棋士はカワイイ!

将棋と棋士の魅力を伝えたい!そんなブログです。 なんか難しそう、古くてださそう、そんな印象を吹っ飛ばす!
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2013年06月

書評?「勝負哲学」岡田武史、羽生善治著

サッカーで日本をW杯ベスト16に導いた岡田武史監督と将棋の羽生善治三冠の対談を、
1冊にまとめた本です。



本が書かれた時期について

この本が出版されたのは2011年10月です。
3月11日に東日本大震災にみまわれ、対談はそれよりも後に行われました。
岡田さんはまえがきで、
「今回の震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、
この本が被災された方の今日の一歩を踏み出す助けに成ればと心から願うばかりである。」
と述べています。
翌年の2012年に岡田さんは、
中国サッカー・スーパーリーグ杭州緑城足球倶楽部の監督になり、
羽生さんはタイトル2つを防衛後、
前年渡辺明竜王に奪われた王座のタイトルを奪取しています。

岡田さんが代表監督になったときの環境

本の中で岡田さんは、加茂監督の後任として代表の監督になった後、
自力での予選通過が消滅したときに、
マスコミにはボロクソに言われるし、
サポーターからじゃんじゃん脅迫電話がかかってくるし、
脅迫状もたくさんくるし、毒入りなんて書いてあるサツマイモが送られてくるし、
かなり大変だったと述べています。
最悪の時期には警察のパトカーが24時間家の周囲をパトロールして、
子供の学校への送り迎えも危ないからと車でしたそうです。
怖い世界だ。

羽生さんの環境

岡田さんのまえがきに、
「名人戦のさなか、それも連敗した後にもかかわらず、
彼はいやな顔ひとつみせず、いつもどおり飄々と答えてくれた。」
とありますから、
対談当時の羽生さんは名人、棋聖、王座の三冠だったと思われます。
本の中で羽生さんは
「子供相手に本気になるのはおとなげないという老成した感情を超えて、
いまと変わらない気力や緊張感をもって真剣勝負に徹することができるかどうか。」
が大きなテーマだと述べています。
羽生さんは対談の3ヵ月後くらいに、
17歳年下の広瀬章人王位(当時)とのタイトル戦がありました。
結果は4勝3敗で広瀬王位からタイトルを奪取しましたが、
確かに苦戦しているように見えますね。
翌年には18歳年下の中村太地六段と棋聖位のタイトル戦がありましたが、
こちらは3勝0敗のストレートで挑戦を退けています。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
目次
まえがき―岡田武史

1章 勝負勘を研ぎ澄ます
理論を超えるもの、直感を支えるもの
・データなしでは勝てない、データだけでも勝てない
・W杯直前のシステム変更を決断させたひらめき
・努力の積み重ねが直感力を発達させる
・勝負の中の「偶然性」にどう対応するか
・直感を信用するために必要なこと

勝負どころを読む力
・危険なとき、苦しいときこそ勝負どき
・小さなミスほど試合の流れを大きく変える
・「じっとがまん」が状況を好転させる
・相手に「手を渡す」ことで勝機をつかむ
・相手の長所を消しながら自分の強みを出せ

全体を客観視できる「広い目」をもて
・戦況を第三者の視点でながめる中立の目
・トップアスリートに必要な「広い集中力」

2章 何が勝者と敗者を分けるのか
リスクテイクをためらうな
・選手の自主性と組織の一体感が両立した理想のチーム
・リスクから逃げるたびに、少しずつ、確実に弱くなる
・「死ぬまで勉強、一生チャレンジ」を体現していた老棋士
・新しさに鋭敏でないと最前線では競えない
・守るべきものと変えるべきものとのさじ加減

打たれ強さを養う
・重力でありながら揚力でもあるプレッシャー
・開き直りでしか背負えない「重圧」の底で目覚めたもの
・可能性に比例してプレッシャーも高まる
・「勝てるメンタル」に何が必要か
・心おきなく戦うために「ふつうの時間」を担保せよ

「勝てる人間」を育てる
・選択肢が多すぎる時代に「野生」の復権を
・「気づかせる」指導が選手の自主性を引き出した
・「絶対に譲れない一線」で本気が伝わる

3章 理想の勝利を追い求めて
集中力の深度を増す
・棋士の集中力の密度は並外れて高いか
・「深い集中」と「力まない集中」のふたつがある
・集中力の深海に交差する狂気と玲瓏の世界
・チーム全体が「ゾーン」に入った稀有の体験

闘争心を制御せよ
・執着心のわずかな不足が敗退につながった
・「制御された闘争心」こそが勝利に不可欠
・勝ち負けより「勝負の持つ深み」に出会いたい
・スポーツとしてのチェス、文化としての将棋
・大震災の悲劇の底から変化の火種を取り出そう
・すべて不確かな世界の中で頼れるものは何か

