身の持ち駒に変えてから、
92手目の△6九銀のカウンターが強烈で、
その後10手、102手までで渡辺竜王の投了となりました。

羽生善治、岡田武史著「勝負哲学」より羽生さんの話

相撲にも「後の先(ごのせん)」という言葉があって、
横綱の白鵬が理想の横綱として尊敬している双葉山がこの境地に達していたといいます。
つまり、相手の立ち合いをしっかり受け止めてから、
おもむろに自分の形にもっていく。
自分から先に仕掛けるのではなく、相手のくり出す手を次々に消していくことで、
最後には相手のほうが万策尽きてくれる。
そういう典型的な横綱相撲、「仕掛けない勝ち方」を意味しているようです。


渡辺竜王の端攻めに王様で受け、竜を自陣に引き寄せ、
万策尽きた渡辺竜王が王様の周辺にいない駒を取りに行ったところでカウンター、
今日の将棋は典型的な横綱相撲だったと思います。
これで番勝負は森内名人が有利になりましたが、
渡辺竜王も羽生さんを相手に将棋界史上初の3連敗4連勝という粘り腰があります。
第3局は11月7、8日でニコニコ生放送では初日の解説が田丸昇九段(ブログ)、
聞き手が上田初美女流三段(ブログ)、
二日目は解説が森下卓九段、聞き手が安食総子女流初段(ブログ)です。
新婚ほやほやの上田女流や、
電王戦に出場する森下九段の話題でも盛り上がりそうですね。

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