第3回将棋電王戦記者発表会[対戦カード・対局日程・対局会場]PV
梅田望夫著どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語より
木村さんはそういう展開にするよりも、攻めるぞと見せて、
受けにまわるというのが好きなタイプなので、本譜のように▲6八角でしたが、
<中略>
▲6八角の展開になると思っていました。
控え室では、木村の▲6八角にみな驚いていたわけだが、
羽生は木村の個性を見切ったうえで、▲6八角を予測していたというのだ。
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棋譜を見れば木村さんが指したものとすぐわかります。
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かつて、ある若手棋士が、
「羽生さんって、人の特徴をとらえるのが本当に上手だからなあ」と感嘆していた。
羽生の強さの秘訣に、戦う相手の棋士としての本質を、
極めて抽象度の高いところで掌握していることがあるのではないだろうか。
渡辺明著勝負心より
私は公式戦を600局以上戦い、7割近い勝率を残してきた。
そのうち約200局もの敗局があるが、そのほとんどは、
自分のミスによるものと認識している。
しかし、こちらが一手のミスもなく指しているというのに、気づいたら負けていた、
ということが、ごく希にある。
敗因がわからず、「どう指しても無理だったな」と感じる、その唯一の相手こそ、羽生さんだ。
これだけ完璧に指されたらお手上げだ、と思わされたのが対局のひとつが、
先に述べた2008年の竜王戦フランス対局だったのである。
どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?
―現代将棋と進化の物語
梅田望夫著
¥1,365
第1回と第2回の電王戦でヒール役ポジションにいたPuella αの開発者、
伊藤英紀さんが、自身のブログで電王戦の舞台裏について執筆中です。
この中で居酒屋での故米長邦雄会長の話として、
電王戦を興行として成功させたいと話していたと書かれています。
そこで第2回からはドワンゴと組むことになったのですが、
第2回は一般のニュースにも取り上げられるような反響を呼び、
興行的には大成功だったと思います。
私のブログでも、例えば電王戦前の2月で一番PVがあった日で126PVだったのですが、
3月の佐藤慎一四段がponanzaに負けた翌日の31日には2640PVと20倍以上になり、
4月の塚田泰明九段が引き分けになった日には5000PVを超えました。
電王戦によって新たに将棋に興味を持たれた方が、将棋と電王戦のキーワードから、
どんどんネットサーフィンしていたことの証左だと思います。
第3回は対局場にまで趣向が凝らされ、特別スポンサーとして3社が名乗りを上げるなど、
ますます大きなイベントとなりました。
伊藤さんとは別に、第3回電王戦に出場するやねうら王の磯崎元洋さんも、
自身のブログにてコンピューター将棋のことを書いています。
コンピューター将棋で同系のソフト同士の対戦は、
持ち時間がわずかに多い側が大きく勝ち越す、
という事象から、プロ棋士を同系ソフトとみなせば、
実力的な差はわずかなのに勝率に開きが出るということを説明できると掘り下げています。
ここからさらにコンピュータ将棋開発者からの意見で掘り下げて書かれていますので、
興味のある方はそちらを読んでいただくとして、
観る将棋ファンの私はプロ棋士が同系ソフトとは言えないかなーと思います。
コンピュータ将棋の場合、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→自分の評価関数で考える
ということが言えると思います。
そのため同系ソフトの場合は読みが一致してしまい、
ちょっとでも強いソフトにじわーっと押し負ける、勝率に開きがでてしまう、
ということだと思います。
それではプロ棋士はどうでしょうか。
昔からトップのプロ棋士はその特徴から、中原誠十六世名人の「自然流」、
谷川浩司十七世名人の「光速流」、森内俊之十八世名人の「鉄板流」、
といったように呼ばれます。
これはプロ棋士の評価関数の特徴と言え、
「光速流」と「鉄板流」が同じ系統のソフトとは思えないというのが私の意見です。
ただし勝率に差がでる現象というのは確かにあります。
それが「○○流」と呼ばれることのないトッププロの棋士、羽生善治三冠です。
例えば羽生三冠と深浦康市九段は、羽生28-27深浦とほぼ互角の成績だったのですが、
そこから急に深浦九段の10連敗になりました。
三浦弘行九段は6-6の後は1-21と大きく負け越していますし、
藤井猛九段は13-14の後に2-23とこれまた大きく負け越しています。
羽生さんはこだわりを持たないということにこだわっている棋士でもありますが、
そんな羽生さんが思考方法を述べているのを本から抜粋します。
梅田望夫著どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語より
木村さんはそういう展開にするよりも、攻めるぞと見せて、
受けにまわるというのが好きなタイプなので、本譜のように▲6八角でしたが、
<中略>
▲6八角の展開になると思っていました。
控え室では、木村の▲6八角にみな驚いていたわけだが、
羽生は木村の個性を見切ったうえで、▲6八角を予測していたというのだ。
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棋譜を見れば木村さんが指したものとすぐわかります。
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かつて、ある若手棋士が、
「羽生さんって、人の特徴をとらえるのが本当に上手だからなあ」と感嘆していた。
羽生の強さの秘訣に、戦う相手の棋士としての本質を、
極めて抽象度の高いところで掌握していることがあるのではないだろうか。
先ほど私はコンピュータ将棋の場合、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→自分の評価関数で考える
と書きましたが、少なくとも▲6八角を予想した時の羽生さんは、
・自分が指す手→自分の評価関数で考える
・相手が指す手→相手の評価関数で考える
というアプローチを取っていると考えられます。
そのため同系ソフトの場合と同様に相手の指し手が読みと一致し、
読みが少しでも上回ると勝率に開きが出るのではないかと思います。
読みが少しでも上回ると勝率に開きが出るのではないかと思います。
渡辺明著勝負心より
私は公式戦を600局以上戦い、7割近い勝率を残してきた。
そのうち約200局もの敗局があるが、そのほとんどは、
自分のミスによるものと認識している。
しかし、こちらが一手のミスもなく指しているというのに、気づいたら負けていた、
ということが、ごく希にある。
敗因がわからず、「どう指しても無理だったな」と感じる、その唯一の相手こそ、羽生さんだ。
これだけ完璧に指されたらお手上げだ、と思わされたのが対局のひとつが、
先に述べた2008年の竜王戦フランス対局だったのである。
やねうら王の磯崎さんは、同系の強いソフトにはじわーっと押し負けると述べました。
上記の渡辺二冠の話も、ミスをしていないのに気づいたら負けていたということは、
じわーっと押し負けたということなのではないでしょうか。
渡辺二冠は羽生さんが最も読み筋が合う、
予想外の手もあるが、後で考えるとおおむね理解できる手であるとも述べています。
逆に佐藤康光九段はなぜか根幹から読みが違う、
説明されても納得できないことが多いと述べていますから、
少なくとも渡辺二冠と佐藤九段が同系ソフトというのは間違っていそうです。
どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?
―現代将棋と進化の物語
梅田望夫著
¥1,365