戦いに美学を求める
・隙のない戦い方が生み出す美しさ
・ずるがしこい戦い方は日本人の美学にそぐわない
・「負け」の中からこそ潤沢な教訓を拾い上げられる

あとがき―羽生善治
―――――――――――――――――――――――――――――――――

タイトルこそ勝負哲学ですが、対談の内容は多岐に渡っています。
岡田さんは監督ですから、勝つためには選手を育てなければいけませんし、
どんな人選で、どんなフォーメーションで、
どんな作戦で戦うのかを考えなければいけません。
羽生さんは棋士ですから、盤上でどう駆け引きをするかの他に、
自分に将棋を教えてくれる先生、監督、コーチが居ない状態でどう技術を磨くか、
ということが課題になります。
そのため岡田さんの話は経営者のような部下を持つ立場の人にっとって、
大いにヒントを与えてくれるものだと思いますし、
羽生さんの話は他人から直接的に教わることなくどう自分を高めるか、
個人事業主から新人社員に限らず、
学生や開業医、芸術家といった自由業の方まで幅広くヒントを与えてくれます。

こう書くとビジネス書のような感じがしますが、この本はビジネス書にとどまりません。
例えば中国では、オーナーや監督などチームの有力者とコネがある選手は、
スタメンが約束されていました。
岡田監督はオーナーと話した上でコネのある選手を放出しましたが、
この本を読んでいる方は岡田監督の頑固さに感動したと思います。
また、羽生さんは局面によっては相手に手を渡し、
先に動いてもらって返し技を狙うということが効果的だと述べています。
私はこのことはターン制のゲームのセオリーなのだと思います。
強い手を指すと強いカウンターが返ってくる、制限をかけて手を渡すといった考え方は、
テニスや卓球のようなターン制のゲームだとそのまま当てはめることができます。
サッカーや将棋に留まらず、スポーツを観戦する上で知っているとより楽しめることが、
この本にはたくさん書いてあります。

勝負哲学」より岡田監督の話

脳科学、心理学、運動生理学、さらには気功や琉球空手、
あるいは経営セミナーや話し方教室にいたるまで、
指導の参考になりそうなものにはみんな首を突っ込み、文献を乱読して、
専門家からも話を聞きまくったんです。
<中略>
当時はその占星学まで勉強しましたよ。
それで遅まきながら、わかったことがあります。
指導の本質は、教えるのではなく引き出すことにあるということです。
それまで私は、空のコップに水を入れてやるのが指導だと思っていました。
でも、そうじゃないんですね。
指導とはじつは、
コップの中にすでに入っているものを表へ引き出してやることにほかならない。
そうコペルニクス的に気づいたんです。
エデュケーションの語源はラテン語のエデュカーレで、
まさに「引き出す」という意味だそうです。
そのことに気づいてからは、指導法もだいぶ変わっていきました。
たとえばW杯の戦術において、私は中盤ではシンプルにパスを回せという支持をしましたが、
だからといってドリブルはダメだなどとは一言もいっていないのです。
試合の編集ビデオを選手に見せるときに、
「ここはパスではなくドリブルを選択すべきだった」と思う場面でも、
そうは指摘しません。
それを指摘すると修正になってしまうからです。
修正の多くは前のプレーの否定ですから、次の試合で同様の場面になったとき、
選手は一瞬、「パスかドリブルか」と考えるようになります。
その一瞬が判断の躊躇を生み、プレーの遅さにつながってしまうんですよ。
<中略>
人を育てるのは人じゃありません。環境です。
その環境をつくってやるのが指導者の役目であり、コーチングの真髄じゃないでしょうか。


上記をわかっていない上司を持つと不幸です。
修正ばかりして職場環境は何も変えません。
上記をわかっていない部下を持つと不幸です。
それは教わってないのでできませんなどと平気な顔して言います。
私はわかっていない上司だったなあ。

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天下一将棋会と上田初美女流三段

「天下一将棋会 プロの一手 LIVE」 第1回放送 上田初美女王


上田女流は6月17日に及川拓馬五段と入籍されました。
どちらも伊藤果七段のお弟子さんなので兄妹弟子?の間柄になります。
及川五段のTwitterはこちら
上田女流のTwitterはこちら

伊藤七段は詰将棋作家でもあり、Twitterで詰め将棋をたくさん公開されています。
伊藤七段のTwitterはこちら
17日のつぶやきには及川五段から電話がきたことも書いてあります。

動画は上田女流がアマチュアの方と3局、2枚落ち、角落ち、2枚落ちで対戦する動画です。
話しながら指しているのであまり読みを入れられなさそうなのですが、
きっちり勝ってしまうのは流石です。

