第2回将棋電王戦 第4局 塚田泰明九段 vs puella α PV


いやーPVが煽る煽る。名人を越えたは言い過ぎだと思いますけどねー。
持ち時間1手30秒で、終盤だけなら越えたかもしれないですけど。

とはいえそう考えられることが、
コンピュータ将棋がものさしとして機能し始めたということだと思います。
プロ棋士といえども終盤の秒読みの中では結構荒っぽく、
それでも私たちは見ていて楽しいわけですから、
将棋の棋理とは別のことに楽しさを見出しているわけです。
第2局の観戦記を、「プロは恥を売るのが商売だから仕方ない」で締めた先崎八段は、
流石にわかっていらっしゃると思いました。

将棋界にはなかなかいなかったヒールっぷりを発揮されている、
Puella α開発者の伊藤英紀さんですが、
1年ぶりにブログも更新されていよいよ準備万端といったところでしょうか。

伊藤さんのブログ記事「現状認識@2013年4月」より

いくらコンピュータが強くても、人間は人間を応援するんですよ。
強いのが見たいだけなら、コンピュータどうしが戦ってるネット対局サーバの
floodgateというのがあってそこで見えるわけですが、
あれを見てる人というのはほとんどいない。
人間は、同類の人間にだけ感情移入するように、(おそらく生物的に)プログラムされている。

伊藤さんは技術者ですから、
将棋の棋理では人間を越えた(と伊藤さんは思っている)コンピュータ同士の対戦に、
観戦者がほとんどいない原因を、
人間は、同類の人間にだけ感情移入するようになっているからと考えていますが、
私は棋理が見たいからじゃないからだと思います。
少なくとも人間は、人間以外にも感情移入しますよね?
例えばペットの犬とか猫とか、あるいは動物の番組も見ますし、
動物に限らずASIMOとか、音楽でも人物が描かれていない風景画でもいいですけど。
NHKの将棋が何故見られているかといえば、
それは対局者の戦っている姿が映っているからだと私は思いますし、
私が電王戦を見ている理由もそれです。
コンピュータ同士でも、将棋を通して棋理以外のものも表現できるようになれば、
今より面白くなるんじゃないですかね?

伊藤さんのブログ記事「現状認識@2013年4月」より

サトシンさんブログ拝見しましたが、ちょっと何というか、
コンピュータを意識しすぎではないかな、という印象を受けました。
必要以上に自分を追いつめてたような気が。
ツツカナ借りてるんだから、名人を越えてるとは思ってなくとも、
少なくとも並のプロが負けても全然おかしくない、てことはわかってたはず。
それなのに「絶対勝つんだ」みたいになってたのはなんでなのか…。


これについては私もそう思います。
思い込みは自分を高みに連れて行ってくれるものですが、第2局を観戦していて、
同時に思い込みの中に自分を閉じ込める檻でもあるのではないかと思いました。
「絶対勝つんだ」は不利なときには自分を奮い立たせてくれるものですが、
有利になったときに檻になる、指し手が伸びなくなる、と私は感じました。
ただし思い込みがいけないというよりは、思い込みの先の檻から出るために、
自信とか、勇気とか、好奇心とか、そういったような鍵がいるのかなと思います。 
電王戦は3局ともコンピュータが先攻することになりましたが、
プロ棋士側がのびのびと、「お前は格下なんだよ」と言わんばかりにどんどん攻めていく、
という展開も見たいなと思います。
「塚田が攻めれば道理が引っ込む」とまで言われた塚田泰明九段に、
昇天流の健在っぷりを見せて欲しいなあ。

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