【第2回電王戦】Puella αx塚田泰明の局後の記者会見の様子【将棋】


戦型予想は横歩取りといっていたのですが、
事前の準備で横歩取りで戦いになるとすごい強いとおっしゃったことが驚きました。
塚田九段が横歩取りを褒めるということは相当すごいです。
という本の中で、
羽生棋聖と木村八段のタイトル戦の、横歩取りの将棋をGPS将棋に読ませているのですが、
2009年当時のGPS将棋は横歩取りは苦手でした。
4年で苦手から塚田九段が強いと言うレベルまで伸びたことは、
機械学習が相当進んだのだと思います。

さて塚田九段が会見で泣いてましたが、
戦前のインタビューで2勝1敗で回ってきて欲しいと言った意味が少しわかったような気がします。
将棋は究極の個人競技です。コーチすらいません。
自分で自分を分析し、トレーニングメニューを決め、
対局の場でも監督もおらず、自分ですべて進めます。
そういう意味では、後悔の無いように普段どおりの将棋を指す、
というのは個人競技の選手であれば正しいでしょう。
しかし今回は団体競技です。
2勝1敗で回ってきたら普段どおりに将棋が指せたと思いますが、
自身が副将であり、負ければ負け越しが決まるという状況で対局が回ってきました。
塚田九段も普段どおり、攻め100%の将棋を指したかったでしょう。
美しい将棋を指して、負けても美しく散りたかったでしょう。
しかし副将をまかされた塚田九段は、この状況で美しく散るということを許せませんでした。
相手の王様は全然手付かずだし、自分の王様は入玉できそうだけど点数がまるで足りない、
それでも自分で負けを認めるわけにはいきませんでした。
何時間も辛い戦いを自分に強いて、ようやく引き分けをもぎとりました。
私はそこに塚田九段の壮絶な覚悟を感じ、感動しました。
 
シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代」より羽生さんの話

結局、今の二十代の人と、三十代の人の、将棋の作り方の違いって、
そこにあるんじゃないかなと思うんです。
たとえば佐藤さんも、スタイルやパターンを意識して将棋を作り上げていくというより、
どんな展開になろうが、ものすごく読んで(笑)、ちゃんとまとめあげる。
自分の中で一つのシステムなりパターンを作り上げていくというのは、
渡辺さんに限らず、若手の将棋の傾向だと思います。
でも、私自身も二十代前半のときって、
「こういうやり方、指し方が本筋で、これを続けていればいいんだろう」
というような感じを抱いていたことはあります。
それが、だんだん変わってくるのかもしれません。

ベテランの棋士に副将をまかせたというのは、正解だったと思います。
棋譜の美しさ、潔さをよしとする若手の棋士では、この壮絶な将棋は指せないでしょう。
自身で何十年も積み上げてきた将棋の美意識を捨てて勝負に徹する、
すごい将棋、すごい勝負でした。

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