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ポーランドの大学生カロリーナさんが研修会に合格

女流棋士を目指すポーランドの大学生、カロリーナ・ステチェンスカさんが、
女流棋士の養成期間である研修会に合格しました。
大学を卒業するのが9月なので、その頃に研修会に入る予定とのことです。
研修会にはクラス分けがありますが、カロリーナさんはC2で合格しました。
クラスが一つ上がるとC1になり女流3級の資格が与えられ、
女流2級へ昇級すると女流棋士ということになります。
ただし、女流3級から女流の公式戦へ参加できます。
具体的にはマイナビ女子オープン、女流王座戦、女流名人位戦、女流王位戦、
女流王将戦、倉敷藤花戦です。
カロリーナさんは22日、23日に行われたアマチュア竜王戦に、
海外招待選手として出場していました。
18日にポーランドから日本に来たとのことですがその日は誕生日だったということで、
少し遅い誕生日プレゼントでしょうか。
研修会は奨励会とは違い、アマチュアの棋戦への参加を認められていますので、
今後アマチュアの将棋大会にも顔を出すことになると思います。

研修会でC2からC1へ上がるには成績のいいとこ取りで
6連勝、9勝3敗、11勝4敗、13勝5敗、15勝6敗が条件です。
また、女流2級には
・1年間で参加公式棋戦数と同数の勝星を得る。
・2年間で参加公式棋戦数の4分の3以上の勝星を得る。
・女流棋士の昇段級規定の「女流1級」に該当した場合。
とあります。
参加公式棋戦数は上述した6つになりますので、公式戦で年間6勝をあげるか、
2年間で9勝をあげることが正規の女流棋士になる条件です。

片上大輔六段の家に滞在していたそうですが、師匠も片上六段になるのかな?

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PV 第84期棋聖戦 羽生善治棋聖vs渡辺明竜王

将棋 第84期棋聖戦 羽生善治棋聖vs渡辺明竜王 PV


史上初、三冠同士のタイトル戦第84期棋聖戦の第2局は、
羽生善治棋聖が渡辺明三冠を破りました。
これで羽生棋聖の2-0となり、棋聖戦は五番勝負ですので防衛に王手をかけました。

今日の戦形はなんと相横歩取りでした。
後手番の羽生棋聖が横歩取りか相横歩取りかを選ぶ権利がありましたが、
羽生棋聖の相横歩取りはなんと24年ぶりということで、
渡辺三冠も流石にノーマークだったでしょう。
ここ最近、渡辺三冠は後手番で横歩取りを指すことが続いており、
横歩取りだと渡辺三冠の研究が深そうだという思惑があったと思います。
また、横歩取りを連採しているということは、
先手の矢倉や角換わりがとても優秀だからそれを避けているとも考えられますので、
羽生棋聖が研究で負けてしまわないように珍しい戦形を選んだともいえるでしょう。

しかし横歩取りは難しいですね。
中継ブログにもありますが、
69手目の局面は難しいけど先手がやれそうという控え室の棋士達の見解でしたが、
わずか8手後の77手目の局面では後手勝勢となっています。
それではこの間に先手が悪手を指したのかと言うとそうではなく、
渡辺三冠の終局後のコメントでは64手目の△8六桂が厳しかったとのことですから、
将棋における形勢判断がいかに難しいかということだと思います。

動画はニコニコ動画に上がった直後に消されたものです。
第2局の昼休みか終了後に上げる予定のものが、
フライングで表示されてたのかなと思っていたのですが、
まだニコニコ動画には上がってませんね。
動画の最後の方で谷川浩司九段が、
羽生さんを中心とする世代に渡辺さんが一人で立ち向かっている、
と述べています。
渡辺三冠が登場する前は谷川九段が一人で立ち向かっていました。
今後渡辺三冠のように羽生世代に立ち向かう若手が登場するか注目です。
現在王座戦で中村太地六段が挑戦者決定戦まで勝ちあがっており、
相手は羽生世代の郷田真隆九段です。
中村六段は、去年の棋聖戦で羽生棋聖に挑戦していますから、
ここで挑戦者に名乗りを上げると羽生世代に挑戦する若手の一人、
ということになるかもしれません。

情熱大陸 里美香奈女流

里見香奈


里美香奈女流は現在女王、女流王将、倉敷藤花、女流名人の四冠です。
放送当時はこれらに女流王位も加えた五冠でしたが、
甲斐智美女流四段の挑戦を受けた第24期女流王位戦五番勝負を、
2-3で敗れて防衛失敗しました。
番組の最後に上田初美女流の、
彼女がいるお陰で強くなれる、というコメントが紹介されていますが、
今後里美女流四冠に追いつけ追い越せとばかりに女流棋界が盛り上がっていくと思います。

里美女流四冠は奨励会では現在初段です。
甲斐女流は奨励会で最高1級、最終的には2級で退会しています。
他には中井広恵女流が2級で退会、矢内理絵子女流が2級で退会、
林葉直子女流や千葉涼子女流なども奨励会の壁を突破できずに退会しました。
奨励会に所属している女性は現在、
里美香奈初段、加藤桃子1級、西山朋佳1級、伊藤沙恵2級の4人です。
女性でプロ棋士になった方はまだいないので険しい道だと思いますが、
なんとか乗り越えてプロになって欲しいですね。

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