第2回電王戦の第5局、三浦弘行八段対GPS将棋の対局は、
GPS将棋が勝利しました。

放送開始:37,420人
対局開始:51,722人
最終戦ということで今までで一番多いですね。

三浦弘行八段はスーツで登場。
プロ棋士側から見てスーツで1勝1分、和服で0勝2敗なので当然の一手といえます。
三浦八段はペットボトルのお茶3本にペットボトルの天然水1本、
さらに魔法瓶も用意して準備万端です。

解説は屋敷伸之九段、聞き手は矢内理絵子女流です。
屋敷九段は前日の夜あまり眠れなかったらしく、
睡眠時間は7時間と答えていました。私より多いじゃないか。

屋敷九段「三浦八段はかなり体を絞ってきた」
矢内女流「そこですか?」

最初の3手で矢倉模様ということになりました。
三浦八段と言えば名人戦で羽生名人相手に、
出だしの3局を横歩取りに誘導するくらい横歩取りが得意なのですが、
やっぱり横歩取りの乱戦はコンピュータが手ごわいという研究でしょうか。
序盤の定跡型のところではGPSはほぼノータイムで指していきました。
三浦八段も時間を残す作戦のようで、どんどん指し手が進んでいきます。

ここで今日のGPS将棋のスペック説明。1秒間に2億8千万手を読むらしい。
なにそれ怖い。

今日の三浦八段の荷物について屋敷九段
「今日は手鞄ひとつだったので驚いた。いつもはもっと大掛かり。」

その後矢倉の中でも脇システムと呼ばれる形に進行しました。
先後同型ですと先に指す先手から攻めることになりますので、
5戦目にして初めて棋士が先攻するのかと思いました。
しかし、GPS将棋が自分の王様の端歩を突いて、同型から変化しました。
その手に三浦八段が反応し、攻撃態勢を組み換えに行った瞬間にコンピュータが先攻。
かけひきのある序盤になりました。
相変わらずコンピュータは人間の感覚では細い攻めに突っ込みますね。
三浦八段得意の脇システムですが、三浦八段の方が時間を使う展開に。
やはり攻撃は最大の防御なのか。

台本を見て相談しながらの解説というのもゆるい感じでニコニコならではですね。

ここでさらにGPS将棋の説明。
手を読むコンピュータが675台と、詰み専門が3台と司令塔が1台とのこと。
1秒間に675台合わせて2億8千万手を読む、
有能な部下を制御する司令塔ってどんなやつなんだろう。

時間を使った三浦八段はGPSが進軍させた銀に守りの銀をぶつける強い受け。
これを考えていたんですね。

ここで三浦八段の手番でお昼休憩。

最終戦ということでお昼休み中にメールが1000件超え、
午後の放送開始の時に1800件超えという大盛況でした。

注目の昼食
藤田綾女流:山菜うどん
三浦八段:うな重(松)
金子さん:うな重(梅)
GPS将棋開発者で対局室にこられた金子さんですが梅とは謙虚な…

三浦八段のおやつ
カロリーメイトフルーツ味5箱
ウィダーインゼリー3個
そば茶3本

対局は三浦八段が王様の守りの駒を盛り上げていきます。
自玉周辺ですが局地戦志向の指し回しです。

その後イケメンボイスの中の人、声優の岡本信彦さんが登場。
少年時代に父親と将棋を指した話や、
父親が岡本さんを初段くらいだと思って、
本場に行くぞと将棋スクールに連れて行ったら11級と言われた話、
橋本八段に飛車落ちで勝たれた話などをしてました。

その後田中虎彦九段、田丸昇九段が登場。
17年前、コンピュータがアマチュア2段くらいだった時代に、
コンピュータが棋士に勝つ日はくるのか
というアンケートを棋士にされたというエピソードを話していました。
羽生三冠や森内名人はあると答え、
羽生さんが2015年くらい、森内さんは2010年くらいと答えたそうです。
ちょうど間の2013年にこれが起こりましたね。預言者ってやつでしょうか。
田丸九段「コンピュータはクロフネ襲来というよりバルタン星人みたいなもの。」
田中九段「コンピュータは序盤が拙い。」
さすが序盤のエジソン。 

田中九段と田丸九段が退場し、
岡本さんが壇上に残っていろいろと局面について質問されていました。
岡本さんやっぱり強いなあ。
その後お昼休みに出題した詰め将棋の解説を忘れていた、
ということで詰め将棋を並べたのですが、
岡本さんが一瞬で解いて驚きました。めちゃくちゃ強いなあ。
また、屋敷九段が本に書いた、詰め将棋が書いてあるサインに見入ってました。
将棋強い人に詰め将棋を見せると固まるらしい。

その後詰め将棋に当たった方へのプレゼント抽選会で、
竹部さゆり女流がまさかの当選。
一生懸命手を振って断ってました。ハンドルネームはリサリサらしいですよ。

その後の解説にも岡本さんが残って質問してました。かなり夢中だ。
また、女優の高梨臨さんもゲストで登場。
ゲストもまじえての大盤解説はあまり見たことないですけど面白かったです。
棋力もいい感じにばらけて縁台将棋をみんなでつついているようでした。
高梨さんは話を聞いていると、指し手にはついてこれるけど将棋の用語は知らないようで、
将棋の本を読むというより実戦をやっていそうです。
将棋倶楽部24にいるのかもしれない。
 
途中三浦八段が金を相手の角の頭に打ちつけて、
受けきり勝ちを決めに行ったのですが、GPSがうまく攻めを繋いでいきました。
決めに行くには危険で、まだGPSの攻撃の面倒を見るべきだったようです。
その後は屋敷九段が、私はもうあきらめているんですけどと言うくらいだったのですが、
今度はGPSが変な手で先手玉にせまったところでボンクラーズの評価値が逆転。
その後も評価値が乱高下して沸かせてくれました。
0対0になったところでは考えるのを辞めたとか突っ込まれていました。
エンターテイナーモードか。
しかしこれはボンクラーズが混乱していただけで、
GPS将棋が三浦八段の王様に必死をかけて、無念の投了となりました。。
これで電王戦はプロ棋士から見て1勝3敗1分けと、負け越しで終わりました。

個人的には解説の屋敷九段が勉強になりますと何度も言っていたのが印象的でした。
トッププロでも自身の将棋を測るものさしとして、
コンピュータを認めているということですから。
私が最初に将棋ソフトにふれたのはファミコンソフトの内藤九段将棋秘伝ですが、
ずいぶん進歩したなあ。

私には技術を鍛えてガードを固めてジャブを打ち合い、そこから切りに行くのがプロ棋士ならば、
ひたすら筋トレとスタミナを鍛えて、
最初からぶんぶん拳を振り回すというのがコンピュータといったように見えました。
下記は片上大輔六段のブログからです。

ここまでの3局を観ていて、
コンピュータは数年前にはすでに明らかだった弱点を克服しないまま、
力技で強くなり続けているという印象を改めて強くしました。
おそらく今後もそうなのだろうと、僕は予想しています(いました)。
今回の将棋の内容を受けて、プロの将棋もまたすこし変わってくる可能性を感じます。
ちょっと具体的に言うと、
将棋の世界ではこれまで「マシンになる」訓練によって強くなるという発想は薄かったのですが、
今後はそういう面が出て来ざるを得ないだろうと思うのですね。
それが進歩であればいいなと思います。

将棋におけるマシンになる訓練って何だろう。
スポーツではトレーニング方法の発達により選手寿命が延びるということがあります。
70歳の羽生さんが名人に返り咲き、なんて未来もあるのかもしれませんね。

 ニコニコ生放送
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50万人には惜しくも及ばず。
将棋のイベントでこれは多すぎなんですけどね。
少しでも将棋に興味を持ってくれる方が増えるといいなあ。

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金
▲6七金 △4一玉 ▲7八金 △5二金 ▲6九玉 △3三銀
▲7七銀 △3一角 ▲3六歩 △7四歩 ▲7九角 △4四歩
▲3七銀 △6四角 ▲4六角 △7三銀 ▲7九玉 △3一玉
▲8八玉 △8五歩 ▲2六歩 △1四歩 ▲1六歩 △2二玉
▲2五歩 △4三金右 ▲6八角 △7五歩 ▲同 歩 △8四銀
▲7四歩 △7五銀 ▲7六銀 △同 銀 ▲同 金 △7五銀
▲同 金 △同 角 ▲7七銀 △6四角 ▲7六銀打 △7二飛
▲6七金 △8四金 ▲6五歩 △8二角 ▲6六金 △7四飛
▲7五歩 △7二飛 ▲8六歩 △同 歩 ▲同 銀 △7四歩
▲同 歩 △6四歩 ▲7五金 △7四金 ▲同 金 △同 飛
▲7五歩 △7一飛 ▲8三金 △7三角 ▲8二歩 △6六金
▲8七玉 △8八歩 ▲8一歩成 △同 飛 ▲7三金 △8九歩成
▲7二金 △8八と ▲9六玉 △7六金 ▲8一金 △9四銀
▲9五銀 △7三桂 ▲4一角 △8三歩 ▲9一金 △9五銀
▲同 玉 △8四銀 ▲9六玉 △9九と ▲9五桂 △9四香

まで、102手にてGPS将棋の勝ち

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